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【すべて真実】っていうタイトルから【ヘンリー8世】に変えられた【シェイクスピア】の歴史劇

< 劇作家としての存在自体に謎のあるシェイクスピアなんですけど 不評劇だったらしいですね >

世の中の評価が凄く高いんだけれど、個人的にはちっとも理解できないっていいますか、なにがおもろいねん! って思っている代表格みたいな人がイギリスの劇作家「ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)」なんですね。


日本でも誰しもが認めている大作家ってことなんですけれど、「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」の4大悲劇とか、日本語の本で読んでも全く面白さなんて感じませんし、けっこう高い料金払って観た舞台もやっぱりね、つまらんかったんです。


その理由っていうのを勝手ながら考えてみますと、たぶんおそらく、英語の感覚がないから、なんだろうなっていう結論に落ち着いております。無理矢理ね。


つまり、英語に堪能な人であればどこの国の人間でも、シェイクスピアのセリフの言い回し、その魅力、面白さっていうのを感じとることが出来るんだとしても、日本語に訳されている台本を読んだり、日本語での舞台を観たって世界的に評価されているシェイクスピアの面白さなんて判りゃしないんじゃないかって思っているんであります。


ロミオとジュリエット」「夏の夜の夢」とか、日本でもめっちゃニンキですけど、はあっ? ってしか思いませんです。どの辺を評価してんの? って思います。


こんなことを言ってしまえば強く批判されることは受け止めるしかないんですけれど、英語に堪能じゃない人でシェイクスピアが好きっていう人、なんだか教科書的に評価の高い人だから、世界的に有名な人だから、っていう理由で「面白い」って言ってませんか? ちゃんと自分自身で判断してます?


シェイクスピアって日本でいうと戦国時代の人です。
徳川家康の20年後に生まれて、徳川家康と同じ1616年に亡くなっているイギリス人です。

 

 

 


言ってしまえばイギリスの古典劇。現在のイギリス英語を作り上げた言語感覚ってところが評価されているみたいなんですけど、日本人のシェイクスピアン。解説本を書いている人とかって、やっぱり現地で観る舞台でなければ伝わらないことが多い、とか言っていますからね。
観劇っていうより、オベンキョ、なんじゃないの、とかね、罰当たりな感覚で思ってしまいます。


繰り返しになっちゃいますけど、英語の感覚がネイティブに近いぐらいじゃないとシェイクスピアの面白さって判らないっていうのがホントのところじゃないでしょうか。


でもまあ、古典であろうがなんだろうが、21世紀でも評価は衰えていないのがシェイクスピア劇ですよね。
アフターコロナになれば、またたくさん上演されるでしょう。
でもその中には、本国イギリスでも評判のよろしくない劇もあるんです、っていうことを今回初めて知りました。


1612年ごろに発表された「ヘンリー8世」がそうなんですね。


シェイクスピア自身が書いた時点でのタイトルは「すべて真実(All is True)」だったそうです。


1613年に、演出で使っていた大砲の弾で草ぶき屋根に火がついちゃって、上演していたグローブ座が全焼したっていう記録が遺っているそうです。
1613年です。イギリスの劇場も草ぶき屋根。そういう時代なんです。関が原からそんなに経っていない頃なんですもん。


「すべて真実」っていう舞台が不評だったっていう後世の評価には、この火事っていうのも一因として絡んでいるのかもですけれどね。


1616年シェイクスピアが亡くなって7年後、1623年に出版された「ファースト・フォリオウィリアム・シェイクスピアの喜劇、史劇、悲劇)」の中で、「すべて真実」っていうタイトルが「ヘンリー8世」に変えられて、それ以来世界的に「すべて真実」じゃなくって「ヘンリー8世」って呼ばれている劇なんですね。


ま、内容はヘンリー8世の半生ですから、違う、って評価にはならないんでしょうけれども、作者に承諾された名称変更にも思えないです。
なんでそういうことがまかり通っちゃっているんでしょう。尊敬されている人なんでしょ。
無名の作家の作品じゃないんですよ。ウィリアム・シェイクスピアの作品、なのにです。


まあね、別人説とか、いろいろと存在自体にミステリアスな噂のあるシェイクスピアではあるんですけれどね。


舞台も不評だったらしいですし、あとからタイトルを変えられちゃった作品なんですけど、シェイクスピアはこの作品で何をしたかったんでしょうね。


ヘンリー8世(1491~1547)って、「青ひげ」のモデルだっていう噂のある王様ですね。


物語の青ひげは6回目の結婚で新妻にその正体を知られて成敗される殺人鬼。それまでの5回の結婚で、妻となった女性たちは全員行方不明になっていたんですが、全員が殺されて青ひげの屋敷の中に隠されていたっていう、ヨーロッパに古くから伝わる怪奇話だそうで、ペロー、グリム兄弟の童話にも収められています。


ペローが「青ひげ」を書いたのは1697年ってされていますから、ヘンリー8世が亡くなってから150年も経っています。でもまあ、口伝えに語られていた恐怖の話を書き遺したってことだとすれば、青ひげの物語にはモデルがあって、それはイギリス、テューダ―朝の王、ヘンリー8世だっていう噂が立つのは無理もないところなんでしょうね。


ヘンリー8世も6回、結婚していて、そのうちの2人を処刑しているんです。


その複雑な結婚離婚の手続きのためもあって、カトリック教会から分離してプロテスタントイングランド国教会を設立したりしているヘンリー8世なんですけど、シェイクスピアは「すべて真実」の中で何を描きたかったんでしょうか。
ヘンリー8世」っていうタイトルじゃなくって「すべて真実」ですからね。何か世間的に言われているヘンリー8世象を変えたかったんでしょうか。

 

 

 


シェイクスピアはテューダ―朝最後の女王、エリザベス1世(1533~1603)の治世に生きた人ですね。


エリザベス1世はスペインの無敵艦隊を破ってイングランドの黄金期を作った女王として評価の高い人です。
「ザ・ヴァージン・クイーン」「グッド・クイーン・ベス」なんていう愛称で呼ばれることもある女王さまです。


人生のほとんどを、このエリザベス1世の治世の中で暮らして、女王が亡くなって10年後、ステュアート朝の世の中になってから書いたのが「すべて真実」「ヘンリー8世


戯曲はエリザベス1世が生まれたところで終わっているんですね。シェイクスピアの亡くなる3年前の作品です。


もしかすると、不評だった「すべて真実」は第1部でしかなくって、まだこれから、敬愛するエリザベス1世の半生についての物語に発展させていかせるつもりだったかもしれませんね。


ヘンリー8世は実兄の急死によって王の座に就いた人なんですけど、最初の結婚は5か月間だけその兄の妻だった「キャサリン・オブ・アラゴン」とのものでした。
ま、ヨーロッパの王族、貴族間の婚姻ってかなり複雑で、政略の無い結婚っていう方が少ないぐらいだったのかもしれません。いや、間違いなくそうだったでしょう。


ヘンリー8世は男の世継ぎを熱望していたんだそうですが、キャサリンとの間に生まれたのが「メアリー王女」
その後も男児は生まれなかったんですね。


それでってことでもないんでしょうけれど、キャサリン妃の侍女だったメアリー・ブーリンと愛人関係になっていて、男児の誕生を望んだのかもですけど、敵わなかったみたいなんですね。


すると今度はメアリーの妹を愛人にしようとするんですが、妹は愛人関係じゃなくって正式な結婚を望むんですね。
当たり前って言えば当たり前のことなんですけど、この、めっちゃカッチリした妹が「アン・ブーリン」です。


2008年の映画「ブーリン家の姉妹」でお姉さんのメアリー・ブーリンはスカーレット・ヨハンソンアン・ブーリンナタリー・ポートマンが演じていましたね。あの姉妹です。


実際のヘンリー8世が、宗教的に禁止されていた離婚をするための手続きであーだこーだするっていうのが「すべて真実」っていう舞台の重要な内容でもあります。


離婚が認められないんで、カトリック教会から離脱して、クロムウェルを巻き込んで宗教改革っていう流れになっていくんですよね。複雑な人間関係でごちゃごちゃしてますし、そもそも気持ちのイイ話じゃないです。


で、まあ、いろいろあって、キャサリンとの離婚を無理矢理成立させて、アン・ブーリンと結婚するわけです。


男児を得るためのオオゴトを無理矢理思い通りにしたヘンリー8世


ところが、アン・ブーリンとの間に出来たのは「エリザベス王女」
またしても男児の世継ぎはできなかったんですね。


で、ここでシェイクスピアの「ヘンリー8世」は幕なんですよね。
これじゃあね、つまらん話にしか思えません。


アン・ブーリンっていう女性はとても知的だったそうなんですが、王権内での積極的な発言は多くの敵を作ってしまっていて、男児が生まれないってことで王妃の立場もだんだん微妙になっていったらしいんですね。


カトリックからの離脱っていう大きなことをやってのけたうえでの結婚だったわけですから、王妃として国民から好かれなかったっていうんだとしても、無理もないって感じもします。


何か、画策したことが失敗したのか、アン・ブーリンは姦通罪、近親相姦罪、魔術を用いた罪で処刑されてしまうんですね。
ヘンリー8世、なにしとんねん!?

 

 

ヘンリー8世は多くの物語に取り上げられる人ですけど、男児の跡継ぎを望んでかなえられず、正妻を処刑し、ヨーロッパ戦線でもはかばかしい結果を残せなかった王ですね。


物語に取り上げられる要因は、その死後、無理矢理王位につけた男児庶子は夭逝してしまって、その後、イギリスの黄金期を作り出したのが、ヘンリー8世が退けたメアリー王女。成長したメアリー1世であり、アン・ブーリンとの間のエリザベス王女こそが「エリザベス1世」だっていう皮肉ですね。


シェイクピアはエリザベス1世が生まれたところまでしか書き遺していないわけですが、内容的に中途半端な感じになっているのは、物語はその後にあるから、っていうことじゃないでしょうかね。


いや、これは史劇なんであってエンタテインメントじゃないからね。っとか説明されてしまいますと、当時から不評だったっていうことに大きく肯ける気がします。


でも「すべて真実」っていうタイトルなんですよ。なにか世間で言われていることとは違う内容があってしかるべきだと思うんですけどねえ。

 

 

 


観劇はまた復活して賑やかに楽しめるようになると思いますけど、世界的に、歴史的に、評価の高いアリガタイ舞台ですよ、とかね、自分自身で判断していない感じの評論とかに出会っちゃうと、疲れます。


権威に対する思考停止って、今の日本人が最も避けるべき感覚のような気がします。


世界的劇作家、ウィリアム・シェイクスピア、ハッキリと、つまらんのでありますです。

 

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