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【アニマルウェルフェア】日本は世界に比べて遅れているみたいなんですよ

< 「アニマル・マシーン」っていう書籍 「いのちの食べかた」っていう映画 >

東京を東西方向に走っているJR中央線は、快速運転がほとんどで、特別快速、通勤快速もあって利用者の多い鉄道です。
もちろん各駅停車っていうのもあるんですが、早朝、深夜にしか走っていないんですね。


通常の中央線快速に乗って新宿駅から西に向かいますと、1つ目の駅が中野駅になります。
ですが、各駅停車ですと新宿駅の1つ先が大久保駅、次が東中野駅ってことになります。
中野駅はその次ってことになります。


昼間に各駅停車は走っていませんので、大久保駅東中野駅に行くには中央総武線に乗ることになります。


東中野近辺は西新宿、中野坂上エリアと南北方向に連なっていて、いわゆる焼け残りの一帯なんだそうで、商店街には個人店が多く残っていた街です。


西新宿、中野坂上はバブル時期の地上げの影響をモロに受けて、一気に再開発が進みましたので、街の様相が変わってしまいましたが、東中野一帯はまだいくらか、昭和の雰囲気を保っていますね。そう言えると思います。

 


コロナ前に吞み屋さん目的じゃなくって時々行っていた場所が東中野
線路沿いの北側には店舗が並んでいるんですが、その中に「ポレポレ東中野」っていうミニシアターがあって、ここではドキュメンタリー系の映画がよくかかっていて、興味深い作品も多いんですね。


ここで以前に観たのが「いのちの食べかた」っていう2005年のオーストリア・ドイツ合作映画。


「パリ国際環境映画祭グランプリ」「アテネ国際環境映画祭最優秀作品賞」「アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭特別審査員賞」だとか数多くの受賞をしている作品です。


ポレポレ東中野以外でも単館上映されて、日本でも話題になりましたので観た方もいると思います。


原題の英語表記は「OUR DAILY BREAD」


「わたしたちの毎日のパン」っていうんですが、邦題の「いのちの食べかた」っていうのも悪くなくって、訴えかけたいテーマをよりダイレクトに表現しているってことが言えそうです。


我々が日常食べている植物、動物について、その工業化された生産現場を、ナレーションを入れたりせず、大量生産現場で働く人のインタビューもなし、BGMもなしで、現場のリアルな絵と音を伝えてくれるドキュメンタリーでした。
観る人によってはかなりの衝撃を受けるかもしれないインパクトを持った映画。


食品の生産現場をただただ映し出す手法の作品なんですけど、対象となった植物や動物が、工業製品として無機質に扱われているように感じられましたね。
PG12指定で、小学生以下は保護者同伴が望ましい、ってされた作品でした。


「トマト」「キャベツ」「キュウリ」「リンゴ」といったスーパーに行けば当たり前に見かけて、普通に食べている植物たち。
そして「鶏」「豚」「牛」といった動物たち。


植物も動物も人間と同じ生き物ですけれども、その生命を我々は食べているわけで、消費を担う現場の作業は、価格面で求められる安さを求めて、効率化を進めてきたわけです。
その結果、工業製品扱いされているような印象で、行き過ぎた合理化、みたいなものを感じたんですね。


そこに対して何か批判めいたナレーションを入れたりしないっていう方法は効果的だったと思います。


おそらくこの映画の基になったスピリットは1964年にイギリスで出版された「アニマル・マシーン」っていう本にあると思われます。


著者のルース・ハリソンは動物福祉活動家として知られた女性で、「アニマル・マシーン」という本は、工業化された農業によって家畜に与えられた苦しみを暴露したとされています。
イギリスを中心としてヨーロッパでは1964年、1回目の東京オリンピックの年からすでに、そういう目、世界を見る視線を持っていたっていうことなんですね。


例えば「牛」を考えてみますと、牧場で草を食んでいる姿を思い浮かべることが出来ますよね。
実際に牧場に行った経験がないとしても、牛がどういう動物なのかを知らない人はいないと思います。


そしてスーパーの食肉売り場に並べられた牛肉のパック。
これもまた誰でも思い浮かべることが出来ると思います。
もしかすると今、冷蔵庫に入っているかもしれませんもんね。


牧場で悠々と歩いている、あの大きな牛という動物と、スーパーの食肉売り場に並べられているパックの牛肉。
その両方を普通に知っている我々ですが、動物から食品に変わる部分、食肉生産工程っていうのを、ほぼ知りません。


タブー視しているような感覚があったりするのかもしれませんよね。
見ないでおきたい、知らないでいたい。なにもわざわざそこに触れなくたってイイじゃないか、っていうような社会感覚。

 


家畜という人間が食べる目的で育成している動物たち。
どうせ殺して食べちゃうんだからっていうことで工業製品扱いになってしまったことに、警鐘を鳴らしたのが「アニマル・マシーン」であり、さらに合理化が進んで、ほぼ生き物扱いされていないような現状を描き出したのが「いのちの食べかた」だって言うことが出来るでしょう。


2022年、SDGsの自然のための行動強化として「動物福祉–環境–持続可能な開発ネクサス決議」が採択されました。


動物福祉っていう単語を聞いたことのある日本人はどれぐらいいるでしょうか。


私自身もこのSDGsの採択のニュースで初めて知ったんですが、ヨーロッパでは広く知られている言葉なんだそうです。


「アニマルウェルフェア(animal welfare)」


その言葉、概念自体が浸透していない日本は、遅れていると言われても仕方がないのかもしれないですね。
一応、農林水産省「アニマルウェルフェアについて」っていう情報を公開してはいますが、国民に対する発信としては弱いですね。

 

メディアも含めて無関心を装っている分野なのかもしれません。


2021年10月に東京地方裁判所で、懲役1年8か月、執行猶予4年の判決が言い渡された元農林水産大臣に対する贈賄事件は、大手鶏卵会社の元代表が、「国際的な飼育環境の基準「アニマルウェルフェア」の考え方をもとにした飼育方法が採択されれば、養鶏業者の経営が壊滅的な打撃を受け、卵の安定供給にも悪影響が生じると懸念し、現職の大臣に現金を渡すことで、重要な政策判断に強い影響を及ぼそうとした」と指摘されています。


収賄側の元農林水産大臣の裁判はまだ結審していないみたいです。


でも、この贈賄の結審ニュースは聞いているとは思うんですが、その時に「アニマルウェルフェア」っていう言葉に気付きもしませんでした。


メディア報道も、よくある贈収賄事件の1つとして取り上げたわけで、その要因だった「アニマルウェルフェア」を話題としていなかったんじゃないでしょうか。


イギリスでは法制化されているそうで、「アニマルウェルフェア」の基本原則、家畜、ペット、実験動物だとか、あらゆる動物に対して「5つの自由」が定められています。


「飢え、渇き及び栄養不良からの自由」


「恐怖及び苦悩からの自由」


「物理的、熱の不快さからの自由」


「苦痛、傷害及び疾病からの自由」


「通常の行動様式を発現する自由」

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鶏卵の生産は日本の場合、90%以上が「バタリーケージ」っていう鶏が動き回れない方法で飼われていて、生産として効率的、工業的に優秀な産卵成績を上げているんだそうです。


で、「アニマルウェルフェア」を採用している世界の趨勢は「ケージフリー」という飼育方法で、鶏は巣箱で卵を産む、止まり木に止まる、砂浴びをするっていう、鶏本来の行動が出来て、農家側も工業的じゃない、農業本来の鶏とのかかわり方が出来るんで、双方ともにストレスフリーなんだそうです。


有罪判決を受けた大手鶏卵会社の代表は何を嫌がったのかというと、「ケージフリー」は産卵効率が悪いっていうことなんですね。


衛生管理面でも手間がかかるし、コストが高くなってしまっては売り上げ減少につながる、っていうことを心配したんでしょうね。
売り上げ減少につながってしまうっていう生産者側の恐怖感は、我々消費者側に「アニマルウェルフェア」の概念が、そもそも根付いていないからですよね。


そんなことは考えたこともないです。だって、知りませんもん。


牛の屠畜場で、牛が水分不足で死んでしまった事故があったそうです。
でも、肉にする直前の牛だからっていう考えなのか、大きく取り上げっれることもなかったように記憶します。


なぜ水分不足なんていう状態になってしまうのかっていうと、肉質が落ちてしまうっていう迷信みたいなものから、屠畜場には牛のための水飲み場は用意されているものの、使用されていなかったからだっていうことなんですね。


牛は喉が渇いても水を飲むことが出来る環境じゃなかった。
「飢え、渇き及び栄養不良からの自由」を奪われていたわけですね。


「アニマルウェルフェア」っていう世界的な動向は、日本に関して言えば、まだまだその言葉、概念さえ知られていないんじゃないでしょうか。

 


買収されてしまう元農林水産大臣っていうのも情けないことですが、食品の値上がりが続いていきそうな2022年です。まず消費者側が「いのちの食べかた」について、しっかり自覚して、どういう生産方法をされた食品なのかについてこだわりを持つ事が大事なんだと思います。


遅れているっていうことはホントのことで仕方のないことなんでしょうけれど、ちゃんと実行しているところもあるんです。


北海道河西郡に事務所を構える「一般社団法人 アニマルウェルフェア畜産協会」

 

「動物も人も幸せに生きていける畜産を」っていうコンセプトでセミナーを開いたり、見学会を催したりしていますね。


目玉焼きを作るとき、昔の卵はもっと黄身が盛り上がっていて、旨かったけどねえ、なんて話は良く聞きます。
あれって結局、鶏がストレスフルな環境で産まされている卵が普及してしまったからってことなのかもですよね。


ストレスを感じながら「産まされている」卵は、自然じゃない。元気がない。


SDGs、生物多様性


生命を食べて生きているっていう当たり前のことを、再確認して大事にしていきたいですね。


牧場の牛と、スーパーのパックにはダイレクトなつながりがあるって、改めて思いを致すのでありました。

 

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