ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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【芋タコなんきん】令和の女の好むもの ジャニーズこんにゃく焼き芋焼酎?

<【きいろと紫】フラっと立ち寄り、サクっと飲み食い、ゴッツー美味いのに、メッチャ安い! 焼き芋の進化系>

変化しないものなど何もない、変わらないものは許さない、とでもいうような速すぎるほどの世の流れ。
たまに同級生と集えば「ああ、あった、あった」と今は消えてしまったものを思い出す。


でもですね、なんかね、いったん途切れたように思えて、いつのまにか復活している食べものってありますよね。


今回は「焼き芋」「さつまいも」の話です。

 

 

 


昭和の昔にはですね、屋台の物売りというのがたくさんありました。いろんな物を売りに来ました。


夏は金魚屋さん、風鈴屋さん、かき氷屋さん。


さすがに棒手振りという販売スタイルはほとんどありませんでしたが、リヤカーを引いて


「♪キンギョ~、え~、キンギョ~。出目金、黒金、メダカもあるよオ。ヨ~イ、キンギョ~」


職人の掛け声でしたね。啖呵売の雰囲気がありました。


「コオリイ~、さあ冷たいつめたい、出来立てのコウリ~」


出来立ての冷たさってのは、なかなかに分かりにくいんですが、おカネとどんぶりを手に子供たちが駆け寄ったものでした。冷蔵庫が普及していない頃ですね。


風鈴屋さんは、特に声を張り上げません。代わりに売り物の風鈴がチリンチリン、うるさいほどに音を立てます。そういう揺らし方をしていたんでしょうね。それに、街がそれ相応に静かだったのかもしれません。
風鈴屋さんは細長いリヤカーでしたね。


夏になると必ずやって来るのは、金魚売りとベンチャーズ、なんていうネタをずっとやっていた芸人さんも居ました。


季節は進んで、吹く風が冷たくなり始めますと、今度は石焼き芋の屋台がやって来ます。


蒸気で笛を鳴らしながら、


「イ~~シヤキイモ~。イシヤキ~」


というシンプルな声を張り上げるおじさんが来るかと思えば、


「イッシヤキの、ホッカホカの、アマ~イあまい十三里~。おいしいヤッキイモだよ~」


と、やたらに調子のイイおじさんも来ます。


こちらはですね、圧倒的に大人の女性が集まって来ていました。


「ほうら、焼き芋だよ。食べたいよねえ」

 

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などと腕に抱いた子供をダシにしているオカーサンたち。いっぱい居ました。


十三里という謎の言葉は、石焼き芋は「栗より」うまい。⇒ 「九里より」うまい。⇒ 「九里四里」うまい。
ってことで、九里と四里を足して十三里、というシャレなんだそうです。無理矢理です。
シャレになっているのかどうかは置いておきまして、とにかく焼き芋は、凄い人気でしたね。


お寺だとかの「落ち葉焚き」には、濡らした新聞紙にくるんださつま芋を火の中に放り込む人が必ず居ました。
焼き芋は甘い食べものの代表、日本の風物詩だったわけです。


でも、大阪万博の後ぐらいから、つまり1970年代の半ばあたりから、日本の豊かさは食生活全般にも広まって来て、リヤカー屋台の物売りという形態はすっかり見かけなくなりました。


いろんなファストフードに乗り換えてしまって、みんな焼き芋を忘れてしまったかのようでした。
ところが平成に入って少し経つと「ピ~ッ」という、あの笛とともに、軽トラの焼き芋屋さんが戻ってきました。


「イ~~シヤキイモ~。イシヤキ~」


「イッシヤキの、ホッカホカの、アマ~イあまい十三里。ヤッキイモだよ~」


の呼び声はテープで流していましたが、戻ってきたんですね。


まだデジタルが浸透していた時代ではなくって、軽トラの中からテレコのカセットテープ。
テレコっていうのは、カセットデッキ付きラジオ。あるいはラジオ付きカセットデッキ
それを助手席に置いて鳴らしていましたね。大音量。


台商売の仕組みとして、誰か取り仕切る人が居たんでしょうね。焼き芋の軽トラはずいぶんたくさん居ましたが、テープの声は数種類しかなかったように記憶しています。
それと、焼き芋売りのおじさんは、日本人が2割、外国のお兄さんが8割というような割合でした。


で、そういう外国のお兄さんたちはそれで、軽トラの石焼き芋商売で生活しているわけですから、夏でもやってました。季節、関係ないです。
炎天下で「♪ヤッキタテの、ホッカホカの」でした。


このころの日本は食べものの季節感とか、すっかり無くなっていましたね。


どんなものでも年がら年中、店先に並んでましたからね。石焼き芋でさえ季節ものではなくなりました。


でも、この夏の石焼き芋は長続きしませんでしたね。数年もしないうちに見かけなくなりました。
思うように利益を得られなかったのか、焼き芋売りのお兄さんたちが祖国に戻ってしまったのか、理由は知る由もありませんが、最近、焼き芋の軽トラ、見ないなあ。客観的にそう思っていました。

 

 

 


客観的というのは、あれです、個人的に屋台の焼き芋って買った記憶がないからです。
焼き芋をニコニコと買っているオネエサンたちを、ふううん、焼き芋かあ、と客観的に眺めていたからなんですね。見ているだけ。
キライなわけじゃないんですが、積極的に食べようとは思わないわけです。石焼き芋
石焼き芋って、男じゃなくって女の食べもの、なんじゃないでしょうかね。昔から。


江戸時代の言葉らしいですが、


「ちかごろ女の好むもの 芝居 コンニャク 芋 タコ なんきん」


というのがあるくらいですからね。たぶんずっと昔から、石焼き芋は女の食べもの。決定!


「芝居 浄瑠璃 芋 タコ なんきん」
「芝居 コンニャク 芋 栗 なんきん」


だとか、いくつかのバリエーションがあるようです。


ちなみに大阪の居酒屋さんで「芋タコなんきん」というメニューを食べたことがあります。
里芋とタコ、カボチャの煮物。普通にンまかったです。


それと藤山直美さんのドラマに「芋たこなんきん」というのがありました。NHKのテレビ小説。
関西方面には言葉としても残っているんでしょうかね。


大阪で食べた「芋タコなんきん」は里芋でしたが、江戸時代の「芋タコなんきん」がさつま芋だったか里芋だったかは意見の分かれるところらしいです。


「ちかごろ女の好むもの 芝居 コンニャク 芋 タコ なんきん」についてみてみますと、
芝居は歌舞伎で、今でいうイケメン、二枚目の人気は、そりゃあ昔から変わるわけもないですよね。


コンニャクとタコは、ん? と思ってしまうところ。
食感、歯ごたえが好まれたんだろうということらしいんですが、どうなんでしょう。令和の女性は、好きなんですかね、コンニャクとタコ。ま、嫌いではないのかもしれません。でもタコねえ?


で、芋となんきん。これはさつま芋とカボチャとしておきます。


すると、好まれる理由は「甘味」ってことになりそうです。


砂糖が今のように普及していなかったころですからね、甘味はいつの時代も女の好むもの、ってことなんじゃないでしょうか。
甘味処も、焼き芋の甘さも、今だって変わらず人気です。


石焼き芋の、外国のお兄さんたちが姿を見せなくなってしばらくしますと、なんと、スーパーやコンビニで売り始めましたよね。「石焼き芋」2015年ごろからでしょうかね。
「イッシヤキの、ホッカホカの」という呼び声こそありませんが、ほわほわした独特の香りが店内に充満しています。


けっこう売れていますよ。夏はやってない、と思うんですが、どうったかな? と、今でも見ているだけではありますが。


石焼き芋は、東日本の女性は「ホクホクの甘さ」が好みで、西日本の女性は「しっとりの甘さ」が好みなんだそうです。
どうでしょう? 納得できます? 人によるでしょっ! ってことだとは思いますです。はい。


第三次ブーム、といえるのかもしれない焼き芋人気ですが、2021年4月5日に大阪、南森町【芋スイーツ専門店「御芋屋 きいろと紫」】というお店がオープンしたそうです。

 

 

 

 

「きいろと紫」ってネーミング。


工夫して、もっかい工夫して、180度ひっくり返して大向こうをうならせるつもりが360度ひっくり返ってしまった、のかもしれませんが、そこがおしゃれやんか! ってことなんでしょうかね。


経営する「イートファクトリー」という会社は屋台居酒屋業態、ベトナム酒場業態などで海外を含んだ70以上の店舗を展開している若い会社で、


「大阪の良さを日本、海外の皆様に知って頂き、海外の良さを日本の皆様へ知って頂く」


ということを使命として、


「フラっと立ち寄り、サクっと飲み食い、ゴッツー美味いのに、メッチャ安い!」


というコンセプト。なんだそうです。


エエやんねえ。大阪。気軽に出かけられるように、早くなって欲しいですねえ。


「御芋屋 きいろと紫」では焼き芋だけではなく、


芋+4種の生クリーム+あんこの「いも生どら」
リンゴのジュレが爽やかな「やきいもモンブラン
芋プリン・クリームが2層になった「おいもプリン」
さつま芋とアイスのマリアージュを味わえる「おいもソフト」
だとかの「さつま芋スイーツ」

 

もラインナップ。


エエねえ。行きたいですねエ。食べたいですねえ。


社長さん、東京にも店舗あるみたいですが、大阪店舗限定なの、きいろと紫?
そんなんタコでっせえ。


食い倒れの街の意地を見せていただくことを、期待いたしますです。はい。


「やきいもモンブラン」って、要は「栗よりうまい十三里」なんでしょ?


男も食べますですよ、芋。

 

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