ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【ビッグアップル】その2 ダークナイトは 暗い夜か 闇の騎士か

<都市生活者の孤独をテーマにした作品が似合うのは 東京か ニューヨークか>

ニューヨークのニックネームとして知られるものとして「ビッグ・アップル」の他にも1つ「ゴッサム」というのがあります。
ゴッサム」の方はあまり日本では浸透していないかもしれないですね。


第一、単語の意味が分かりません。


ゴッサム 、Gothamというのは、イギリス、ノッティンガムの南に実際にある村の名前だそうです。ロンドンのだいぶ北の方、内陸の村。


ヤギ ⇒ goat ⇒ got。町 ⇒ home ⇒ ham。で、ゴータム、goatam ⇒ gotham、ゴッサム
という名前らしいんですが、なんだか有名な逸話の残っている村らしいんですね。


そりゃまあ、何か由来みたいなものが無いとニューヨークのニックネームになったりしませんよね。


どんな話なのかといいますとですね、これが、なんとも不思議といいましょうか、難解といいましょうか、「ゴッサムの賢人 (Wise Men of Gotham)」として伝わっていて、何話もあるようなんですが、マザーグース並みに頭をひねらないと、ストンと落ちてきません。


「3人のゴッサムの賢者が
お椀に乗って海へ出た
もしそのお椀がもう少し丈夫だったなら
私の歌ももう少し長かったのだが」


これはマザーグースそのものって感じですが、このまま単純な話として受け取って良いものかどうか悩むのがマザーグースマザーグースたる由縁ですからねえ。


この「歌」を歌っている本人が、3人の賢者を離れたところから見ている立場なのか、3人の賢者の中の1人としてお椀に乗った一人なのか。そもそも内陸の村の話で、なぜ海へ出るというエピソードなのか。謎です。


ゴッサムの賢人。しかも3人が、お椀の船で海に出るというのは、どんな目的があったんでしょうか。
そもそもこの話では、ゴッサムの村人3人は最初から「賢者」です。なにか凄いことをやってのけたので賢者なんですよ、ということではなく、最初から賢者として登場して、3人でお椀に乗って、まあ、その航海は長くは続かなかったという話ですので、そんな内容でもって「ゴッサムの賢人」と言われれば、はあ、そですか、ぐらいの反応しか出来ませんよね。

 


また別の話。


ゴッサムの村人が丘を越えて市場へ、たくさんのチーズを売りに行きます。
下りにかかったところで、袋からこぼれた1つのチーズがコロコロと坂を転がって行ってしまいました」


本格的なチーズだったんでしょうから、分厚く、丸い形ですよね、きっと。どこまでも転がっていったんでしょう。でもこの話では「ゴッサムの村人」です。「賢人」じゃないんですね。


「村人はチーズが1人で市場に急いだものと思って、他のチーズも全部袋から出して転がしてやります。
そして、すべてのチーズを見送って、男は歩いて市場に着きましたが、先に来ているはずの自分のチーズが見当たりません。
市場が終わるまで待ってみましたが、チーズは1つも現れませんでした。
おかしいなと思いながら男はハッと気が付きます。あんなに勢いよく転がって行ったんだから、チーズたちはきっと市場を通り越していってしまったに違いない。
そこで男は馬を借りてチーズたちの後を追いかけましたが、チーズは結局1つも見つかりませんでした」


これでお終いです。
ふううん、そですか、という話ですよね。面白いんでしょうか? アメリカンジョークといって揶揄したりはしますが、イングランドジョークっていうのもあるんでしょうかね。


もう1つ。


ゴッサムの村人が橋を渡って市場へ羊を買いに出かけます。
すると橋の向こうからもう一人の村人が市場から帰って来るのに出会います。
挨拶をして、羊を買いに行くことを話すと、どこを通って羊を連れて帰るのかと聞かれます。
この橋を渡って帰ってくるさと答えると、その男はこの橋を通すわけにはいかないと言って、両手を広げて通せんぼをします。
市場に行こうとしていた男は、たくさんの羊を連れているつもりで無理矢理通ろうとします」


架空の羊たちを通すの通さないのと争っているわけですが、傍から見ればジェスチャーですよね。


「そこへもう一人のゴッサムの村人が通りかかります。
3人目の村人は市場から粉を一袋担いで帰ってきたところですが、2人が、1匹だって居もしない羊のことで争っているのを見て言い諭しに割って入ります。
3人目の男は袋を開けて、粉を橋から川に全部空けてしまいました。
そして空の袋を示しながら言うには、ほら袋は空っぽだ、まだ手に入れても居ない羊のことで争っているお前たちの頭の中と同じだ」


これでお終い。
ん~。なんなん?

 


めげずにもう1つ。


「ある村人がウナギを食べようとしていますが、手こずっているようでした。
別の村人がどうしたのか聞くと、ウナギが元気過ぎてなかなか捌くまでいかいという。
それじゃあオレが仕留めてやろうといって、その村人は盥の中に水を入れてウナギを溺れさせようとしましたとさ」


チャンチャン。って終わっていいんでしょうか。
あのねえ、って感じの話なんですけれど、どうしてこういう話が「ゴッサムの賢人」として伝わっているんでしょうかね。


まことしやかに言われていることは、
時のイギリス国王「ジョン」がゴッサム村に国道を整備しようとして調査員を派遣した際に、村人たちは工事に駆り出されたり費用負担を強いられつことを拒もうと、マザーグース的行動をわざとやってみせて、難を逃れたという話です。


国道を整備しようって話なんですから、どっちかというと村の発展につながるような気もするんですが、なぜ村人全員でポンコツなふりをしてまで拒んだんでしょうか。


イギリス国王ジョンという人は13世紀の王様で、おそらく史上最も人気のない人みたいなんですね。
フランス内のイギリス領土をほとんど失ったり、ローマ教皇から破門されたりしていて対外的な面目を失くして、国内では領土回復のために重税を課し、反対勢力には弾圧を行ったとされています。


ゴッサムの賢人」という昔話と、イギリス国王の圧政が重なるものだとすると、国道を通そうとしたということではなくって、何か別の、村人ばかりでなく国全体に対する愚政策があって、全国的に被害を被ることになった中、独りゴッサム村だけは逃れたという話なのかもしれませんね。


スサノオノミコトヤマタノオロチ退治も、何か地元の悪勢力の排除とか、暴れ川の治水とか、そういう出来事をたとえ話として残して来ているのであれば、似たようなことかもしれません。


エピソードとしてはポンコツなことばっかり残っていますけれど、ゴッサムの「賢人」といわれるような天晴な出来事があったのかもしれません。賢人の秘密。


で、ここでの本来的な疑問は、賢人のホントのエピソード、ではなく、なぜ「ゴッサムの賢人」から、ニューヨークのニックネームが「ゴッサム」となったのかということです。


言われているのは、19世紀のアメリカ風刺新聞にワシントン・アーヴィングという人が、初めてニューヨークを「ゴッサム」と表現したというものです。


アーヴィングの「ゴッサム」の使い方は、「うまいことやった」という「賢人」の意味ではなく、昔話のポンコツエピソードそのままの意味で、「ニューヨークの奴ら、ポンコツでっせ」というニュアンスなんでしょうね。


で、ニューヨーカーたちが反発したかというと、全く逆で、ポンコツの意味のまま受け止めてそのまま定着したということみたいです。


当時のニューヨーカーたちのカルチャーレベルが、「ゴッサムの賢人」のホントの意味を知っていた可能性もありますよね。
もしかするとですが、「ゴッサムの賢人」という裏返しの表現であるポンコツ評価を、自分たちを揶揄する表現として笑って受け入れる感覚というのは、ユダヤ文化に通ずるものがあったりするのかもしれません。どこかしら文化的アウトサイダーを自任しているような感性。ユダヤ人の客観性。


根拠なく言っています。はい。


ですが、ゴッサムという呼称がニューヨーク限定ではなくアメリヵ国中全体で卑下せずに受け入れられているのは20世紀、21世になってもつづいているらしいことは、事実だと思います。
ごく当たり前にアメリカ人の口にのぼっているんです。なんの違和感もなくです。


それはみなさん、もうご存じ。「バットマン」です。

f:id:wakuwaku_nikopaku:20210526085211j:plain
バットマンの本名は「ブルース・ウェイン」で、ゴッサム・シティの億万長者です。


原作マンガ、映画などでは架空の都市とされているゴッサム・シティですが、ほぼニューヨークと同義として受け止められていますよね。
ゴッサムのヒーローがバットマンなんです。バットマンは億万長者で賢人なのかもしれません。


アメコミ・ヒーローはどうもね、グロテスクな感じがしてね、好きになれない。っていう感覚もあるかと思いますが、そのセンスには賛同します。原作マンガのバットマンなんかは特にシュールですよね。


その昔、テレビでやっていたバットマンシリーズ。相棒のロビン少年の声。ブットかったです。全然子供の声じゃない。吹き替えの方じゃなくってね。
昔のテレビって吹き替えであっても、原語の声も流してましたね。今思い出すと、不思議な感じ。


映画では2008年の「ダークナイト」が、いぶし銀の出来栄えで大人気でした。観ました?


Dark Knightというのはバットマンのニックネームです。つまり、ブルース・ウェインバットマンで、ダークナイトってわけです。


ダークナイトバットマンのシュールさを真正面にとらえた作品といえて、主人公はバットマンというよりは、因縁の悪役、犯罪者「ジョーカー」だったですね。


撮影終了後、ジョーカー役を熱演した、俳優ヒース・レジャー睡眠薬の過剰摂取で死亡したというニュースからして衝撃的な映画でしたが、バットマンシリーズの中でも図抜けた傑作だと思います。


バットマンといいますか、ブルース・ウェインという人物は、大富豪という設定ですが、社会に溶け込んでいるとは到底言えない「アウトサイダー」です。これはシリーズ中ずっとバットマンのバックストーリーとして通底したものですが、情け容赦のない殺人鬼のような男、ジョーカーも実は、そうした行為をするようになるのも無理はないかもしれないと思わせるような、アウトサイダーの背景を持っていたということを、鬼気迫る演技で魅せてくれたのが「ダークナイト」でした。


ヒース・レジャーの私生活とか全然知りませんが、あの役を演り終えた俳優が、ストーリー上の人物でしかないはずのジョーカーに魂を乗っ取られたとしても、あり得ないことではない気がします。


こういうコミックストーリーは、日本には無い、アメリカ特有のものなのかもしれないですね。


ジョーカーはバットマンシリーズにしょっちゅう出てくる敵役ですが、毎回様々に脚色変更されている役柄です。


これまでバットマンを観ていない人でも「ダークナイト」単体で楽しめるはずですが、2008年以前のシリーズを観てから対すると、一段と深く入って来るかもしれませんよ。
酔っぱらって観たりなんかすると、泣けます。グロイ、アメコミ・ムービーなんですが、グシッときます。
ノワールとも違いますしね。「ダークナイト


ここではネタバレとかはしませんが、ゴッサム・シティは、どうしようもなく、ニューヨークです。と思います。


そして、ニューヨークのそのシュールさは、不可思議なユダヤ文化のような気がするのです。

 


ところで、バットマンをはじめとしたアメコミ・ヒーローのマスクは、顔の上半分、目を隠すタイプのマスクですね。


対して悪役は、バンダナを鼻から下にかぶせて、口元を隠していますね。


今回のコロナ禍で、アメリカ人がなかなか口マスクをしたがらなかったのは、こういう背景がある? からなのかもしれません。


これはユダヤ文化とは関係ないでしょうね。たぶん。

 

ビッグアップル 3記事>

wakuwaku-nikopaku.hatenablog.com

wakuwaku-nikopaku.hatenablog.com