ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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【もつ煮】はいつでも旨さガッツリ いつからオシャレになったのか

<もつ煮ともつ鍋の違いよりも 平成元年前と後での違いのほうが大きいです>

平成生まれの方々も続々と三十路を迎える令和も、どんどん過ぎて行っておりますが、ちと昔話をば。

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その年の春、4月ごろから「踊るポンポコリン」が何処へ行っても流れていました。11月にはスーパーファミコンが発売されたんですね。
懐かしい、という方も少なくないと思います。今や完全にレジェンドな話ですけれどね。


そして12月には東京都庁舎が竣工されました。地上48階地下3階のツインタワー。見上げるその高さからバベルの塔をもじってバブルの塔と呼ばれたものでした。

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1990年、平成2年です。
そうなんですね、これがバブル最後の輝き、みたいなものだったのかもしれません。


バブル期を知らない人が増えてきまして、イーナー、と羨む声も時々耳にします、呑み屋のカウンターでね。


でもあれです、誰もがあまねくバブルの恩恵を受けていた、というわけではないのです。
そりゃ世の中イロイロありました。ウォーターフロントです、ディスコです、トレンディドラマですって夜の街は賑わってタクシーがつかまらないという状態でした。


で、そういうアホ波に乗れる人もいれば、なんだかドッと疲れるだけの日々を暮らしていた人も少なくはないんです。はい。
夢を見られた人はそういう才能があって、しあわせだったんだと思います。はい。


で、91年、平成3年の春先あたりに、あまりのバカ騒ぎに耐えかねた笑ウせえるすまん、喪黒福造さんに「ドーンッ!!!」とやられて、日本のバブルは崩壊したんであります。
目覚めるトキだぞってことだったんでしょうか。「ドーンッ!!!」


まあとにかく、トキは相変わらず流れます。
景気がどんどん後退し続けるなかで、92年ごろ、あるブームが起こったわけですね。
懲りない奴ら、というなかれ。暮らしには楽しみが必要なのです。


九州は博多から東京、渋谷に飛び火した「もつ鍋ブーム」
若者の街、渋谷には「もつ鍋ストリート」
六本木でも人気でした。
夢よもう一度、ということだったんでしょうかね。「もつ鍋ストリート」に店を並べた面々の大半は、バブル崩壊を認めたくない派、だったように記憶します。


なして「もつ」という声もなんのその、コラーゲンたっぷり、おまけに低脂肪、低カロリー、で女子受けしたんですね。
コラーゲン、女子は飛び付きますもんねエ。
ブームの仕掛け人、してやったり、ってところでしょう。

 


オヤジギャルなんて言葉もはやりました。
はあ、コラーゲンですか。
ふうん、もつ鍋ねえ。
という人も少なくなかったのですが、明らかにブームでした。女子が集まる店にはオヤヂたちも集まります。
ですが、このブーム1年もたなかった感じでした。
もつ鍋ストリート、どんどん撤退。あっというまにコラーゲン人気は影をひそめてしまいました。
飽きるの速いよ、女子イッ!


で、このころ渋谷から遠く離れた、ちっちゃな呑み屋でオヤヂたちはこんな会話をしておりました。
「もつ鍋って、もつ煮と違うの?」
「ん~、たぶん同じだと思うよ」
「入れ物が違うってことじゃないの」
「ああ確かに、もつ鍋のって銀色だなあ」
などと何も判っていなかったのですが、こう教えてくれる人がいました。
「もつ鍋はねえ、牛もつで醤油味。もつ煮は豚で味噌味なんだねえ」
へええ、そゆことですか。牛でも豚でも鶏でも、味噌でもしょう油でも塩でもオッケーですけどね。
「そだねえ……」
と場はまるく収まったんですが、渋谷にもオヤジギャルにも縁のないオヤヂたちは、どうも完全には納得はしていなかったのです。


それはなぜか。

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「今どきのもつ煮ってさあ、妙にキレイだよねえ」
「そうそう、何が入ってるのか、丸わかり」
って、ま、分かるわかる、という方もいらっしゃるとは思いますが、この会話に違和感を持つ方も少なくないでしょう。
中に何が入っているのか、丸わかりって、どゆこと?
ということですよね。当然です。中身の分からない食べ物とかって、アリエネ~!


ま、小鉢の中身が何だか分からないというのは、オーバーな表現ではありますが、当たらずとも遠からずってところでして、居酒屋のチェーン店がそれほど多くなかった頃の、昭和のもつ煮は、焼き鳥屋さんの専属メニューみたいな感じもあって、単に「煮込み」と言っている店もありました。


焼き鳥屋さんなのに、壁に張り出されたメニューには、堂々「やきとり」としか書いていない店もあったぐらいですからね。
出てくる串に刺されているのはモモ、ムネ、ネギがその時その時で違うのでした。そういう時代。
でもそれが良かったんです。


もつ煮の小鉢のなかには、元ニンジン、元大根、白い破片は元豆腐だな。違った、ニンニクだった。ん? これ、なんだろう、というものがゴチャッとひしめいていたものでした。
もつだろうなあと思われる塊を口に入れると、ん? これって豚? 焼き鳥屋さんだけど。
という食べものでした。
もつ煮は豚だよ、と自信たっぷりに説明している御仁もおられましたけれどね。
要は、旨ければいいわけです。

 


このころの一杯飲み屋さんではサワーが主流で、ホッピーも徐々に浸透し始めたタイミングでした。ビールは高嶺の花。


センベロなんていう取り上げられ方をする店も出てきたり、とにかく安く酔っぱらうことが目的という人々が集まっておりました。
ハムカツ、ポテサラ、モロキューだとかが人気メニュー。そんな店で誰もがもれなく注文するのが、もつ煮。


なんだか得体のしれない具材がたっぷりの、アツアツの小鉢。グタグタの味噌煮込みです。それに七味をパカパカ振る。一味派もいて、テーブルに一味、七味が両方置いてある店は人気店である証拠で、もつ煮はマチガイナイ味なのでした。真っ赤にして食べる。
センベロ族の必須オーダー品。


ところが平成になって、チェーン店ばっかりになってきて、コジャレたメニューが幅を利かせてくるようになると、なんと、もつ煮がスッキリクッキリに変身していたのです。


しょう油味が多く見られるようになったのですが、人参や大根のカドがしっかりしている姿は、もつ煮に、似合っているのか? という思いがあったのです。
乱切りされた人参、大根が角張って、肩に力が入っているような姿で小鉢に収まっています。コンニャクまでカドが立ってます。


こうなると、これまで親しんできた端切ればかりの野菜たちのように、ハイ、もう出来上がっておりやすよ、どうとでも味わっておくんなさい、といったようなグズグズ感がゼロで、仲良くなれそうにないなア、と引いてしまったのでした。
具材が疲れてないんですねえ。ヨレヨレのオヤヂと友達じゃないよなあ。

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オヤジギャルはワインバルとかに行っちゃったし、もつ煮人気、ダダサガリ
どうなんでしょう、今って、もつ煮、人気あるんでしょうか。
このところトントご無沙汰の「もつ煮」なのであります。

 

<もつ煮の身体に旨い満足度>

まあ、あれです。令和のもつ煮にはお目通りしておりませんので、ハッキリは言えないのですが、根菜類、豆腐、コンニャク、で、もつですから、味噌煮ですから、悪いところはないように思いますです。
味噌じゃなくたってね。

 

<もつ煮の心に旨い満足度>

センベロ気分が誰にでもイイものであるとは考えませんが、仕事中に知らず知らず、力の入ってしまっている身体から、ふうっとリキミを逃がしてくれるのが酒だとすれば、その後押しをしてくれるアテの代表がもつ煮、だといえるのではないでしょうか。

 


でも、あれね、安いヤツね。
高級品になっちゃあ、オシマイよ。

 

<もつ煮の酒のアテ満足度>

もちろんごはんのおかずとしても満足できる一品ではありますが、もつ煮は、特に昭和のもつ煮は、酒のアテの東の大関です。

 

<もつ煮の酒の〆満足度>

もつ煮だけで〆とする人は居ないと思います。
〆るなら、ごはんと一緒でしょうね。
定食屋さんに「もつ煮定食」ありますよ。見たことありますね。
「もつ鍋定食」の方が多いですかね。

 

<どこのもつ煮がベスト?>

博多、今、どうなんでしょう。
もつ鍋人気は戻って来たでしょうか。


コロナ禍の現状ではありますが、特にオヤジギャルだとかに頼ることなく、ンまい鍋を続けていて欲しいものです。
情勢を知っておられる方、教えてください。
安い店情報ね。