< なあんもタイヘンじゃないでしょ 集団で歌っちゃったりして ウルサイだけでしょ >
渋谷から京王井の頭線で1駅。神泉(しんせん)っていう小さな駅があるんですが、細い路地の入り組んだ街です。
渋谷駅からだと道玄坂を上って来て、途中で北に折れて、円山町を過ぎた辺りの住宅街。
坂になっている路地をうねうねと上ったり下ったり、さらに北へ行けば、高級住宅街の松濤へ出るんですが、神泉の街も、センター街から歩いて10分ぐらいの距離なのに、渋谷の喧騒からは縁遠い、閑静な街並みなんですね。
京王井の頭線を使うときに、渋谷駅周辺は、ずっと工事中でガヤガヤしてますし、ムダに元気な人たちでムダに混んでいますんで、1駅歩いて、この神泉駅をよく利用しています。
人混みは苦手です。
先日も渋谷に用事で出かけた帰りに神泉駅まで歩きました。夜の9時過ぎ。
Bunkamuraを右手に横目で見ながら住宅街の路地。
ほんの少ししか離れていないのに、ホントに全然空気感が違います。温度が低いような気さえします。
どこをどう曲がっても細い坂道なんですが、周りを飲食店に囲まれたような土地ですからね、酔っ払いがたくさん歩いています。
ま、その時のこっちも似たようなもんなんですが、3人のオッサンが肩を組んで大笑いしながらやってくるのに出くわしました。
最近ではかなり珍しいですよね。
いくら酔っぱらっているとはいえ、スクラム組んで歩いているオッサンたちは絶滅したと思ってましたけどね。
あごマスクでスーツに分厚いコートを羽織っている、明らかにサラリーマンの3人組。
「ぎゃっはっはっはあ~。そういうことだ、うん、そうなんだよなあ」
「おっしゃあ、もっかいいくどお~」
なんやねん、まったくう、って思ってたら、始まったんですねえ。
声をそろえてのガナリ歌です。
♪確かめよう
♪見つけよう
♪素敵なサムシング~
「ぎゃおおお!」
♪あなたの近所の秋葉原
「ぎゃっはっはっはあ~! 調子イイぞお~!」
うっせえわ、あのな、おまあらの調子なんてどうでもエエねん! 近所迷惑!
って、知らんぷりですれ違おうとしたらですね。
「あ、すいませんです。お騒がせしておりますう」
って3人とも一斉にペコリ。
ぶ~ふ~う~。一応、常識人たちなんでしょねえ。
気持ち良く歌うのはイイんですけどね、ぎゃおおお! は止めなさい、ぎゃおおおは。そんな歌詞はないんだから。
関東ローカルなんでしょうけれども、秋葉原に足を運んだことのある人なら、たいてい知っていると思われる、このサトームセンのコマーシャルソング。
知ってます? 思い出しました?
調子が良くって、キレがあって、耳に残るコマーシャルです。
サトームセンは秋葉原に本店を置いた家電量販店。
他にも何店舗かあったはずですが、2008年に閉業しています。
秋葉原の駅を南側に下りても、あの、
♪素敵なサムシング~
は聞こえてこなくなっちゃいましたよね。
神泉の3人組が、元サトームセンの社員だったわけでもないんでしょうけれど、なんか昔ばなしで盛り上がって、耳に残っている歌をガナっていたんでしょうね。
気持ちは分かりますですよ、お3人さん。
「あなたの近所の秋葉原」名コピーです。
なんかそういう、つい口ずさんでしまうコマーシャルソングとか、ずっと記憶に残っているコマーシャルっていうの、ありますよね。
日本全国、どこにだって、サトームセンみたいな地域限定の名作、っていうのもたくさんあるんだろうなあって思います。
いろいろありますよね。
全国版でいきますと、
♪やめられないとまらない
これは、昭和の人なら確実に誰でも知っている名コピーじゃないでしょうか。
カルビーの「かっぱえびせん」ですよね。
この歌、1969年らしいんですけど、めっちゃ古いんですね。
ホントかなって思っちゃうぐらい昔からの「やめられないとまらない」
いろんなシチュエーションにも使われて長生きしているフレーズですけど、さすがに最近は聞かなくなったかもです。
聞かなくなったといえば、
♪セブンイレブン いい気分
24時間営業になってもお店の名前はセブンイレブンですねえ。
この歌は1976年だそうです。
セブンの1号店が豊洲にオープンしたのが1974年ってことですから、「セブンイレブン いい気分」って歌にのって全国展開していったんですねえ。
いつもお世話になっておりますです。
1980年代に入りますと、コマーシャルソングっていうんじゃないですけど、記憶に残る名作傑作コマーシャルっていうのがたくさん出てきます。
1980年、富士フィルムの「フジカラーフィルム」
樹木希林の綾小路さゆりが、岸本加世子の店員さんに言われるセリフ。
「美しい方はより美しく、そうでない方は、、、それなりに」
女優二人の数秒の掛け合いがいつまでも記憶に残っています。
傑作ですよね。シリーズ化されていました。
1983年、サントリーの焼酎「樹氷」
こちらは田中裕子ですね。
「タコが泣くのよ。人間やってくのタイヘンなんだけど、タコやってくのも、タイヘンなんだねぇ~」
コピーそのものもスーパーだと思いますけど、田中裕子のしどけない着物姿が、このセリフを言うバックボーンを世界観として作り上げていて、思わず、うんうんって頷いちゃいますよ。
このコマーシャルも役者の名演技でした。
タコは出てきませんけどね。
社会的ニュースとしても取り上げられたのが、
1986年、金鳥、大日本除虫菊の「タンスにゴン」
「亭主元気で留守がイイ」
このシリーズコマーシャルは何かと話題になるクオリティですよね。
傑作がいっぱいある「タンスにゴン」です。
この1980年代頃はですね、バブル景気ですよ。
日本の亭主たちは「24時間闘えますか」だったんでありますよねえ。
金鳥っていうのは会社のトレードマークで、社名は大日本除虫菊なんですねえ。ふううん、です。
絵面としてもコワイよ~、って評判になったのが、
1989年、ケンミンの「焼きビーフン」
「ピーマンいれんといてやあ~」
めっちゃインパクトでした。
ケンミンは、なんだかずっとこのロセンだったですよね。不思議なセンス。
1980年代って優れたコマーシャル、ホント目白押しでしたよね。
バブルパワーだったんでしょうか。
1990年、インテルのコマーシャルが始まりましたですね。
「インテル、入ってる」
日本語コピーとしては、すごく頑張りましたねえっていう出来栄え。
でもこの時のCPUは数億回に1回、不具合が起きるって発表されていて、日本のセンモンカが、数億回に1回ですから問題ないと思いますって言ってたんですよね。
CPUの計算の数億回って、あっという間に来ちゃうでしょ、ぼけ~。
ってことで、そのころマック派だったワタクシは「インテル、狂ってる」とか言って喜んでおりました。
同じタイミングで「マックロソフト」とかいうのも流行ってましたねえ。
1992年、日本食研の「晩餐館」
「カンカンカンカン晩餐館 焼肉焼いても家焼くな」
それ、なんやねん!
このコマーシャルもコワイ~っていう評判でした。
ウシのキャラクターたちが消防車にのって、カンカン鐘を鳴らしながら言うんですよね。
「焼きビーフン」のケンミンは兵庫県の会社。「晩餐館」の日本食研は愛媛県。
ん~。県民性、とかは関係ないでしょねえ、全くねえ。
目立ってなんぼのコマーシャルですもんね。コワ目立ち。
2007年、カルピスの「カラダにピース」
このコピーもスーパーですよね。巧みです。
関係ないですけど、カルピスミルクが大好きです。
1つ気になっているコマーシャルが味の素の「パルスイート」
放送年を調べきれなかったんですけど、おそらく1980年代じゃないかって思うんですけどね。
♪ダイエットは明日から~
これの1stバージョン。
女の子がショートケーキを冷蔵庫から取り出しているところを、冷蔵庫側からの映像で見せながら、
♪ダイエットは明日から~
ってやつなんですよね。
その後も何回か、この歌を使ったコマーシャルもあったみたいですけど、初回のバージョンは、その女の子の鼻歌なんで、けっこうリアリティがあって好きなコマーシャルだったんであります。
井川遥の「きゅう~ちゃん」っていうのもありました。
その商品がっていうより、コマーシャル、キャッチコピーそのものの方が記憶に残って離れないっていうの、けっこうありますよね。
いろいろ思い出すのも楽しい感じです。
♪じんぐっべえ じんぐっべえ
それはコマーシャルちゃうっちゅうねん!
これ、あったじゃん! っていうのがあればご教示いただくと嬉しいです。