<技術はあると言われている日本の 治療薬開発とワクチン開発はどこまで進んでいるのか>
2021年4月23日、国は3回目の緊急事態宣言を発しました。東京都、大阪府、京都府、兵庫県が対象です。
ゴールデンウィークの人流を止めるのが目的らしいです。
感染拡大を抑えようとする工夫としてはこれまで以上に制限の強い内容ですが、過去2回の実績、制限対効果のエビデンスデータが示されてのものではなく、結局は相変わらずの「がまんしましょう」というものですね。
メディアの報道も「意味があるのか」という内容ばかりで、個人はかなり積極的に情報のピックアップをしないと、今、日本はどうなっているのか混然とした捉え方しかできない状態なのではないでしょうか。
国、専門家集団、メディア。どうもね、現状の日本はボタンを掛け違えた状態が続いているように思えます。
目に見えないウィルス相手の生活習慣変容が強く求められるわりには、マスク、手洗い、不要不急の外出自粛以外に何をどうするのが感染を防ぐことにつながるのか、具体的な情報がありません。
特にメディアの言及が薄弱だと感じるのは「感染者の治療」についての情報です。
世界4冠の性能を誇るスーパーコンピュータ「富岳」を有し、医療分野でも世界トップレベルであることを自任している、この日本という国の医療現場では、どのような「治療」が行われているんでしょうか。
日本で認められている新型コロナウィルス専用の治療薬というのは2021年春の段階で1つもありません。専用治療薬はゼロなんですね。緊急使用だけ。
病床不足が声高に叫ばれている中、重症者には酸素吸入器を併用しながら、投与する薬は「他の症状に効果がある治療薬」を、新型コロナにも効くことを「期待して」使用しているというのが実情らしいです。
ただ、その緊急使用で実際に治療効果が出ていると考えてもよいことも事実ですね。
2021年4月22日時点の【厚生労働省「国内の発生状況」】によりますと、
・感染者数:546,425人
・入院治療者数:44,187人
・退院・療養解除者数:491,661人
・死亡者数:9,764人
合計の数字が合っていませんけれども、確認中というのがあるようです。
後遺症みたいな症状はなかなか消えないという例も少なくないようですが、およそ9割の人が日常生活に戻れていますね。
まだコロナの終息が見えていない中で、安心、ということは言えないのかもしれませんが、かなり高いパーセンテージで回復しているというデータが確認できます。
専用の治療薬ではないにしても、投与されている薬がかなり効果を上げているということでしょう。
現段階で日本の医療現場で使用されている「治療薬」の主なものは、
・レムデシビル(ベクルリー):アメリカ、ギリアド製:エボラ出血熱の治療薬
・デキサメタゾン(デカドロン):日医工製:重症感染症や間質性肺炎などの治療薬
・ファビピラビル(アビガン):富士フィルム製:インフルエンザ治療薬
・ナファモスタット(フサン):日医工製:急性膵炎などの治療薬
・カモスタット(フオイパン):小野薬品工業製:急性膵炎などの治療薬
・イベルメクチン(ストロメクトール):アメリカ、MSD製:腸管糞線虫症などの治療薬
・トシリズマブ(アクテムラ):中外製薬製:関節リュウマチなどの治療薬
・バリシチニブ(オルミエント):アメリカ、イーライリリー製:関節リュウマチなどの治療薬
などがあげられています。
こうしてみますと、日本製の薬が多く使われていることが分かります。
やっぱりと言いますか、医療現場は可能な限りの知見を動員して治療に専念して、効果をあげているんだということですね。
医療現場のスタッフたち、全員に感謝いたします。現場は悪戦苦闘なんですよね。
日本発の治療薬、ワクチンがちっとも登場して来ないことに関して、日本の製薬メーカーはいったい何をしているのか、という意見も散見されますが、治療に関してはやれる範囲の治療を懸命にやっているんですよね。ホントに有り難いことだと思います。
さて、今度はワクチンについて見てみます。地球全体としての情報です。
WHOの発表によりますと、緊急使用許可というものも含めて、現段階で承認されている新型コロナウィルスワクチンは、
・中国:シノファーム、シノパック、カンシノ
・イギリス:アストラゼネカ、オックスフォード大
・ドイツ:ビオンテック
・ロシア:ガマレヤ研究所
・インド:バーラト・バイオテック
の6か国、11ワクチンです。
日本が輸入して摂取しようとしているのはファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社のワクチンですね。
医薬品業界の人でもないと、ワクチンが承認されるまでの段階とか、分かりにくいと思うんですが、日本では厚生労働省の審査を通過するまでに3段階の治験フェーズがあるんだそうです。
フェーズ1、2、3。
P1、P2、P3と表示するみたいですが、調べていってみると、
臨床前 ⇒ P1 ⇒ P1/P2 ⇒ P2 ⇒ P2/P3 ⇒ P3 を経て「申請」となるようなんですね。
フェーズは3つというものの、実際の治験は中間段階のようなフェーズも含めて5段階みたいです。
2021年4月時点で、最終フェーズの申請前段階、P3のワクチン候補は、
・ドイツ:キュアバック
・アメリカ:ノババックス
・インド:ダイサス
の3つがあげられています。
このフェーズでも日本製のワクチン候補はありません。
P2/P3フェーズになって、ようやく「アンジェス」という日本メーカーの名前が出てきます。
2021年3月10日に、アンジェス株式会社はP2/P3フェーズの接種を完了したと発表しています。
承認までにはまだ時間がかかりそうですけれど、こういう情報も、もっとメディアに載って欲しいと思います。
大丈夫だ、という情報があると、みんなが自粛しなくなるという心配があることは、ある意味尤もではあるかもしれないですが、好んで感染する人はいないですから、希望の持てる方向の情報も大事なんじゃないでしょうか。
その他の日本勢としては、P1/P2に、塩野義製薬、第一三共、KMバイオロジクスという名前が見えます。
臨床前としては、IDファーマという名前も見えていますね。
変異株による感染拡大を抑えるための今回の緊急事態宣言ですが、一定数の人たちは、もう緊張の糸が切れてしまっているようにみえます。
真面目に自粛してきた人ほど、煮詰まってしまっているということだと思います。
【路上飲み】している人たちだって、真面目なオフィスワーカーなんですからね。マナー、悪いですけど。。。
新型コロナに対抗するには、ワクチンしかないよね、という声がだんだん大きくなっています。
もう自粛生活はウンザリ、ってことでしょう。
がまんしなさいって言っている側が、まあね、ああいうテイタラクですからね。言うことを聞かなくなる人だって出てきますよ。
みんなが自粛生活に疲れてしまったのは事実ですが、いろいろ調べてみて、医療現場や製薬メーカーも必死に頑張っていることが分かりました。
これまで疑ってきた、というわけではありませんけれどね。
世界的に見て日本の感染率は決して高くないんですが、むしろそこがクセモノなのかもしれません。
決定的な対策というものを考え出す、アイディアをひねり出す、という真剣さが足りていない。そういう印象を持たざるを得ません。
エライ人たちの呑気そうな表情と、中身のない発表に接すると、そう感じてしまいます。
このさき、どういうふうに状況が変化していくのか想像も出来ませんが、個人個人が、もう一度「正しく恐れて」行動変容を改めて考え直して、暮らしていくしかないんでしょうね。
しっかり検証するから開発スピードは出ない。しょうがないでしょ、安全第一ですから。
いやいや、緊急事態なんだから通常の手順を飛び越え承認する。それが政策ってもんでしょ。
ん~。どっちが正解とか、ないんでしょうね。
実際に使われているワクチンに血栓の問題が出て、そのワクチン接種を中止したという国もありますからね。
近い将来、信頼できる国産の治療薬が完成して、ワクチンも承認されてくるでしょう。きっとね。
その時まで、なんとかのりきりましょう。個人個人でリスク対応するしかないです。