< すずしろのことですよね 春の七草の 日本人には欠かせない野菜でしょねえ >
時々行く居酒屋さん。歩いて45分。
なので時々しかいかないんですが、マスターと娘さんでやっているお店で、アテのメニューに「なにこれ?」っていうのが時々登場していたり消えたりしているんですね。
面白いです。
例えばですね、マスターの友達に借地の自家菜園をやっている人がいて、東京では育ちません、っていう野菜やら果物やらをムリヤリ作って、「こんなんできましたあ~」って送ってくれる。
マスターとしては「なにか作れるもんなら作ってみろ! ってイジワルで送って来るんだよね」って言ってます。
知らない野菜。だいたい煮物か、チーズ焼きっていうので出てくるんですけど、メニューに写真が付いているようなタイプの個人店でもなし、すでに調理されているわけで、食べてみないと何も分からない。
だけれども、食べてもね、やっぱり分からないですよ。
「で、これ、なんなの?」
「あ~、なんて言ったかなあ」
って、オイッ! ってことではあるんですけど、そんな感じが面白くって、ま、味付けなんかの好みは合っているんで、時々ではありながらけっこう長いこと通っているんであります。
でも、ついこの前行ったときには、そういう変わり種のメニューはありませんでした。
ほんじゃあ、アテは何にしようかなあ、ってキープしてあるサントリーオールドをロックでやりながら、8ページもあるメニューをぱらぱら。
ところで、オールドって、昔と味、変わりましたよね。けっこうマイルドになっっちゃった感じです。
時代の趨勢ってやつでしょうか。
コロナ前は8つあったカウンター席も今は5つでやっております。
カウンター席から見える正面は、グラスやら様々な器がガラス戸の棚に納められていて、昭和テイストが落ち着くお店なんです。
カウンターには娘さんが陣取っています。
吞みものとサラダ、洋食は娘さんの担当。それ以外はぜ~んぶマスター。
カウンターの左奥が、席からは直接見えない調理場になっていて、マスターはだいたいそっちにいるんですね。
グリルをうたっている店ってわけじゃないんですけど、なかなか本格的に作ってくれています。
その晩、珍しくメニューをしげしげと眺めているんで、娘さんが、
「とくに珍しいメニューは、今、ないんですけど、きょうはイイ大根が入ったんで、大根サラダとかお勧めですよ」
「送ってもらった大根?」
って聞きますと、マスターが顔を出して、
「いや、アイツはまともな、普通の野菜とかは作んないの。きょうの大根は〇〇さんが実家から送ってもらったやつを持って来てくれたの」
知らん人ですね、〇〇さん。
「大根サラダってボリュームあったよね」
「あ、ハーフでもイイですよ。ホタテ大根にします? ぱうすさんの好きな自家製マヨネーズで和えますよ」
まあね、いつもこんな感じで。否やはない流れでオーダーが好き勝手に決められて、ホタテ大根のマヨネーズ和え。レモンくし形切り添え。の、ハーフ。
で、オールドのロック。
イっすねえ。グラスには丸い氷を入れてくれています。
普通のホタテ大根サラダ、ちゃんと水気もとってくれていて、旨いです。ですが、
「あのさ、ホタテ、どこ?」
「ちゃんと入ってますよ。ホタテ、缶詰でも高いんですから、ちょっとになっちゃいますけど、ちゃあんと入ってますってば」
「お、これか。ん~、元ホタテ……」
水煮缶のホタテは、まあ、こんなもんでしょかねえ。自分では買って食べないですから、事情がよく分かっておりませんですけどねえ。
「この前ね、福井県行ってきたんですよ」
娘さんはホタテの話題をスルーして話し始めます。
夜の9時は過ぎていましたけど、テーブル席にはカップルが2組で、カウンターには他に誰も座っていませんでした。
福井県、車で行くと満足に呑めないんで新幹線だそうです。
親娘で料理人ですからね、家族そろっていろんな所へ出かけて、いろんな料理を食べ歩いていて、そういう話も面白おかしく聞かせてくれます。
「へええ、福井県? サカナ目当て?」
「ん~ん、蕎麦。越前蕎麦を食べに行ってきたんです」
ふむ、越前蕎麦、聞いたことあります。
越前蕎麦っていうのは、殻ごと挽いた黒っぽい蕎麦で、つなぎは強力粉だそうです。
で、大根おろしたっぷりのつゆをぶっかけた「越前みぞれ」
大根のしぼり汁に出汁を加えたつゆにつけて食べる「越前おしぼり」っていうのがあるんだそうですね。
2007年に農林水産省「郷土料理百選」に「越前おろしそば」として選定されています。
「フツーに旨かったですよ。なんかね大根もちょっと違うのかもしれないです」
ってことで、ダイコンつながりの「越前蕎麦」の話だったんでありますが、大根って、いろんな食べ方するよねえって話題になりました。
マスターも出てきて、カウンター族もミサキおばちゃんが1人増えて、大根談義。
しかしまあ、普段そんなに意識したことのない大根料理なんですが、ホントいっぱいありますよね。
おでんを食べるとき、欠かせないのが大根です。
辛子味噌たっぷり乗せて、きた~! くう~って涙目になって、アツアツで旨いです。
八丁味噌煮込みの大根の黒さは旨さの証しですよねえ。こちらも和がらしで、くう~っです。
って、くう~ばっかりですが。
冬場の酒のアテとして、めっちゃ旨い「風呂吹き大根」
これは出汁と練り味噌が決めてですね。
「ブリ大根」も魅力的ですが、大根の旨さそのもので勝負している「風呂吹き大根」に軍配です。
大根の話ですからね。
熱々の大根に息を吹きかけながら食べる姿が、風呂焚きをしている時の竹筒に息を吹き込むのに似ているから「風呂吹き」っていう名前になった。
いや、ちゃいますよ。冬の時期に漆器の漆を乾燥させるために、大根のゆで汁を噴霧するからですよ、っとかいろんな説があるみたいです。
でも大根のゆで汁で漆の乾きが良くなるとして、なんでそれで「風呂吹き」なの? 風呂、関係ないじゃん。
ってことで、分かりやすい風呂焚き竹筒説に一票です。
ただですね、「風呂吹き」っていう名前は大根以外にも、柿、カブだとか、他の野菜を使ったものも多くあるんだそうですね。
しかしまあ、「柿の風呂吹き」って食べたことないですけど、やっぱり同じように練り味噌でいくんだそうですね。
どうなんでしょ、これ。少なくともアテには向かないような。。。知らんけど。柿ですよ、柿。
「豚バラ大根」
ショウガをちょこっと効かせてね、しょう油とゴマ油、みりんで、テリッテリに輝いている大根。
豚バラってナイスです。大根、ウマ滲み~。サイコーですね。
「大根チーズステーキ」
大根、ただ焼いただけやんけえ~。ってなもんなんですけど、しょう油と酒でしっかり焼いた大根に、とろけるチーズ乗せてチンしたら、にんにくベーコン炒めを乗せて、完成ッ!
いつも思うのは、なんでステーキって名前にしたんだろ? ってことですねえ。季節を問わず旨いです。
忘れちゃいけない「大根餅」
これもね、アテとしてオツなもんですよ。
大根餅って広東料理なんだそうですね。飲茶の点心。
鬼おろしでおろした大根ともち米粉、そこへシイタケ、タケノコ、エビ、ハムのみじん切りを混ぜ込んで、こねた餅にして、焼く。
手づかみで旨いアテです。後を引きます。
ま、こういうのは自己流でオッケーですよねえ。
「揚げ出し大根」なんていうのもあります。
テキトーに輪切りにした大根をレンチンしたら、片栗粉をまぶして揚げ焼き。
んでもって、鬼おろしの大根おろしをやっぱり軽くチンして乗っける。
なにも味付け無しで、しょう油でもいけますし、片栗粉に味付けするのもありですし、チンしたおろしにいろいろ混ぜ込むっていうのもイイですねえ。
こうして並べてみますと、大根、酒のアテメニュー、けっこうありますね。
さらには、たくあん系の「いぶりがっこ」は代表的ないぶりガッコチーズ以外にも、つくね、ポテトサラダにみじん切りだとかね、けっこうあります。
「切り干し大根」なんかもね、お通しで出て来たりなんかすると嬉しい一品です。
なんかね、歳がいってきますと、和のモノに安心を感じたりとかしています。
で、今言ってきた大根料理は、みんな普通に売っている青首とか白大根ですけど、大根って地域によっていろんな種類があるそうですから、その土地独自の大根料理っていうのもいっぱいあるんでしょうね。
鹿児島県の伝統野菜「桜島大根」は、ギネスブックに認定された世界一大きくて重い大根。31.1キログラム。
丸い大根です。
そんなに重かったら、収穫、大変そうですよね。
食べたことないんですけど、なんと風呂吹き大根に向いているんだそうで、ええ~!? です。
どこかで食べられないかな? 鹿児島まで行かないとダメ? ですかね?
ドデカイ風呂吹き大根。
大阪の「守口大根」は世界一の長さがギネスブックに認定されているんだそうですね。
白いゴボウみたいな見た目で、ホント細長いです。
ギネスに認定された長さは、191.7センチメートル!
愛知県産だそうです。
漬け物にされるっていう守口大根なんですけど、どうでしょうかね、知らないうちに食べたことがあるのかもです。
酒のアテとしてってことから離れて探してみれば、まだまだ、めっちゃたくさんの種類のレシピがありそうな大根です。
でもまあ、とりあえず、旨いアテもいくつもあって、大根、ありがたや!
生産農家さん、感謝です。