ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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【デラシネ】コロナ禍で浮き彫りになった都市生活者というリスク

< 田舎の町ではコロナウイルスが都会人の姿として目に見えているんでしょか >

正月三が日に店を開けている呑み屋さんはチェーン店ぐらいなもんですね。
個人店はやってません。例年、そうですよね。
お正月なんですからね、休みます。


こうした事情はたいていどこでも同じだろうと思います。
私の場合、チェーン店は少し歩かないといけないので、正月はいつも、近所の店。


中国人がやってる町中華か、ネパール人がやってるカレー屋さんで呑みます。
そです、どうしても呑むんです。


コロナ前はどっちの店も閑散としていたんですよね。地元の人間を含めて帰省しない人たちも、たいていは宅呑みなんでしょね。


地元の人間は、むしろ帰省される側になっていて、遠方に就職した子供たちが帰って来るのを迎え入れる側なんで、外に呑みに出てくるって、まあ、しないってことなんでろうと思います。

 


ところが2021年のお正月は、それまでと全く様相が違っていて、普段の日より混んでいるような三が日だったんです。町中華とカレー屋さんね。


コロナで帰省自粛ってことになったのが原因ですね。
帰省して来ないんで、家でオアイテすることもない。地元の人たちが呑みに出てくる。
で、個人店は正月休みですから、呑める店として、その2軒に集中するってことになるんでしょねえ。


東京都に2回目の緊急事態宣言が出たのは2021年1月8日からでしたので、正月三が日はいろいろ制限付きながら呑めたんでした。


初めて見る顔もありますし、普段他の店で顔を合わせる連中もいます。


Aさんは焼酎バーで何度か顔を合わせたことのある、40手前のサラリーマンで、トシゴの幼稚園児2人を奥さんと2人で子育て中。
週に1回か2回。奥さんと交代制で外に呑みに出てくるっていうアルコールライフなんだそうでした。


奥さんが呑みにいくところは、その焼酎バーとは別のところだそうで、独身キャリアレディとしてモテモテなんだって本人は言ってますけどね、とかのろけている楽しい酒の人なんです。


ホントは2人で呑みに行く日も作りたいんですけどねえ、2人とも実家とか親戚とか田舎なもんで遠いんですよ。
って話は聞いていました。


2人とも福井県の出身。隣町同士のご夫婦。


車で帰るのは雪で危険なんで、電車です。って言っていたんですが、正月に町中華で会った時は、ああ、知ってる人がいて良かったですう、とかいう感じで、いつも通り明るい雰囲気でした。


もちろん、帰省できないっていうのは不満だったみたいで、お土産を買って用意して、最後の最後まで夫婦でどうしようか話し合って、取りやめにしたんだそうですね。
みんなそうでしたね。


2021年の正月三が日、日本の新規感染者は3,000人台で推移していました。


充分に多い数字ですが、でもまだこの頃は、パンデミックっていうのを肌で感じるっていう段階じゃなかった感じでした。
みんなブツブツ言いながらもまだ元気は残っていたように記憶します。


2022年のお正月帰省は、前年よりは多くなったようですが、まだまだコロナ前の6割程度の状況だったらしいですね。


年末になって、なんだか不気味に新規感染者数が増えつつありましたが、日本全体で500人台で推移していました。1年前よりはかなり少ない数。


で、その2022年のお正月、その町中華でAさんを発見。
カウンターの端に座ってうなだれていました。


奥さんとケンカでもしたのかな、ってな軽いノリで、今年も帰らなかったんだねって聞いたらですね、ホントに、オーバーな表現じゃなくガクッとうなだれました。


聞けば、今年は帰る予定だったんだそうです。


世界的な状況とは無縁に日本の新規感染者数が低いままでしたし、夫婦は2人ともワクチン接種を済ませている。
さらに福井の両方の家庭の親たちも、全員ワクチンを2回接種している。


全く気にしないってわけにはいかないけれども、携帯用アルコール消毒液も用意したし、ってことで、Aさんの実家に帰省コールをしたんだそうです。


2年も孫たちに会えていないわけですし、喜ぶ声が、当然聞けるものだと思っていた帰省コール。


ところが案に相違して、どうも芳しくない様子がスマホの向こうに感じられる。

 


例年はAさんの実家に1泊、奥さんの実家にも1泊してっていうスケジュールだったらしいんですが、日帰りを提案されたらしいんですね、実家の御母堂に。


実家の周りの家でも、みんなそうするみたいだから。っていうのが日帰り要請の理由。
Aさんはそこで気が付いたそうです。


そうか自分たち家族が東京の人間だからだ。


福井県は新規感染者数ゼロの日が続いていました。感染者が確認されてもその数は1っていうのが多ったんですね。


福井県の累計感染者数は1月1日時点で、3,117人。
東京都の累計は383,157人。桁が2つも違います。


人口10万人あたりの感染者数を見てみますと、福井県は0.26人で47都道府県中31番目。
0.00人っていう県が8つありますから、数値として有効な数だけを数えてみますと下から9番目。
東京都は3.02人で、上から9番目です。


人口10万人あたりの感染者数が最も多いのは沖縄県で15.69人と断トツ多いんですが、この数字は、アメリカ軍と東京からの観光客が原因っていう声も聞こえてきます。


まあね、3回目のワクチン接種率はまだ0.4%でしたし、2回打っていてもブレークスルー感染っていうのもあるわけですからね、怖いことは怖いです。まだまだね。


感染者数の少ない地方の町の人にとって、コロナ、イコール、大都市、東京、大阪っていう認識なんじゃないのかなって、Aさんは感じたそうです。


で、それを否定できるような医学的知識なんて、一般の我々にはありませんよ。


もちろん、2年も会っていない孫たちの顔を見たいと思わないじーちゃんばーちゃんなんて、いませんよね。
だけど、あんたたちは東京の人間だから、っていう直接声に出せないような種類の、不安な気持ち。


分かる気もするんですけど、寂しいことになっちゃってますよねえ。ってAさんはガックシきているわけです。


ずっと東京で働いて、暮らしていながらも、自分は福井の人間だっていうアイデンティティがあるんでしょうね。


自分には田舎が無いっていうのは、東京だとか大都市圏生まれの人間が良く言うセリフです。
これはイヤミとかで言っているわけじゃなくって、ホントに自分の帰るべき場所っていうのが、どこか遠いところにあるっていうのは、何だか根拠なく羨ましい感じがするんですよね。


で、1度は日帰り強行軍で帰省しようかと予定を組み直してみたそうなんですが、幼稚園の子供2人を連れての強行軍は、なんか違うなって気がしてきて、結局、今年の帰省も取り止めにしたってことなわけです。


Aさんが実家に向かって「ごめんね」っていうと、実家のお母さんも「ごめんね」って返したそうです。

 


で、今年も帰らないよって、奥さんの実家に奥さんが電話したら、奥さんの方の実家もむしろ、それで安心したみたいなことを言っていたそうです。


まあ、誰にも悪意があるわけじゃないし、コロナ感染ってことに対する意識って、個々人で違うのも分かる。都会と田舎で大きく違うのも理解できる。


だけど、ってね、Aさんは愚痴ります。


自分の故郷から切り離されてしまったような、けっこう切実な寂しさ、悲しさがあるんだろうと思います。


デラシネですね。

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でもね、コロナ禍は必ず明けますよ。


オミクロンが来ちゃってますし、フルロナとかも出てきましたね。や~ね~。


まだ先のことにはなりそうですが、人類はコロナに打ち勝ちます。


都市生活者の方が圧倒的に数が多いっていうのは、産業構造上当然の結果なんでしょうし、東京人だからってことにリスクを感じる必要はないと思いますね。


でもまあ、テレワークの影響なんかで都心から人口が流出しているって話も聞きますし、最近聞かれなくなってしまった「限界集落」の問題も併せて、しっかり働き方改革ってのを進めてもらいたいもんですね。


行動変容すべきは政治でしょうか、企業でしょうか、それとも我々労働者たちでしょうか。


でっかいインテリジェントビルに全社員を詰め込むっていうような、これまでの常識的な企業経営方法って、コロナ禍を経験してこそ変化が求められるのかもしれませんね。


さてさて、まるまる2年も続いているコロナ禍で、いろいろな方面での自粛生活ですけどね、なにかイイことないかい、子猫ちゃん、って感じですかねえ。


ま、なんにせよ下を向いてばかりじゃいけません、自分も含めてそう思います。
オミクロンもフルロナも重症化リスクは高くないってことみたいですしね。