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【世界終末時計】2023年 終末まであと90秒 77年の歴史の中で最短になってしまいました

< 2022年の発表から2023年の世界終末時計は10秒進んだけど その10秒ってなんなの? >

っていう批判の声もあるようなんですけど、そういう見方をするもんじゃないんじゃないでしょうか。


世界終末時計っていうのは、アナログ時計の午前0時を世界の終わりとして、あとどれぐらいでその時を迎えるのかを、時計の長針が動く15分間で表している「雑誌の表紙絵」なんですよね。


アナログ時計の左上、9、10、11、12っていう45度の中で、長針を進めたり戻したりして終末までの残り時間を示しています。


その雑誌はアメリカの「原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists) 」
一般人が、ことに日本人が読んだりすることはなさそうな化学雑誌の、その表紙絵が毎年、ニュースとしてとりあげられるんですね。


世界の終末っていうのが人類の終わりなのか、地球の終わりなのかっていう判断もいろいろ意見があるところなんですが、私見としては「人類の終わり」なんだろうなあって思います。

 

 

 


日本は世界で唯一、原子爆弾を投下された被爆国ですけど、その原子爆弾を開発、完成させた科学者たちの思い、行動には、当然のことながらなかなか複雑なものがあるようなんですよね。


原子爆弾の開発は世界から多くの科学者が集められて「マンハッタン計画」として進められて完成したわけですけど、完成させた科学者たちだからこそ、その絶望的な破壊力に強い脅威を感じていたっていうことなんでしょうね。


マンハッタン計画の一員であったドイツの亡命ユダヤ系物理学者で、シカゴ大学のジェイムズ・フランク(1882~1964)は、1945年6月に「フランク・レポート」って呼ばれる報告書をアメリカ陸軍長官に提出して「直近に迫る日本への原爆投下は無警告ですべきではない」と提言したんだそうです。


「政治的・社会的問題に関する委員会報告」っていうのがフランク・レポートの正式名称。


「残りの人類はまだ気づいていない深刻な危機を知った少数の市民の立場にある」ことから、提言することが自らの責任であるってことで提出されたフランク・レポートでしたが、無視されたんですね。


提出は6月。日本への原爆投下は8月6日、そして9日。


日本では「八月は 六日 九日 十五日」です。


終戦後の9月。フランク・レポートを作成した科学者たちが中心になって「シカゴ原子力科学者」が組織されて「原子力科学者会報」が創刊されたっていう流れ。

 

 

 


そして「原子力科学者会報」の表紙絵として「世界終末時計」が登場したのが1947年です。


第二次世界大戦が終わったばかりの1947年時点での人類に残された時間は「7分」
残り7分の「世界終末時計」を描いたのは、マーティル・ラングズドーフっていう女性アーティスト。
生没年だとかの情報は見つけられませんでした。


なんで残り7分っていう絵にしたのか。会報を発行していた科学者たちの計算が有ったのか。
いいえ「見た目がよさそうだった」からっていう答えだったそうです。


っていうことで、7分前っていうのはデザインだったわけですね。


1947年の7分前っていう「世界終末時計」の表示は、それから毎年、進んだり戻ったり、変わらなかったりで2023年の「90秒前」まで70年以上警告を発し続けているんです。


2022年の「世界終末時計」は「100秒前」っていう表示だったんで、この1年で進んだ10秒にはどういう根拠があるのかっていうような批判論調があるわけですけど、そもそも「見た目がよさそうだった」っていう7分前から始まっているんですから、なんとなく、世の中、ちょっとだけヤバサが増したかなっていうニュアンスでしかないでしょ。


その10秒の根拠を示せ! とか、そこに目くじら立ててもねえ、って思います。


「世界終末時計」はアナログ表示だっていうところがミソなんじゃないでしょうか。

 

 

 

デジタル時計が登場してきたのは1970年ごろらしいんですけど、当初はチョー高級品でした。
一般的な腕時計がデジタルになって、アナログより安いよってなったのは、いつ頃だったでしょうかね。


初期のデジタル腕時計は表示をデジタルにするかアナログにするかを選べるのもありました。


デジタルに計測していながら、短針長針がグルグル回るアナログ表示をデジタルで実現っていうヤヤコシイ仕組みなんですけど、アナログ表示にしている人がけっこう多かったっていう記憶です。


今までの慣れって言えばそうなんですけど、時計って、今何時っていうのを確認するだけじゃなくって、約束の時間まであとどれくらいあるのかとか、時間のボリュームを知りたいために確認するっていう使い方の方が多くないですか。


時間のボリュームっていうのを肌感覚って言いますか、直感的に理解出来るのは、やっぱりアナログ表示だろうって思いますね。


時計の針が示している今の時間と、アナログ表示の1から12までの数字。まあ数字じゃなくってただのポイントの時計も多かったですけど、あとどれくらいあるのか。一瞥で直感的に把握出来ます。


アナログ時間はボリュームです。


人間はアナログですからね。時計表示もアナログの方がダイレクトに時間っていうものと向き合える気がします。


もちろん、デジタルに現在時間だけが表示されていれば時間のボリュームは計算できるでしょ、っていうことではあるんですけど、ボーッと生きてるアナログ人間といたしましては、まあるくグルっと12時間っていう時間のボリュームを感じ取れるアナログ表示は欠かせないんでありますよ。
24時間表示のアナログ時計っていうのもありますけどね。


アナログ時計が示しているのは、3次元空間にプラスされる人間的な時間っていうものだけれども、デジタル時計が示しているのはただの数値、って感覚は今も変わらずなんであります。


1947年に「7分前」で始まった「世界終末時計」


1949年にソビエト連邦が核実験に成功すると4分進んで「3分前」の表示になります。
核兵器開発の競争は米ソの争いで進んでいくんですねえ。世界大戦が終わったばかりの頃です。


1953年に米ソ両国が水爆実験に成功して1分進みます。「2分前」


1955年には「世界終末時計」と直接の関連は無いんだろうと思いますけど「核兵器廃絶・科学技術の平和利用」を訴えた「ラッセル=アインシュタイン宣言」が出されています。


イギリスの数学者「バートランド・アーサー・ウィリアム・ラッセル(1872~1970)」と、ドイツ生まれの理論物理学者、あの「アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)」が出した宣言ですね。


「世界終末時計」は、1960年、米ソ国交回復で5分戻って「7分前」


時計の針を戻すっていう計画が最初からあったものなのか、国交回復っていうイベントを祝う意味で急遽考え出されたアイディアなのか興味のあるところです。
5分戻したっていうことで「世界終末時計」の使われ方が決まったっていう感じもしますね。


時間は一方通行なのかどうかって、実は科学的結論が出ていない問題でもありますしね。正体が分かってないんです。


この1960年には「ラッセル=アインシュタイン宣言」を受けて、全ての核兵器およびすべての戦争の廃絶を訴える科学者による国際会議「パグウォッシュ会議」が設立されています。


1963年に米ソの部分的核実験禁止条約が調印されて5分戻って「12分前」


その後、進んだり戻ったりしながら1991年、ソビエト連邦崩壊で「17分前」になった「世界終末時計」
この17分前が今のところ最大の猶予時間になっていますね。


そして、地球温暖化アメリ同時多発テロ福島第一原子力発電所事故を経た2015年「3分前」


2017年、トランプ大統領困ったちゃん問題で30秒進んで「2分30秒前」


「世界終末時計」の針を初めて秒単位に進捗させたのは、あの人だったんですねえ。


2020年、気候変動に対して世界各国の関心が低すぎるってことで「1分40秒前」
もう核の問題だけじゃなくっていろいろな要素を含んだ判断になっていますね。


2021年、世界はコロナパンデミックを経験していますが、変化なし。
2022年、変化なし。


そして2023年1月24日に公表されたのが、ウクライナ戦争を受けて10秒進んで「1分30秒前」ってことです。


絵面として長針が10秒進んだっていうのは、なんかね、「世界終末時計」ちょと苦しいことになっているのかもです。パッと見で判んないでしょ。

 

 

 


その10秒の根拠を示せ! って言ってるの、誰なんでしょうか。デジタルネイティブ


世界的にメディアがもう少しちゃんとして問題点を知らせてくれれば「世界終末時計」も、スタート時点の「見た目がよさそうだった」7分前ぐらいには戻るんじゃないでしょうかね。


メディアって世界的に脆弱、になっているのかもですねえ。