< 太古からの進化の事実なんて誰も知らないんだし 系統樹の枝分かれは仮定のものなんだからね >
人類は古代から、生命の不思議にメスを入れようと試みてきたってことは、そのまま歴史をみるようなものだと言えるような気がします。
地球上の全ての生き物は、それぞれに不変なんじゃなくって、長時間をかけて変化、進化するっていう考え方の嚆矢は古代ギリシアまで遡って、ミレトスの哲学者「アナクシマンドロス(BC610~BC546)」は、「全ての生き物は海の中で生まれて、だんだん地上に移ってきた」って言っているらしいんですね。
古代中国の「荘子(BC369~BC286)」は「生物は異なる環境に応じた異なる特徴を持っている」として種の不変を否定しています。
古代から洋の東西を問わずに、進化とまでは言わなくとも、全ての種は変化するってことに気が付いていたんですね。
頭のイイ人っていうのは昔から居るってことなんでしょう。
時代は進んで1796年、チャールズ・ダーウィンのお祖父さん「エラズマス・ダーウィン(1731~1802)」が「全ての温血動物は一つの生きた糸に由来する」っていうことを「ズーノミア」っていう書籍で発表します。
その後もいろいろな説が発表され続けられる中、「チャールズ・ダーウィン(1809~1882)」が1859年に「種の起源」を発表するんですね。
こうして「進化論」の歴史を見てみますと、一般的に知られているダーウィンの進化論が、突然、突発的に歴史に登場してきたわけじゃなくって、紀元前からあったその考え方を実例をあげながら具体的に理論づけたっていうことになるんでしょうね。
地球上の生き物が、たった1つの命から枝分かれして進化してきたっていう、現代の進化論を図で示しているのが「進化系統樹」ですね。
カテゴリを絞ったりして、様々な種類の系統樹がありますけれど、今見るこうした系統樹の原型を描いたのは、アメリカの地質学者、古生物学者の「エドワード・ヒッチコック(1793~1864)」だって言われています。
ヒッチコックが1840年に著した「初等地質学」の中に、たぶんおそらく地層を分析したものなんでしょうけど、ハッキリとした「系統樹」が描かれているみたいです。
「初等地質学」は1840年の本で、「種の起源」は1859年です。
なんかですね、どういういきさつがあったのかは分からないみたいなんですけど、1860年に出された「初等地質学」の改訂版からは、この系統樹は削除されているらしいです。
ま、とにかく、ヒッチコックの系統樹のアイディアを今に伝わる「進化系統樹」に仕上げたのは、ドイツの生物学者、哲学者の「エルンスト・ヘッケル(1834~1919)」だってされています。
ヘッケルの系統樹、っていう表現もありますからね。
アカデミックな世界も、昔からいろんなあーだこーだがあるんでしょうね。
そんでもって、進化論、系統樹についての研究は途切れることなく続いていて、2022年、これまでの「進化系統樹」かなりヤバいよ、間違ってるよっていう意見が出されたんでありました。
生物学誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」に、19世紀から使われてきた「進化系統樹」には多くの間違いがあるって発表したのは、イギリス、バース大学の研究チーム。
バース大学は、街が丸ごと「バース市街」として世界文化遺産に指定されているイギリスの観光地にある国立大学ですね。
問題ありってされたのは、これまでの系統樹を描く基になっている分類法「形態学」ってやつなんですね。
形態学では、骨格上大きく類似している生物同士を近い種とみなして、系統樹に描くときは同じ枝のうえに配置するんですね。
骨格が似ていれば、仲間でしょ、ってことですね。
描き方としては当然そうなりますよね。この生き物とこの生き物は、骨格上、似ているんだから進化の線として同じ枝に配置されます。それが生き物の家系図でしょ。これが「進化系統樹」です。
ってことだったんですが、最近では「遺伝子解析技術」っていうのがだいぶ発展してきているんですね。
DNA自体が発見されたのは1869年で、スイスの医師「フリードリッヒ・ミーシャ(1844~1895)」が抽出に成功しているってことなんですが、それが何なのかは分からなかったみたいです。どんな働きをしているのかが分からなかった。
それから研究が進んで、遺伝子っていうのがあって、どうやらその本体はDNA、RNAなんじゃないかっていう理論が出てきたのは1940年代。そして1953年に「二重らせんモデル」が出されて、1966年に遺伝暗号の解読完了って流れです。
なんにしても、ヒッチコックやヘッケルにしてみれば、DNAてなんやねん、知らんがなってことですからね、形態学が悪いってことじゃないんでしょうけどね。
一方ではですね、「遺伝子解析技術」との直接的な関係はないんですけど、「収れん進化」っていうのがあるんですね。
系統樹だろうがなんだろうが、全然関連性のない生き物同士が、凄く似通った外見、同じような役割の器官を持っていることがある、っていうのが「収れん進化」
同じような環境で暮らす、お互いに関連性のない生き物同士が、同じような骨格を持つようになる。
例えば動物のモグラと、虫のケラ。
前足の外形はほぼ一緒。
さすがにモグラとケラが同じ枝で結びつくとすれば、かなり根元近くまで遡らないといけないでしょうけれど、「形態学」による分類には限界があるってうことなんでしょう。
そしてまた、別の現象として、全然似ていない生き物同士が、実は同じ系統だっていうこともあるんだそうです。
哺乳類の「アフリカ獣上目」には、キンモグラ、ハネジネズミ、ツチブタ、ジュゴン、マナティー、そしてゾウが入っているんですね。
ハネジネズミは体長30センチメートルにも満たないんですけど、ネズミじゃなくってゾウの仲間。
別名、ゾウ・トガリネズミ。
鼻の長いところがゾウと似ているといえば似ているんですけど、その鼻で虫を捕えたりするんだそうです。
ゾウとハネジネズミの共通性にも驚きますけど、ジュゴン、マナティーも同類!
なんかね、なんやねんってぐらい、生きものって不思議です。
ハネジネズミに向かって、ヘンな生き物、なんて言ったら、お前もな、って返されて、チャンチャン、でしょね。
「遺伝子解析技術」つまりDNAの解析で分かった系統樹としてほほうって思うのが1つありまして、ウマ、とイヌ、ネコっていう種が同じ祖先で、その祖先ともう1つ前の祖先から別れたのはコウモリなんだそうです。
動物にも鳥にも仲間はずれにされちゃったコウモリって、ウマ、イヌ、ネコの仲間だったんですってさ。
そんなこんなで、これまでの系統樹による分類って、この先、早々に見直されて作り替えられることになるんでしょうね。
その際にまた、進んだ研究結果から、ほほう、そですか、この動物とこの動物が、同じ系統だったんですか、っていう発見がニュースになるかもですね。
って、急に思い出しましたけど、ツチブタって鼻で地面に穴を掘るんでしたよね、確かね。鼻です。
でもですね「アフリカ獣上目」って、ほとんどが絶滅危惧種らしいんです。
系統樹が人類の研究成果によって完成する前に、絶滅してしまっている生きものっていうのも少なくないんでしょうね。
そうなると系統樹の枝がつながらなくなって、結局は完成することがない「進化系統樹」ってことなんでしょうか。
素人には分かりませんね。