ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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【オムライス】色味としても洋食チャンピオンでしょ 旨いヤツは秘密のレシピ

< でも最近 値段が上がって パセリが消えてしまっているんですよねえ >

2022年の値上げ潮流で、なんでもかんでもドドーンっと価格が高くなって、町中華のオムライスも1000円オーバーっていうのが当たり前になってきてしまっています。
オム好きにとってはコンニャロな世の中です。


タマゴね、オムレツの色はですね、昔は見事な黄色でしたね。明るい黄色。
いつのころからか、白っぽくなってますよ。もちろん黄色は黄色なんだけど、何と言いますか、鮮やかさがなくなりました。


1600円とかしちゃう、洋食屋さんのオムライスも白っぽくなっちゃってますね。


まあね、仕入れっていうのがあってね、そこで品質っていうか金額を抑えないと商売になりませんっていうような事情もあるんでしょうし、そもそもタマゴを作っている側にも同じような事情から、黄身の色合いなんて気遣っちゃいられません、っていうようなことになっているんでしょうかねえ。

 

 

 


黄身の色が白っぽくなったって味が変わらなければイイじゃん! ってことではあるんですけど、やっぱり風味っていうか、口の中に入れて、鼻の奥で感じる満足感がね、なんとなく白っぽくなった気がします。


鮮やかな黄色に、食欲をそそる赤いケチャップ帯がかかって、みずみずしい緑のパセリがひと房。
今どきは何の意味があるのか判らなくなってきた、白い紙ナプキンで包まれた銀色のスプーンがついてきますね。


その色のバランス。
間違いのないご馳走感が、なんともうれしいメニューですよね。


肌理の細かい、黄色いテカリをサディスティックにスプーンで割り裂くと、中から現れるのは、表側のケチャップより数段オレンジ色に寄った色合いに染められて、ずっしりと存在感を主張するチキンライスです。


ちゃんとした素材を使って、しっかり仕事をすれば、旨くないわけがないメニュー。
それがオムライスでしょねえ。


よく通っていた町中華なんですけど、コロナ前にオヤジさんが亡くなって休業しておりました。
閉業じゃなくって休業。


娘さんが後を継ぐってことになったんだそうですけど、その時点では都内で一般事務をしていたんだそうです。
で、埼玉県の親戚が町中華をやっているんで、そこで修行しますって話しだったんです。


ところが、そのタイミングでコロナパンデミック
埼玉じゃなくって、店と設備はそのままあるわけですから、オカミさんに教わりながら、一応の修行。


もともと料理するのは好きな方だったらしいんですけど、本格的にやったことはない。
ま、そりゃそうですよね。町中華の娘さんが、もれなく料理上手ってわけにはいきませんしね。すぐに何とかなるかって思っていたそうなんですけど、どうも、納得できる味にならない。


町中華は、なんていったって「ラーメン」です。
旨い店っていうのは、ほとんどの場合、ラーメンが旨ければ、他のメニューも旨いですよね。


ほかにチェックすべきなのは「チャーハン」と「やきそば」でしょうかね。
この3品が旨ければ、料理人のウデってマチガイなしだと思いますね。


でもですね、その店のラーメンは、ま、フツー、だったんです、元々が。旨いとは言えないレベル。ボーダーラインのラーメンでした。
チャーハンもフツー。パサパサ系のあっさりチャーハンでした。


やきそばは旨かったです。特製しょう油やきそばってことで、独特の香りで旨かったんです。


総じて評価すれば、そんなにポイントの高くない町中華だったんですが、絶品は「オムライス」だったんです。


オムライス、650円でした。リーズナブル。
「チキンライス」っていうメニューもあって、オムライスの中身だけの値段は600円。
このオムライスの中身がまた旨かったんです。


オムライスの上にかかっているケチャップは酸味の強いタイプなんですが、チキンライスを炒めるときに使うケチャップは、また違ったタイプで少し甘めにしてある。そこがウチの工夫だから、ってオヤジさんは笑ってましたっけねえ。


チキンライスじゃなくって、やっぱりオムライスを注文するのは、そのケチャップの使い分けっていいますか、甘味と酸味のコラボレーションが旨かったからでしょかねえ。

 

 

 


で、その町中華は休業してから4年、2022年の夏に、リニューアルオープンってことになりました。


仕入れ先や、レシピはオヤジさんとオカミさんから引き継ぐことになるんでしょうけれど、修行っていうのが、どこでどの程度やってきたのかとか、その辺りの事情なんて、ただの客に分かるわけもないんですけど、オムライスの作り方、しっかりやって来たんでしょうかっていうのが気にかかりますねえ。


ところで、オムライスって、日本発祥のメニューなんですってね。


発祥説には2つあって、年代的に早いのは東京銀座の「煉瓦亭」
1900年、明治33年には店の賄い料理として「ライスオムレツ」っていうのがあったっていうことなんですね。


ライスオムレツっていうのは、オムレツの具材としてみじん切りにしたいろいろな野菜に、ごはんを混ぜたものだったそうで、なるほどライスオムレツですし、手っ取り早く食べられるってことで賄いめしって感じがしますね。


でもまあ、名前的にライスとオムレツが両方あるんですけど、今、一般的にいっているオムライスとはだいぶ違った印象です。


もう1つの説は、大阪の汐見橋。1925年、大正14年、大衆食堂「パンヤの食堂」


パンヤの食堂っていうネーミングって、なんだか妙に懐かしいような響きを感じますけど、「パンヤ」ってなんなんでしょうね。


大衆食堂を始める前は「パン屋」だったのか、「パン」っていう、当時のなにか独特のものを言っている言葉なのか。それとも主人の北橋茂男さんの愛称みたいなものなのか、分かりませんけど、イイ感じ。


パンヤの食堂の常連さんに、雨具屋の小高さんっていう人がいたそうです。


常連客とはいえ、客の名前、素性まで分かっているっていう、大正時代の大阪、汐見橋、庶民の付き合い、イイですねえ。


この小高さんっていう雨具屋のオヤジは、いつも胃の調子が悪かったんだそうです。
なので、パンヤの食堂で食べるのは、いつも決まって「オムレツ」と「白ごはん」
胃の負担にならない柔らかさが必須だけど、ちゃんと栄養も摂りたいっていうんで、自然に決まっちゃったメニューなんでしょうね。


くる日もくる日も「オムレツ」と「白ごはん」


パンヤの食堂の北橋茂男さんがそのことを気の毒に思って、なにかないかなって工夫したのが、ケチャップライスを薄焼きタマゴで包んだ特別料理。


「これなら胃の負担にもならしまへんやろ」


「お、旨いやん。なんやの、これ」


「オムレツとライスで、オムライスってとこでっしゃろな」


これ、今、一般にイメージするオムライスとかなり近いですよね。


このパンヤの食堂の「オムライス」は、今も汐見橋、心斎橋に数店舗を展開している「北極星」に引き継がれているんですね。
パンヤの食堂」っていうのは大衆食堂でしたけど、引き継いだ「北極星」は洋食店
北極星っていう名前も不思議っちゃ不思議な感じです。


オムライスっていえば、1985年の日本映画「タンポポ」に出てきたのが有名、っていうか、真似している店って凄くたくさんありますよね。


広めの、たいていは真っ白な皿にチキンライス。その上に中身が半熟のプレーンオムレツを乗っけて出てくるヤツ。

 

 

 

客がナイフなり、スプーンなりで、そのオムレツを真ん中から縦に切ると、半熟タマゴがどわああって広がってチキンライスを包み隠しますねえ。とろとろです。


むははあ~、ってなって、食べる前から旨いです。食欲そそられますし、遊び心も満たしてくれます。
さすが伊丹十三です。


お店によっては、ちゃんと「タンポポオムライス」っていって出しているところもありますね。


タンポポオムライスがあまりにも流行ったもんで、半熟のオムレツってことにこだわって、とろとろオムレツでチキンライスを隠して、特製とろとろソースで周りを囲んだ「ドレス・ド・オムライス」なんていうのも出て来て、これもまたニンキですよねえ。


オムライス好きっていう人はかなりたくさんいて、その亜流として「オムチャーハン」だとか、「オムソバ」っていうのも人気です。オムですよねえ。


そんでですね、そのリニューアルした町中華なんですけどね、行ってきました。


って言いますか、通りかかったら開店祝いの花輪があって、真新しいノレンがかかっていましたんで、お、と思って入りました。


注文はもちろんオムライスです。


オカミさんとは顔見知りですし、その娘さんも、時々店を手伝っていて知ってはいるんですけど、その時は普段着にエプロン姿の「オテツダイモード」でしたからね、料理人として厨房に入っている姿には、ちょっとね、カワイイ違和感です。


でもまあ、たぶんですけど修行してきたんです。期待しちゃいますよねえ。


わりとすんなりでてきましたよ。
タンポポじゃありませんですし、ドレス・ドでもないです。
しっかり以前のオヤジさんの作っていたオムライスです。イイですねえ。町中華のオムライスです。これがイイです。ちょっと白っぽいですけど。


ん? でもパセリが乗っかっていません。代わり、なのかどうか、キュウリの薄切りが2枚、添えてありますねえ。
ふううん、ま、娘さんの工夫なのか。他にパセリを使うようなメニューが無いんで、だったら仕入れない、ってことでパセリが消えてしまったのかもしれません。


でもまあ、パセリがメインじゃないですからね。そこは全然モーマンタイです。
白い紙ナプキンで包まれた銀色のスプーンは以前の通りに出てきました。
レシピは完全に受け継がれているんでしょうねえ。


ニコニコと食べてみました。

 

 

 


あのねえ、娘さんねえ。オムライスのタマゴねえ、焦がしちゃったらダメじゃん!
焦げ臭いですよ。


それとチキンライスは止めちゃったみたいで、豚コマケチャップライスになっていましたですねえ。
チキンライスって、意外に難しいんでしょうかねえ。ん~。


キュウリの薄切りねえ。色味的にはほほうって思ったんですけど、なんか、合ってんのかな? って感じでした。


で、値段は1000円になっていましたです。
まあね、ご時世がご時世ですからねえ。オムライス1000円が高いとは言えませんですよねえ。


タンポポオムライスを正式に引き継いでいるらしい「たいめいけん」は行列ですしねえ。
大阪行きますか、心斎橋。


にしても、町中華で一品の値段が1000円以上になっちゃう時代が、来たんでしょうかねえ。


最後にもっかい言うけど、オムレツは焦がしちゃダメです。焦げ臭かったらオムレツじゃないです。


オムライスの発祥説に関しては大阪、パンヤの食堂に1票! でっす。


娘さん、がんばれよ~!