< サカナも熟成させて食べるのがオッサレ~ らしいんですけど サカナの熟成? >
レストラン入り口のドアに「熟成肉使用」とか、「箸で食べたい柔らかさ」とかですね。いつごろからでしょうか、そんな貼り紙を、ちょこちょこ見るようになりました。
でもまあ、そういうお店に昼から入れる人もね、限られていると思いますね。
ランチから3000円見当っていうのは、ちょっとね、二の足を踏んでしまいます。
オタカイです。
小耳に挟んだだけなんですけどね、熟成肉にも種類があるらしいんですよ。
まあね、牛肉の熟成っていうのはプロの仕事の部分ですからね、素人、食べるのが専門の私にはよく分からない技があるんでざあますよ。
低温熟成と低温調理って一緒だろう考えている人がいるけど、全然関係ないんだよ。って真剣に声を張り上げている肉屋のオッサンがいましてね、熟成肉の話を始めると止まらないんです。
栄養満点で丸っこいオッサン。肉屋さんの看板として肉の旨さを表現しているんでしょねえ。
その言葉を参考にしながら調べてみますと、熟成肉っていうのは4種類あるみたいです。
塊りを部位ごとに切り分けて真空パック。1週間から2週間、0度から2度で保存する「ウェットエイジング」
熟成目的じゃなくって保存方法として開発されたらしいんですが、結果として肉が柔らかくなって、オッケーじゃん。っていう熟成肉。
骨付きの塊りのまま1度から3度の貯蔵室で、風を当てながら2週間から2ヵ月熟成させる「ドライエイジング」
風と湿度の管理がポイントで、香りも良くなって、アミノ酸の増加で旨味も増す方法。
ウェットエイジングのウェットっていうのは、このドライエイジングが開発されて、ドライ方法じゃないからっていうことで、後付けで名付けられたような感じですかね。
もともと肉の保存方法だったのがウェットエイジングで、柔らかくはなるけれど、旨味が増したりとかいう点では、圧倒的にドライエイジングに軍配があがるんだそうです。
ステーキ屋さんとかに行って、ウェットなのかドライなのか確かめてから値段の確認をすると、ま、満足度は高まるかもです。
ウェットもドライも赤味肉を柔らかく、旨くする技法なんですね。
今はほとんどが、この2つの熟成方法で流通しているんだそうですが、日本で古くから行われていた熟成方法が「枯らし熟成」
枝肉って呼ばれる一頭の半身を、それ以上解体せずに、4週間ほど吊るして、枯らすっていう冷蔵保存方法。
水分の抜けが丁度良くなって、旨味が増して、「和牛香」が芳醇になるんだそうです。
もちろん、ただ吊るして置けばそうなるってもんじゃなくって、貯蔵室内の熟成に役立つ菌の管理だとか、やっぱりプロの技ってやつなんでしょうね。
今では一部でしか行われていないみたいです。
そして4つ目、切り分けた肉の塊に乳酸菌をくっ付けて熟成させるのが「乳酸菌熟成」
まだ普通に流通するには至っていない方法だそうです。
乳酸菌の匂いを良しとするか、うるさいとするか、食べたことがないんで分かりませんけどね。
でもまあ、うちは熟成肉ですよっていう宣伝を見聞きしても、あんまりそそられませんねえ、って感じで受け止めていたら、最近、聞くようになってきたのが「熟成魚」ってやつですね。
サカナもね、熟成して食べるのが旨いんです。ってことなんですけど、調べてみますと、なんでもかなんでも、どんなサカナでも熟成できるのかっていうと、そうじゃないみたいですね。
ついこの前、和食寄りのアテで呑ませてくれる居酒屋さんで、マスターと「熟成魚」ってヤツの話をしてきたんであります。
「注文を受けて、何日かもらえば、旨いところをお出し出来ますけどねえ。熟成してから足が長いわけじゃないんで、ムダになっちゃうのが多いでしょうから、うちでは特にやってないんですよねえ」
って、ちょっと言いづらそうにしてました。
いや、なんて言いますか、そこまで微妙な違いが判る口でもないんで、熟成具合についてじゃなくって、サカナってさ、新鮮でプリプリしてんのが一番旨いんじゃないの? ってことなんでありますよ。
「ああ、でも昔から熟成して食べるっていう方が好きだって人も多いですよ。ぱうすさんも、ほら、漬け、好きじゃないですか。あれが言ってみれば熟成魚です」
ほほう、なるほど、そなんですか。昔からあるサカナの食べ方なんですね。
それをなんか、新しい食べ方が開発されました、みたいに言っているっていうのは、サカナ消費を増やしたい農林水産省の思惑なんでしょうか。
ま、お役所っていうより、一般のお店側の狙いなのかもですけどねえ。
サカナの中にある「酵素」が、ちゃんとした方法で「熟成」させることによって、サカナのタンパク質を「アミノ酸」に変えてくれるんで、実際に旨味成分が増す。
それが熟成魚。
もちろん、時間を要するんで、新鮮さの証し、プリプリ感はなくなっちゃうんだけど、「アミノ酸」旨さが増す、ってことなんですね。
でも、どんなサカナでも、誰にでも熟成魚が作れるってもんでもないみたいです。
ま、そりゃそうでしょねえ、って気はします。
食材の扱いが簡単なわけないですもんねえ。
簡単に誰にでも旨く出来ちゃったら、もっと出回っていて、そのアミノ酸の旨い時期を長くするような保存方法も開発されていて良さそうな気がしますもんね。
「ああ、でもあれですよ。そこのスーパーで売ってる刺身のパック。あれも熟成魚って言っても、まあ、イイのかもです」
ええ~!? スーパーで売ってる刺身のパックが熟成魚なの?
「いや、真面目なハナシ、サカナを刺身にするのって、内臓とって、血合いもとって、サクにして、刺身にするじゃないですか」
そりゃそうでしょねえ。
「その時点で、熟成に失敗する要素がなくなってるんですよね」
ほほう。内蔵、血合いが熟成魚の妨げになるんですね。
「で、プラケースにならべてパックするじゃないですか」
はい。そうして売られてますよ。
「そうすると空気に触れないじゃないですか。そのまま冷蔵されているんで、熟成ですよ。熟成魚」
ん~。なんか熟成魚って、そんな簡単に手に入っちゃうもんなの?
「あそこのスーパーは朝7時から開いてるじゃないですか。刺身もその辺りから作り始めるでしょうから、あれですよ、夕方、暗くなってから、30%引きとか、シール貼り始めるじゃないですか。半額とか」
はあ、そですね。
「それが、時間経過していて、ねらい目の熟成魚ですよ。安くなってるし」
ほほう。でもさ、なんか、熟成魚って、期待してたのと違う感じがしてきましたねえ。
でもまあ、そんなもんなのかもですよね。
今まで、スーパーで値引きになった「賞味期限の迫った」刺身のパックを買って来て、やっぱり時間が経っているからフニャフニャして、活きが良くないよねえ、って言っていたのが、これは熟成されていて旨味成分が増えているんだから、プリプリ感を味わうんじゃなくって、旨味をいただくんですよ。
ってことなんですね。感じ方の転換。
そう考えれば、半額になった刺身パックに、安くなって得したっていうこと以外に、熟成魚! っていう認識になれば、全然違った目で見ることが出来そうです。「半額パック」
旨味成分が出てきて、熟成魚って呼ぶのにふさわしいのは、マダイ、カレイ、ヒラメだそうです。
スーパーで買ってきた「熟成魚」の刺身。
熟成して旨味成分が増えたんだったら、もうちょっとそのまま冷蔵庫に入れて、旨味成分を増やして、超熟成魚にしたらイイんじゃないの!?
って考える人もいるかもですけど、熟成が進み過ぎると、それは「腐敗」
ツウはこう言うんだそうです。
「サカナの食べ方、とくに白身魚の刺身はね、腐る直前が一番旨いんだよ」
ま、我々素人は、刺身パックに書いてある賞味期限をしっかり守って、スーパーの「パックエイジング」でイイ塩梅になっているはずの熟成度をいただくことにいたしませう。
スーパーの刺身売り場では「熟成魚」っていうシールが貼ってあるんじゃなくって、貼ってあるシールは「半額」だってとこも嬉しいじゃないですか。ね。
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