<揚げおにぎりってかなり昔からあるみたいですけど つい最近まで知らなんだ>
米飯文化は日本に限ったものではありませんので、おにぎりの発祥って、ここです、というのはないんでしょうね。
特に食器が要らない食べ方って、プリミティブ、ダイレクトな部分が気持ち良かったりしますよね。
食べることは生きること。
ひと口に米飯文化と括っても、ま、ごはんですからね、食べ方に差はないでしょうけれど、その形態といいますか、作り方といいますか、色々あるということをホント最近知りましたです。
国が違えば米の種類も違いますし、食べ方もいろいろあるよ、というのは何となく理解できる気がしますけれど、日本国内でもけっこう地域特性みたいなものがあるんですね。
おにぎらず、というのは聞いたことがありましたが、これは特に驚くにはあたらない感じですよね。
ファストフードとしてのハンディ―ごはん。その工夫。
「クッキングパパ(作:うえやまとち)」というマンガが発祥起源らしいんですが、まあ、アイディアではあります。
ラップを敷いて海苔を拡げる。
その上にごはん、そして具を乗せてラップごと折って包み込んで、出来上がり。
つまり、手塩にはかけないおにぎり。
でもこのアイディア、コンビニのおにぎりが出てきてからのアレンジかもしれないなあ、と思うのです。
今では誰も違和感なくササっと剥いて、くるっと海苔で巻いた状態にして食べていますよね、コンビニおにぎり。
手塩とか面倒くさいしなあ、という現代人共通の思い。手間をかけずに簡単にンまいおにぎりが食べられる。そういうサービスを提供した日本のコンビニ文化。素晴らしいです。
それを有り難く享受したうえで、あ、これ、家でも出来るじゃん。というノリなような気がするですねえ。
でもね、これ「中国嫁日記(作:井上純一)」の主人公、作者の奥さんで中国出身のユエさんが、日本に来たばっかりの頃、あの1、2、3の手順でパリパリ海苔のおにぎりに仕上げる方法を知らなかったという話。
おにぎりを包んでいるパラフィンを全部丁寧に開けて、海苔をまっすぐにのばして、三角ごはんをちゃんとまん中あたりに配置して包む。という作業をしていたそうです。
ずっとそうやって食べていた。コンビニおにぎり。
「好きだけど、面倒くさいです」
ということだったらしいのですが、ある日、あの1、2、3の手順を知ることになる。
誰かに指摘されたか、誰かが1、2、3をやっているのを実際に見たかしたんでしょう。
手間いらず、あっという間におにぎり完成。
エエーッ!
この驚きは理解できますね。今の日本人はこの時のユエさんを笑うでしょうけれど、ちょっと前までは普通に誰も知らなかったアイディアですよ。あの1、2、3の手順。
誰が考え出したのかは調べられませんでしたが、最初は「おにぎり忍法帖」という名前で登場しました。
懐かしく思い出す方もおられるでしょう。
手を汚さず中のパラフィンをつまみ出して、海苔で包まれたおにぎりを完成させる、という画期的なアイディアだったのですが、残念なことにコレ、食べる人に器用さを要求するレベルだったのでありましたね。
で、あまり長続きせず、すぐに今の形式、1、2、3の手順になっていったのでした。こういう歴史があるんですね。
でも、アイディアの根本は変らない。「おにぎり忍法帖」素晴らしいです。でもまあ、忍者だけにあまり声をあげることなく、さっと表舞台から退いたってことだったんですけれどね。
こうした段階を踏んでいく過程で、誰もが1、2、3の手順に違和感なく馴染んでいったわけです。
方法が切り替わったばかりの頃には、テレビで何回も説明していたりしました。で、瞬く間に浸透したんですね。
作業というほどの大げさなものではありませんが、いまさらその方法について誰も説明を要しませんし、わざわざ説明する人も居なくなったという経緯があった。
で、ユエさんのように、その方法が定着した後で、初めてコンビニおにぎりと出会う人は、日本のコンビニおにぎり、面倒くさいじゃんという方法になってしまうんだろうと思われます。
包装を解いて中身を出す、というのは洋の東西を問わず常識的な行動ですもんね。
ま、その包装のビニールをちゃんと見れば、1、2、3の手順が番号付きで書いてありますけれどね。
おにぎりを知っている民族であれば、見た目でそれがおにぎりであることは分かりますから、しっかり剥いて「作る」という作業をする、ということでしょうね。
自然な行動だと思います。
山手線大塚駅近くの「おにぎり ぼんご」は有名ですよね。とっても満足な味と風合いで、何回か食べましたが、実はここも、言ってみればおにぎらず。
いえいえ、おにぎりなんですよ。看板にある通り、ちゃんとしたおにぎり。その製法としてのおにぎらず、ということです。
握るのではなく、ふわっと成型するって感じでしょうか。口の中でほくほく、ほろほろとしたごはんの感触がたまらないんです。中の具も、オーソドックスなものから、なにそれ? 的なものまでバリエーションいっぱいで、楽しめます。
ニコニコ食べられるおにぎりは、しあわせです。
ファストフードとは言いたくないような、安心感、しあわせ感があります。
いつも混んでますけどね「ぼんご」。未経験の人は、ぜひチャレンジしてみてくださいませ。日本人としての自分を感じられるであろう“おにぎり”なんです。
さて、揚げおにぎりの話。
知ってましたか? 揚げおにぎりって存在。
台湾の屋台なんかではスタンダードなメニューらしいんですよね。へええ、とは思いますが、台湾、行ったことないです。ので、食べたことないです。
でも日本にもかなり昔からあるようなんですね。
あ、そなの? ってな感じです。
あの黒澤明監督。
自宅にたくさんの人を招いて、呑みながら、食べながら、しゃべる、ということを日常的にしていたというエピソードを聞いたことがあると思います。
かなり知られた黒澤明的生活習慣。
娘さんでデザイナーの黒澤和子さんがエッセイの中で書いていますが、黒澤監督はホワイトホースの水割りが大好きで、いつもそれだったらしいんです。
片手にホワイトホースの水割り、もう片方の手にはサンドウィッチか揚げおにぎり。
ホワイトホース。
つい最近までは高級スコッチですね。今はリーズナブルになりました。
ま、値段の問題はイイんですが、スコッチ呑みながら揚げおにぎり。
合うのかなあ、と思います。
といいながら、その揚げおにぎりがどういうものなのか、ちっとも分からないんですけれどね。
いつも通りに握ったおにぎりに、ころもをつけてフライパンで揚げ焼きにする。というのが普通の作り方みたいです。
手塩にはかけている料理、なわけです。ま、別に手塩はそんなに気にする必要もないですけれどね。
簡単に出来そうです。
イロイロ書かれているレシピをみますと、しょう油を塗ったり、ウスターソースを塗ったり、具もソーセージだったり、チーズだったり、なかなかなバリエーションです。
まあ、個人的にはスコッチに合わせようなんてことは思いませんがね。
揚げおにぎり。
やってみようと思っているのはお茶漬けです。
揚げおにぎりを作って、茶碗に入れる。ネギやらショウガやらを刻んで乗っける。きざみ海苔を散らす。わさびなんかも乗っけるんでしょうね。
で、お茶、あるいは濃いめのだしをかける。
箸で揚げおにぎりを崩して、中のごはんにお茶とかだしとかを吸わせて、表面カリッ、中はフニャっというのを味わう。
これねえ、普通のお茶漬けと違ったンまさが味わえるんじゃないでしょうかねえ。
期待してしまいます。具に凝ったりも出来ますよねえ。
おにぎりとしては“ヘンなの”であっても、揚げおにぎり。さらにそのお茶漬けともなりますと、ねえ、初めての味わいに出会えるかもです。
<揚げおにぎりの身体に旨い満足度>
ころもだとか油だとか、余計なカロリーをわざわざまとわせたおにぎりってことになるんですが、小さめに作って、一膳だけってことにすれば、なかなか健康的な一食になるのではないでしょうか。
具の工夫が面白そうですし、お茶にするか、特性のだしにするかで、全然違う味わいになるでしょうから、自分の身体と相談しながらやってみるのがイイと思います。
でもあれです。スコッチと一緒にというのは、お勧めしませんです。
両方とももったいない気がします。
ん~。個人の趣向ではあります。もちろん。
<揚げおにぎりの心に旨い満足度>
おにぎりをお茶漬けにするって、ささやかな贅沢感があるような気がします。
個人的レベルでの贅沢感を、わりと簡単に得られるのであれば、巣ごもり生活の中での気持ちの立て直しにルーティンとして知っておいて損のないことだと思います。
ただ、普通のおにぎりではやらない、ですよね。何回かやったことがあるのは、焼きおにぎりですね。
揚げおにぎり、焼きおにぎり。やっぱり違うんでしょうねえ。
でも、どっちも日本的、実に日本的な一食。しみじみとした気持ちになれるんじゃないでしょうか。
<揚げおにぎりの酒のアテ満足度>
ま、好きずきなんですけれどね、あれです。スコッチと一緒にというのは、お勧めしませんです。
両方とももったいない気がします。
でも、いけるのかなあ、とも思いますが。
どうでしょうか。
<揚げおにぎりの酒の〆満足度>
これはもうお茶漬けがバッチリだと思います。
具、薬味、お茶かだしか。
いろいろ楽しめそうですし、満足感はマチガイナイでしょうね。
<お店の揚げおにぎり 食べたことあります?>
台湾の屋台じゃなくたって、日本でも食べられるんでしょうかね。揚げおにぎり。
揚げおにぎり定食、とか聞いたこともないんですが、食べたことあります?
お茶漬けであればマチガイナイ気がするんですが、この感覚もちと妙かもですね。
揚げおにぎり。ん~、台湾かあ。。。今は動けませんけれどねエ。