< なに言うてんねん フニクリ外したら 逆さになって曲がってまう ってか >
散歩コースの中に幼稚園の前を通るルートがあって、いつも子供たちの歓声がにぎやかに響いています。
わりと広めの運動場があって、たいていは園児たちがワアワア走り回っているんですが、行事に出くわすことがあります。
幼稚園のセンセがハンドマイクで指示を飛ばしながら、お遊戯を進行させていて、お父さんお母さんたちがぐるりを囲んで手拍子を取っています。
春と秋と、少なくとも2回は保護者参観でやっているんじゃないでしょうかね。
しょっちゅう見るのは練習を兼ねた運動なんだろうと思いますが、わりと頻繁に見かけます。
子どもたちは音楽に合わせて手を振り上げたり、ジャンプしたり。けっこう真剣な表情で踊っていますよ。
で、そのときかかっている音楽が、はは~ん、21世紀の幼稚園だからねえってことなんです。
最初の時のインパクトがなかなかだったので記憶に残っているんですが、子供たちが踊っていた曲がMe&Myの「Dub-I-Dub」
♪ドュッビドュッビドュッビドュッドュッドュッていう、ユーロビート。1995年に発表された世界的大ヒット曲ですね。
「あんたの愛なんて要らないわ」っていう恋に破れた女の子のツヨガリの歌なんですが、選曲した幼稚園のセンセ、なにがあったんでしょうか??? そゆわけじゃない???
ま、単にリズムで選んだのかもしれませんけれどね。
いつもいつも♪ドュッビドュッビやっているわけじゃありませんで、曲はそのたびごとにいろいろ代わっています。
この前の春、通ったときにかかっていた曲は「鬼のパンツ」
♪はこう はこう 鬼のパンツ
♪はこう はこう 鬼のパンツ
♪あなたも あなたも あなたも あなたも~
♪みんなではこう 鬼のパンツ
子どもたちはキャーキャー笑いながら楽しそうに、パンツをはく動きをしながら走り回っています。
なんとも微笑ましい光景。
みなさん、ちゃんとパンツをはきましょう! って話じゃなくってですね、この歌、なんか知ってる気がするなあって思ったんですね。メロディーラインね。
知ってます? 鬼のパンツって歌。
今、歌詞を見ただけでメロディーを口ずさめる人も少なくないんだろうと思います。
タイトルでもあげてますからね、もうお気づきだと思います。
そです「フニクリ・フニクラ」です。
鬼のパンツってフニクリ・フニクラのメロディーですよね。
鬼のパンツの歌詞も面白いですが、フニクリ・フニクラっていう語呂も楽しいです。
で、鬼のパンツとフニクリ・フニクラって、なんか関連あんの? ってことなんですよ。
フニクリ・フニクラって歌詞が、かなりおぼろげにしか記憶にないので調べてみました。
調べるって程のこともなくみつかりますね。
♪いこう いこう 火の山へ
♪いこう いこう 山の上
♪フニクリ フニクラ フニクリ フニクラ~
♪誰も乗る フニクリ フニクラ
ん~。パンツ、関係なさそうです。
ちっちゃなころ、意味も解らずフニクリ・フニクラ歌っていたんですが、どうやら山登りの歌? みたいですよね。
にしても「火の山」へ登るんですか?
火の国、熊本の歌? フニクリ・フニクラって熊本弁?
ではないですね。当然ね。
フニクリ・フニクラは1880年に発表されたイタリアのコマーシャルソングなんだそうです。
19世紀末ですからね、世界で最も古いコマーシャルソング、かもしれないらしいです。
なんのコマーシャルなのかといいますと、登山鉄道。
ヴェスヴィオ山を山頂まで登る登山鉄道に観光客を呼び込むためのコマーシャルソングなんだそうです。
ヴェスヴィオ山っていえば、火山ですよね、ヴェスヴィオ火山。
それで、
♪いこう いこう 火の山へ
ってことだったわけですねえ。尤も、イタリア語の元々の歌詞は、
♪いこう いこう 上にいこう
ぐらいの意味なんだそうですけれどね。やっぱり火の山へ、とは宣伝しにくいんじゃないでしょうかね。
ヴェスヴィオ山はイタリア半島の西側、やや南側のナポリ湾岸にある、1281mの成層火山。
西暦79年の噴火でポンペイ市を埋没させた史実が知られています。
その後も何回も噴火を繰り返していて、フニクリ・フニクラで登山鉄道をコマーシャルした1880年から64年後の1944年、ヴェスヴィオ山はまたしても大規模な噴火をして、登山鉄道は破壊されて現在は運行されていないみたいです。
登山鉄道の敷設前の噴火は1822年のものが記録されていて、その噴火から半世紀を経て工事を進めて運航を開始したってことになるんですが、運航を始めてからの1906年にも噴火していて、この年にはローマオリンピックの開催が予定されていたそうなんですが、急遽ロンドンへ場所を移して開催されたそうです。
オリンピックって、こういう歴史もあったんですねえ。
にしてもヴェスヴィオ火山って活火山なわけで、そんな山に登山鉄道を敷設しての観光事業。
ま、商売をする人って、世の東西を問わず、こうでなくっちゃダメなのかもです。
1906年の噴火でもダメージを受けたんでしょうけれど、1944年まで半世紀以上運営しているんですからね、収支としては充分プラスだったんでしょうね。知らんけど。
で、イタリア語で登山鉄道、ケーブルカーを「フニコラーレ」っていうんだそうです。
そんでもってこのヴェスヴィオ山の「ヴェズヴィアナ鋼索線」を走るフニコラーレのニックネームが「フニクリ・フニクラ」
なんかね、語呂として、スムースに上って行くんじゃなくって、オッチラヨッチラ、フニクリフニクラしながら運転されていたのかもしれません。
にしても凄いですよね、世界的観光地の登山鉄道とはいえ、もう無くなってからでも歌い継がれて、日本では鬼のパンツになってます。
ところで、イタリア語とスペイン語って、けっこう似ていて、どっちかを勉強した日本人は、勉強していないもう一方の言葉を聞いても何となく判っちゃうんだそうですね。
ヨーロッパって、王族の血縁関係がとっても複雑みたいですもんね。
言語的な繋がりっていうのも、かなり古い時代からあるんでしょう。
古代の世界帝国だったイタリア、というかローマと、日の沈まない国と言われた帝国時代のスペインです。
ラテン系っていわれる共通点もありますしね。
なんで急にスペインの話? っていうのはですね、「フニクラ」っていうスペイン語があるからなんですね。
スペイン語のフニクラっていうのは、そです、タイトルにある通り「逆さ吊り曲線」って意味だそうです。
ガウディの逆さ吊り曲線。フニクラ。サグラダ・ファミリアのアントニオ・ガウディです。
天才建築家ガウディは、1926年、路面電車に轢かれてしまったらしいんですが、その、世間を気にしない、気を遣わない身なりから浮浪者と間違われて手当てが遅れてしまって、事故から3日後に死んでしまったということです。
いまだに未完成のサグラダ・ファミリアに葬られているらしいですね。
とにっかく難しいらしいんですねガウディの設計の建築って。
ざっくりざっくり言うと、紐を左右に伸ばして、真ん中に重りをぶら下げる。
そうすると、逆三角形に垂れ下がりますよね。紐の種類、張り方によっては紡錘形に垂れ下がります。
直線の組み合わせじゃなくって、曲線を描いて垂れ下がる。
その曲線を描いている下側の頂点を、くるっとひっくり返して上に持って来る。
そうすると紡錘形の塔のような形が出来上がります。
その平面を360度展開する。ガウディ作品によくみられる紡錘形の塔の出来上がりです。
ガウディの逆さ吊り曲線。カタルーニャの曲線、フニクラです。
紐の組み合わせ方や、重りのぶら下げ方、重さによって、様々な曲線の組み合わせが出来上がっていきます。
計算によって導き出された形ではない、自然に出来る曲線を逆さづりにして建造物の強度、安定を作り上げる。
そういう設計方法。ザックリと言えばね。
なので、ガウディの残した図面というのは極端に少ないんだそうです。計算じゃないから。
建築とか、美術とか全くの素人ですが、そりゃ完成まで時間かかるわねえ、って感じです。
1852年生まれのアントニオ・ガウディですから、1880年にフニクリ・フニクラが発表されたときは38歳です。
世間の出来事には関心を示さなかった人らしいガウディですが、フニクリ・フニクラを耳にしたことはあったかもですねえ。
鬼のパンツは、いつ替え歌として成り立ったのか作詞者も含めて不明らしいですが、アントニオ・ガウディ、鬼のパンツ。
ま、聞いたことないでしょうね。聞いたって、日本語分かるわけないですね、知らんけど。
はい。