< 明治の森高尾国定公園に指定されていて 日本遺産に認定されている 東京都八王子市の山 >
昔から人気があった山だと思います。
だいぶ昔に2回、3回ぐらい登ったことがあります。といってもいずれの時も「薬王院」までですけどね。
春は梅、桜、つつじ、夏はホタルブクロ、ヤマユリ、秋は紅葉、ヤマホトトギス、リンドウ、冬はヒイラギ。
歴史的にずっと保護されてきた山らしくってですね、植物の種類がとにかくふんだんなんだそうで、見晴らしと合わせて、登る人が多いんだと思います。
だいぶ前には「ハイヒールで登れる高尾山」なんていうキャッチコピーもあって、気軽に登山気分に浸れるイメージですね。
でもそれはまあ、高尾山口駅からケーブルカーで高尾山駅までお気楽極楽に登って、そこから舗装された参道を20分、30分ゆっくり歩いて薬王院までっていうコースに限られますね。
頂上まで行くんだったら重装備は必要ないまでも、登山装備が必要だそうです。
そりゃそうですよね、山なんですから。
薬王院までの道にしたって、いくら舗装されているとはいっても山道です。ハイヒールでっていうのはアスリートとかに限られる気もします。
いや、アスリートだってハイヒールじゃ登らないでしょうけどね。足、腫れますよ。
でもまあ、見たことはあります。
ミニスカ、ハイヒール。
デートコースにもなっているんでしょうね。
あまりにも軽装で頂上まで、なんて考えちゃったりなんかしますと、天狗に怒られますよ。
天狗伝説の山ですからね、高尾山は。
薬王院にお参りに来る人たちのために、参道を整備してやろうとした天狗たちが、地面を這っているその根っこが邪魔になった大きな杉を切り倒そうとしたら、その杉が、その根っこをクニャって曲げて参道を通させたっていう「タコ杉」も有名です。
タコ杉の隣りにはアタマを撫でられ過ぎてツルっツルになっている「開運 ひっぱり蛸」の銅像もいます。
ひっぱり蛸。なかなかなネーミングですけど、コイツ、いつからいるんでしょうね。
撫でられなくたって、最初からツルっツルだったかもです。ひっぱりダコ。開運ですよ。
2007年にフランスで刊行された「ミシュラン・ボワイヤジェ・プラティック・ジャポン」の中で高尾山が3つ星評価を得ました。
最高評価なんですよね。
「なんかさあ、最近さあ、高尾山に海外の人がどっと来てるらしいよ」
ってことになって、へええ、って思っていたんですが、それから数年後、京王線に乗る機会があって、久しぶりに高尾山口駅まで行ってみますと、ケーブルカーとリフトに信じられないぐらいの行列が出来ていて、とてもとてもで、そのまま帰ってきた経験があります。
しっかり重装備の海外の登山者のみなさんでした。
秋でしたねえ。こちらは意図していなかったんですけど紅葉のタイミングだったんだろうと思います。
もちろんアジア系の人たちもいましたけれど、とんでもない数の人でした。
その時にミシュランって食事のことだけじゃなくって、観光なんかも案内しているんだなあって思い知ったんであります。
日本の山でミシュランの3つ星をもらっているのは富士山と高尾山の2つだけなんだそうですね。
ミシュランの本って多くの国に翻訳されて出版されるんでしょうから、世界中から一気に観光客が増えたってことなんでしょうね。
ミシュランが高尾山を評価しているのは、なんといっても都心からのアクセスが良いことみたいです。
高尾山名物「とろろ蕎麦」の評価は、どうなんでしょうね。そっちの評価じゃないんでしょうね。
新宿からだと京王線1本で、高尾山口駅まで1時間かかりません。しかも390円です。
中央線に乗っても、高尾駅で京王線に乗り換え出来ますけど、海外の観光客が高尾山に行くのにわざわざ中央線を選ぶことはないでしょうね。料金も700円になりますしね。
渋谷からですと京王井の頭線に乗って、明大前駅で京王線に乗り換えて高尾山口駅まで1時間とちょっと。やっぱり390円。
電車も次々来ますしね、東京都心から1時間のアクセスは評価の、そして人気の要素になるでしょうね。
都心のコンクリートジャングルから1時間で到着する高尾山の、世界レベルに豊かな生態系っていうのもまた高評価なんですね。
高尾山に自生している植物の種類は1300種以上だそうで、それはイギリス全土の植物種に匹敵するんだそうです。
簡単にイギリス全土の、とか言っちゃいますけど、凄いですよね、高尾山。
世界的に貴重な植物も100種類以上、昆虫も5000種以上、観察できる野鳥も150種以上なんだそうで、日本人だって、って言いますか、おそらく八王子に住んでいる人たちだってそこまでは知らないんじゃないでしょうか。
ヨーロッパは自然環境に意識高く注目している人がたくさんいるでしょうから、ミシュランの3つ星は効果バツグンなんでしょうね。
古くから修験道の山として飯縄権現が祀られていたそうですが、高尾山は武家信仰の対象だったんですね。
後北条氏が小田原に居を構えると八王子薬王院を手厚く保護して、高尾山の自然も守ったっていうことで、簡単に高尾山の樹を伐ったりは出来なかった歴史があるんだそうです。
江戸時代に入ると、八王子は千人同心の大久保長安の管理になります。
徳川幕府初期の勘定方で、権謀術数の人だとされている大久保長安ですが、この人も高尾山の自然を守るよう働きかけていたそうなんですね。江戸城の普請に大量の木材が必要となっても、高尾山の樹は伐らせなかったらしいです。
こうして明治以降も高尾山の生態系がしっかり守られてきたんでしょうね。
ところで高尾山の標高は599メートルってされていますが、なんかね、変遷があるみたいなんです。
1923年の関東大震災。この時の揺れで高尾山の標高は601.6メートルから600.3メートルに、低くなっちゃいました。
っていう記録があるんですけど、600メートル超えてますよ。
ところが1972年に改測したら、高尾山の標高は599.0メートル。
ありゃ、600メートル切っちゃったの? 地元の人にしてみれば、かなり残念。
ってことで、当時の八王子市役所では、なんとか高尾山の標高を600メートルに回復させるために、登山客に土の入った袋を渡して、どんどん山頂に積み上げてもらおうっていうアイディアを出したそうなんですけど、まあね、実行はされなかったみたいです。
郷土愛、ってことなんでしょうけどね。
1991年、改測によって、今度は599.15メートルに、ちょっと高くなります。
さらに2014年の改測で599.30メートルってことで、またちょっと。
成長してる?
なんかこれ、測量の精度が上がっているんだったらイイんですけど、計測するたびに違うっていうのは、なんだかなあって気もします。
高尾山を大事にしている地元の人たちにとっては、たとえ1センチメートルであってもオオゴトなんだと思いますけどね。
なんにしても、登山者数は年間260万人超えを数えたってことで、世界一なんだそうです。
コロナが治まってくれれば、またそういう賑わいも戻って来るんでしょうね。
1965年から設営されているっていう高尾山のビアガーデン、「高尾山ビアマウント」
2022年から復活営業しているみたいです。
高尾山口駅の周辺も一気に商業施設が整ってきていて、2012年にオープンした「高尾599ミュージアム」もすっかり定着した人気を集めているんだそうです。
八王子市と京王電鉄にしてみれば経済的に強力な観光資源の高尾山。
でもねえ、世界的な人気を集めるのはイイことだと思いますけど、京都と同じで、あまりにも人が集まり過ぎますと、どうもね、人混みが苦手な人も少なくないでしょ。
インバウンドねえ。大事なことだと思いますけどねえ。
なんか、「異次元の」工夫をしていただきたいようにも思います。
昔からの高尾山名物って言えば、なんといっても「とろろ蕎麦」ですよね。
これはどうなんでしょう。海外の人たちって、そもそも蕎麦を食べつけていないだろうし、そこへ「とろろ」と来た日にゃあ、ってことになっていませんかね。
まだミシュランに取り上げられてないころね、標高500メートルのビアガーデンで、夏の終わりごろ、紅葉にはまだ早いけど寒くなってきた日、呑んだらやっぱり寒かったんで、いつか暑い日にリベンジしたいなっていう気はあるんですけど、京王線の乗車率、混み具合で、高尾山口駅まで到達できないまま、時が、過ぎて来ているんですねえ。
頂上からの展望っていうのも体験できていませんしねえ。
山の中の店は、けっこうたくさんあるんですけど、どの店の佇まいも、昭和です。
その辺りも高尾山の魅力だと思います。
空いている時期に、とか思っていても、空いていることが、ない。のかもです。
世界的な人気を博しているっていうことは、タイヘンヨロシイことだとは思いますけどねえ。
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