< ポテトが辛くてなぜおいしい! って「カラムーチョ」が登場したのは1984年 >
時々行く町中華なんですが、大きくない店舗なんですね。
コロナ禍のソーシャルディスタンスでカウンターは5席。背中側の4人がけテーブルが3つ。
でも厨房には3人、客席担当が1人で、店の人員はちょっと多め。人気店なんです。
カウンターの向かい側が長~い厨房。
豚肉ソバ、豚肉チャーハン、豚肉中華丼って個人的には豚肉中華屋さん、みたいな感じで利用させてもらっています。
豚肉、白菜の細切りのあんかけで、何でもない材料なんですが、スパイシーで旨いんです。
コショウ系ですね。
月に2回ぐらい、餃子の日っていうのがあって、半額で270円になるんです。
で、たまに食べますけど、餃子はフツーな感じです。
韃靼餃子っていうのがちょっと高めで、半額で320円。これもなんだかフツー。
血流にイイんだそうですよ、韃靼。
で、つい最近行ったときに、カウンター席の隣りにグレースーツのサラリーマンが座りました。
客層はいつもばらばらで、学生さんもいれば、妙齢の女性が1人で食べていることもあります。
でもまあ、サラリーマンが多いでしょうかね。コロナ前はミニ宴会みたいな状態になっているグループもけっこういました。
40代ぐらいでしょうかね、グレーのスーツはヨレヨレしてました。
服装なんかちっとも気にしないんですが、そんな私でも「けっこう疲れてまんな~」って思うほどのヨレヨレ具合でした。スーツがね。
でも本人は元気いっぱい。
「ナマ中くださーい」
って言って、3枚あるA4判メニューをてきぱきとひっくり返しながら品定めです。
ま、そんなにじっと観察していたわけじゃないですけどね。
「ナスの辛子炒め、単品できますかー」
「はい出来ますよー。ナスカラ、一丁!」
ナスの辛子炒め、メニューには定食として写真付きで載ってます。注文する人多いですね。人気あります。
町中華呑みで、定食メニューの単品オーダーってイイですよね。定番だと思います。
パパっとすぐに出てくるところも町中華呑みのイイところ。
ヨレヨレグレーさんは、食べ始めてすぐ言いました。
「あれえ、辛子炒めって全然辛くないですねえ」
この店のナスの辛子炒めは私も前に食べたことありますけれど、辛子っていっても、風味でしょ、ふうみ。
トウガラシが入っているわけじゃないし。
って思うんですけど、この店でしか食べたことがありませんので、辛いナスの辛子炒めがあるのかもしれませんけどね。
ただ、ちょっとびっくりしたのはこの後のヨレヨレグレーさんの発言と行動なのでした。
「辛くないんでマイイチミ使っていいですかー」
は? イチミ? my一味? ずいぶん前に聞いたことがあったような、なかったような。あれはマヨネーズだったかなって思いながら、ヨレヨレグレーさんの方に目をやりますと、店側の返事を待つまでもなく、背広のポケットから、背広のポケットからですよ、一味の小瓶を取り出して、ババーっと振りかけていました。
あっという間に真っ赤なナスカラになっていました。風味とか全く関係なし。
厨房の調理人も、運んできたお兄さんも、何を言うでもなく渋い顔で見守っていました。
カウンターの上には一応調味料が置いてあります。当たり前の調味料。
ラー油、酢、しょう油は餃子用ってとこでしょう。その他にコショウと七味が置いてあります。
なので、客が好みで「辛味」を調整するのはオッケーなはずです。
でもねえ、背広のポケットから出てくるマイ一味ってねえ。
言葉遣いは丁寧な感じですけど、慇懃無礼っていう行為ですよねえ。
ま、ただ偶然に隣り合わせた客が、他の客の行動に対して何か言うべきことでもありませんので、すぐに自分の豚肉ソバに戻りましたです。
にしても、その背広のポケットには何が入っているんだ? って思いました。
そんなの入れて歩いているからヨレヨレになっちゃうんじゃないのかなあ。グレースーツ。
まあねえ、大きなお世話ですけどねえ。
にしても辛いの好きな人って、どんどん増えてきている感じがします。
で、調べてみたらですね、2020年辺りから「第4次激辛ブーム」みたいですよ。
え~! ブームっていうのがあったのは何となく分かるような気がするんですが、「第4次」ですかあ。ちょっとビックリ。
前に3つもあったなんて、そこまで意識したことなかったです。
第1次ブームはスナック菓子が中心だったそうです。
火付け役は、1984年発売の湖池屋「カラムーチョ」
ありました、ありましたって思ったんですが、今でも人気らしいですね。
「ヒーおばあちゃん」と「ヒーヒーおばあちゃん」
なんだってまた「おばあちゃん」を辛いスナックの対象にしたんでしょう。
でもまあ、それが当たったってことですもんね。辛いポテトチップス。ここから始まったんですねえ。
1985年、当時のベルフーズ、現在のクラシエフーズから出た「カラメンテ」
激辛カップラーメンは一気に人気が出て、ストレス解消って言われましたね。ストレス社会って、この頃にはもう定着した概念だったってことですかね。
1986年にはエースコックがカラメンテの対抗馬として「カライジャン」っていうのを出しています。
この1986年の新語・流行語大賞には「激辛」っていう言葉が入りました。
ここまでが第1次ブームなんだそうです。
で、第2次ブームは1990年からの数年間。
韓国ドラマのヒットがトリガーだったのではないかっていうことなんですが、韓国料理だけじゃなくって、辛いタイ料理もブームになりました。
家で食べるんじゃなくって外食としての激辛ブームだったわけですね。
そんでもって第3次ブームは2000年代。
2003年に東ハトが出したスナック菓子「暴君ハバネロ」が激辛ブーム再燃に火をつけました。
ハバネロってなんやねん? って思ったのを覚えています。
意地悪そうなトウガラシのパッケージも印象的です。
東ハトは姉妹品として、2004年に「暴君ベビネロ」「麻辣仙人(マーラーセンニン)」
2007年に「大魔王ジョロキア」を次々に市場投入してますね。
このシリーズでトウガラシっていろんな種類があるんだなあって知りました。
からうまラーメン日本一で人気の蒙古タンメン中本が不動のポジションを得たのも2000年代でした。
中本の「北極」を1回だけ食べたことありますが、「ヒーヒーおじいちゃん」になりました。
2009年には、「辛そうで辛くない少し辛いラー油」っていうキャッチコピーで桃屋の「食べるラー油」が発売されて大ブームになりました。
家で食べるだけじゃなくって、居酒屋さんにも置かれていたりしました。今は店では見ませんけどね。
「ペヤング激辛やきそば」が出たのは2012年でした。
ペヤングの激辛は、中本の北極レベルで、ちょっとね、子供には危険レベルじゃないでしょうかね。
で、今、2019年辺りからが第4次ブームってことらしいんですね。
特徴的なものとして「マー活」っていうのがあります。
要は辛いものを食べる活動ってことなんでしょうけれど、しびれる辛さが第4次の主流らしいです。
「マー活」って調べてみるまで知りませんでしたが、「マー」っていうのは「麻」だそうです。
麻辣(マーラー)ってやつですね。
麻婆豆腐、山椒たっぷりの辛い、しびれる麻婆豆腐が主流。
これは「シビレ系」っていうらしいです。
これに対して「突き抜ける辛さ」を求める「ストロング系」っていうのもあるみたいです。
突き抜けちゃったら、なんだか、大丈夫なのか? って気もしますが、「花椒」だとか「コショウ」だとか辛さのバリエーションが特徴なんだそうです。
ストレス解消に激辛を求める。激辛ブームは30年以上続いているっていうことらしいんですが、30年も続いたら、それはもうブームとかいうんじゃなくって、日本人の食生活、食習慣が変わったんじゃないかって思いますが、どうなんでしょうね。
そもそも辛いものを食べて、汗を流してスッキリしようって思うのは、ストレスだけが原因なんでしょうか。
分かりませんね。
夏の暑い時期に辛いカレーっていうのをウリにしている外食店は昔からありましたね。
暑い沖縄には「コーレーグス」っていう、ラー油というか、辛い調味料があります。
トウガラシがギュウギュウに入っている瓶は、見た目だけでも充分辛いです。
島トウガラシを泡盛に漬けたもの。
その液体がコーレーグス。いやいや漬けてあったトウガラシこそがコーレーグス。
両方ともコーレーグスでイイんじゃないの。そですよね。って感じみたいです。
漢字で書くと「高麗胡椒」らしいんですが、トウガラシを胡椒って呼ぶのは、まあ、アリだった時代があるんでしょうね。
中本の激辛ラーメンは北極ですが、寒い地方の辛い食べもの、調味料って何でしょう。
サッポロ味噌ラーメンには七味が合いますけどねえ。あれもやっぱり風味で、辛さじゃないようにも思います。
日本人は冷えた身体を温めるための辛さっていうんじゃなくって、暑さ、ストレスのための辛さ、を求めているってことなんでしょうか。
コロナ明けには第4次激辛ブームのメダマになる食べもの、アイテムが出てくるかもです。
wakuwaku-nikopaku.hatenablog.com
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