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【パルミラのクレオパトラ】ちっとも有名じゃないかもしれない 絶世の美女

< 民主主義の危機っていう入り口から迷い込んで 巡り合った美女 ゼノビア >

おみゃあさんが知らないってだけだがや、って突っ込まれそうな話ではございますが。


久しぶりの宅呑みで、これまた久しぶりのネットサーフィン。
2022年の秋は、どんな世の中になっていますかねえ。


9月25日に行われたイタリアの総選挙。極右政党「イタリアの同胞(FDI)」が第一党になって、ジョルジャ・メローニ党首が、イタリア初の女性首相になるらしいですねえ。
へええ。これがヨーロッパの右傾化っていうニュースがワンサカ出てきていることの原因っぽいですね。
EUとしてのウクライナ支援に不協和音が起きかねないっていう心配もあるんだそうで、けっこう不穏な空気みたいです。


メローニさんについては、ちょっと遅れての情報収集だったんですが、イタリアってけっこう前から右傾化が懸念されていた国ですよね。
シルヴィオ・ベルルスコーニさん、なんて人もイタリアですよね。


コロナ禍の今はそんなに活発じゃないんでしょうけど、観光地として人気の国。


イタリアねえ。
ま、個人的にはイタリアへ行ったこともありませんし、行く予定も全然ないです。


イタリアといえば、って、行ったこともないオヤジが思い浮かべるのは本で読んだイメージぐらいしかないんですけど、最近では2018年に邦訳された世界的ベストセラー「ナポリの物語」の4部作ですねえ。
大著です。1冊ずつが600ページぐらい。

イイ本でしたよ。

 

 

 


それとあとは「パクスロマーナ」っていう言葉でしょうか。


「全ての道はローマに通ず」っていう意味で使っている向きもありますけど、「ローマによる平和」っていうことですよね。


21世紀になっても時々耳にする言葉ですけど、「パクスロマーナ」て言われるのは紀元前27年から西暦180年までの200年ちょっとの期間のことなんですよね。
200年っていう期間は決して短くないですけど、2000年近くも語り継がれる言葉になっているのって、考えてみると凄いことですね。


古代ローマ。世界帝国です。


歴史的に有名なクレオパトラ7世とアントニウスの連合軍を破ったオクタヴィアヌスアウグストゥスって名乗り替えて皇帝になってからの平和な日々が「パクスロマーナ」っていうことですね。
戦争が日常だった時代の「奇跡」とも言われています。


アウグストゥスジュリアス・シーザーの養子ですね。
それから200年余り、マルクス・アウレリウス・アントニヌスが死去するまでの期間が「パクスロマーナ」なわけですが、それ以外のローマはやっぱり戦争に明け暮れていたんでしょうね。


まあね、「パクスロマーナ」の期間の中にはカリグラ、ネロもいますし、暗殺されている皇帝や自害している皇帝も少なくないんですけどね。対外的にはヘーワ、ってことだったんでしょう。


「パクスロマーナ」が過ぎてしまうと、ローマ帝国には各地の反乱が相次いで、3世紀に入ると政治は「軍人皇帝時代」になります。


なんか、こういう「軍人皇帝時代」とか、世界史の授業でやったような気がしますよねえ、っていう遠い記憶。


およそ50年続いた「軍人皇帝時代」には、40人以上の皇帝が即位していますが、なんちゃって皇帝がいたり、即位してすぐに暗殺されたりして、ローマ帝国ゲルマン民族、ペルシアの侵攻を受けて分裂、混乱時代になったみたいです。
世界帝国ローマ、危機!


広い領土を持つと、いろいろ問題も起きてくるんですねえ。これは21世になっても変らないことなんでしょうか。


ゲルマン民族の侵攻に対抗していたローマ西方の属州が独立して「ガリア帝国」が建国されます。
ローマ帝国分裂。


ほぼ同時にペルシアの侵攻を防いでいたローマ東方の属州で提督を務めていたのが、オダエナトゥスっていう優れた軍人さん。


このオダエナトゥスの活躍の背景には「戦士女王」って呼ばれていた奥さんがいるんですね。
そのスーパー奥さんの名前が「ゼノビア


ローマ帝国衰亡史」っていう18世紀に書かれた本の中で、


ゼノビアの美貌は、自ら末裔であることを自称していたクレオパトラに劣ることなく、歯は真珠のように白く、大きな黒い両瞳は不思議な輝きに満ち、魅力的な甘美さがこれを和らげていた」


ってされているんですね。


歯の白さが語り伝えられているのって凄いですよね。
「顔の印象はね変わるの、歯、で」ってことでしょうか。
いや、そういうレベルの美貌じゃないんでしょうけどねえ。

 

 

 


ゼノビアはオダエナトゥスの2人目の奥さんだったらしいんですけど、自ら軍の先頭に立って指揮したっていう豪傑でもあって、おそらくは戦略家でもあったんでしょうね。


ペルシアの侵攻を防ぎながら、ローマ帝国の東方地域に覇を拡げていっている最中の267年、オダエナトゥスが暗殺されてしまいます。


するとゼノビアは10歳になる息子ウァバッラトゥスとの共同統治っていう形をとって、270年「パルミラ王国」としてローマから独立します。
ローマ帝国、さらに分裂。


ペルシアの侵攻を防いでいた夫のオダエナトゥスとは違って、ゼノビアは次々に軍事侵攻を進めてエジプト、トルコだとかを支配下に置いて「パルミラ王国」の繁栄を築きます。
その下地をオダエナトゥスが作っていたかもしれないにしても、電光石火です。


パルミラクレオパトラ」全盛期でしょうかね。
「オリエント世界で屈指の女傑」って言われた女王、ゼノビア


なんかスーパースターっぽいんですけど、初耳ですね。これまで聞いたことないです。
才色兼備の女傑、ゼノビア


ま、知っている人は知っているんでしょうけれど、例えばクレオパトラほどには有名じゃないですよね。


なんででしょ。


アカデミックじゃないところなんかで、伝説の美女って、取り上げられていてもおかしくないような気がします。


もちろん、パルミラ王国のあった現在のシリアでは有名なんでしょうけどね。
そです、パルミラ王国の拠点は現在のシリアなんです。


ローマ帝国は軍人皇帝時代最後の皇帝アウレリアヌスが、混乱、分裂していた国を再統一します。


271年、アウレリアヌスは西方のゲルマン主要民族の軍を破って、272年にはパルミラへ軍を向けます。
パルミラ王国の建国からわずか2年っていうタイミングです。


次々にパルミラ軍を撃ち破りながら進行するアウレリアヌス軍に、ゼノビアは本拠地パルミラに立て籠もって交戦しますが、ついに捕らえられてローマに連行されてしまいます。
273年のことです。


この時のゼノビアはまだ30代半ばぐらいじゃないかってされていますよ。


圧倒的な軍勢を誇ったローマ軍を率いてパルミラ軍と戦いながら、1年以上もなかなか勝利を得ることが出来なかったアウレリアヌスは、

 

「ただ、1人の女と戦っているだけなのに」

 

って揶揄されたそうなんですが、


「そうして私を侮辱するのは、ゼノビアの性格と実力を知らないからである」


って書き遺しているんだそうです。


パルミラクレオパトラ」美貌だけの女性じゃないんですねえ。カッコイイ!


でもまあ、ゼノビアが連れ去られてパルミラ王国は降伏します。


この頃のローマ軍は、侵攻した街は徹底的に破壊することを習慣にしていたそうなんですが、砂漠のオアシス国家パルミラはほぼ破壊せずにそのままにしたんですね。
中途半端な規模の街じゃなかったってことなんでしょう。
街作りにも才能を発揮していたゼノビア


パルミラの街は栄華を存続させたわけですが、アウレリアヌスの世界帝国運用政策に反発する気持ちが消えなかったっていうことなんでしょうけど、なんと274年、パルミラは反乱を起こします。


今度はゼノビアのいないパルミラです。ダメです。


アウレリアヌスは簡単に反乱を征して、パルミラの街を徹底的に破壊します。
この反乱の要因がパルミラ市民のゼノビア奪還作戦だったとしても、あえなく失敗したわけですね。
優れた指揮官がいなければ勝てないっていう、当たり前の真実。


ローマで裁判にかけられたゼノビアは、パルミラ軍の将軍たちの命と引き換えに自らの命を請うたってされています。
自分だけが助かった。


ただですね、こういった話は勝った側の言い分ですからね、美貌をうたわれた「オリエント世界で屈指の女傑」が、自分の意志でそんなことをするっていうのは考えにくいって思いますね。


判官びいきゼノビア女王のファンになっておりますとも。はい。

 

 

アウレリアヌスにしてみれば自分以外にヒロインとか出てきてもらったら困りますからね。美貌の戦争犯罪人をメいっぱい腐すでしょう。


実際にどうだったかは分かりませんけどね。


そういう歴史を作るのは、勝った側の常とう手段です。


パルミラを制したアウレリアヌスはすぐさま西方へ移動してガリア帝国もまた制して、再統一を成し遂げます。


その後のゼノビアは、その生死を含めて、ローマ貴族と結婚して無事に余生を過ごしたっていう説もあれば、奴隷に身に落とされて行方知れずになったとか、裁判後に処刑されたとか、定まった説はないみたいです。


徹底的に破壊されたっていうパルミラですが、街の中心だった「ベル神殿」はかろうじて残されていたそうなんですね。


セム人の神であるベル。月の神アグリボール、太陽神ヤルヒボールを祀った紀元前からの大神殿は、パルミラの遺跡として1980年に世界文化遺産に指定されていたんですが、21世紀、シリアの内乱の中で2013年に「世界危機遺産」になって、なんと、イスラム過激派組織によって2015年に爆破破戒されてしまったんだそうです。


民主主義の危機が叫ばれている昨今、アラブの春のあおりを受けて始まった感のあるシリア内戦。イスラム過激派組織ISISの台頭を呼び込んでしまって、世界遺産の破戒ってことにつながったんですねえ。


現在のシリア貨幣にはゼノビア肖像画が使われているものもあるんだそうです。

 

 

 


美貌の女傑、ゼノビア
ローマ帝国によって名誉を奪われた歴史的才能を持った女性だったかもですねえ。
いやあ、間違いなくそういうスーパーな女性だったことでしょう。


「魅力的な甘美さ」っていうんですから、艶っぽくて、色っぽい人だったんでしょうねえ。


スコッチのボトルが3分の1しか残っていませんねえ。ん~。買ってきたばっかりなのに~。
オリジンで買ってきた「エビとブロッコリーのサラダ」なかなか旨かったです。


パルミラクレオパトラゼノビアっていう短命な女王様を知った初秋の晩でした。