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【日本の雨】自然の中で生きていくということ 雨の名前に想いを寄せて

< 雨との付き合い方って 酸性雨だとかが出てきて変わったんでしょうか >

1933年に亡くなった詩人、童話作家の「宮沢賢治


1934年、東京、新宿で開催された「宮沢賢治友の会」の席上で、遺品の革トランクから取り出された手帳。
その中に書かれていた遺作のメモ。


雨ニモマケズ


風ニモマケズ


雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ


丈夫ナカラダヲモチ(中略)


宮沢賢治自身が完成作品として発表したものじゃなくって、遺品の中から見つかったメモってことなんですが、賢治の意志とは関係なく、「詩」として誰でも知っている代表作になっているって言えそうです。
厳しい暮らしの中でも、独立独歩の人でした。


サムサノナツハオロオロアルキ


ミンナニデクノボートヨバレ


ホメラレモセズ


クニモサレズ


サウイフモノニ


ワタシハナリタイ


っていうフレーズを記憶している人は少なくないでしょう。
全文を暗記している人もいますもんね。

 


農学校の教師でもあった宮沢賢治にとって「サムサノナツ」っていう冷夏は、「オロオロ」歩くしかないっていう敵わない自然だったんでしょうね。
まあそれは、寒さに強い植物種に改良してはいるものの、自然には敵いません。


賢治の頃から100年近くも経とうかという21世紀の現在でも、さして変わらない状況なのかもです。


農民としての宮沢賢治が遺したこの「詩」は、岩手県の農業事情というばかりではなく、人間と自然との闘いが、落ち着いた言葉で語られているように感じられます。
染みるものがあります。


雨ニモマケズ、という言葉はごく当たり前の人間と自然との対し方。
つまり雨というものは耐えなければならない自然作用である、という受け止め方をしているのではないでしょうか。


ただ、農業にとって雨の恵みっていうものも、なくてはならない自然現象であることも、また事実ですね。
龍神様を祀って「雨乞い」をする儀式は各地に言い伝えられています。


雨ニモマケズっていう「詩」に関しては論争があったりして、評価のいろいろあるところですが、実態をとらえ直してみれば、これは宮沢賢治が自身の作品として、完成品として発表したものではなくって、手帳に記されていた「メモ」であることを離れて、賢治自身の考え方にまで言及するっていうことはナンセンスだと思えますよ。


傘をさして雨を避けるようになったのは18世紀のイギリスからだとされていますが、それまでは、降って来たら濡れるものっていう、そういう雨との付き合い方だったってことですよね。


ねこが軒下に潜り込んで雨を避けたり、蝶が葉の裏側で羽をたたんでじっとしていたりするのは目にすることがありますけれど、他の動物たちは、じっと佇んで雨に濡れているのが普通なようです。
そりゃそうです、牧場の牛たちは傘なんて持っていません。

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雨傘の利用を始めたイギリスですが、実は雨が降ってきて傘をさしている人は多くないっていう話しも聞きます。
っていうか、ちょっとの雨で傘を差すのは日本特有の光景らしいんですね。

 


「春雨じゃ、濡れてまいろう」


っていうのは、新国劇月形半平太」の中のセリフですが、21世紀では風流というより「もの好き」「変わり者」っていう評価になってしまうでしょうかね。


世界的に工業化が進んだ結果として、大気中の硫黄酸化物、窒素酸化物を取り込みながら降ってくる「酸性雨」が問題となっていた時期もありましたが、最近はそういう報道もされなくなっています。
根本的に解決された問題なのかどうかは、なんだかうやむやな感じですよね。


気象庁では「雨の強さと降り方」について7段階に分けています。

 

「小雨」
数時間降り続いても1mm未満の雨。
傘をさしている人はほぼいないような降り方でしょうかね。


「弱い雨」
1時間あたり3mm未満の雨。
傘をさしている人もいればさしていない人もいるっていう程度でしょう。


やや強い雨
1時間あたり10mm以上20mm未満の雨。
雨の音で話し声が良く聞き取れないレベルっていうことなんですが、3mm以上10mm未満の雨については記述がないです。
弱い雨とやや強い雨の中間ですから、普通の雨ってことになるんでしょうかね。


強い雨
1時間あたり20mm以上30mm未満の雨。
土砂降りです。長く続くと危険なレベル。


「激しい雨」
1時間あたり30mm以上50mm未満の雨。
バケツをひっくり返したような、って表現されるレベルですね。
ここ数年、地球規模で増えてきている感じのヤバイやつ。


非常に激しい雨
1時間あたり50mm以上80mm未満の雨。
車でワイパーが全然追い付かないレベル。視界が効かないんで、どこかに停めて休んでおくべし。


「猛烈な雨」
1時間あたり80mm以上の雨。
このレベルになると、災害級ってやつですよね。土砂崩れとか、悲惨なことになります。


こうした気象庁が定めている雨の呼び方じゃなくって、昔から日本には雨の名前がたくさんありますよね。400以上もあるって言いますよ。


「時雨(しぐれ)」
不思議な名前です。そんな音の読み方は出来ない漢字表記ですよね。
急に降ってきて、ある程度続いて、サッと上がる雨。一時(いっとき)の雨だから時雨なんでしょうけれど、音声としては漢字表記の前からあったのかもですね。


にわか雨、通り雨、狐の嫁入り、お天気雨、肘かさ雨だとかもお仲間でしょうね。
肘かさ雨なんて表現、日本語ってイイなあって思います。
急に降ってきたんで、頭の上に腕をかざして、ばたばた走って家路を急ぐチョンマゲ頭の絵面が浮かびます。


「私雨(わたくしあめ)」
ほんの限られたエリアだけに降る雨を言うんだそうです。


芭蕉の俳句に、
「梅雨晴れの 私雨や 雲ちぎれ」
っていうのがあります。


村雨、村時雨、外待雨(ほまちあめ)っていうのも同じような雨でしょう。
外待雨なんて、自分のところじゃないけど、雨が降っているある地域、そこにいる人には待ち望んだ恵みの雨だっていうニュアンスがありそうです。


エリアが広くなれば「甘雨」「瑞雨」「慈雨」ってことになるんでしょう。
外国語にも同じようなニュアンスの雨を表す単語っていうのもあるんでしょうけど、日本語の表現には、自然との付き合い方として、なんとも日本的な響きが感じられて来ます。
雨と親しくできたら、鬱陶しくないし、豊かに過ごせるような気がします。

 


「淫雨(いんう)」
とかいう表現もあります。
やらずの雨のほうのニュアンスじゃなくて、度を越して長く降り続く雨のことだそうです。


「洒涙雨(さいるいう)」
七夕の雨。彦星と織姫が1年に1度の逢瀬を遂げて、別れた後の涙雨。
なんでしょうかね、この世界観。


「怪雨(かいう)」
これはもう、天から水じゃなくってオタマジャクシとか、ええ~!? っていうのが降ってくるヤツですね。


男梅雨(おとこつゆ)」「女梅雨(おんなつゆ)」
なんていうのも聞いたことありますね。


梅雨だから降るのは仕方ないとして、ザっと降って、カラッとあがるのが男梅雨。
しとしと、いつまでも降り続くのが女梅雨。
っていう表現なはずなんですが、どうでしょうかね、令和の日本では、どうも逆になりつつあるのかもしれませんよ。


降り方に性格を見るような雨の呼び方。


雨の名前をたくさん覚えると、イヤな気分にならずに、雨の名前に想いを寄せて雨と付き合えるかもなあって思います。


1時間あたり20mm未満でお願いしておきたいところではありますけどね。

 

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