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【肉じゃが】それはルー抜きのカレーなのか 和風シチューなのか

< 肉じゃがって言うようになったのは1970年代からって ホント? >

人気エッセイストの阿川佐和子さんの御父君、作家の阿川弘之さんの食べ物エッセイタイトルに「かいぐん」というのがあります。


近所に海軍の軍医だった人が医院を開業していて、いえいえ、森鴎外さんじゃないです。時代が違います。


その軍医の奥さんと、阿川弘之さんの奥さんが、買い物途中に出くわしたとき、から始まる話なんですが、阿川弘之さん自身、海軍大尉。で、元海軍大尉と元海軍軍医さんが同い年ということでのご近所付き合い、奥さん同士もなんとなく「オナカマ」的な感覚があるんだろうと思います。


そうでもなければ、後々、夫の商売ネタになるような話を、わざわざしないんじゃないかって思うんですが、それはまあ、大きなお世話ってことで、はい。


お買い物ですか? と訊ねる元海軍大尉夫人に、元海軍軍医夫人は、「はい、今晩「かいぐん」にしてくれというもんですから、肉屋まで」というような感じで応えるくだりがあります。


あ~ら、さようでございますか、ってな立ち話なんでしょうけれども、このエッセイのタイトルにもなっているキーワード「かいぐん」
なんなん?

 


ま、長女である佐和子さんから言わせれば、気難し屋だという元海軍大尉は、もったいぶるようなお人柄ではございませんで、「かいぐん」と称されるものは「肉じゃが」であることが、すぐ明かされます。


で、軍隊生活だとか、全く知らず、耳学問でしかない身からしてみますと、海軍っていえば「海軍カレー」っていうの、聞いたことあるなあ。ぐらいな印象しかないんですが、「肉じゃが」も海軍由来なんでしょうか。
日本海軍って、グルメ? 料理好きが集まってた?


肉じゃがの発祥っていうのを調べてみますと、出てきましたねえ。


肉じゃがを作ったのは、かの「東郷平八郎海軍大将閣下」なのであ~るという説。

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へええ~って思ったら、すぐに「それって、都市伝説です」なんだそうで、ふううん、です。


都市伝説っていうのは、


東郷平八郎閣下は1870年、明治3年から8年間、イギリスのポーツマスというところに留学していたそうです。
その時に知った「ビーフシチュー」がお気に入りで、日本に帰って来てから、海軍の艦上食として作らせてみたら、料理長がビーフシチューというものを知らなかったので、独自に和風に仕立て上げて、出来上がったのが「肉じゃが」なんですよおっていう話。


確かにね、ビーフシチューはイギリス発祥の人気メニュー。


ではあるのですが、東郷閣下が日本に戻って来たころには、既にビーフシチューは日本の巷に広まっていて、海軍の料理長がビーフシチューを知らないなんてことはあり得そうにない、ってことみたいです。


でもイイじゃんね。東郷平八郎が作ったっていってるのは「肉じゃが」なんであって「ビーフシチュー」って言ってるわけじゃないんだしね。


そだよねえ、っていうことでもないんでしょうけれど、東郷閣下が赴任した京都の舞鶴は1995年「肉じゃが発祥の地」を宣言していますよ。
タイミング的にずいぶん遅い宣言ですが、町おこしってやつなんでしょうね。


そしたらですね、いやいや東郷閣下は舞鶴に赴任する10年も前に参謀長として赴任しているのはこっちなんじゃけんね、ってことで広島の呉市も「肉じゃが発祥の地」って名乗りを上げています。


でも、ほら、なんせ肉じゃがですから、特に争うってことはなくって、お互いに「舞鶴、呉が肉じゃが発祥の地」ってことで認め合って、落ち着いているみたいです。


すごくイイ感じだと思います。舞鶴も呉も、仲良く肉じゃがやっていってください。


ただね、特徴はちゃんとあって、舞鶴の肉じゃがは、じゃがいもが「男爵イモ
そんでもって、呉の肉じゃがは「メークイン」なんだそうです。


そうですよね、家によって、店によって、両方あります。


煮崩れたじゃがいももイイし、形を残したじゃがいもも味わいたいってことで、両方の種類を煮込む店もあります。


でも最近、見なくなりましたね、肉じゃが。店ではね。前は当たり前のように大皿に盛ってありましたけれどね。


肉じゃがって、もともとは家庭料理っていう範疇なんでしょうか。


そういえばひと頃、意中のオトコを落とすには手料理として肉じゃがを作るのがイイ手、としてメディアで取り上げられていました。あれはどうなったんでしょうか。その後の首尾は聞きませんね。メディアも言いっ放し。


そもそもの話として、肉じゃがイノチっていうほど好きなオトコって、そんなに居ないんじゃないかって、そういう気もします。もちろん好きな料理ではあるけれど、それが一番ってことでもない。
肉じゃがって、そういう一品かもです。


みんな好きではあるけれど、一番好きな食べものとして肉じゃがをあげる人っていない。かもです。


きょうは「かいぐん」にしてくれってリクエストする元軍医さんに反対する気持ちは微塵もありませんが、肉じゃがと言わずに「かいぐん」っていうところが、一般的とは言えないノスタルジーなんじゃないかと。

 


ところで、肉じゃがとカレーとシチューって、材料ほぼ一緒ですよね。


ま、それぞれの種類によってそれぞれの工夫があって、バリエーションはたくさんあるわけですけれど。


カレーはインド発祥で、日本に伝わってきたのはイギリス経由らしいですよ。


ビーフシチューの発祥地イギリスにカレーが伝わって、イギリスでいわゆるヨーロッパ風のカレーになった時点で、出来たのがビーフカレーなんでしょうね。インドでビーフ食べないでしょ。


ビーフシチューとビーフカレーが兄弟みたいなもんだと言えるとすれば、肉じゃがの兄弟みたいな一品もあっておかしくない気がします。


味付けが決定的に日本風な肉じゃがに対して、ルーじゃない味付けのビーフとじゃがいもの料理。


で、調べてみたら、ありましたね。
アイリッシュシチュー」というアイルランドの煮込み料理です。


肉にマトンを使うってところが特徴ですが、味付けは塩、胡椒、そしてスープストックで煮込む料理。
スープストックは、その家、その店独自のダシってことになるんでしょうから、味付けのバリエーションは相当なもんでしょうね。アイルランドの「アイリッシュシチュー」


ま、酒のみとしてはアイリッシュウイスキーのファンですが、全然知らないですね、アイルランドのことって。


肉じゃがと違って甘さは全然ないんでしょうけれど、ルーじゃない、肉とじゃがいもの煮込み。
酒のアテとしても期待できそうで、どこか出している店を探してみようかと調査中、です。


こういう食べものとかを新たに知ると、ホント、コロナが恨めしいです。


ネットで探して写真を確認してみると、
「ちゃうやん、それ、ビーフシチューやん」
っていうのばっかりだったんですが、もうちょっとね、じっくり探してみれば見つかるかもです。


だいたいデミグラスを使っているんですね。なので、ビーフシチュー。


もちろん肉じゃがのしょう油ベースとは違うけれども、シンプルであろう「アイリッシュシチュー」食べてみたいですね。

 


アイルランドは、16世からのイギリス支配で、小麦は税として納めなければいけないので食料はじゃがいもがメインだった歴史が長かった国なんだそうですね。
じゃがいも料理、というかじゃがいもの食べ方にいろいろな工夫のある国。ってことになるんでしょう。


アイルランドのじゃがいもはルースターという種類が人気だそうなんですが、ホクホク系のじゃがいも。


アイリッシュシチュー」にはどんなじゃがいもが使われているのかっていうと、それは、各家庭ごとに違う、ってことみたいです。
なるほど、家庭料理なんですもんね。


スコットランドのスコッチも、その製法はアイルランドで開発されたものらしいですし、飲食に対する工夫はアイルランドの歴史的、伝統的なんだろうと思われます。
旨そうじゃないですか「アイリッシュシチュー」


あんまり甘い食べものは好きじゃない可能性もありますが、アイルランドの人に、日本の肉じゃが、どうでしょうね、人気出ますかね。


最後に、肉じゃがは、肉じゃがって呼ばれる前は「じゃがいも甘煮」「海軍甘煮」って言っていたって説があります。1970年代まで。


ホントかなあ。。。誰か、ご存じ???