ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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酒呑みの食いしん坊、メタボはイヤだけどガマンは嫌い。

【ウイスキーの錬水術師たち】その5 『ブレンデッド』ウイスキーの正体とその楽しみ方

ウイスキーの正体とは“時間”である と結論付けさせていただきますです>

「その4 熟成」からの続きです。

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10年もかけて熟成したんだから、もう、呑めますよね。っていうと、そうはいかないという話なんですね。


ウイスキー、なかなかヤッカイです。


二条大麦モルト、仕込み、発酵、蒸留、熟成。
麦、水、微生物、香り成分、樽由来成分。


いろんな要素を長い時間かけて育ててきて、ニューポットがウイスキー原酒として熟成完了したんです。


ところがこれで、そのまま呑んでいたのは昔の話。
今はブレンデッドがウイスキーの主流です。


原酒が完成してから、まだ続く工程があるんですねえ。


個別の樽の中で完成した原酒、モルトウイスキーどうしを錬水術師たちの感性によって混ぜ合わせるんだそうです。この工程をヴァッティングと呼ぶそうです。


モルトウイスキーどうしを混ぜ合わせるのはヴァッティングですが、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜ合わせるのがブレンディング。


ウイスキーとして満足できるレベルにするよう、混ぜ合わせる。あるいは、既存の銘柄に合わせてバッティング、あるいはブレンディングするってことですね。

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この時点で一番熟成期間の短いものが、何年物という表記の基準になっているそうです。


一番短い期間ですよ。
12年もの、18年ものとなると、いきなり値段が跳ね上がるのも分かるような気がしますね。


最も短い原酒が12年もの、一番若い原酒が18年ものってことですからね。


25年ものとかありますけれど、それが一番熟成期間の短いウイスキーってことになるわけで、蒸留所に置いてある樽の中で一番長いのってどれくらいの期間眠っているんでしょうね。


蒸発しちゃって樽の中スッカラカンってことは? まあ、ないんでしょうけれどね。


で、ヴァッティング、ブレンディングが終わった時点で原酒のアルコール度数はだいたい60度に落ち着くんだそうです。


ここに厳選した水を加えてアルコール度数を40%あたりに調整する。この工程はブレンドというそうです。


このバッティング、あるいはブレンディングとブレンドを経た状態でやっと、我々の馴染んでいるウイスキーの登場です。


やれやれ長い時間かかりました。やっと呑めますね。


と思ったら、まだオアズケだそうです。


一般に売られている度数調整の終わった状態のはずのウイスキーは、また樽に寝かされます。
また樽です。まだ寝ます。これを後熟というんだそうでございますよ。はい。


といっても今度はさすがに、3日ぐらい?


と思ったらですね、最低でも数か月、長ければ1年ほど、だそうなんでございますですよ。


よく寝るヤツなんですね、ホント、長いです。
ウイスキーの味が馴染むわけですよ。
というのが錬水術師たちの言い分。


混ぜ合わせた後、同じ樽に戻して後熟させる方法をマリッジ。


後熟専用の樽を用意して詰め替える方法をウッドフィニッシュというんだそうです。


最後までイロイロ、こだわりの伝統技術でやってくれているわけですね。


で、後熟が終わった、と錬水術師たちが判断したら、瓶詰して、販売。
やっと口にすることが出来るわけです。

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長いですね。とっても長い時間を吸収している液体だと思います。


しかしですね、いろいろ調べてみましたが、ウイスキー造りというものを調べ切った感覚が全然持てません。


なんでそうするのか、っていうのが、さっぱり分かりません。


どこにも書いていない。そういう記述にいきあたらないんですね。書籍でもネットでも。
探し方にもよるんだと思いますが、もしかすると錬水術師たちにも分かっていない部分が多い作業なのかもしれないなあ、と現段階では思ってしまいます。


錬水術そのものの奥義秘伝というのは“言葉じゃない”ってことなのかもしれないです。


なぜそうするのか、というと、実際のところ、分からない、という記述にはかなりの頻度で出会います。いろんな工程についてです。


今の段階で、ウイスキー造りなど全然外野の外の存在で、呑むだけの立場からはただ単に想像するしかできないことばかりです。


いったい、なぜ、こんなに長い期間熟成させるという方法を思いついたのか。
自分が仕込んだウイスキーを呑めずに天国へ、っていう錬水術師たちが少なからず居るっていう方法ですからね。


このことについては、気になる記述にいくつか出会いました。


昔はおそらく熟成などせずに、ニューポットの段階でウイスキーとして呑んでいただろう、という記述です。


麦汁を蒸留したらウイスキーの完成。


これはとても自然なことじゃないかなあ、と思いますね。
数か月で完成です。


ウイスキーを呑むシーンというのは、テレビや映画によく出てきます。


昔流行った西部劇なんかでは、カウンターにコインを置くと、小さなショットグラスに入ったウイスキーが出てきて、それをひと口にカッとおあって、手の甲で唇をぬぐいながら背中を向けて出て行く。


ガンマンね。

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そんなシーンが記憶にあります。


実際に経験したこともあります。ガンマんじゃななかったですけれどね。


六本木のスタンドバー。海外の人も多い場所です。というかスタンドバーとかになると、日本人の方が少ないです。


隣りに立った金髪グリーンアイの細身のオッサンが、


ボウモア、プリーズ」


カウンターの上にしわくちゃの千円札を3枚ほどポケットから出して、無造作に置きます。
バーテンダーは無口なタイプの日本人。


ショットグラスがオッサンの目の前にトンッと置かれて、琥珀色の液体が注がれます。計量とかしない店でした。


日本人のバーテンさんは千円札を一枚つまんで、300円のおつりを置きます。
カウンターには2枚の千円札と300円。


オッサンはクイッと一息でいきました。


唇を尖らせてフーッと息を吐いたかと思うと、


「ワンモア、プリーズ」


また注がれて、2枚目の千円札がつまみあげられて300円バック。
千円札1枚と百円玉6枚。


オッサンはまたクイッと一息に。


ちょっとの間、空になったショットグラスを睨んでいましたが、ポケットから100円玉を一枚出して、


「ワンモア、プリーズ」


注がれて、7枚の百円玉がごそっと持っていかれて、オッサンはクイッといきます。


「バイバイ、サンキュー」
「ありがとうございました」


10分も経っていなかったと思います。

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味わうとかじゃない呑み方を実際に見た最初の出来事でした。


そしてボウモアというスコッチに出会ったのもこの時だったのでした。


不思議にハッキリ聞き取れたんですね“ボウモア


六本木には最近行っていませんが、ボウモアは今でも700円ぐらいで呑めます。もうちょっとするかな? 1000円くらい?
シングルでこの値段ですから、けっこう高めのスコッチです。でも、まあ、呑めない金額でもないってところでしょうか。


金額はさておき、クイッとあおる、こういう呑み方って明らかに味わってはいないよね、と思うんであります。


いいや、喉で味わっているんだよ、という意見も聞きますが、関西人の言う“うどん”の食べ方の説明と同じで、理解できません。
分からないというより、同調できません。


そうする人を非難はしませんが、自分でやろうとは思いませんです。
っていうか、ちゃんと噛めよ“うどん”


ウイスキー、スコッチの話です。


なぜそういう呑み方をするのか、について想像してみますと、ウイスキーなんて酔っぱらうためのものであって、味わうような代物ではないと判断している、ということがあるのかもしれません。


それは習慣とさえいえるレベルで、根付いているのではないか。


西部劇の舞台になっている年代は19世紀半ばですが、その頃に造られていた、呑まれていたウイスキーはそういうものだった、というふうに考えられます。


酔って現実逃避するための液体。あるいは早急に身体を暖めるための液体。
ンまいわけじゃないんだから、味わいとか、ネっす!


で、いまだにその習慣を引き継いだ呑み方をしている人が西欧の人たちに見られる。


その結果が六本木の体験だったんだろうなあ、と捉えているわけです。


今現在のウイスキーはじっくりと味わえる嗜好品です。
ジャパニーズウイスキーに限らず、全てのウイスキーがそうだと思います。


西部劇時代のウイスキーが味わえるレベルではなかったとすれば、それが上述した、


“昔はおそらく熟成などせずに、ニューポットの段階でウイスキーとして呑んでいただろう”


という記述とつながります。


これが事実だったとすれば、つい最近まで熟成なんて方法でウイスキーを造ってはいなかったってことになります。
おそらくそうなんだろうと想像します。


だとすると、いつ、誰が、樽で熟成させる方法を考え、実行したのかという疑問が出てきますね。


これまた想像するしかできないんですが、なぜ樽を使ってウイスキーを熟成させることになったのか。


こういうことではないでしょうか。
妄想話です。


ウイスキーの樽には、バーボンのように新品の樽を使うように法律で定められている場合もあるそうですが、バーボン以外のウイスキーでは、すでに使われたことのある、中古の樽を使うことが一般的なようなんですね。


中古の樽はウイスキーを熟成させた樽であったり、シェリー酒の樽、ワインの樽など、他の酒類の樽を使用することも多いそうです。


ざっくり言ってしまえば、樽に入れるということ自体、特別な狙いや理由は無いんじゃないでしょうかね。


あるとき、ニューポットが大量に出来てしまった。


あるいは、災害などの原因で酒呑みたちが店に来なかったような事態が起きてしまって、ニューポットが大量に余ってしまった。


そのころのニューポットは大きな甕のような入れ物に溜め置きされているだけで、そのままでは蒸発も進んでしまうし、ダメになる。


店側として、それは初めてのことではなく、以前の経験は思い出したくもないほどの経済的ダメージを受けた。


環境が基に戻ってから、新たにニューポットを仕入れても、必ず売れる、酒呑みたちがやってきて呑んでくれる保証はない。


そこで、たまたま空いていたビールの樽。でなければシェリー酒の樽にニューポットをつっこんだ。
こうしたら、いくらか呑める期間が延びるのではないか。ぐらいの気持ちで。もったいないし。自分で呑んでもいいし。


その頃の、と言ってもいつのことだか分かりませんが、酒を呑む店というのは個人店だと思います。


酒の仕入れは店主の判断。
計画というより思い付き、みたいな店もあったんじゃないでしょうか。


どれだけのニューポットを格納する必要があって、どれだけの樽に入れたのか。そもそもすぐに客に提供できるような環境に樽を積んで置いたとは考えにくい気がします。


倉庫、納屋に積んである。というか転がしてある樽。


となると、やがていつもの日常が戻って、どんどん酒呑みたちがやってきて、ビール、ウイスキーを呑む。

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がんがん呑みます。


ビールもウイスキーも新たに仕入れて、どんどん呑ませます。


ああ、商売が戻ってきて良かったなあ。繁盛して良かったなあ。という日々が過ぎて、何かのタイミングで商品倉庫の整理。棚卸。


お、シェリー樽発見。
なんでこんなトコに置いたんだっけ?


あ、そうか、ウイスキー入れておいたんだった。もう何年も前だなあ。でももったいないし、三杯目ぐらいからなら出しても分からんだろう。あいつらなら。


商売になるなあ。酔っ払い相手なんだから。


と考えたかどうかは別にしまして、ま、毒にはなってないだろうってノリでテイスティング


してみたら、おんやまあ。


という感じで、ウイスキーって樽に入れて放っておくとンまくなるってことに気が付いた。


みたいなことから、熟成工程が加わった。ってことなんじゃないでしょうか。


偶然。うっかりから生まれたウイスキー造りの工程。


100年ちょっと前のこと。まだそれぐらいの歴史しかないんじゃないだろうか。熟成。


という、ある意味トンデモナイ妄想をさせていただきました。


まあ、どんな理由があるにしてもないにしても、ウイスキーを樽で熟成させるようになってから呑むようになってしあわせだなあと思う次第であります。


じっくりと、その琥珀色の液体に流れたはずの時間を思いながら、ウイスキーを呑むのは、有意義な過ごし方だと確信しております。


ンまいですよ、ウイスキー
ウイスキーの錬水術師たちに感謝です。

 

今回でウイスキーの話、ひとまず終わります。


最後までお付き合いくださいました方、ありがとうございました。


ボウモア、んまいです。口の奥から鼻に抜けるスモーキーフレーバー。スコットランドの“時間”ンまいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

 

ウイスキーの錬水術師たち>

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