ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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【ビール】なのに【燗ビール】 それは旨いのか 試したことないです 試す予定もないです

<ホットビールじゃない 缶ビールでもない 燗ビールって?>

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スーパードライって昭和62年、1987年に発売開始されたビールなんですが、令和の今でもなかなかの人気商品です。


スーパードライが登場する前は、店でも家でもビールといえばほぼキリンラガーでした。
そんなキリンラガー全盛のころの話なんですが、場所は新宿ゴールデン街
今や都心の観光スポットみたいな感じらしいですが、当時はごく普通の呑み屋街でした。ん~、普通でもなかったかもしれませんけれど。かなりユニークな一区画ではありました。


新宿に限らず、山手線の駅には、どの駅にも駅の周りには独自の呑み屋街がありました。
戦後の闇屋街からの発展、というのがどこにも共通した空気感だったように思います。
新宿、渋谷ばかりでなく、上野、池袋、五反田、蒲田、阿佐ヶ谷、赤羽、錦糸町、亀戸だとかね、それぞれ、個性的に賑わっておりましたね。

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新宿ゴールデン街に行きつけの店があったわけです。このころの酒呑みは、だいたい自分の行きつけというのがあったんじゃないかと思います。
まあ、たいていは一軒だけということはなく、何軒か、同じ地域だったり、全然離れた場所にだったり、色々でしょうけれどね。


ゴールデン街の店というのは、どこでもカウンターのみでとっても狭いのが特徴。10人座れるカウンターがあったら大型店、ってなもんでした。テーブル席や座敷どころか、小上がりのある店でさえ見たことがありませんでした。


そこに無理矢理20人ぐらい入っていることもありますし、ポツポツと2、3人ということもあります。ま、これはどこでも、今でも変わらないことでしょうけれどね。


その日は3人ばかりの顔見知りの客が、マスターと何やらケンケンガクガクとやっておりました。いつものことなんです、これは。
文学談義だったり、演劇談義だったり、そんなところが特色でしたですね。


そこへ、妙齢の女性が1人、なんだか静かに入ってきました。
「おー、久しぶり」
と迎えるマスターの反応からすると、初めての客じゃないようでした。と、
「マスター、いつものね、熱めにお関してちょうだい」
その女性はハスキーな声で言いました。
黒髪の長い人でした。横顔も覗けません。


ん? ここ日本酒って置いてたっけ、と思いながらも特に干渉することもなく、自分のグラスを傾けておりました。他の客も同様だったです。


マスターが行平鍋に水を浸して温め始めたところまではただなんとなく目の端に、その行動をとらえていたのですが、はあっ? と思ったのは、なんとその行平鍋に入れられたのはキリンラガーの大瓶だったからです。


栓を抜いて、大瓶を行平鍋の中へ。ビールの燗をする? どゆこと?
冷蔵庫で冷やしてある瓶ではなく、ケースに入ったままの常温のビールだったろうと思います。そうであって欲しいと思います。


この行動からすると、マスターは慣れている。慣れているまではいかないにしても、以前に経験している様子です。
え? ビール、燗すんの? というやり取りなしに、スムースに行平鍋に大瓶をトポンッ。
先客の三人は誰も何も言いません。というか言葉を呑んだ状態だったんだと思います。
マスターもその女性客に気を遣ってか、何も声を出さない。
シーン。。。

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店の中に居た総勢五人が、無言でただ紫煙を吐き出すだけの時間が過ぎて行きました。
先客の2人も初対面だったのかもです。
誰も声を出さない。


ビールって、燗しちゃったら、炭酸抜けちゃうよね。とか、そんなツッコミもなしです。
熱めに、というリクエストではありましたが、温まったかな、と思うレベルの時間で、ほんの3分程度で、その燗ビールは丁寧にお湯っ気を拭かれて、カウンターに置かれました。


で、先客達はそのあと、野球の話かなんかを、燗ビールの存在に気を遣いながら、落ち着いたトーンでやっておりましたです。私も野球の話に交じっていきましたが、盛り上がらない話題となりました。


その長い黒髪の女性は、仕事帰りなのか、これからご出勤なのか分かりませんでしたが、速いペースでコップに3杯ほど呑むと、支払いをして出て行きました。
あっという間だったような、かなり長い時間だったような。


ガツンと立て付けの悪いドアが閉まる音がすると、三人は顔を見合わせてから、マスターに問いかけました。
「普通のビール、お燗したの?」
「よく来る人?」
「なに、気の抜けたビールが好みってこと?」
わらわらと矢継ぎ早に繰り出される質問に、マスターは肩をすくめながら言いました。
「俺あ知らんよ。好みは人それぞれだからね」
3人ともふううん。黙って肯くしかないですね。そりゃそうだけど。。。
大瓶の中身は半分ぐらい残っていたようでした。


へええ、自分も試して……、とかは誰も思っていなかったと思います。
初めての顔だったとしても、割りに壁もなく、くだけた話の出来る空気感の店だったのですが、誰もその女性に話しかけませんでしたし、マスターも人それぞれ、とか真っ当なことを宣っているわりには、ひと言も声をかけませんでしたしね。
女性が帰ったあとも、静かな盛り上がらない夜になってしまいました。


で、ありきたりに時は流れ、そんな燗ビールのこともいつしか忘れてしまっていたある日、何の番組だったか忘れましたが、テレビで、インタビューに答える形で、クレイジーキャッツ谷啓さんが、ニコニコとこう言っていたのでした。


「その女の人はねえ、ビールをお関して呑むんだよ。びっくりしてさ。髪の長いきれいな人なんだけどね」
おおお!
髪の長い女の人はそこそこたくさんいるでしょうけれど、ビールを燗して呑む人、そんなにいるわけないですよね。
絶対同じ人、同一人物だろうと思ったわけです。

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谷啓さんがゴールデン街の同じ店に来ているという可能性もないではありませんが、一度も顔を合わせたことはないですから、テレビの話の場所は、どこかまた別の店なんだと思います。
色々なところで燗ビール、やってらしたんですねえ。好きだったんでしょうねえ。


で、先日そのことを急に思い出しまして調べてみましたら、なあんと、普通にあったのでした。
ホットビールというのがあったんですねえ。


ドイツ、ベルギー辺りで呑まれているそうです。尤も、スパイス、ドライフルーツ、砂糖だとかを入れて燗する、ということなので、その、普通のビールをそのまま燗する、という呑み方とは別物だと思いますけれど。


そりゃあ、ありますよ、他にもね、温かい酒。ホットウィスキー、ホットワイン
紅茶にブランデー、コーヒーにウィスキーだとかでは驚きませんし、日本酒を使った、オッサレーなのかもしれないオレンジサキニーとかね、好きかどうかは別にして驚きはしないです。呑んだことはないですけれどね。


この先も、ほええっ!っと驚くような呑み方に出会わないとも限りませんが、燗ビールほどの衝撃はあれ以降ありませんです。
あの髪の長い女性、お元気でおられるでしょうか。
どうでしょうか、ビール党の方、燗、やったことあります? やってみます?
いえいえ、決してお勧めはいたしませんです。

 

<味わうのにイイ場所>

なにせ燗したビールですからね、パーティブレーカーにならずに済むような場所、ということになるんじゃないでしょうか。


まあ、一人しか見たことがないので、何とも言えないところがありますが、何人か集まった場所で、
「瓶ビール、燗してね」
とか言うと初めての場合、他の人は引くと思いますからね。

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<アテとしてイイヤツ>

燗のつけかたとして、炭酸が飛んでしまわないレベルで、温かい、ということなんだと思いますので、乾きものが合うんでしょうかね。


ま、あまり燗ビールにチャレンジする人も多くないと思いますので、何でも、というか、燗ビール同様、好きにして! って感じですね。

 

<〆としてイイヤツ>

温かいビールを呑んだあと、なんかね、腹に食べ物を入れるというより、アイスクリームとかソフトクリームとか、そういう〆ってどうでしょうか。


ん? なんといいますか、まあ、納得できそうな〆とか思いつかないわけです。

 

<え? なにそれ? って呑み方出会ったことあります?>

日本酒とか、ワインとか、醸造酒の燗、というのは冬にはけっこう見たりします。
日本酒なんかは、燗したほうがンまい、という種類が確かにありますしね。


でも蒸留酒だと、燗するというより、お湯割りがせいぜいだと思います。
焼酎は夏でもお湯割りする人、いますからね。


甲類の焼酎にガリガリ君を突っ込んだ、ガリガリ君サワーも初めて見た時には衝撃でしたが、ま、納得は出来ます。むしろ初対面の客同士であっても話題にさえなったりします。
面白いねえ、というリアクションです。
燗ビール、面白くもなんともないです。


どうですか。何か、信じられないような呑み方のシチュエーション、経験してますか?
明るい日本に向けて、共有させいただければ、と思います。
あ、話せるレベルで、でイイですので、よろしくご教示ください。