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【メルケルさんの品位】リーダーの言動に求められる求心力

< ふと見まわしてみると 世界のリーダーたちに求心力のある人って 居なくない? >

それが何なのかはハッキリしないんだけれども、自分は確実に何かを失ってしまっていて、どうもバランスがおかしくて、不安の中でフラフラと生きている。


っていうような最初から最後までヘンな話。だけれども、どこか魅力的に感じてしまう小説。
日本にもそういう小説を書いている人は何人かいますよね。


その中で最もドライな不思議小説をいくつも発表している作家が「多和田葉子


1991年に群像新人賞を受賞した「かかとを失くして」でデビューしていますが、2001年にドイツの永住権を取得して、2006年からはベルリンに住んでいるんだそうです。


2020年には紫綬褒章を受章しています。


ドイツのことはあまり多くニュースになったりしませんので、どういう空気感の国なのか、多和田葉子という人がなんでドイツに魅入られたのか、想像もできません。

 

 

 


最近のドイツのニュースといえば、メルケルさんの政界引退でしょうかね。


2021年9月末で引退しているのかと思っていたんですが、10月30日、31日のG20ローマ・サミットに出席している姿が見られました。


あれ? って思ったんですが、岸田首相は衆院選挙があってオンライン参加。
G20自体、大きく取り上げられることもありませんでしたので、メルケルさんについて特に取り上げられることもなかったですね。


ドイツの選挙は9月に無事終了しているらしいんですが、単独として過半数を占めることができた政党がないので、連合政権としてどこの党と組むのかまだ決まっていない。
なので新しいドイツの首相がメルケルさんのまま、ってことなのかなあと思います。


新しい首相が決まれば、静かに引退っていう流れになるんでしょう。


G20に集った各国の代表たちの顔ぶれを改めて見てみますと、不遜な言い方になりますが、人間的な魅力、求心力を感じさせてくれる人ってメルケルさんぐらいしか見当たりませんよ。


ま、どの国の代表に対してもそんなに多くの情報を得ているわけじゃありませんので、そんな感じがするっていう程度の話ではありますけれどね。


メルケルさんもドイツ国内での人気に陰りがみえて引退ってことになったらしいんですが、16年間も首相の座に居た人ですね。
ドイツのリーダーというばかりじゃなくって、EUの顔、世界の顔でした。


アンゲラ・メルケル。1954年、西ドイツ生まれ。


2015年からの難民受け入れ政策が、難民たちの犯罪行為が原因でドイツ国内で批判にさらされて、引退を表明したんですよね。


ドイツは2015年までに150万人もの難民を積極的に受け入れていました。


祖国の悪政から逃れて難民となったアラブ、北アフリカ諸国の人々を、メルケルさんは「具体的に経済と社会に利益をもたらす。明日のためへのチャンスだ」と訴えていたんですが、2015年の大晦日から2016年の元旦にかけてハンブルク、北ドイツ、ケルンと各地で難民たちによる大規模な集団強盗、性的暴行事件という悲劇が起きてしまったんですね。


以前からイスラム難民の受け入れには強い抗議運動があったことや、難民の犯罪行為がドイツばかりじゃなくって、スウェーデンでも大規模に起きてしまっていることから、メルケルさんも失敗を認めざるを得なくなってしまったってことなんでしょうね。


東ドイツ出身で、物静かだけれど非常に優秀な物理学者、アンゲラ・メルケルは1989年に「ベルリンの壁崩壊」を経験しています。


壁の崩壊は東ドイツに多大な影響をもたらしたんでしょうね。
メルケルさんは東ドイツ科学アカデミーの職を辞して「民主主義の出発」っていう政党の結党メンバーに加わったそうです。


生き方を変えてしまうレベルのカルチャーショックがあったんだろうと思われます。

 

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アンペルマン

東西ドイツが統一された1990年には西ドイツCDU党から立候補して議員さんになります。


2000年には当時野党だったCDU党首に任命されて、2005年の総選挙でドイツ首相に就任。
この時、統一ドイツはイギリスと並んで、EUの経済的優等生になっています。


東ドイツで35歳までを暮らしたメルケルさんの西ドイツの生活を知ったときの経験が、難民受け入れに積極的になった気持ちのベースにあるだろうことは疑いないことのように思えます。


ただ、経済格差が大きかったとはいえ、東ドイツの人たちは西ドイツの人たちと同じドイツ人です。


イスラム難民とされる人たちの中にだって優秀な人はたくさん居るんでしょうけれど、EUとして、あるいはドイツとして受け入れがたい気持ちも大きかったんでしょうね。


差別っていうのとは違う感情。もしかすると差別意識と通底しているのかもしれない違和感。


難民受け入れに対する批判はドイツ国内の極右政党の台頭という形になって現れちゃって、メルケルさんの政党は急速に支持を失います。

 

 

 


2018年にはレームダック化と評されて、メルケルさんは2021年の任期限りでの引退を表明したんでしたね。


2019年には外国要人を迎える式典で全身が震える発作を3回も起こして、その様子が報道されました。
心労ってやつだったんでしょうね。


冷静沈着なんだろうメルケルさんでも、うまく行かないときは精神的にやられてしまうんですね。


ただ、2020年、新型コロナウイルスパンデミックを引き起こすと、先手先手の対策を実行して再評価されました。
そして、新型コロナウイルス感染症対策に関するテレビ演説は世界中から絶賛されました。


メルケルさんは、こう話しました。


「本日は、現下の状況における首相としての、また政府全体としての基本的考えをお伝えするため、このように通常とは異なる形で皆さんにお話をすることになりました。開かれた民主主義のもとでは、政治において下される決定の透明性を確保し、説明を尽くすことが必要です。私たちの取組について、できるだけ説得力ある形でその根拠を説明し、発信し、理解してもらえるようにするのです」


「本当に全ての市民の皆さんが、ご自身の課題と捉えてくだされば、この課題は必ずや克服できると私は固く信じています」


「ですから申し上げます。事態は深刻です。皆さんも深刻に捉えていただきたい。ドイツ統一、いや、第二次世界大戦以来、我が国における社会全体の結束した行動が、ここまで試された試練はありませんでした」


ドイツの首相であるメルケルさんは、こう言って、政治家としての態度を示して、この後には、科学者としての態度で、ワクチン、治療薬についての現状説明。生活制限の目的とその具体を話していました。


見事だったと思います。


政治は言葉であるっていうことの、実際の中身が示されたように思えました。


もちろんドイツ語なんて全然知りませんので、演説内容は後からネットで読みました。


ただ、実際の演説の映像は、言葉が分からなくたって、伝えようとする真摯な態度が充分に感じられましたね。


こんなに熱を込めて、だけれど冷静に、力強く、この人はどんなことを言っているんだろうって思って翻訳された演説内容を探して読んだんでした。


叩かれっぱなしの中でのドイツ首相としての「ノブレス・オブリージュ


リーダーとしてのドイツ国民に対する「エンパシー」


そして1人の女性としての「プリンシプル」を示していたように感じました。

 

 

 


「プリンシプル」っていうのは、ちょっとモラルに似たようなニュアンスもありますが、主義だとか、信条っていう意味だそうです。


戦後のGHQ占領下の中で、ダグラス・マッカーサーを怒鳴りつけたというエピソードを持つ日本の実業家「白洲次郎」は「プリンシプル」についてこんな話をしています。


「プリンシプルとは何と訳したらよいか知らない。原則とでもいうのか。……西洋人とつき合うには、すべての言動にプリンシプルがはっきりしていることは絶対に必要である。日本も明治維新前までの武士階級等は、総ての言動は本能的にプリンシプルによらなければならないという教育を徹底的にたたき込まれたものらしい」


白洲次郎という人はケンブリッジ大学を卒業して大学院までいった人で、イギリスの貴族社会とも親交のある、いわば英語の達人みたいな人ですが、その白洲次郎が「プリンシプルとは何と訳したらよいか知らない」って言っているってことは、明治時代以降の日本には無かった精神なのかもしれませんね。


少なくとも江戸時代にはあった、ということも言っています。


白洲次郎本人も「プリンシプル」なカッコイイ人だったそうですね。


メルケルさんがアメリカのトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領としっかり向き合っている姿は何回も報道されました。


そこにあるのは、メルケルさんのプリンシプルなんだろうと思います。そう思わされる態度です。


2014年に中国の習近平国家主席と会談したときにメルケルさんは、1735年の古地図を贈ったんだそうです。
その古地図には当時の中国「清」の領土が示されていて、そこには「ウイグル」「チベット」「内モンゴル」「南シナ海」「尖閣諸島」は、清朝の領域外であることが明記されています。


そういうことをやってくれちゃう人なんですね、メルケルさん。


で、ご存じ新華社通信が伝えた報道では、メルケルさんが贈った地図ではなく、別の、おそらくは中国の領土が明示されていない古地図になっていたっていう話もあります。


ドイツの新首相が誰になるのか分かりませんが、外国のことより、やっぱり日本ですよ、心配なのは。


日本の政治家でプリンシプルのある人。求心力のある言動が出来る人。誰?


よのなかってもんは、単純な方がヨござんすが、近ごろはねえ、ずいぶん難しくなりまして、やっかいなことでござんすよ。


プリンシプルなんてもんは、一朝一夕に身に就くもんでもねえんでしょうけどねえ。べらぼうめえ。。。


このところの東アジアって、なんだかきな臭い感じがしてきていますよねえ。


必要なんだと思いますよホントに。プリンシプルな人。日本に、世界に。

 

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