< まあね 店によって味が違いますし 両方出してくれる店もありますね >
治まった? いやいや安心できないでしょ。 ってな感じで2年連続の不穏な忘年会シーズンを迎える2021年の年の暮れでございます。
忘年会って無くってイイんじゃね!? っていう声が60%を超えていますっていうデータが報道されていたりするんですが、みなさんのところではどうですか?
ソーバーキュリアスとかね、酒離れが云々されている昨今ですが、無理に呑むことはないでしょ、っとは思いますね。
忘年会っていう名前のアルハラっていうのもありますし、ヤな奴と一緒の酒の席に座るのって苦痛ですもんね。
今回のコロナ禍の自粛っていうのを機会として、世の中的に考えた方がイイことなのかもしれません。忘年会の強制ね。
世の中の酒呑みたちも、仕事の付き合いとは言いながら、忘年会はパスしたいっていう人、実は少なくない気もします。
結局、忘年会をささっとこなして、地元に戻って来ていつもの呑み屋で大きなため息、っていうのは普通に見ることではありますからね。
お疲れ様でございます。
酒は呑まないわけじゃないけれど、店で呑むことってほぼ無いっていう人もいますよね。
宅呑み族。
時々呑みますっていう人もいますね。
ソーバーキュリアスっていう飲酒行動形態を選択している人には、そういう人も少なくないみたいです。
そうねえ、酔っ払いのコマッタチャンの相手なんて、ヤ、ですもんね。大きく賛同しますです。
ただですね、呑み屋さんに行かないと味わえないものっていうのも、少なくないっていう事実もあるように思いますよ。
ついこの前ね、アルコールが解禁になってちょっとした頃なんですが、ちっちゃな焼酎バーに中年夫婦がやってきまして、隣席に陣取りました。
夫婦でA4サイズの焼酎メニューをじっくりと見ていたんですが、旦那がふっと問いかけてきましたです。
「焼酎って初めてなんですけど、初心者が呑むのは何がいいですかね」
知らんがな! っていうかですね、初心者用の焼酎なんて、ある?
いつも何を呑んでいるのか聞いてみますと、
「ビールなんですよ。家で二人で缶ビールなんです」
店のオヤジが、すかさず、
「じゃ、とりあえずナマ、いっときますか。ナマ呑みながら考えましょ」
さっすが商売上手!
で、オヤジがいろいろ焼酎について説明を始めましたですね。
そりゃそうでしょ。店の人に聞く方が安心だと思いますね。
ナマを半分ぐらい呑んだ頃でしょうかね、今度は奥さんの方が、
「今、それ、何呑んでらっしゃるんですか」
いやあ、らっしゃるって程の人間じゃございませんですが、黒糖ですよ、って答えました。
焼酎好きなら知っているかと思いますが「れんと」でした。
黒糖の定番ですよね。ロックでいただいておりました。
オヤジが例のブルーの一升瓶を旦那の方に手渡しながら、
「これはね、音響熟成ってやつでね、ほら、ここに書いてあるでしょ」
「音響熟成?」
「クラシック音楽を聞かせながら熟成させてるんですよ」
「黒糖って、甘いんですか」
「ま、酒としての甘さはありますけどね、砂糖が入ってるわけじゃないですよ」
クラシックを聞きながら熟成ってところに反応したのは奥さんの方でした。
「いいわね、瓶もきれいだし」
で、また、水割りかソーダ割りか、お湯割りかとか、一通りオヤジからの説明を聞いてロックで呑むことにしたようなんでした。2人ともね。
他にも客は数人いたんですが、座っている場所として、お隣りさんみたいなポジションでしたので、その夫婦と少し話をしました。
話をするって言ってもですね、好奇心旺盛っていいますか、質問に答えるって形の会話になりました。
ま、別に悪い感じの夫婦じゃありませんでしたので、普通に話はできましたんですがね。
学生結婚らしいんですが、勤め先は別々で、お互いに外で呑むことはほぼしたことがなくって、家呑み専門。
酒のアテは乾き物か、スーパーかコンビニの総菜。
ま、それでも充分だとは思いますけどね。コンビニ総菜って、なめたもんじゃないです。
その焼酎バーは低温料理とか、肉料理がメインで、魚はやってないんですね。
で、話をしていくと、夫婦ともに刺身が好きで、アテでもご飯のおかずでもよく食べるらしいんでした。
ただ不満なのは、鰺の刺身が好物らしいんですけど、スーパーで売っている刺身に鯵があることって少ないってこと。
まあね、しっかりした大きさの鯵じゃないと刺身にしませんしね。
で、「なめろう」の話をしたんですね。
鯵の料理として代表的な食べ方だと思うですよ、なめろう。そしたらですね、
「なめろうってなんですか」
っとのことなんでした。
ほほう、そゆことですか。店呑みしてこなかった人には馴染みのない、知ることのない料理なんですかね。
旦那が埼玉、奥さんが東京、地元のカップルさんなんでしたが、なめろうなんて聞いたこともない。
鯵が好きなのに、もったいないことです。
他の席の客と話していた店のオヤジが割り込んできました。
「なめろう知らないなんて、珍しいね。うちはやってないけどね。黒糖はね、一番橋もあるよ」
この時には3人とも「加那」をやっていましたですね。30度の黒糖ですね。
一番橋は長雲の30度バージョン。両方とも黒糖の代表選手です。
焼酎初体験としてはなかなかいける口のご夫婦でしたが、みなさんは、なめろうって知ってますよね?
そういえばスーパーの総菜コーナーではなかなかお目にかかれる一品じゃないのかもなあ、って思いますけど、魚を扱っている居酒屋なら、たいていありますね。
ちっちゃい水槽に鯵を泳がせているチェーン店もありますしね。
旅館もやっているっていう地元の呑み屋さん。アテは魚介類のみ。
漁港近くの呑み屋さんって、なんだか雰囲気的に呑んだり食べたりする前から旨いです。
自前の漁船を出しているんで、とれたての魚ばっかりです。なので、メニューも日替わり。あるものしか出せませんよって店。
鯵の刺身をアテに呑んでいると、女将さんが勧めてきました。
「きょうの鯵はね、脂ノリすぎるぐらいだからね、なめろうがおいしいよ。食べてみる?」
大将が目の前で漁師の太い腕を器用に動かして三枚におろします。あっというまです。
ザクザクザクと粗みじん。
根ショウガと大葉、長ネギを、タンッタンッタンっと刻んで、鰺の粗みじんに乗っけたら、自家製だっていう味噌を落として、包丁の刃で叩いてこねて、こねて叩いて、タタタタッって素早い動き。
つみれ状になったらごま油を、たらっ。タタタタッ!
包丁1本で、よくそこまで刻めますねって出来上がり。
ほぼ鯵のパテですよね。
魚とは思えない粘り気が、そのまま旨さになっていますよ。
酒盗に負けない酒のアテです。
マチガイなく旨いです。
でもね、やっぱり味の決め手は新鮮な鯵ってことになるんでしょうね。都内の居酒屋さんでもなめろう、ありますけどね、南房総のなめろうと比べちゃいけませんですね。
ところがですね、南房総以外にも、なめろうの旨いトコがあったんでした。
南房総でなめろうを食べてから数年。友人のいる茅ケ崎へ行って呑みました。
その店も、自前で漁船を出して鯵をとってきて出すのがウリだそうで、メニューにちゃんとなめろうがありますね。
カウンターに陣取って、注文しました。
「どっちにします? 味噌としょう油」
んえ? しょう油? って聞くと、
「うちはしょう油がお勧め。別に船の上で作るってわけじゃないからね、しょう油がこぼれたりしないから」
はあ、そゆもんですか。で、しょう油のなめろうにチャレンジ。
あいよってんで湘南の大将もまた、見事な包丁さばきでした。
タタタタタッ! しょう油は何回かに別けて投入。タタタタタッ!
おおっ! しょう油なめろう、イイっすねえ。
で、個人的には南房総の味噌なめろう、茅ケ崎のしょう油なめろう、この2つこそがホンモノのなめろうな感じです。
その昔話をカウンターの夫婦にしたらですね、
「なんていうお店ですか?」
ん~、頭がイイもんでねエ、わ、忘れました。
でも、特定の店ってことじゃなくって、海辺の呑み屋さんへ行けば、間違いのないなめろうを食べられると思いますですね。
店呑みデビューの夫婦は、さっそく千葉県と神奈川県と、どっちへ先に行くか相談してましたです。
そですよ、どんどん外へ出て呑みに行くのって、イイと思いますよ。混んでない地元の呑み屋さんね。
ちなみに、なめろうには、貝殻に乗せて焼いちゃうっていう「さんが焼き」ってのもありますね。
罰当たりな旨さ、なめろうのお茶漬け「孫茶」っていうのもあります。
なめろうづくしで呑むのも一興ですよ。
なめろうを氷水にさらす、冷たいみそ汁もあるらしいですが、これは残念ながら未経験であります。
魚の食べ方の工夫。日本、エライッ!
wakuwaku-nikopaku.hatenablog.com