<麻婆茄子って日本のアレンジメニューらしいんだけれど 発祥はどこ? だれ?>
確かにね、今では普通に食べていますけれども、知らなかったメニューでした。
でも、
♪マーボと言ったら~、……豆腐でしょねえ。
みんなそうやって大きくなったですねえ。
とある町中華で「マーボナス」って書いてあるのを初めて見つけたとき、あ、なるほど、麻婆には豆腐ばかりじゃなくって茄子もあるんだねえ、とすんなり受け入れた記憶があります。
抵抗ないですもんね。
麻婆に茄子があっても。
その後、春雨というメニューも出てきて、その時には、あ、新しく工夫したメニューなんだなと、何故かそう思ったんですね。
麻婆茄子のときには、そういうメニューが中国に元々あって、それが日本に伝わって来て、ただ自分が知らなかっただけなんだろう、と感じたのに。
春雨のときには、これは日本独自に工夫したんだろうと思った、その理由は分かりません。
麻婆茄子を初めて食べたのがいつだったか。今ではもう記憶の彼方って感じですが、そんなに昔ではなかったように思います。
もう一回歌います。
♪マーボと言ったら~、丸美屋!
のテレビコマーシャル。耳に残るこのフレーズ。ロングランです。
この丸美屋の麻婆茄子の素が売りだされたのは1984年。
同じころに味の素からも麻婆茄子用としてクックドゥーが発売されていますが、こちらは読み方がマーボナスではなくて、マーボチェズ。
もしかするとですが、町中華より、このレトルト商品の方が早く麻婆茄子という存在を広めてくれたのかもしれません。
中国の魚香茄子、ユーシャンチェーズを日本独自にアレンジして作り出されたのが麻婆茄子なんだそうですが、それがいつのことなのか、誰が最初に、といったような詳細情報は調べられませんでした。
っていうかですね、いつ、だれが、ということについて、麻婆茄子に燗しては誰も興味がないのかなあ、と感じるくらいに、調べるきっかけすらつかめませんでした。
誰も気にしていない。
というか、私自身もそうなんですね。
よく行く町中華のメニューには“魚香茄子”と書いてある脇に“マーボナス”とふり仮名が振ってあったりするんですね。カッコつきでね。
なので今回調べてみるまで、麻婆茄子っていうのは日本語で、中国語では魚香茄子っていうんだと思っていました。
でもですね、今さらながら不思議といえば不思議なのは、その町中華には麻婆豆腐というメニューもあって、そのふり仮名はマーボトウフです。
つまり麻婆豆腐は中国語でも麻婆豆腐。
というより、中国語の麻婆豆腐という名前をそのまま日本語として使っている、ということなんでしょうけれど。
で、麻婆豆腐と同じと思われる味付けの茄子料理の名前は魚香茄子。
ん? 麻婆じゃないじゃん。
ってことなんですよ。
でまた、もう一つ。
魚香茄子って字に書いてみると不思議なのは、漢字の意味のまま解釈すれば“魚の香りの茄子”ってことですよね。
なんじゃそりゃ! って思います。
だって、麻婆茄子に魚入ってないし、魚の香りも感じたことないし、そもそも求める香りでもないですよね。
魚香って、なに?
と思って調べてみますとですね、その魚というのはフナなのでした。
フナ? 麻婆茄子でフナの香り? って思いますよね。
鮒寿司って食べたことある人も居ると思いますが、どうでしょ、フナの香り、記憶していますか?
おそらくほとんどないと思うんですね。
そもそもフナに限らず、香りの強い魚って寿司ネタにしないだろうし、もし香りが、というか匂いが強い魚だとすれば酢で強めにしめて、それを消す工夫をするという、そういう方向だろうと思うであります。
でも、魚香です。魚の香り。フナ。
その風味の調味料を泡辣椒、パオラージャオというんだそうです。
四川発祥、らしいです。
野菜を乳酸発酵させた汁に、トウガラシとフナを漬けておいて、そのトウガラシを細かく刻んだもの、なんだそうです。
野菜の乳酸発酵っていいますとですね、一般的には漬物です。
メンマだとか、ヨーグルトなんかも乳酸発酵食品ではありますが、要するに泡辣椒っていうのは、漬物樽の中に染み出してきている汁にトウガラシとフナを漬けこんでおいて、そのフナの方じゃなくって、トウガラシの方を調味料として使う、ってことになるんでしょうね。
中華料理の香辛料って、なんだか想像を絶する工夫がありますよね。
っていうか偶然出来ちゃった、のパターンかもしれませんが。
ま、なんにしても、さすが中国4千年の歴史。ってうと中国人は、違うよ中国5千年よ。って返してきますね。
ま、それは別の話としまして、フナはその後どうするんでしょうね。
乳酸発酵させている野菜はその後、何になっているんでしょうか。
いや、まあ、フナも野菜も麻婆茄子には直接関係ないってことのようでありますね。はい。
そのトウガラシにフナの香りが染み込んでいるんで、魚の香り。で泡辣椒。
それを調味料として作る料理が魚香茄子。
ということ。
たぶん、この魚香茄子って料理も日本に入って来てはいたんでしょう。
フナの香りがしていたのかどうか分かりませんけれど、そんなに人気が出なかったのかもしれません。
それで、日本独自の茄子料理にアレンジしたのが麻婆茄子。ってことなんでしょう。たぶん。知らんけど。。。
麻婆豆腐人気にあやかって、ということもあったかもしれませんね。
結果的に日本では魚香から麻婆になった。
町中華でも泡辣椒を使っている店もあるのかもしれませんが、名前は麻婆茄子、なんでしょうね。
で、さらに調べてみますとですね、今は中国でも泡辣椒を昔ながらの製法で作ってはいないらしいです。
単に塩漬けのトウガラシ、が、泡辣椒として流通しているんだそうです。でも乳酸菌発酵食品ではあるらしい。
たいていの町中華でも麻婆豆腐と麻婆茄子と両方メニューがあって、たぶんどっちも“麻婆”なんだと思います。
でもまあ、中にはあるのかもしれません。“本格”を主張している町中華。
麻婆豆腐と麻婆茄子は違うんだよという主張はですね、専門家じゃない、食べるのが専門の私なんかにとっては、たぶん判りえない違いだろうなあというレベルだったりしたのでした。
麻婆豆腐にはトウチが入るけれど、麻婆茄子には入らない。
トウチというのは、黒豆に塩や麹、酵母などを加え発酵させて作る中華調味料なんだそうで、ふううん、です。
麻婆豆腐には豚ひき肉、麻婆茄子には牛ひき肉だそうで、これは、へええ、そだったの? とは思いますが、ひき肉、たいていの店では合い挽きってやつでしょうし、そこにこだわりはないですねえ。ひき肉なんだし。
麻婆豆腐には砂糖、コショウ、酢が入るけど、麻婆茄子には入らない。
ん~。それって店によってってレベルじゃないのかなあ、って感じだったのでした。
結局ですねえ、本場の魚香茄子は食べたことないですが、麻婆豆腐と麻婆茄子って、豆腐と茄子の違い以外は、おそらく一緒って言っていいレベルなんじゃないでしょうか。
店によっての違いの方が、いろいろ言っている麻婆豆腐と麻婆茄子の違いより大きい感じ。なのでした。
感心したのは、中華調味料の種類の多さ。インド料理のスパイスの多さも有名ですけれど、中華調味料って、本来的な作り方をすれば、恐ろしく手間のかかっているものなんですねえ。
ンまいものには、ちゃんと、それなりのペーソスがあるってこと。恐れ入りました。
近くのそば屋さんに“マーボそば”ってのがあります。温かいそばです。で、豆腐じゃなくって茄子。
これ、味は悪くないんですけど、合わない、と思いましたです。
どういうセンスのアイディア?
“ホワイトシチューうどん”ってのもあります。こっちはですねえ、ハッキリ不味かったです。
どういうセンスの……、もうイイですね。はい。
<麻婆茄子の身体に旨い満足度>
茄子はその9割以上が水分なんだそうです。へええっと思いますが、要は、ダイエット向きの食品だってことですよね。
腹にはたまる感じだけれど、ほぼ水なんですから。
でもですね、ちゃんとあります。身体にイイ茄子の成分。
茄子の皮にはナスニンという、なんだか安直な感じの名前のポリフェノールが豊富で、抗酸化力があって、眼精疲労にも効くんだそうです。
イイ奴じゃん、ナスニン。です。
皮は剥かずにそのまま切って調理したいところです。
さらに茄子に豊富に含まれていることが知られているのがカリウム。
カリウムは身体の熱を外に逃がす効果があって夏バテ予防に効果が期待できます。
秋ナスは嫁に食わすな。というのも、妊婦の身体を冷やさないため、という説がありますもんね。
茄子は夏野菜。
でも嫁に食わさないのは秋ナス。なんでしょねえ? 分かりませんねえ。
<麻婆茄子の心に旨い満足度>
イチ富士、ニ鷹、サンなすび、って言いますよね。
富士は末広がり。鷹は上昇。で、茄子はテカテカと毛がないので、ケガをしない。
という説を聞いたことがありますけれど、ま、おめでたいと言いますか、縁起物と言いますか。茄子はニコニコ食べて心にうれしい食品なんでありますよ。
信じるか信じないかはあなた次第ですが、茄子です。
<麻婆茄子の酒のアテ満足度>
はい、これ、よくやります。麻婆豆腐もよくやります。
炭酸系に合うと思いますね。
ビール、ホッピーと相性、イイです。
トウガラシ系の辛さじゃなくって、山椒系のピリリっていうのがタマランです。
山椒系の辛さで出してくれる町中華、減ってきましたですねえ。とっても残念。
<麻婆茄子の酒の〆満足度>
そういえば麻婆豆腐丼っていうのは普通にありますけれど、麻婆茄子丼って、見ないかも、です。
〆として悪くはないと思いますがね。
やったこと、ないです。
<麻婆って、どんなバリエーションがイチオシですか?>
麻婆豆腐、麻婆茄子、麻婆春雨、の他に、麻婆うどんっていうのも食べたことあります。
ああね、という味でした。可もなく不可もなく。
珍しいところでは麻婆ザーサイ。
これはですねえ、どうもですねえ、なんともですねえ、という味でした。
土地によって、店によって、いろんな麻婆があるんだろうと思います。
どんな麻婆を食べたことありますか?
旨くても不味くても。