ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【ナポリタン】は喫茶店専属ジャンクメニューだった頃が旨かったのです

<昭和のナポリタンについて語っている人は すんごくたくさんいます>

エッセイなんかでナポリタンについて書かれているのを、読んだことのある人は多いことと思います。

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ナポリタン語り。


ホントこれまでにかなりの数になるのではないでしょうか。
書いているのはほとんど、壮年以上の人。だろうと思います。
なんでナポリタンについて書くか。それはノスタルジーなんだろうなあ、と思ってしまいますね。


懐かしい、郷愁感のある食べ物なんですね、ナポリタンというのは。あの頃のナポリタン、という“ないものねだり”の感情。


それはなぜかといいますと、いろいろ言われたり書かれたりしているナポリタンと、今、令和のナポリタンとは全くと言っていいほどベツモノだからです。


令和というか、平成あたりからでしょうかね。昔の、喫茶店ナポリタンは姿を消してしまいました。


ネットの世界ではナポリタン専門家? みたいなことになっている人も何人かいらっしゃるようですが、そういう人たちの書いているものを読みますと、


「ここのナポリタンは上品なんですよ」


とかいうことを言っていますね。
ちと反発。


ナポリタンはですね、上品な食べものじゃなくてイイんだと思っているのであります。
アルデンテとか、そういう正しさみたいなものが入って来なくてイイシロモノなんだと思うですねえ。
だって、ナポリタンだから。


その昔、喫茶店が盛んだったころの食べものメニュー。
軽食という呼び方をしていたんでありますが、トースト、カレー、スパゲッティというぐらいしか種類はなかったんですね。


スパゲッティのメニューといえば「ナポリタン」と「ミートソース」の2種類。
そうです、2種類だけだったです。


でも魅力的なメニューだったことは間違いありません。腹が膨れるという目的より、こじゃれた“軽食”をフォークで食べて、コーヒーを飲んじゃったりする。
なんかオットナーな雰囲気。

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バカっぽい気もしますが、そういうスタイルに対するあこがれといいますか、満足感があったのでした。
イイんですバカで。イイんです幼稚で。


茶店に入るということ自体、一種スリリングでさえあった時代。そういう時期。


♪大人の階段あがる~、って頃ですかね。


コーヒーだって飲みつけていないし、ナポリタンとか、なんだそれ状態。
みんな等しく知らないっていう、そういう時代があったんでありますよ。


銀の皿に盛られちゃったりなんかしてる、ふんにゃりしたスパゲッティが、明らかにサービス過剰に真っ赤に色付けされたケチャップに染められて出てきました。


紙ナプキンに巻かれたフォークが置かれます。
なんであれは巻いちゃうんでしょうかね。
巻かれた紙ナプキンをクルクル剥がすのって、いちいち面倒くさいよ、ということではあるんですが、そこがなんだか無意味にオトナな感じ、なのかなと納得してましたね。

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紙ナプキンという存在自体、不思議なシロモノだったです。


で、皿の脇に置かれるのは紙ナプキンに巻かれたフォークだけじゃなくて、ちっちゃなビンのタバスコと、みどり色の筒の粉チーズ。
この二つはどこの店でもだいたい同じ。


マキルヘニーのタバスコと、クラフトのパルメザン。
これは今でも変わらないですね。どこの店でもだいたい同じ。
初対面でしたよ。タバスコも粉チーズも。家に常備してある物ではなかったです。

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タバスコなんて、あんな小っちゃくて可愛いふりして、あんなにカライというのはビックリだったですね。


誰もがみんな同じように感じていたと思います。
“シッタカ”する人間が大発生しました。
かけすぎて、カラクなり過ぎて、ビックリするんですが、そんな素振りは見せませんね。はい。当然ですよ、自分、カライの大好きですから、ってなもんです。涙目です。


あの頃のナポリタンは食べ終わると皿にギットリと赤い油が残っていたものでした。
身体に悪そうな気配のする食べ物は、たいてい口にンまいのでありますよ。
当然、唇回りもドドメ色。


ナポリタンの具材は、玉ねぎ、ピーマンの細切りとウィンナーの輪切り。ウィンナーは赤い皮の、タコさんウィンナーを作る例のやつでしたね。
ま、店に、喫茶店に寄るでしょうけれどね。

 


ギトギトの赤い油で唇をテカテカにして、コーヒーカップや“おひや”のグラスにベタベタとくっ付けて、またビックリ。
でも、サイコーにンまかったのです。


あのナポリタンを出してくれていた個人経営の喫茶店は、2020年でほとんど消えてしまった感があります。
バブル崩壊で打撃を受けて、コーヒーのサードウェーブで押し退けられ、新型コロナで息の根を止められたということなのかもしれません。
お店も辛い、客側も辛い。


今はもう、あの懐かしい、油ギットンギットンの昭和ナポリタンにお目にかかることは期待できなくなってしまいました。
ま、しょうがない。んですかねえ。


戦後、アメリカとの通商条件によって、アメリカで余剰となった軟質小麦と油を大量に輸入していたそうで、その材料で日本人の栄養不足をなんとかしようという考えが政府方針。
その結果生まれたのが、日本発のナポリタンというのが実情のようです。
国策が生んだジャンクフード。

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軟質小麦と油を使った料理の普及を、当時の日本とアメリカが後押ししたことは充分に考えられます。
ナポリタンという結果までを想定はしていなかったでしょうけれども。


スパゲッティはアルデンテとは縁もゆかりもなくふんにゃりして、油ギトギトのナポリタンというメニューは、そうした背景から考えると、とても正しく作られた食べものだったのかもしれませんね。知らんけど。


国をあげて小麦と油を使ったメニューの浸透を推し進めたらしいです。


作り方講座、みたいなこともやっていたという記録もあるんです。
茶店でのメニューがナポリタンとミートソースの2種類だったのは、単に調理が簡単だったから、みたいなんですね。


大量に柔らかく茹で上げたスパゲッティを、大きな銀のボールに入れてサラダ油を回しかけ、ラップをして冷蔵庫へ。
注文を受けたら、ボールから取り出して、用意してある玉ねぎ、ピーマン、ウィンナーと一緒にフライパンで炒める。
ケチャップと油を加えて、ザッザッと炒めて、ハイ、出来上がり。
やっぱりね、喫茶店ナポリタンはやわやわじゃないといけません。アルデンテじゃダメです。


ところが今の喫茶店ナポリタンのメニューがあっても、色は薄いし、油は控えめだし、そもそもスパゲッティがアルデンテ。
注文を受けてから茹ではじめたりします。
ダメですねえ。いけませんですよ。


正しいスパゲッティはナポリタンにむかないです。


それにですねえ、フォークと一緒にスプーンも出されたりするんですが、スパゲッティが柔らかければ必要ないはずなんですよねえ。邪魔です。

 


今は専門店の“パンチョ”さんが、なんとなく昔と同じような作り方で、スパゲッティはしっかり茹で置きです。
昭和寄りのナポリタン。
ではあるんですが、どうもね、違うンまさになってしまっているんですねえ。


あの身体に悪そうなンまさはどこにもないんですねえ。


昭和のスパゲッティ発祥がどこの店で誰が最初に作ったのか、というのは諸説あるみたいです。
戦後の食糧事情だとかが絡んでいるみたいですから、東京、横浜に限らず日本全国、同時多発的に発生したんじゃないでしょうかねえ。


昔のナポリタン。自分で作ればイイじゃん。ということになるんですが、ダメでしたねえ。おそらく油とかケチャップとか、当時の業務用の、あの身体に悪そうな色合いとか油っぽさって、今の日本には無いんだと思います。


想い出の中でのことですが、あのケチャップ、赤が異常に強かったばかりでなく、ちょっと甘すぎるくらいの味だったかもですねえ。
ま、ケチャップ単体の甘さなのか、砂糖を入れてたのかは、はい、分かりませんですが。

 

ナポリタンの身体に旨い満足度>

昭和のナポリタンは望むべくもない、ということで、今のナポリタンはだいたい健康的なんだと思います。
店のナポリタンでも、家ナポリタンでも。


パプリカ、ブロッコリー、魚肉ソーセージのナポリタンは免疫力アップにイイそうです。


好みの茹で加減で、油少な目で炒めて、ボナペティート。です。
自分で作る分には、具材のバリエーション、思いのままですしね。

 

ナポリタンの心に旨い満足度>

わりと近くの個人でやっていた喫茶店が、コロナで閉じてしまいましてショックであります。リアルに。


ギトギト系じゃないナポリタンを出してくれていたんですが、今ではそれすら望めないものになってしまいました。
昭和ナポリタン。探し回ろうにも、あまりウロウロできませんもんねえ。


心にンまいナポリタンは自分でチャレンジするしかないんでしょうかねえ。

 


“昔ながらのナポリタン”って幟を立てていた喫茶店をずいぶん歩き回ったもんですが、近いんだけど違うなあ、という繰り返し。
でもそれすら、ねえ。


心にンまいナポリタンは記憶の中にしかなくなってしまったんでしょうかねえ。

 

ナポリタンの酒のアテ満足度>

炭酸系にはいけますよね。たぶん。
食中酒としてのビールとかシャンパンとか。


やっぱりドギツイ系のナポリタンがイイんですけどねえ、個人的には。
でもギンギラのナポリタンはじっくり呑むときには合わないかもですね。


ワイワイやってるときに、大皿から取り分けてっていうのは似合いそうな気もしますが、取り分けるときにビュンビュン飛びそう。あの赤い油。

 

ナポリタンの酒の〆満足度>

今の店のナポリタンは、どこのも、〆としてはパサパサし過ぎている感じがしますけれど、どうでしょうかね。


そういえば居酒屋のメニューにはナイかもですねえ、ナポリタン。
庄やには“イタリアン新潟”ってのがあります。でもあれは“焼きそば”だったですね。

 

<昭和ナポリタン どこかでやってます?>

パンチョさん以上に昭和なナポリタン。ありますかね。


やっているお店をご存じの方、ぜひ教えてくださ~い。