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【おでん】の歴史 ほんわか面白いおでん売りの口上 【コンビニおでん】はどうなるの?

<おでんの販売事情 2021年はどう変化する 夏のおでんはどこへいく 季節感は戻るのか>

おでんといいますと、嫌い、とハッキリ言う人は居ないんじゃないでしょうか。でもまあ、特には好きでもない、と答える人が多いような感じがします。


え? いや、おでん好きだけど。

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とはいうものの、嫌いなタネについては妥協できない。つまり食べないタネがある。
あるいは、嫌いという程でもないけれど、選んで食べることはないというタネ。そういうのがある、のではないでしょうか。


で、当然ながら反対に、好きなおでんタネってものがある、ですよね。


昭和の人なら誰でも知っている「おそ松くん」


あのチビ太のおでんのタネは、なんでしょう?
3つありました。


おそ松くんの連載はマンガ週刊誌だったと記憶しています。その中で作者の赤塚不二夫さんが、読者の質問に答えるという形で、チビ太のおでんについて明らかにしていました。


それは、上から三角のコンニャク、丸いガンモ、横刺ししたナルトなんだそうです。

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コンニャク、ガンモは分かるとして、一番下の、あの長いヤツ。あれってナルトだということなんですが、ナルト、おでんで食べたことないですねえ。


串刺ししたおでんじゃなくって、おでん鍋から選ぶお店のおでんとか、家で食べるおでん鍋とか、ナルトがタネに入っていた記憶がありません。
どうでしょう。おでんナルト、食べたことあります?


天才、赤塚不二夫は酒好きでも有名な人でしたからね、この雑誌でのインタビューのときヘロヘロだった可能性もあるような気がします。
そうするとですね、あの、輪切りにすればギザギザになるであろう輪郭からして「ちくわぶ」が正解なのではないかと思っているのでありますよ。邪推の部類ですけれどね。


ナルトもギザギザですけれど、おでんタネとしてのスタンダードということを考えれば、ちくわぶ。充分あり得るんじゃないでしょうか。


作者がナルトって言っているにもかかわらずですね、チビ太のおでんの一番下のタネはちくわぶで~す、と主張したいのでありました。


ま、おでんのタネとしてナルトが不適切、と考えているわけでは決してありませんですけれどね。
おでんのちくわぶであれば、1本食べられそうですが、ナルト1本はちとキツイです。と思うのであります。

 


さて、おでんのタネは星の数。


好きなおでんタネのランキングは、まあ、いろいろな媒体で発表されている中で、どこでも1位だったのは「ダイコン」ですね。
イイっすよねえ、おでんのダイコン。

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ジャクッと噛んで、ジュワッと薄味のだしが口の中に入ってくる。ンまいです。
ダイコンの食べ方としてベストかもしれませんね。冬の寒さの中でアツアツのおでんダイコン。最強ですね。


第2位は「たまご」で落ち着いています。


だしとカラシ。固ゆでのたまごの黄身。小気味イイ白身の噛み応え。口に入れることによって絡まり合う旨味。サイコーですね。
半熟がイイ、などとコンビニの店員さんを困らせてはいけません。
おでんのたまごは、しっかりハードボイルド。これしかありませんです。


ハードボイルドだけど歯が悪い人だっていける。これがおでんたまご、ンまい頃合いのゆで加減ですよね。白身が薄っすらだし色の。


で、好きなおでんのネタの3位以降は発表されているランキング種類ごとにばらばらです。


「ちくわ」「はんぺん」「巾着」「こんにゃく」「がんも」などがあげられています。
人気下位の方に目を向けますと「厚揚げ」「焼き豆腐」があげられています。


好みはばらばらだということですね。イイことではないでしょうか。ちゃんと好みを持つことは重要なことのように思います。


おでんの歴史を調べてみますと、そもそものおでんって豆腐だったらしいんですね。


「田楽」っていうのがおでんの始まりだということを聞いたことのある人も、けっこういると思います。味噌田楽ですね。

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豆腐百珍」という有名な本がありますね。


1782年発行の「豆腐百珍」に江戸名物として「直方体の豆腐を串に刺したものを焼いてから味噌を付けて食べる」と載っているそうです。
ただ、この豆腐の味噌田楽は豆腐百珍の出た天明の頃より前、寛永の頃、17世紀半ばにはあったみたいです。


しかし凄いですね。400年も食べ続けられている。


豆腐の味噌田楽が流行ってすぐ、豆腐の代わりにコンニャクを使った味噌田楽が流行り始める。


流行り始めのコンニャクおでんは、それまでの豆腐田楽の流れで、焼いていたみたいですが、すぐに煮込んだものになったそうです。


この時から田楽はおでんと呼ばれるようになったというんですが、なんでしょうね、これ。
味噌田楽というのが正式名称で、それを短く言ったのが田楽。


で、気の短いことが特徴と言われている江戸っ子だもんですから、さらに短くして、でん。それじゃあ愛想もコソもないってんで、接頭語の、お、を付けて、おでんってことなんでしょうか。


現在の我々にとって、味噌田楽といったらコンニャク、だと思うんですが、このあたりは土地によって違うのかもしれません。


それにしても焼いたコンニャクって、フライパンのある時代でもありませんし、炭火で焼いていたんですかねえ。


江戸で煮込みおでんが流行っても、関西では相変わらず焼いていた。
それで、煮込み式のおでんを「関東炊き」というようになった。らしいです。


これはそのまま納得できます。カントウダキ、ではなく、カントダキというのがホントっとか説明しているのも見ましたけれど、そこはどっちでもイイかな、と思います。


でもこの説明をどうしても言いたい関西のオヤヂっていうのが少なくないんですね。
それは何が目的かというと、


「カント炊きというのは偉い食べもンでっせ。なんせ哲学者のカントさんがこしらえた……」


つ、つまらん、です。

 


ま、今では関西でもおでんといえば煮込んだものですよね。


誰が考え出したものか、それは全然分かっていないようですが、流行り始めは屋台売り、棒手振りが主。
関西ではそのおでん棒手振りの口上というのが伝わっていますね。


「もうし、おでんさん」
「お前の出生はどこじゃいな」
「わたしの出生は常陸の国」
「水戸様のご領分 中山育ち」
「故郷の中山 出るときは」
「藁のべべ着て 縄の帯締めて」
「別嬪さんのおでんさんになろうとて」
「朝から晩まで湯に入り」
「ちょっと化粧して串刺して」
「甘いお味噌のべべを着る」
「おでんさんの身請けは銭次第」
「おでん あつあつ~」


というんだそうです。


面白おかしく声を張り上げて客を呼ぶ。大道芸に通ずるものがありますよね。こうして文字で見ただけでもしっかり感じ取れます。


もうし、と呼びかけられているおでんさん本人は、タネとして何だったんでしょう。
甘い味噌を付けて売られるらしいですから、豆腐かコンニャクなんでしょうね。そういうおでんだった頃の口上。


で、その出生は常陸の国、というんですから現在の茨城県辺りってことになります。
ではありますが、コンニャクの名産といえば上州、今の群馬県ということになります。
もちろん今の県境がそのまま当時の国境ってことにはならないんでしょうけれどね。
それに茨城産のコンニャクもちゃんとあります。


もうしという呼びかけに応えているおでんさん本人は、茨城産の豆腐、ってことになりますかね。


茨城県が特におでんを名物にしているという話は聞きませんが、豆腐はどうでしょう。
ちと調べてみたところでは、茨城名産に豆腐は入っていませんね。


でもあれです。水戸出身だって言ってますからね。水戸は納豆です。これはもう押しも押されもせぬ茨城名物。日本を代表する納豆の名産地。
納豆は大豆です。豆腐も大豆。


なぜかは分かりませんが、納豆は有名になって今に伝わっているけれど、豆腐は他の土地に評判を奪われてしまった、ということかもしれないです。


豆腐といえば京都の豆腐は評判ですよね。
でも、江戸の昔は、常陸の大豆を使った豆腐が評判だったのかも、ですねえ。
ナゾばっかです。


まあね、おでん売りが一人だけってことはないわけで、人によって口上に違いはあるんでしょうけれど、売り口上というのは、なんとも懐かしい、古き良き日本の風情みたいなものが感じられて、好いなあと思います。


音源として残っていないんでしょうかね。


口上の魅力は文言の発声といいますか、歌い方にありますからね。
棒手振り、屋台からだいぶ時代が進んで、店を構えたおでん屋さんが出てくるのは、明治になってからみたいです。


平成の初めのころまでは、車ばかりでなく、リヤカーのおでん屋台っていうのも、けっこう駅前に出ていたりしました。
衛生上の問題なのか、交通規制の問題なのか、路上販売はすっかり姿を消しました。おでんに限らずですね。


店を構えているおでん屋さんも、このコロナ禍では大変でしょうね。
たまに行っていたおでん屋さんの女将が言ってました。


「もう閉めるよ。ダメだよ。コロナもそうなんだけどね、あれだよ、今はコンビニでやってるだろ。あれが応えてるんだよ。あれからどうも、いけないね。時代だよ」


寂しい話を聞いてから、もう1年以上になります。どうしてるかなあ。

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コンビニでおでんを売り始めたのは、1979年のセブンイレブンが最初で、好評だったもんで、次の年にはどこのコンビニでもやり始めたってことらしいです。


確かにね、コンビニの店内におでんの匂いが充満していましたね。つい最近までは夏でもやってました。


店舗のおでん屋さんはコンビニおでんに追いやられた部分があるみたいですが、そのコンビニのおでんも、安泰の時期は終わりを迎えたみたいです。
煮込みすぎちゃうと売り物にならないってことで、廃棄が多い。売り上げ効率がよろしくないってことなんでしょう。


いつも行くコンビニのおばちゃんは、冬場になると毎日、売れ残ったおでんで晩飯ですよって言ってました。


で、食品ロスを減らしましょうって世界的な流れを、コンビニも気にしないといけなくなって、どうしようか考えていたところへコロナがやってきて、2020年の冬辺りからおでんはどんどん消え始めてますね。
パック売りとかしてます。でもニンキ無いみたい。


コンビニからおでんが消えていくと、店舗のおでん屋さんが喜ぶようになりそうな気もするんですが、どうなるでしょうか。


客足が戻ってくる前に、ってことになってしまうのかもしれません。

 


こうしておでん一つに絞って考えてみても、我々庶民と食との関係って、いろいろ変化して来たんだなあって思いますが、コロナが終息した近い将来に2020年、2021年を振り返ってみると、今という時期は食文化の大きな変化の分岐点になっているのかもしれませんね。


おでん自体に変化はないだろうと思いますが、その売り方。我々の買い方、食べ方みたいなものが大きく変わっていく。
良し悪しではなく、変わってしまう。


夏のおでんは、まあ、元々微妙な感じがしていましたですが、どうなっていくんでございましょうか。
好い方向に向かって欲しいものです。


ま、一般消費者と呼ばれる我々としては、誰かの工夫を黙って見守るしかないのかもしれませんけれど。