< 全然関係性の無いものなのか 同じ考えの違う現われ方なのか >
まずもって感じるのは、新しく出てくる概念っていいますか、世の中の動きって、ほとんどカタカナだなあってことです。英語ですよね。
金融業界の護送船団方式とか、生産現場での看板方式とかいう日本語が盛んに言われていた時期もありましたが、今はもう遠い昔、ってことになるんでしょうかね。
とにかく英語で表現するのがトレンドだっていうことなのか、そもそもの発想が英語圏から出てきているからなのか。
あるいはそういうことじゃなくって、グローバルな社会っていう中で、一番使われている言語で表現することによって、まさにグローバルな浸透を目指すからなのか、分かりません。
そんなことにこだわるような考え方が、グローバルに沿っていないってことなのかもですけどね。
全く別の方向から考えてみますと、コンピュータっていう存在が否応なく生活の中に入り込んで、特別な道具として使う段階から、今では暮らしのコアになったっていうこともあるのかもしれません。
1バイト文化ってやつです。
「オープンシェア」っていうのは「革命」っていう言葉をくっ付けられて報道されています。
「トレバー・バウアー」っていうアスリート。2022年時点ではロサンゼルス・ドジャース に所属しているメジャーリーグのピッチャーですが、なかなかユニークな行動で知られているみたいですね。
試合途中に降板を告げられて憤慨。マウンドからバックスクリーンへの大遠投をしてみせたり、女性に対する暴行問題で出場停止処分を受けている最中だったりっていうお騒がせな部分もあるんですが、このバウアーの練習方法がオープンシェアの始まりらしいんですね。
それによって野球界に革命が起きているってことなんです。
1991年生まれでUCLA出身のバウアーは、デジタルネイティブ世代で、何の違和感もなくいろんなデジタル機器を使いこなせるんだろうと思います。
他のピッチャーの決め球をハイスピードカメラで撮影。
リリースする瞬間をしっかり把握して、そのリリースしたボールはどういう軌跡を描いてキャッチャーに届いたかを分析する。
ボールの縫い目に指はかかっているのか、いないのか。
かかっているとすれば、どういうかかりかたなのか。
ボールが指を離れてから、指はどう動いているのか。細かくコマカク分析する。
「ピッチングデザイン」っていう手法を確立したんですね。
アメリカでは「ピッチデザイン」って呼ばれているらしいその方法を完全に理解しているわけじゃないんですけど、なんとなく出来上がったっていうものじゃないでしょうね。ハッキリとした狙いがあって、そもそもの目的意識がプロフェッショナルだってことがいえるんじゃないでしょうか。
バウアー自身は自分のことを「オタク」って表現しているっていう話もあってですね、他のピッチャーの決め球の秘密を探り当てるだけじゃなくって、それを自分で確実にコピーするんですね。
自分のピッチングも撮影して、リリースポイントとボールの軌跡を検証する。
最初からうまくいかないにしても、どこが違うのかを分析する。原因と結果の分析。
違っている部分を修正して、また投げてみて結果を分析する。
そして、他のピッチャーの決め球をコピーして、自分のものにする。
修正ポイントのパラメータなんて無限にありそうですけど、そこはそれ、バウアー自身も、元々メジャーリーグのピッチャーですかからね、才能のある人なわけです。
そしてこのバウアーの革新的なところは、そのだんだんコピーが完成していく過程を公表しているってことなんですね。
これを「オープンシェア」「オープンシェア革命」っていうみたいです。
バウアーは2020年にメジャーリーグのサイ・ヤング賞、最優秀投手賞を受賞しています。
コピーされたピッチャーの気持ちは、楽しいものではないでしょうし、コピーに成功したとしてもそれを公開するっていうことはバウアー投手としても、自分の優位性を保てませんよね。
それなのに、なんで「オープンシェア」にするのか。
それは、全ピッチャーの技術が上がれば、それに対応してバッターの技術も上がる。そうなることによってメジャーリーグ全体が成長して、スリリングなゲームをファンに提供できることになる。
実際、ホームランの理想的な打ち方っていうのが発表されたりしていますもんね。
アスリートの運動自体がデータ化されて、分析される。
そのことによって本人も気付いていないようなプレーのヒミツが明らかになる。
プレーヤーはプレーする前に考えるようになる。
プレーの幅が広がる。あるいはレべルが上がる。
「オープンシェア」のホントの狙いはそこにあるわけですね。
これまでの独占するっていう当たり前の発想とは真逆の行動です。
そして「オープンシェア」は孤立した妙なアイディアじゃなくって、同調するアスリートが次々に現れます。
多彩な変化球でメージャーリーグの中でもトップクラスのピッチャーである「ダルビッシュ有」が、自分の変化球のヒミツを公開していることは、日本でも大きく取り上げられました。
駅伝の常勝軍団を作り上げたことで、一躍時の人になった青山学院大学の陸上部監督「原晋」は、出版という形で独自の陸上選手育成方法を公開していますね。
アスリートにとっての技術をシェアして、それをオープンにする。
そのことによって、そのジャンルのベースレベルが上がって、その中で勝つためには、また独自の工夫が必要になって、全く新たな次元に入る。
「オープンシェア」は、そういう「革命」なんですね。
スポーツの感動を、新たな段階に引き上げて、それを持続していく工夫。凄いアイディアですし、実行している人やグループが一定数いるわけですから、「革命」は既に始まっているってことなんでしょうね。
で、たぶんおそらく「オープンシェア」っていうアイディアのきっかけになったのかも、って思えるのが「シェアリングエコノミー」です。
経済活動のシェアリングが言われるようになったのは、2000年代前半ぐらいからでしょうか。
「シェアリングエコノミー」の目的はいろいろですが、経済活動を発展させるっていう方向より、無理せずに維持していこうっていう考え方に傾いているかもしれません。
人口減少や、経済格差に対して、国っていう単位の施策に頼るんじゃなくって、主に個人レベルで経済的負担を軽減して社会活動を維持していくための工夫っていう感じがします。
移動手段として「ウーバー」っていうのが話題になりましたね。
タクシーっていう移動手段を提供する専門企業と、実際に移動するっていうサービスを享受する個人、っていうこれまでのスタイルから、移動のサービスを提供する側も享受する側も、その時だけの個人同士っていうシステム。
犯罪のリスクが高すぎるっていう懸念もありましたが、コロナ禍になって、ウーバーイーツっていう、移動手段でではなく配達サービスっていう形で一気に市民権を得ましたよね。
最近のパーキングでは「カーシェアリング」の看板が目立つようになりました。
共有するっていう意味でのシェアリングですが、「ニュークリアシェアリング」なんていう悲しい共有も取り沙汰されて、ニュースになりましたよね。
その他にもいろんな「シェアリングエコノミー」が名乗りを上げていて、社会生活を送る個人こじんの負担、負荷を減らすためのアイディアですから、日本ばかりじゃなくって世界的にまだまだこれから広がっていきそうな感じですね。
物品のシェア。オフィスなんかのスペースのシェア。クラウドファンディングにみられる資産のシェア。
そして、家事や育児、専門知識っていうスキルのシェア。
個人対個人、C2Cって言いながら、サービスを提供する側は会社形態にならざるを得ないところもあって、結局B2Cじゃんね、っていう批判もあるようですが、その経営自体もスキルシェアになっていく可能性もありますね。
何が正解っていう形が見えている段階ではないって言えそうな「シェアリングエコノミー」なんですが、日本ではデジタル庁が政策として「シェアリングエコノミーの推進」っていうのを発表しています。
「シェアリングエコノミーは、あらゆる遊休資産の活用を促進し、国民一人ひとりが多様なニーズに合う選択をすることができる社会、自然災害や感染症等の非常事態に対してもレジリエントな社会、持続過剰な循環型社会等の実現に貢献することが期待されます」
ってことでですね、相変わらず持って回った言い方です。
なんで、わざわざここで「レジリエント」なんて言い回しをするんでしょうか。回復力のある、とか、柔らかな対応の出来るとか、そういう日本語の方が通じるんじゃないでしょうかね。
ま、イイんですけど。
で、このページの中で紹介されているものに「シェアリングシティ推進協議会」っていうのがあります。
「シェアリングエコノミー活用による地域課題解決を目指し、シェアリングシティ推進協議会が、令和2年7月に設立されました」
ふううん、知らなかったです。
シェアリングシティに取り組んでいる自治体は、一応47都道府県全部に渡っていますが、日本の市町村数は2022年時点で「792市」「743町」「183村」で、1718市町村らしいんですが、その中の139みたいです。
例えば東京都では、港区、日野市、清瀬市、豊島区、品川区、渋谷区の6つだけです。
まあ、シェアリングシティってナニモノなの? っていう段階でもあるでしょうから、これからの取り組みなんでしょうね。
デジタル庁が率先しているってことなのかどうか、よく分かりませんが、様々なマッチングを実現するためのインフラ整備に期待される役割は大きいですよね。
ん~、デジタル庁、大丈夫なんすか? レジリエント?