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【考えてから書くか、書きながら考えるか】散文の書き方を考える その1

< 決まりなんかないんですけど いろんなパターンがあるようでございますよ >

ブログ記事、小説、シナリオ、エッセイ。
散文を書く、書き続けるっていうことに対して、いろいろ考えてみたいと思います。いろいろと。


どういう形式のものであっても、ある1つの散文を書き上げる、そして書き続けるっていうのは、かなりシンドイ行為ですよね。


散文を書き上げる方法、書き続けるスタイル。
今回は、自分はどういうタイプなのか、そこを考えていきたいと思います。


2012年に亡くなった、作家の藤本義一さんという人を記憶している方も多いと思います。


上方落語家の半生を描いた「鬼の詩」で第71回直木賞を受賞していますね。


関西の方々は、ダウンタウン明石家さんまのデビュー当時に対する批判的な絡みで記憶している方も少なくないらしいですね。
辛辣な言葉で知られた関西お笑い界のご意見番、みたいなポジションでしたからね。


でもまあ、たいていの日本のオトナにとっては、伝説的な番組「11PM」の笑わない司会者としての方が馴染みのあった人なんじゃないでしょうか。けっこう人気のある人でしたよ。

 

 

 


そのテレビの中での発言だったのか、何かの雑誌で読んだのか、記憶がはっきりしていないのですが、藤本儀一さんの言葉で印象に残っているものがあります。


人間のタイプには6つある。というものです。


★思考のみタイプ


★行動のみタイプ


★思考先行タイプ


★行動先行タイプ


★思考・行動同時タイプ


★思考なし・行動なしタイプ


最後の、思考なし・行動なしタイプっていうのは、これはもうタイプというか何というか、ですけどね。


藤本義一さんのメディアでの発言は、えてしてこういった言い切り型のものが多かったように思いますが、この人間のタイプ分析はなかなか面白くって、記憶に残っています。


どのタイプが正解で、どのタイプが間違っているといった発言趣旨ではなかったと思います。
単純に、人間ってこういうタイプに分かれるよね、っていうニュアンスで受け止めた内容の話です。


散文を書き上げようとしている時、自分はどのタイプにあたるか、面白いと思います。


「★思考のみタイプ」っていうのは、考えるだけで行動しないタイプですね。実はけっこう多いタイプなのかもしれません。


ふっと、アイディアが浮かびます。
こういう話って面白いな。このエピソードは面白い話になりそうだな。小説にしてみようかな。エッセイの方がイイかな。


書き出しはこうしようか。ラストはこんな感じかな。と頭の中ではぐるぐる考えてみるものの、実際には書かない。書き始めない。思考のみです。


いや、書こうという思いはホンモノだし、真剣に考えているのは事実なんだけどね、っていう人。
でも、行動までには至らない、書かないんです。


ブログ記事を書く、小説を書く、シナリオを書く、エッセイを書くっていう行為の第一段階で止まってしまう。


だって、実際に書くのは面倒くさいもん。
なのかもしれません。

 

 

でも思い切って第一歩目を踏み出せば、案外、化ける可能性はあるんじゃないかと思いますけどね。


「★行動のみタイプ」っていうのは、考える前にとにかく動く、行動する、書く。


でも結局考えない。行動しながらも、行動した後でも考えないタイプ。これはさすがに少ないでしょうねえ。


とにかくブログ記事を書き始める。小説を書き始める。シナリオを書き始める。エッセイを書き始める。


書き始めた散文が最後までいっていないとしても、投稿する、賞に応募する、仲間に見せる。
なんなの、これ? というマトモな反応が返ってきたとしても、その反応に対して特に気にするふうもなく、また次の散文へ。


このタイプの人で、ブログ記事、エッセイに限らず、小説でもシナリオでも完成させている、とにかく最後まで書き上げている、という人であれば、むしろ天才肌って言えるタイプの可能性はあるかも、です。


最後まで書きあげるっていうのは大変な作業ですもんね。


なあ~んも考えずに最後まで書きあげちゃうって、ある意味、凄いことだと思います。


でも、まあ、自分で書いたものに対する自分自身の判断もないので、たいていの場合、書くという行為を続ける中では、作品が完成までには至らないっていうパターンの方が多いようにも思います。


自分自身を含めて読者の存在を意識していないっていう大きな欠陥。ここを意識できれば一気にしっかりした作品を書けちゃうようになるのかもですけどね。


「★思考先行タイプ」このタイプがオーソドックス、でしょうかね。


小説のプロット、シナリオの箱書き、散文のアイディアメモなど、書き始める前にきちんと準備する。
書く前に考える。


このタイプでも、うまくいかなくなってしまうパターンがありそうです。


公式、つまり様々あるメソッドに、あまりにも忠実に事を運ぼうとしてしまうことじゃないでしょうか。


世の中に出回っているメソッドはいい加減なことばかり並べているものもありますが、大抵は、そのメソッドを発表している著者自身が経験から導き出した順当な方法ですよね。
大いに参考にするのが良いと思います。


ですが、メソッドというのはあくまでもツールとして認識すべきなんでしょうね。


ある1つのメソッドを妄信して、何がなんでもその方法に従わなくてはって、思わない方がヨサゲです。
他人の方法に従うんじゃなくって、自分のアタマで考える。


作成したプロットに従って書き進める小説に破綻は無いかもしれませんが、本当の意味での創作のインスピレーションが伴わないものに終わってしまいかねないように思います。


組み立てた箱書き通りに書き上げたシナリオに、想定していた主人公の魅力が描かれているでしょうか。はみ出すパワーこそ主人公に求めたいところですよね。


主人公に限らず、登場人物たちが自ら動き出すように書くべき、っていう格言があります。
これはメソッドにもならないほどの短い言葉ですが、自ら身に付けるしかない最上最良の手法なんでしょうね。
難しいでしょうけど。


作品の登場人物たちが、それぞれの個性を発揮して動き出すように感じながら書き進める。


登場人物たちがプロットからどんどんはみだして動き出す小説。箱書きの段階では思いもよらなかったシーンに、登場人物たちが勢いよく飛び込んでいくシナリオ。


想定外。それでイイんじゃないでしょうか。それが好いでしょ。ってことですよね。


プロット、箱書きの段階で止まってしまっている思考先行型の人。


無理にメソッドにあてはめようとせず、今回の物語はそのメソッドの番外編と考えて、もう少しねばってみるのがイイんじゃないでしょうか。


とりあえずの完了状態をもって、自分で書いたブログ記事、小説に、シナリオに突っ込んでみるのもテです。


いくつもある先人たちの知恵、創作方法のメソッドは、いくつもの中から自分に合ったものを拝借して、いくつものメソッドから取捨選択して、オリジナルなメソッドを築き上げるのが最良の方法なんだろうって思います。


創作の本意は、プロットや箱書き、下書きにあるわけじゃないですよね。
考えるべきことはその先まだまだあるでしょうから、段階を進めましょう。パラダイムを変えましょう。

 

 

 


「★行動先行タイプ」このタイプは、大きく二つに分かれそうです。


1つはプロット、箱書きといった段階を踏んで、とにかく創作を前に進めていくタイプ。もう1つは、この前段階なしにいきなり本編を書き進めていくタイプです。


行動先行タイプの人は、何よりも勢いが大事。
プロットに箱書きに、あるいは本編に、ガリガリと突っ込んで完成させます。


これは思考先行タイプの人からするとなんともうらやましい実行力なのですが、思考が後から伴うわけですから、陥りやすいのが、読み返してみて、あ、こりゃダメダってことで、また別の作品に取り掛かるというパターンじゃないでしょうか。


ガリガリ書いて、プロットや箱書きを完了させて本編に進んでも、行動原理は同じで、あ、こりゃ無理だ、完成しない。で、別の作品。


書き上げることが出来ているのならば、このパターンでも問題ナシ、って言えるかもしれないんですが「読むチカラ」がキーポイントになりそうですね。
自分の書いたものを自分で読んで、これはイケテナイと受け止められる読むチカラ。


最初の読者である自分自身の感性を信じて、オッシ、これはイケテルと判断できれば、その作品は本物と言えるでしょう。


何故イケテナイと判断するのか。それを考える場合にこそメソッドが役に立つのかもしれません。


自分が納得できる、自分に合っていると思えるメソッドを見つけることが重要。
そのメソッドに合わせるんじゃなくって、他人の、プロの考え方を、その一部であっても、書き上げるプロセスに取り入れるっていうのがイイんでしょうねえ。


さて、「★思考・行動同時タイプ」です。


ここであげた6つのタイプの中では人数的に最も多いんじゃないかって思います。


たいていの人がそうですよね。書いては考え、考えながら書き進める。


手書き時代の長かった人は、消しゴムの消費量が凄くて、文房具屋さんに行くと5つ6つまとめて買うのが普通だったっていう話も聞きます。


でも今は、バックスペースキーかデリートキーで簡単に消せるんだから、どんどん間違ったことでも書いてみりゃあいいんだよ、とか言う声もあります。


まあ、リライト、書き直しに関してはそうなんでしょうけれど、書けなくなるときの対処は、手書きでもパソコンでも変わらないかもですけどね。


手書きの場合、書き始める前に頭の中できっちり文章を組み立てて、さらに推敲までしていた可能性はあると思います。頭の中でです。


そうして充分に考えたうえで書き始める。それでも、消しゴムでゴシゴシ、という結果に。
キーボードになったからといって考えなしに書き散らして、書き直しが増えたかというと、どうでしょう。


考えながら書いているわけですからね。変わらないかもです。


実際に書いてみないと見えてこない事、具体的に書いてみなければ頭の中の思いを表現出来ている文章になっているのかどうか分かりません。
文字の見た目、というのもあるのかもしれませんしね。


書いたからこそ分かること、っていうのがあるのは事実だと思います。


でもまあ、今自分で書いたばかりの文章を読んで、なんか違うな、という違和感、物足りなさが書き直しの主な要因になって、満足できる完成度に近づいていけるのかもです。


書き直そうと思って、ドンピシャな言葉を探して、何冊かの辞書をひっくり返しながらあーだこーだやっているうちに、そこに書こうとしていたものが何だったのか、なぜ自分はこだわっていたのか、ぼんやりしてしまうということもありがちではあります。


書き上げるっていうのは、難しいんですよね。


プロットや箱書きの段階では、そんなに気にする必要はないだろうという考え方もありますし、間違ってはいないと思うのですが、準備段階であっても確固とした言葉を選び出して書いておくことは、本編を書き始めてからの進捗に大きな影響があるんだろうなあって気もします。


ブログ記事、小説、シナリオ、エッセイなどの散文は文字によって何事かを他人に伝えるものです。
言葉によって、ある1つの世界を描くものです。


大事なのは、柔らかい鉛筆や、お気に入りの日本語インプットシステムじゃなくって、やはり我々のアタマの中にある言葉自体であり、その言葉によるコミュニケーション、読者と共有できるリテラシーの認識なんじゃないでしょうか。


4番目の思考先行タイプにも通じることですが、先のことは何も考えずに書き始める、と公言している作家さんもいます。


全部の作品をそのスタイルで書き上げているのではないでしょうけれども、どうなっていくのか楽しみながら書きました、とか言っているわけです。

本当のことでしょうし、我々でも、何も考えずに書き始めて完成までいける可能性はあるのかもですけどね。


主人公の創り方なんでしょうかね。主人公創りに成功していて、書き手から独立した個性を与えられた主人公が、あるいは別人である主人公になりきった書き手が、自分の思いに従って次の行動を決めていく。


意志を持った登場人物。勝手に動き始めるんですよ、というのはこういうことなんでしょうね。
ランニング・ハイならぬ、ライティング・ハイとでもいった幸せな状態。なのかもです。


宇宙から降りて来るらしいインスピレーションとやらを、上手く掴まえた結果なのかもしれません。
そういうのを経験出来たら最上でしょうね。


でも、こうした恩恵にあずかれるのは、短編、長編をいくつもこなした経験のあるベテラン、プロフェッショナルに限られるでしょ、っていう気もします。


初心者には出来ません、などとは言い切れませんが、独りよがりに陥らないよう、勝手に動き始めた登場人物たちに強く言い聞かせる腕力が必要だろうと思います。


6番目の「★思考なし・行動なし」のタイプ。


ん~、このタイプの人って、そもそも何かを書こうと思っていないのではないでしょうか。
藤本義一さんがこのタイプをあげたのには、どういう意図があったか分かりません。


悪口としては成立しそうですが、こういう人って居ませんよね。散文を書こうとする人にはね。


でも、こういうタイプが悟りに一番近い人、なんでしょうか。周りでこの6番目のタイプの人を見かけたら、じっくり観察してみませう。

 

 

 


でも、あくまでもその世界観に獲り込まれてしまわないよう、気をつけてくださいね。
とにかく、書き始めて、書き上げる。


そうじゃないと意味が無いんですけど、それがねえ、難しいんですよねえ。

 

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