ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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【雨宿り】歌詞のようなことは何もありませんでしたが 雨を観察できました

< 降る雨をただじっと見てるって 時間の過ごし方としては悪くなかった気がします >

朝、車で東京西部郊外の府中市へ出かけました。臨時の仕事。でも時々行く場所。


前夜のラジオニュースでは、お天気おじさんが、明日は突然の雷雨に注意が必要です、と言っていました。
その朝のカーラジオでも、お天気お姉さんが、きょうの東京は突然の雷雨に警戒してくださいって言っていたんですね。


警戒ったってねえ、何をどう警戒すればいいんでしょかねえ、ってオチャラケ気分で聞いていました。


雲の多い空模様でしたが、西の方には青空も顔をのぞかせていて降りそうな気配は無かったのでした。朝の8時半ごろのことでした。


ちょろっと仕事して、早めのお昼に歩いて外へ出ました。
曇り空ではありましたが、明るかったです。手ぶらでマスクです。

 


少し離れた蕎麦屋さんを目指してオフィス街を離れる方向へ、10分ぐらいも歩いて往きますと、畑が目立つような住宅地に入って来ました。静かな昼です。


地元の神社境内が掃き清められています。ちょっとだけ回り道で入っていっています。


結界の中の鎮守の森は、だいたいどこの神社でも一種独特の静寂を感じさせてくれるものですが、夏です。蝉時雨です。周りのあらゆる音を消してしまう、途切れの無い蝉の声。
染み入るような岩はありません。けれども、耳の機能が麻痺するような蝉時雨は、ある種の静寂と言えば言えるものなのかもしれませんね。


じっと蝉時雨を聞いていると、ただただ、暑いのでした。


境内を脇から抜けて、曲がりくねった道路を歩いて行きます。
センターラインの無い住宅街の車道には、片側だけに一段高くなった歩道が整備されています。
のんびりした気分で歩いて行きます。


蝉の声が遠くなった頃、空が急に暗くなってきました。そして遠く、雷の音。


お、来るかな? とは思いましたが、引き返すには職場から離れ過ぎています。空を見上げてみますと、黒いというほどの色合いの雲ではありませんでした。


が、ポツポツと来ました。来ましたねえ。


歩道脇の畑には、何の植物か分からないのですが、大きな葉が繁っていて、そこに雨粒のあたる音が妙に大きく聞こえ始めました。


灰色に乾いていた歩道と車道に、雨粒が黒く打ち付けて、アスファルトがどんどん黒く染まっていきます。


歩道の街路樹の下に入りました。そんなに強く降っているわけではないし、通り雨程度なものだろうと思っていました。
完全な雨よけにはならない街路樹の木陰ですが、それで充分だと感じていたわけです。


木の名前をほとんど知りません。葉は結構繁っていますが、何の木なんでしょう。葉の形は桑か楓のような形でした。でも楓よりはずいぶん大きな葉でした。


西の方の空は薄っすらと青いところも見えていましたが、歩道も車道もすっかり雨に濡れています。歩道の内側の畑は刈り終わったトウモロコシの茎が一カ所に集められていて、枯れたように見える表皮部分が、雨に叩かれてピクピクと動いている様子から見ると、雨粒の大きさが分かります。


雷の音が短い間隔で次々に聞こえてきます。もうしばらく降り続けるかな、と不安に思い始めた時、突然足元から蛙の鳴き声が聞こえてきました。かなりハッキリ聞こえます。


街路樹の生え際、根元の辺りを確認してみましたが、蛙が居そうな気配はありません。
畑の方から聞こえてくるんでしょうか。ただ、完全に乾いていたように見える畑にも水たまりなどもないので、蛙が居そうな気配はありませんよ。


近くで鳴いているんだと思うんですが、姿は確認できません。


街路樹の根元には少しばかりの土の部分がありますが、泥などではなく、固い土のように見えます。そんな中にも蛙っているもんなんでしょうかね。しかも、その固い土の中に居るとしても、そこで鳴いている声がそんなにも大きく響き渡るものでしょうか。


と、ひと際大きな雷鳴で一帯の空気が震えたような感じがして、蛙はピタッと鳴きやみました。


同時に雨音がハッキリと大きく、叩きつけるような響きになって、雨は一気に強くなってきます。


もう木陰での雨宿りはナンセンスなほどの降り具合です。さっきまで青い部分も見えていた空は、もうすっかり黒い雲に覆われていて、急激な変化には驚くばかりです。


街路樹の葉を伝って落ちてくる雨だれも激しくなってきました。雨で煙って見えてきた景色の中で、どこか入り込める屋根はないかと目を凝らしますと、車道を挟んで反対側に2階建てのアパートがあって、2階の外廊下の下に入り込めそうでした。


もう迷うような状況ではありません。車道には水たまりが出来始めています。10mほどの距離がありましたが、蛙の声の聞こえた街路樹の下らから走り出て、アパートの1階部分、各部屋の玄関が並んでいる前のスペースに辿り着きました。


しっかり確認したわけじゃないんですが、アパートは1階部分に7つの部屋があります。外階段の登り口が2つあって、2階の7部屋の外廊下につながっているようでした。


走り込んだスペースは車道側の1階の部屋の玄関前。アパートの共用部分、コンクリートの床面には、おそらく水道メーターのブルーの蓋が2つありました。

 


なんとか雨宿りです。風が吹くと雨が吹き込んできますが、まあ、街路樹の木陰とは雲泥の差です。
髪の毛をバサバサと払って、駆け込むときに濡れた水気を飛ばした、その時、また一気に雨音が大きくなって、大げさではなく滝のような降り方になったのでした。


雨の降り方って、何段階もあるんですね。自然のパワーはとんでもないです。


呆気にとられるような状況です。視界もほとんど届かなくなって、さっきまで居た街路樹がかすんで見えるほどです。


アパートの前庭から続いている広い駐車場には乗用車、バンなど数台が停まっていました。
一番近くにある白いバンの屋根に雨粒が激しく打ち付けているのが見えます。まるで何かを植え付けようとするかのように、小さな花を無数に屋根の上に咲かせようとするかのように、灰色のしぶきが上がり続けています。


アパートの前庭に、小さな川が流れ始めました。雨どいから流れてくる雨水でしょう。古くなったアスファルトの前庭を流れる雨水は透明です。ゆるいスロープになっている前庭を流れ下って車道に落ちていきます。


車道の側溝には茶色い水が勢いよく流れ始めていて、前庭の透明な水と2色の流れになっています。
と、駐車場から大きな茶色い流れが前庭に合流してきました。ドッとあふれ出てきた水の勢い。
砂利の敷かれた駐車場から、土を含んだ雨水が一気に溢れて来たようです。


駐車場からの茶色い水と、アパートからの透明な水は、目の前では混じり合うことなく、2色のまま車道へ流れていきます。


そしてまた、車道を流れている茶色と、駐車場からの茶色は違っていて、駐車場の茶色の方が濃い色をしていました。そして、それもまた混じり合わないんですね。車道の側溝は3色の水が勢いよく流れていきます。
こういうの、何なんでしょうね。初めて見ました。


前庭には、枯れ葉でしょうか、ゴミでしょうか、薄茶色のスマホほどの大きさのものが、強い雨に打たれて弾むように、上下に揺れながら少しずつ流れていくのが見えます。


空は、真っ黒というのではないのですが、雨雲が重なって厚くなっているように見えました。


一瞬の電が光って、雲の奥の方で、導火線に火がともったかのような、ジリッ、ジジジッというような音が空の中を走ったかと思うと、ズドーン、ドドドーッというような爆発音が響き続けています。連続です。


真っすぐな雨の線がハッキリ見えます。


時々吹き込んでくる雨に顔をしかめながら、ただただ、雨の中にじっとしていました。
気が付くと30分経っていました。
スマホのお天気マップを確認してみますと、強い雨雲の群れは、もう尻尾の方になっているようでした。


雨の線は変らずハッキリしたまま、白いバンの屋根には小さな花が相変わらず咲いては消え、消えては花開いて、まるで点滅を繰り返しています。
ただ、じっと見ていました。


雨という、極、馴染み深いはずの自然現象に、真正面から向き合っているような、どこか素直な感情にとらわれていた時間だったように思います。
時間の流れというより、ある種の時空に取り込まれてしまったような感覚。


この雷鳴、この豪雨、強風の中では、まん延している地上波だとか、スマホの電波だとかもどこか遠くへ吹き飛ばされて、身の回りの空気は、人手の入らない、まさに自然そのものだったのかもしれません。


便利だけれども、自然にとっては余計な物。その集合体の現代ではあります。


あとで調べてみますと、この時の府中の雨量は1時間当たり36ミリだったそうです。


最近の異常気象の中では、大きな数値では無いのかもしれませんが、地球の大きさ、自然の力を感じるには充分な力だったと思います。


さらに15分ほどが経って、ようやく雨は小降りになってきました。雷鳴はまだ頻繁に聞こえていますが、遠くなった感じでした。


前庭の流れは、もう無くなっていました。


供給される雨水が急に減ったわけですから、流れが消えるのは必然ってことなんですけれど、どこか受け入れがたい感じ。


西の空、遠くの方に雲の切れ間も見えてきました。自然現象っていうのは、何がどうなろうとも、地球の必然なんでしょうけれど、不思議なものです。


と、畑の向こうの木立から雀が1羽、鋭く鳴いて飛びたって、どこかに向かって真っすぐに飛んで行きました。まだ雨は少し降っています。
そして、2羽、3羽。同じように飛びたって、同じ方向に飛び去っていきます。


ホントに真っすぐ飛んで行きます。一目散っていう飛び方。
畑の向こうの木立は雀の雨宿り場所だったのでしょう。
小やみになったのを見て、安心できるねぐらに向かって飛んで行ったのかもしれません。


まだ完全には止んでいませんでしたが、アパートの雨宿り場所から小走りに仕事場へ戻りました。


結局、この日のお昼は抜きになってしまいましたし、雨宿りしたとはいうものの、ずぶ濡れになってしまっていましたが、空腹は感じませんでした。


なんだか気持ちが軽くなったような、清々しくさえなっていました。

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蝉、蛙、雀。みんな一緒に生きている地球の仲間。人間も含めて、雨が降らないと生きていけないけれども、直接濡れたくはないんです。蛙はちと違う意見かもしれませんけれど。。。

 


この日の府中市に特に被害は出なかったようでした。


教訓。突然、蛙が鳴きはじめたらしっかりした屋根を探しましょう。


って言うかさあ、ちゃんとお天気お姉さんの言うこと聞けよなあ、ってことなのであります。はい。


さだまさし風「雨宿り」とはぜ~んぜん違う、ずぶ濡れ雨宿りのハナシでした。

 

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