< 1977年 昭和52年 歌、詞、曲:ブライアン・フェリー >
「歌は世につれ 世は歌につれ」ってやつの2回目であります。
イギリスのバンド「ロキシー・ミュージック」
リード・ボーカルのブライアン・フェリーはセクシーって言われて人気でした。
男のセクシーさって、どの辺がどうなのか、さっぱり分かりませんし、興味もないんですけど、このロキシー・ミュージックっていうバンドは、固定メンバーなのかどうかも分からないたくさんの人たちが踊りながら演奏していて、おお~! って思っていましたです。
踊りっていっても、今のダンスっていうんじゃなくって、ノッテますって感じのやつ。
スケルトンのヴァイオリンを弾いている金髪のオネエサンとか、とにかく、なんだかオシャレなバンドではありましたね。
「TOKYO JOE(トキヨージョー)」は、1997年、フジテレビの「ギフト」で主題歌になりましたんで、リバイバルっていうんじゃないでしょうけれど、聞いたことのある人も少なくないと思います。
でも発表はこのドラマの主題歌になる20年前の曲なんですよね。
「ギフト」は木村拓哉主演で、室井滋、小林聡美、篠原涼子が活躍していましたね。他にも忌野清志郎、桃井かおり、大杉漣、宇崎竜童、緒形拳っていうビッグネームが出ていました。
放送時点で20年前の歌を主題歌に持ってきたっていうのは、制作サイドが1970年代のテレビドラマをリスペクトしたからってことみたいですね。
1977年っていうのを振り返ってみますと、内閣総理大臣は福田赳夫さんですね。パパ福田です。
この年の出来事で、ちょっとビックリなのは、「日本教育テレビ」が「全国朝日放送」って社名を変更したってことですね。
これ、テレビ朝日のことですよ。
なんか、全然知らんかったですよ。日本教育テレビってNHK教育放送じゃなくって、そんな名前だったんですねえ。教育専門局だったんですねえ。へええ。ただただ驚きです。
テレビの白黒放送が廃止されたのもこの年だそうです。
全米女子プロゴルフで樋口久子選手が優勝したのが、この1977年。ふむう、歴史ですねえ。
スポーツ界では王貞治選手の756号、ホームラン世界記録を樹立したのがこの年でした。
それですぐ「国民栄誉賞」が創設されて、王選手が第1号の受賞者になりました。
ま、なかなか敏速な動きじゃないでしょうかね。
そうそう、キャンディーズの解散が1977年なんですね。
今、キャンディーズって知られてない、のかなん?
ブライアン・フェリーの「TOKYO JOE」って曲は、けっこう不思議な歌詞なんですよね。
創作秘話みたいなものからすると、1933年の映画「上海リル」をリスペクトしたものらしいんですけど、歌のタイトルのジョーって、男性名詞ですよね。
ファム・ファタールを歌っているんだろうなあって思いますけど、なに? トキヨー・ジョーってその女性を紹介っていうか斡旋してくれる役割の人のこと?
ま、なんだかアヤシイ、東洋風な雰囲気を出せれば、それでオッケーなのかもですけどね。
♪My girl Friday
っていう歌い出しからして、ちょっとね、英語の言い回しがヒネテますもんね。
英語に馴染んでいる人には違和感のない表現なんでしょうけれど、私の女の子は金曜日です、っとかいう意味じゃ、もちろんないですよね。
なんで金曜日っていう単語を持ってきているのか知りませんけれど、重宝な女子アシスタント、何でもやってくれる女性秘書、みたいな意味なんだそうです。
ファム・ファタールそのものなんでしょうけど、なんでもやってくれる? ん~、英語圏の言い回し、そのニュアンスを汲み取れませんです。
ジョーって言いながら、日本人のファム・ファタールを表現しているんでしょうか。
東京を代表するようなイイ女だから、トキヨージョー?
曲調は、なんとなく中国風な感じもあって、上海リルだもんねえ、って雰囲気なんですけど、その分、トキヨー、東京じゃないよねっていう歌なんですね。
ま、東洋っていうのと初めて触れた西欧の人たちって、東アジアの国々を区別していない感じもありますからね。
さてさて妄想の始まりです。
この先は一杯ひっかけてから、読んで、つかあさい。っね。
ナオミが、その六本木の小さなバーに勤めるようになって、店の雰囲気がガラッと変わったことは、誰でも気が付いていた。
世界の大使館が集まるこの街では、やって来る男たちの国籍はばらばらで、店の中の公用語は英語、っていうふうな約束事が空気感として定着していたものだったが、ナオミだけは一切英語を話さなかった。
わざと日本語でしか話をしない。彼女が英語を、もしかするとフランス語も少しは、理解していることは明らかだった。
相手の男が何を言っているのかは完全に理解して、飲食の準備などは抜かりなくこなしているのに、口から出てくる言葉は日本語のみというスタイル。
どこの花屋で用意してくるのか、蓮の花としては小ぶりな、けれども髪に飾るには大きすぎるぐらいの花を欠かさなかった。
男たちは、自分の理解できない日本語で、微笑みながら話すナオミを気に入っていた。
たどたどしい英語で受け答えしてくれるよりも、日本そのものに触れているような感覚になるのかもしれない。
静かに自分の席からナオミを眺めているだけの男もいれば、ナオミ、ナオミと大声で呼びかける男も少なくない。
そうした男たち同士、あるいは男たちと店の人間がトラブルにならないのは、ナオミのおかげだった。
酔っ払いかげんで大声をあげる男に対して、ナオミはすっと立ち上がって、その黒い瞳で何もかもを吸い込むかのような視線を向けて、キッと睨んで見せて、人差し指を唇にあてて、シーッと微笑んで見せる。
営業前の休憩時間。同僚の女の子からどうして英語を話さないのか聞かれた時に、ナオミは咥えたばこの煙に目を細めながら、唇の脇から声を出した。
ここは日本だからね、あたしらがあいつらに合わせる必要なんて、ないのよ。
むしろ、わざと難しい言い回しで話してあげたほうが、喜ぶわ。最近、あたしのことを日本の案内人みたいってことでトキヨージョーって呼ぶ男も出て来たのよ。
男の求める優しさなんて酒があれば充分なのよ。
なにも怖いことなんてないじゃないの。
ピシャッと言ってあげれば、それでいいのよ。
♪Ask no question and tell me no lie
質問はナシよ、ウソもお断り。
♪Femme fatale or ingenue?
ファム・ファタール? 六本木純情派?
♪Don't know? Ask Tokyo Joe
知らないんだったらトキヨージョーに聞いてみることね。
♪Geisha girl suffer many times a fool
おバカさん、何度でも面倒見てあげるわ。
東京っていいますか、日本が世界に認知され始めたのってそんなに昔のことじゃなくって、せいぜいがこの頃、1970年代後半ぐらいなのかもですね。
フジヤマ、ゲイシャガールからようやく半世紀ってところ。
この頃、日本を含めた東アジアにやって来た西欧の男たちは、黒い瞳に惹かれたらしいですね。
グローバルワールドっていわれることに違和感はないですけど、例えばヨーロッパの人たちを見て、どこの国の人だなあって分かるって、あんまりないですよね。
とくに東ヨーロッパの国々はそれぞれ歴史も言葉も違っているんですけど、見分けは付かないんじゃないでしょうか。
それと同じで、彼らからすれば、東アジアの国々の人の区別って、なかなかね、ないんでしょうね。
カラコンも悪くないでしょうけれど、黒い瞳の魅力がワールドクラスっていうのは今も変わらないんだろうって思います。
ファム・ファタールって何か決まったパターンがあるわけじゃないですしね。
誰もが峰不二子、っていうのは怖い世界です。
ってことで、「TOKYO JOE(トキヨージョー)」は謎の歌なのでした。
にしても、TOKYOってトーキョーって発音じゃなくって、ほぼ「トキヨ」ってなんでなんでしょねえ。
< 妄想の東京 >
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