< 東京都23区 西部に位置する中野区には 19の町名があるのであります >
「【「町」の読み方】あなたが住んでいるのはチョウですか? それともマチですか?」で、日本全国の「町」の読み方について、ちと調べてみたわけですが、全体として「町」の読みは「チョウ」の方が多かったのでした。
でもこの結果は市部や区部の中の「町」は対象外としてのデータでしたので、差し当たって、東京23区の区部の中の「町」の読みについて調べてみようと思い立ったわけです。
市町村合併などによって失われいく地名も少なくない現状ですが、「チョウ」と読むか「マチ」と読むかという以外にも、「町」という字の付かない「町」というのもありますし、知らない町名、不思議な町名というのも少なくないだろうと思います。
東京都23区、第19回目は、「中野区」です。
中野区の面積は15.59平方キロメートル。23区の中で14番目。
人口が34万4千人余り。
区の木はシイ。区の花はツツジ。
令和現在の中野区は、区内から通勤して行く人の数の方が多く、昼間の人口は夜の人口のおよそ0.9倍。
江戸、四谷の大木戸を抜けて少しばかり西へ行きますと、軍馬の育成地だったという中野村。現在の中野区になるんですけれど、戦争の焼け残りの土地だそうで、令和現在の今でも商店街は昭和の香り満載ですね。
中野駅北口を出てすぐの商店街「中野ブロードウェイ」はサブカルチャー、オタクの聖地として知られています。「まんだらけ」が入っているのはここです。
真ん中をズドーンと通っているブロードウェイの東西に、狭い路地が入り組んで、昭和なままの規模間で小さな店舗が軒を並べています。ウロウロし甲斐のある昭和な街。
「ラーメン青葉」の本店は東側の路地の地域にあります。
実はこの青葉本店の西隣に、昔々、名前とか忘れちゃったけれど「適口」な、つけ麺屋さんがあったんですね。
適口っていうのは、自分にとって口当たりがイイっていうことなんですけれど、かなり人気の店で、青葉と同等以上に行列のできる店だったんです。
全く個人的に「適口」な理由は、なんといっても店側の対応がすんごくアバウトなところ。
つけ麺専門店で、間口1間、ギュウギューのカウンター席のみの作りでした。
メニューは普通のつけ麺と、肉つけ麺、野菜つけ麺。これはそれぞれ値段が少しだけ違っていましたが、麺の量が三段階あって、並み、大盛り、超大盛。
で、どの盛りでも値段は一緒。いくらだったか忘れましたが、リーズナブルだったと記憶しています。
板状になった麺を、客の見ている前の機械で、一枚丸ごとザザーっと細長い麺にして、そのまま大鍋でグラグラと茹でるっていうスタイル。
客がそれぞれ「並み」「超大盛」とか注文すると、はいはい、って愛想良くもなく、ま、悪くもなく返事をして、
板麺を機械にセットして、ザザー、をやるわけですが、板麺って、当たり前ですが、みんな同じ大きさですよ。
で、客の注文する量は決まっていません。
推測ですが、板麺1枚で並み盛り3杯分ぐらいだったんじゃないでしょうかね。
麺は大皿に、つけダレはラーメンどんぶりでドドーンと出されます。
で、「大盛り」と「超大盛」って注文が入ったとすると、1枚じゃ足りないので、2枚分、麺にしちゃいます。
っていいますかね、注文は次々入りますから、機械から出てきた麺をどこかにストックしておいて、とかやってなかったんですね。機械から直接、大鍋に入っちゃうように仕組んでありました。
茹で時間がありますからね、一度に茹でられるのは板麺2枚分が限度なんでしょうね。
2人組の女性が一緒に入って来て、2人とも「並み」
今、茹で上がりの麺を鍋からあげて、青いビニールの大ざるに放り込んで水でしめているところ。
鍋で茹でるのは板麺1枚か2枚。
茹であがったら、全部をざるにあけますので、1回の注文で残った分はそのまま次の注文に回るわけです。
次々に注文が入りますので、茹で上がった麺がざるの中で放っておかれる時間は短いです。
ま、その辺のコントロールはお手の物、ってことでしょう。
おそらく、大盛りは並みの倍で、超大盛は3倍、なんだと思います。
で、この時は先客の大盛り分が茹で上がったタイミング。
はいはい、お待ちどう。で、先客の大盛りを出して、「はい、お先の並盛からです」ってことで2人組の1人に並盛が出されます。
注文してから1分経っていない提供です。
いや、でも、2人一緒だから。っていうのはナーシよ。って感じの店でした。
そういうのがイヤな人は1回来たら、もう来ませんからね。みんな、麺の出来上がる工程を見てますし、茹で上がるのもしっかり見守っていますから、「はい、お先の並盛からです」ってことになるだろうなって、もう予測がついちゃってますからね、モーマンタイです。
で、時には客が途切れちゃうことも、もちろんあります。
でも、店のお兄さんは、板麺を機械に入れてザザーっていうのをやめるわけにはいきませんよ。
「並み」「はいはい」
で、板麺1枚分、三人前がドドーン!
運がいいのか悪いのか、その前の注文の残分があるのにザザーっとやっちゃった日にはですね、ギャル曽根じゃネーヨってぐらいの、何人前だかわからないボリュームが出されることが、しょっちゅうあったんです。
で、客同士、初対面であっても、「ん?」「ん」と顔を見合わせて分け合いの精神でにっこり食すわけです。
つけダレも、麺も、とっても旨い店だったんです。
つまり、並み、大盛り、超大盛っていうのは、客が決めるんじゃなくって、店側の都合で決まるんですね。
わっはっはなシステム。香り高く、コシのしっかりした麺と、いつまでも冷めない濃厚ダレです。
でももう、とっくにありません。
「ラーメン青葉」はまだ、しっかり営業していると思いますよ。ここ最近行けていないんですけれどね。
案外、競争の激しい中野ブロードウェイなんです。
中野ブロードウェイの西側には、2028年建て替え完了予定でありながら、2021年現在、まだ何も変わらずに建っている「中野サンプラザ」があります。
コンサートだとかで中に入ったことのある人も少なくないんじゃないでしょうか。
中途半端な三角形のフォルムが特徴のビルですが、どうなるんでしょうね。
サンドイッチビルって呼ばれたりもしていますけれどね。
この辺りは、明治大学、帝京平成大学などの大学のビルと、オフィスビルが建ち並んで、ずいぶん風景が変わりました。
中野サンプラザをさらに西へ行くと、東京の大動脈「環状7号線」が南北に走っています。
アンダーパス、オーバーパスの組み合わせがとってもうまくいっている環状7号線ですが、それでもね、混むときにはメチャ混みになります。有効な抜け道が無いので、ずっと動かないってことが時々起こります。
でもまあ、普段は首都高よりスムースに流れる幹線道路です。
この環状7号線は「ラーメンストリート」と呼ばれた時期がありましたね。今でも何軒かありますけれど、繁盛店は駐車スペースだとかのモンダイで、止めちゃうか、奥に入ったみたいですね。
中野サンプラザ脇の環状7号線外回りを北上して1㎞も行かない西側にあるのが知る人ぞ知る「野方」です。
村上春樹の「海辺のカフカ」で、空から2000匹以上のイワシやアジが降ってきたという町ですね。
環状7号線からすぐのところに、「西武新宿線 野方駅」があるんですが、ロータリーっぽい駅前をバスが工夫しながら運行している、こちゃこちゃした昭和なままの光景ですね。
その昭和の感じのまま、昭和の商店街が駅前から続いていて、町中華とか、町のそば屋さん、総菜屋さんが並んでいて、電車を乗り継いでのランチ散歩の目的地なんかには最適の町かもしれませんよ。
実際、そういう人気のある町です。
駅前がこちゃこちゃせざるを得ないぐらい交通の便はイイですからね。いろいろ近いんです。
野方地域からさらに北上していきますと、環状7号線はカクっと東北方向に曲がって、これまた昭和レトロな「江古田」地域に入ります。
ここもグルメなんかで有名な町ですよね。江古田。
地元の人はもちろんご存じで、これを言われると「うっせえワ」ってなっちゃうような、「どないやねんモンダイ」があるんですね、この江古田には。
江古田地区には、都営大江戸線の「新江古田駅」と、西武池袋線の「江古田駅」という2つの駅があります。
で、「新江古田駅」があるのは、中野区江原町。「江古田駅」があるのは、もはや中野区でもなく練馬区旭丘。
両方とも江古田地域じゃないんですね。
しかもですね、中野区の新江古田駅の読みは「しんえごたえき」
なんて読んでました? 「江古田」
江古田っていう住所のある中野区では「えごた」が正しい読みですって公表しているみたいですけれど、「えこだ」って読む勢力も少なくないそうです。勢力っていうほど主張していないでしょうけれどね。
元の地域名としての江古田が、今の中野区と練馬区にまたがっているから、江古田駅が練馬区にあるんでしょうけれど、中野区だから、練馬区だからってことじゃなくって、「えごた派」と「えこだ派」が仲良く共存しているみたいです。
中野ブロードウェイのオタク文化だけじゃなくって、優雅な気分になれる散歩コース、哲学の道の哲学堂があって、都内最大のミャンマー人コミュニティがあって、新宿、上野、浅草と並ぶゲイタウンとしての顔も持つ、ダイバーシティ・タウン中野区の町名の数は19。
「マチ 0」「チョウ 3」「町が付かない 16」でした。
「マチ 0」
中野区にマチはありませんでした。
「チョウ 3」
「江原町」「大和町(やまとちょう)」「弥生町」
「町が付かない 16」
「新井」「江古田」「上鷺宮」「上高田」「鷺宮」「白鷺」「中央」「中野」「沼袋」「野方」「東中野」「本町」「松が丘」「丸山」「南台」「若宮」
浅田次郎、五輪真弓、忌野清志郎、岩城滉一、大槻ケンヂ、坂本龍一、田中裕二、多和田葉子、中川翔子、中園ミホ、梨元勝、不破哲三、三浦朱門、六平直政、柳原可奈子。
へええ、そなんだ、って思っちゃう人が多い気がします。根拠なくですけれどね。
にしても、中野区ってダイバーシティって言われているんですねえ。へええ、です。
< チョウかマチか >
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