【東京「町」歩き】23区　渋谷区編　渋谷区の「町」はチョウかマチか

＜　東京都23区　区部中央に位置する渋谷区には　32の町名があるのであります　＞

「【「町」の読み方】あなたが住んでいるのはチョウですか？　それともマチですか？」で、日本全国の「町」の読み方について、ちと調べてみたわけですが、全体として「町」の読みは「チョウ」の方が多かったのでした。

でもこの結果は市部や区部の中の「町」は対象外としてのデータでしたので、差し当たって、東京23区の区部の中の「町」の読みについて調べてみようと思い立ったわけです。

市町村合併などによって失われいく地名も少なくない現状ですが、「チョウ」と読むか「マチ」と読むかという以外にも、「町」という字の付かない「町」というのもありますし、知らない町名、不思議な町名というのも少なくないだろうと思います。

東京都23区、第9回目は、みなさんご存じ「渋谷区」です。

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渋谷区の面積は15.11平方キロメートル。23区の中で15番目の面積。人口が24万3千人余り。

区の木はケヤキ。区の花はハナショウブ。

令和現在の渋谷区は、区内へ通勤通学して来る人の数の方が圧倒的に多く、昼間の人口は夜の人口のおよそ2.7倍。

大規模な再開発が行われいて、まだまだ完成は先みたいですが、渋谷は日々変わっていっている感じですね。東急の街っていうイメージから変貌しつつあります。

充分知っている街のつもりでいたんですが、地下街が新しくなって、通路の繋がりがなかなかしっくりこないんですね、で、一旦地上へ出て現在地を確認する、みたいなことをやっていますです。
渋谷駅を通勤通学で使っている人なら、同じように感じている人も少なくないんじゃないでしょうか。

渋谷区の再開発は2000年ごろにはビット・バレーという呼称で、日本のIT拠点にするという計画があったみたいですが、渋谷ヒカリエ等、多くの高層ビルが新たに建設されてGoogle、Amazonが日本本社を置いています。

今後GAFAが全部揃うのかもしれません。日本のIT企業も多くが拠点オフィスを渋谷に置いています。

ただ、コロナ禍の行動変容で、IT業界に限らずオフィスの役割も変化してきていますので、この先どうなっていくのか興味深いところです。

渋谷の特徴は、産業として「観光」という側面も大きいってことがあげられますね。日本ばかりか、世界的に有名なスポットがいくつもあります。

なんでこれが世界的観光スポットなの？　って思っているのが「渋谷スクランブル交差点」
だって、ただの交差点、クロスしてるけど普通の横断歩道じゃん。

でも日本を代表する風物として知られていることは、敢然とした事実で、スクランブル交差点を撮影している観光客っぽい外国人を見かけることは珍しくありません。

きっかけは2003年の映画「ロスト・イン・トランスレーション」らしいんですね。
フランシス・コッポラ監督の娘さん、ソフィア・コッポラの監督作品です。

交差点の歩行者信号が青になると、一斉に全方向から全方向へ、群衆が何の滞りもなくすれ違って移動していく。そこのところが、とても日本っぽい！　ってことなんだそうです。映画のストーリーとは全然関係なし。

いったん話題になってしまうと、日本に来た事の無い外国人でも、日本のイメージといえば、イエス！　「渋谷スクランブル交差点」
ふううん、そですか。って思うんですが、どうでしょうかね。

おそらく、こうした海外での取り上げ方に乗っかる感じで、大晦日のカウントダウン、ワールドカップ、ハロウィンだとかで日本人が集まる風習が始まったんじゃないでしょうかね。

観光を大事にしたい意向はけっこうなことと思いますが、メディアの取り上げ方がかなり無責任に感じます。

でも今は、コロナ禍で人が集まれなくなって下火になったような感じもありますが、また復活するのかもですね。「DJポリス」も大きな話題になりました。

「渋谷スクランブル交差点」の渋谷駅側には「忠犬ハチ公」も居ます。

今でも待ち合わせ場所として賑わっています。
ハチ公もアメリカ映画になっていますよ。

2009年公開の「HACHI　約束の犬」主演のリチャード・ギアが来日してハチ公像に花輪をかけたりしていました。ハチ公もまた交際的なヒーローってことですね。

渋谷駅の西には「モヤイ像」があって、ハチ公にひけを取らない待ち合わせ場所として人気です。

求心力を持っていそうな渋谷駅は、住所的には「道玄坂」になります。

この道玄坂もまた、小説や歌に頻繁に登場してきています。

江戸川乱歩の「怪人二十面相」の隠れ家って、道玄坂にあったんですよ。
子どもの頃、どこかな？　って探しに行ってました。なので、個人的に神秘的な場所です。
怪人二十面相は見つかりませんでしたけれどねえ。

林芙美子、渋谷に住んだ竹久夢二、与謝野晶子。道玄坂にゆかりのある作家はけっこう多いですね。

でもまあ、令和の今は、渋谷といえば「センター街」なんでしょう。

別に何をするでもなく、ただ流して歩くって人、すんごくいっぱい居ますもんね。

センター街の南西方向に行けば「109」です。

渋谷駅から北へ、ぶらぶらと公園通りの坂道を上って、オルガン坂を越えると「NHK」です。

そのさらに北側は「代々木公園」「明治神宮」と続きます。最寄り駅は「原宿」「代々木」

代々木の北側はすぐ新宿になりますが、代々木には2020年まで「代々木会館」という有名な雑居ビルがありました。
あれですよ、ほら。ショーケンの「傷だらけの天使」

綾部情報社の探偵事務所。あのペントハウスがあったのは「代々木会館」の屋上でした。
「傷だらけの天使」の中では、エンジェルビルって名前でしたね。もう在りませんですよ。取り壊されてしまいました。どんどん変わっていきます。

渋谷は「谷」ですからね、たくさんの川が流れ込んでいるんですが、ほぼ暗渠化されていて、流れを見られる場所は少ないです。っていうか、ほぼないですね。

「渋谷川」は10以上の支流を持っていて、渋谷川に流れ込む「宇田川」は町の名前として残っていますが、その宇田川に流れ込んでいた「河骨川（こうほねがわ）」という流れがあります。

1964年の東京オリンピックで暗渠化されて、今は下水道に転用されているそうですが、実は「春の小川」に歌われているのは、この河骨川だとされているんですね。

♪春の小川は　さらさら行くよ
っていう、あの歌です。

♪岸のすみれや　れんげの花に
ですよ。

二番の歌詞では、

♪えびやめだかや　小鮒の群れに
ですからね。

「春の小川」は、1912年に発表された文部省唱歌。当時、渋谷に住んでいた高野辰之という人の作詞ですが、なんとも自然味あふれる歌詞ですね。

今の渋谷では想像も出来ませんが、渋谷ってそういう土地だったんですね。
エビやメダカが渋谷にねえ。

ちなみに「河骨」っていうのは、夏に黄色い花を咲かせるスイレン科の多年草だそうで、川の中に見える白い地下茎が白骨のようだということで、河の骨、って名前。ん～、見たことないですけどね。

まだまだ恵比寿、原宿、代官山だとか、人気スポットいっぱいの渋谷区。町名の数は32。

「マチ　1」「チョウ　13」「町が付かない　18」でした。

「マチ　1」
「本町」
これ、なんか不思議な感じがします。

「【「町」の読み方】あなたが住むのはチョウなのか　それともマチなのか」で触れましたが、ほとんど隣り合っている中野区の「本町（ほんちょう）」との兼ね合いでもあるんでしょうかね。渋谷区の本町がチョウであれば、渋谷区の町はチョウで統一されるんですけれどね。ま、その統一に意味は感じませんけれど、本町だけが「マチ」。

「チョウ　13」
「鶯谷町」「宇田川町」「桜丘町」「猿楽町」「神泉町」「南平台町」「鉢山町」「円山町」「代官山町」「神山町」「大山町」「元代々木町」「代々木神園町」
こうして並べてみて気付くんですが、渋谷の場合、地域を呼ぶのに「チョウ」をつけて呼ばないですね。ま、地元の人はちゃんとチョウを付けて呼ぶのかもですけれど。

「町が付かない　18」
「渋谷」「東」「道玄坂」「恵比寿」「恵比寿西」「恵比寿南」「広尾」「上原」「富ヶ谷」「松濤（しょうとう）」「西原」「初台」「代々木」「笹塚」「幡ヶ谷」「千駄ヶ谷」「神宮前」「神南」

麻生太郎、橋下徹、倉本聰、小林亜星、平岩弓枝、細木数子、原哲夫、いとうあさこ、スガシカオ、デーモン閣下、土屋アンナ、吉永小百合。