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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【鹿シュウマイ】を食べてみたです

< 最近 いろんな所でジビエっていう表記を見かけるようになってきましたね >

ジビエっていう名前はずいぶん前から聞いたことはありました。


でもまあ、フランスではけっこう食べるらしいねえ、ぐらいの認識で、全然縁のないものでした。
言葉を聞けば、ふんふん、ってなもんですが、積極的に求めるようなこともありませんでしたです。


かなり前から獣害っていうニュースもまた、聞いてはいました。


イノシシやシカの被害に遭っている農業、産林業っていうのも、実は都市生活者にとっては縁遠いもので、ニュースソースとしての重さも、ホントには実感できていませんです。
これは過去形じゃなくって、現在進行形の気持ちです。


どうでもイイっていうんじゃなくって、軽々しく「大変だよねえ」で片づけられることじゃないよねって思うからなんですね。
自分自身の労働として、あるいは生活としても全く関わったことのない作業だからです。


農作物が食い荒らされれば、それは出荷できなくなって、自然災害と同様の収益被害が出るっていうことは理解できますが、被害に遭った悔しい想いとか、残念に思う気持ちにはうまく寄り添えないと思います。
軽く考えてイイ問題じゃないだろうって思うからですね。


物理的な被害ばっかりじゃなくって、無力感に囚われてしまわないように気持ちの整理をつけないと、続けていくのが難しくなっちゃうでしょうしね。


人間と動物の共生。


口で言うのは簡単ですけど、実際には問題が大き過ぎて何も進んでいないような気がします。

 

 

 


ところで、このところ、コロナ禍になってからですが、街を歩いていて「ジビエ」っていう文字を目にする機会が出てきました。


フレンチの店? って思って表に出された黒板になっている看板を覗いてみることもあるんですが、特にフレンチってことでもないみたいで、無国籍料理の店に多い感じでしたし、中にはカレー屋さんも「ジビエカレー」っていう看板を出していました。


まあ、店の中に入って「ジビエって、なんの肉?」って聞けば済むことではあるんですが、ジビエって書かれているだけじゃあ、それがシカなのか、イノシシなのか、はたまたクマなのか分かりません。


動物の名前をダイレクトに書くことは、客にイイ影響を与えないんじゃないだろうか、でも、ジビエって書いておけば、そういう敬遠される空気感が薄くなるんじゃないかっていう、店側の計算があるんでしょうかね。


でもまあ、ジビエの看板に共通しているのは、値段がかなりオタカイってことなんですね。


見かけた中で一番安いのが「ジビエカレー」で1500円。
フレンチ、無国籍、洋食店(生き残っている希少店)のジビエメニューは、それがどういう代物なのかハッキリしないにもかかわらず、ジビエランチで2000円以上の値段設定でした。
高いです!


ま、あっしにゃあ、ご縁はございませんねえ、って、素通りの日々。
これまでのジビエとの関わりって、そんなもんでした。


ところが先日、いつも行っている個人経営の居酒屋さんで、「本日のメニュー」の一番上にあったのが「鹿シュウマイ」だったんでありました。


こちらはちゃんと「鹿」って書いてあります。


さっそくマスターに聞きました。
「鹿って、あの鹿?」
「ほかに鹿っていないでしょ」
「鹿のどの部分?」
「もも」
へええ、ってなって、メニューの字面に釘付けになってしまいました。


鹿。。。鹿のもも肉の、シュウマイ。へええ。

 

 

 


マスターの話ですと、以前にお客さんとして来ていた人が、熊本県に引っ越していって、なんと猟師になったんだそうです。
で、その人は猟師として初心者なわけですけれども、ついこの前、2021年の暮れ辺りから独り立ち出来たんだそうです。


で、鹿が獲れたんだけど、要る? って聞かれたんでチャレンジしてみた、ってことだったんですね。


なんか軽いノリだねえって言うと、ま、そんなもんなんじゃないの。獲れたのがけっこう大きかったらしくって地元で処理するキャパを超えたんだろうっていう話でした。


熊本のどこ? って聞くと、鹿肉を送って来たのは熊本市から、だそうです。
そっか、住んでいる近所で鹿を獲っているっていうケースばっかりじゃなくって、むしろ山へ入って獲る、っていう方が普通なんでしょうね。


銃で撃つの? わな、らしいよ。ふううん、わな、ねええ。


で、「鹿シュウマイ」です。
食べたことあります? 鹿肉。
ま、鹿肉っていっても、豚との合い挽きシュウマイでしたんで、特に違和感はありませんでした。


初めての鹿肉は決して不味くはなかったんですが、旨くもなかったです。普通でしたね。
マスターも「どう?」ってしきりに聞いてきましたが、フツー、って応えるのみでしたね。


なにせ店側としても初めての食材で、送ってくれた猟師さんからはステーキを勧められたんだそうですけど、自分たちで食べてみて、合い挽きのシュウマイに落ち着いたって次第なんでした。
鹿の個体にもよるんでしょうけれど、クセ、はあるんでしょうね。


その居酒屋さんがこれからもジビエのメニューをやっていくかどうかは、仕入れの安定が望めないだろうし特に決めていないってことでしたね。


まあ、そうでしょうねえ。猟師初心者ってこととは関係なく、鹿がいつでも獲れるっていうことでもないんでしょうねえって思います。


あとで調べてみますと、熊本県は県内全域が農林水産省の「ジビエ利用モデル地区」になっています。
そんなモデル地区っていうのがあるんですねえ。
初めて知りました。


農林水産省は2018年に「国産ジビエ認証制度」っていうのを制定して、ジビエを推進しているんですね。

 

「農村地域で深刻な被害をもたらす野生鳥獣の被害防止対策により、野生鳥獣の捕獲数が年々増加する中で、これを地域資源としてとらえ、野生鳥獣肉(ジビエ)として有効に活用する前向きな取組が広がっています」


ってことなんですけど、まあね、獣害の被害防止策として鹿だけじゃなくってイノシシやクマの捕獲が進められて、その結果としてジビエを推奨しているわけですねえ。


共生っていう方向じゃなくって、殺処分。
まあ、そういう現状なんですねえ。


2022年の林野庁の発表によりますと、野生鳥獣による森林被害の約7割が鹿による「剥皮被害」なんだそうです。

 

「剥皮被害」によって森林が被害を受けると、枯れた樹木の根が抑え込んでいた土壌が崩れてしまったりする恐れがあるんだそうです。
鹿の食害によって土砂崩れの危険性が出てくるってことです。

 

しかもここ十数年、鹿の個体数が急増していて、生息域も広がってきていて、問題は重大なんですね。


環境省のページを見ますと、鹿が高山植物を食べてしまうことによって高山植物などの生態系が破壊されてしまうことを「シカが日本の自然を食べつくす」として危惧しています。

 

鹿って、そんな心配をしなければいけないほど増えているんですねえ。


日本人の多くの人、都市生活者にはホント、実感の難しい現状です。
鹿がいる環境と、日常的に接している人って少ないと思いますけどねえ。


20世紀の初めころに鹿の天敵、ニホンオオカミが絶滅してしまったことと、山に入って狩猟をする人口が減っていることで、一時期は数の少なかった鹿の個体数がここ40年ぐらい一気に増え続けているんだそうです。


ん~。街なかで鹿を見ることってないですからねえ、って思って、ハッて気が付いたのは「奈良公園の鹿」


奈良公園の鹿も個体数が増えたりとかしているんでしょうか。


奈良市の鹿は「天然記念物」
街なかで人と鹿が共生している、世界でも珍しい観光地。


それが奈良市で、奈良市は鹿です。奈良市では、鹿は神さまの使いなんですよね。
行ったことはないんですけど、そういう程度の情報なら誰でも知っています。


調べてみますと、やっぱりですけど、奈良公園の鹿も困った問題になっていたんでした。


奈良市で、ずっと保護対象だった奈良公園の鹿も増え過ぎちゃって、公園を飛び出して近くの里山に入っていって、ますます個体数を増やしていったっていうここ数十年。


山に入っていった鹿たちは、里に下りて来ては農作物を食べ、山の中では剥皮被害をもたらして、奈良県の農業、林業に重大な被害をもたらし続けているんだそうです。


地元の被害状況を鑑みた奈良県は、2017年に奈良市の鹿を捕獲、殺処分する決定を下します。
「第1次特定計画」です。
苦渋の決断ってやつでしょうね。


さしあたって奈良市を4つのエリアに区分けして、その中の1区画について鹿の捕獲を行うっていう方法で、2017年に始められた時点では、そのエリアから奈良公園は除外してあるみたいですね。
つまり、鹿の捕獲エリアは奈良公園の周縁ってことにないます。


もちろん柵を設営したりだとか、被害軽減のために捕獲以外のことにも取り組んでいるようですが、捕獲は全て「わな」によって行われているみたいです。


「第1次特定計画」の捕獲実績は、


2017年、捕獲計画頭数120頭に対して、捕獲実績19頭。
鹿はなかなか賢い動物で、簡単にわなにはかからないみたいです。


2018年、捕獲計画頭数120頭に対して、捕獲実績120頭。
猟師の側もいろいろ工夫するってことでしょうかね。


2019年、捕獲計画頭数140頭に対して、捕獲実績140頭。


2020年、捕獲計画頭数140頭に対して、捕獲実績140頭。


2021年、捕獲計画頭数160頭に対して、捕獲実績160頭。


この実績をみますと、奈良県の計画通りに捕獲は出来ているみたいですが、年々捕獲計画頭数が増えて来ていますよ。
鹿が増えている勢いに捕獲頭数が追いついていなくって、農業、林業の被害状況が改善していないってことなのかもしれません。


ただ、農家の被害意識は軽減されつつあるっていう奈良県の報告もあります。


実際の被害状況を数値として表したものじゃなくって、被害意識っていうところが、ビミョウ、な感じでしょうか。


奈良市の鹿を保護しようっていう運動もしっかり根付いているでしょうし、捕獲実績についての報告も、いろいろ気遣いが必要なんでしょうね。


奈良市の鹿はインバウンドの大事な担い手でもあるでしょうから、コロナ後の奈良市の観光を考えますと、捕獲、殺処分っていう方法自体が、かなり難しいバランスを要求されていて、かなり苦労しているんでしょうね。


なにせ「保護地区の「奈良のシカ」の保護上支障の恐れのない範囲で、農林業被害、森林生態系への影響、生活環境被害等の軋轢を許容レベルまで軽減を図る」っていうのが使命ですもんね。


第1次特定計画における管理目標はおおよそ達成できたっていう自己評価をしながらも、2022年から「第2次特定計画」を実施すべく計画中らしいですよ。
奈良市の担当者の人たちも、猟師さんたちも、ご苦労様です。

 

 

 


奈良市の鹿だけじゃなくって、どこでも、イノシシでもクマでも、食べはしないでしょうけれどサルの問題も、なんとか共生できるような環境づくりが求められていることが実感できます。
共生なんて、ホント簡単に口にしてイイようなことじゃないですね。


ちなみに、奈良公園名物「鹿せんべい」って、米ぬかと小麦粉だけから出来ているんだそうです。


ジビエかあ、とかね、呑気なことをつぶやいている場合じゃないって人たちがたくさんいるんですねえ。


鹿シュウマイ。野生の鹿。熊本の鹿だったんですけど、野生の肉を食べたって感じもそんなにしませんでしたし、ワイルドな気分にもなれませんでした。


どうでしょうね、これから、ジビエっていうのが街なかで当たり前になっていくんでしょうか。
奈良市は、一方で保護して鹿の出産を手伝っていて、一方で捕獲。
市側の気苦労も相当なものがありそうです。


ジビエねえ。。。