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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【かつサンド】パンは厚くあるべきなのか できるだけ薄い方がイイのか

< いや それ 好みの問題でしょ とか言わせない熱のこもった言い争い そんなにオオゴト? >

居酒屋さんの4人がけテーブルで、例のマッチーとミコちゃんと同席です。
けっこう久しぶりの顔合わせ。


カウンターがいっぱいだったので、はい、いつものごとくでオネエサマ方2人のテーブルに合流ってことになったんですけど、2人は串かつを片手に、すでにかなり盛り上がっておられましたです。


はい、いつものごとくですね。お元気でなによりです。


「ね、ね、ぱうすさん、ちょうどイイところに来たわ」
ん~。あんまりイイ予感はしませんけどねえ。


「ちょっと聞いてよ。サンドイッチのパンなんてさ、薄い方がイイに決まってるわよね」
は? やっぱりねえ、いきなり巻きまれました。


サンドイッチの薄パンを主張しているのはマッチーです。


その日のお弁当に「チキンカツサンド」を持って行ったらしいんですけど、タルタルソースの出来がバッチシだったらしくって、その話を自慢たらたら話していたら、サンドイッチのパンの厚さの話になって、ミコちゃんは厚パン派で、ケンケンガクガク。


そこへ酒呑みオヤジ1人追加、ってシチュエーションになったわけですね。

 

 

 


でも、パンの厚さの話にすんなり入っていくよりもまず、お弁当に「チキンカツサンド」ってことで、マッチーのチキン好きも相当なもんだなあって感心しました。


その居酒屋さんのお勧めメニューに時々登場するのが「チキン南蛮」なんですけど、マッチーは必ずオーダーしているんですよね。


時にはお代わりしていますからね「チキン南蛮」
ボリューム、ありますけどね。アテのお代わりです。


今の話の内容は、マッチーのチキン好きじゃなくって、サンドイッチですね。サンドイッチのパン、の厚さ。


「ちゃんとパンの厚みがないとサンドイッチじゃないわよね、どうなの」


ってパンの厚みを主張するミコちゃんは、「紅ショウガの串かつ」が大好物。
今手にしているのは「チーズの串かつ」ですかね。振り回さないで欲しいですね。


どうなのって言われてもですね、厚いのもアリ薄いのもアリってことで、


「そんなんじゃダメなのよ」
はあ、そですか。


「かつサンドのパンはね、かつを直接持つと指が油っぽくなっちゃうから挟んでるだけで、食べられるハンカチみたいなもんなのよ」


「なんでハンカチなのよ。それを言うなら紙ナプキンなんじゃないの」


「バカね、あんた」


「なんでよ」


「紙ナプキンでかつを挟んだらベタベタになってくっ付いちゃうでしょ。食べられないじゃない」


「あ、そうかも」


「例えばチキンカツサンドにはタルタルソースが付きものでしょ」


ま、話があっちこっちしているんですが、こういう話自体が酒のアテ、でもあるんですよねえ。


要するにマッチーの「チキンカツサンド」は「チキン南蛮サンド」なんでしょねえ。


「なんかで挟んでおかないとタルタルソースと一緒に食べられないから薄いパンで挟むのよ。食べたいのはチキンカツなんだからパンは存在を主張しない方がいいのよ」


「じゃあさ、チキンカツだけ食べればイイじゃん」


「会社の中で食べるんだから体裁ってもんがあるでしょ。あたしにだってあんのよ、そういうの」


「肉食べるぞ~っていうんじゃなくって、サンドイッチでございま~す、ってわけ?」


「そうそう、そんな感じよ」


「なに気取ってんのよ。サザエでございま~す、みたいなタイプじゃないでしょ」


「あのねサザエさんは、気取って言ってるわけじゃないでしょ。それにね、こうして食べると、どうしてもタルタルソースがはみ出してきて指についちゃったりするでしょ」


「そんなのペロって舐めちゃえばイイじゃん、ペロって」


「だから、会社の中なんだってば。指を拭く役目を果たしてくれるわけよ、パンが。それでハンカチなわけよ」


「でもサンドイッチなんだからさ、ちゃんとパンはパンとして厚みがないとダメよ。ハンカチなんかダメ」


あのさ、そういう話って、結論、無くない?
話の矛先を変えてみましょう。

 

 

 


数ある種類のサンドイッチですが、なにが一番でしょう!?


マッチーの好みは「チキンカツサンド」だとして、ミコちゃんは?


「あたしはヒレかつサンド。まい泉の」


「あ、まい泉、イイよね。おいしいよねえ」


お、なんとか、諍いモードから仲良しモードに軌道修正できましたですかねえ。


ひと口に「かつサンド」って言っても、めっちゃ種類がありますよね。
肉の種類からしていろいろです。


関東近辺で「かつサンド」っていえば「豚」がデフォルトだと思うんですけど、関西では「牛」なんだそうです。


ビーフカツサンド」です。


東京の豚、大阪の牛、っていうのは好みっていうより文化土壌の違い、ってことなんでしょうね。


大阪で「豚まん」っていうのは、肉のデフォルトは牛なのに、豚肉だから「豚まん」なんですもんね。


でも「かつサンド」の場合は「ビーフかつサンド」って、わざわざ「ビーフ」を主張していますね。


ってことはですね、「かつサンド」は、元々「ポークかつサンド」が始まりで、それは少なくとも大阪発祥ではなくって、大阪に入って来た時点で、なんで豚やねん。大阪は牛やろ!
ってことでわざわざ「ビーフ」って名乗っている。ってことでしょか。


「かつサンド」の発祥って、いろんな説があるんだろうとは思いますけど、発祥の定説としては東京、上野の「井泉(いせん)」っていうとんかつ屋さんらしいですね。


箸で切れるとんかつっていうのをウリにしていたお店らしいんですけど、そこの女将、石坂登喜さんが1935年に考え出したのが「かつサンド」


昭和10年当時の「井泉」には、上野、浅草界隈の芸者さんたちが多く食べに来ていたんだそうです。


着物姿で日本髪に結いあげて、白粉、口紅の芸者さんたちが座敷に上がる前の腹ごしらえってところなんでしょうけれども、いくら箸で切れるほどのっていっても、とんかつ、いっちゃったら口紅はとれちゃいますよね。油ですもんねえ。


ま、化粧直しっていうのは昔も今も、働く女性はお手のものってことではあるんでしょうけど、なるべくその手間を小さく出来ないかって「かつサンド」を考え出したのが、石坂登喜さんなわけです。


明治生まれの石坂登喜さん。
キリッと和服を着こなす女性だったそうですが、朝はトーストに紅茶っていう生活だったそうで、なかなかのモダンガール。


パン食っていうのが当たり前だった明治女性のアイディアっていうのが、夫が作った箸で切れるとんかつを、お稲荷さんや海苔巻きみたいに、気軽に手でつまんで食べられないかしら!? っていう閃き。


「ひょいと思いついた」ってお店の中では伝わっているんだそうです。


で、ひょいとパンで挟んでみた。
じゃじゃあ~ん。かつサンドの誕生です。


芸者さんたちが、なるべく口紅を気にしないでイイように、パンのサイズを小さくして提供していたんだそうですよ。


「井泉本店」は文京区湯島で今も健在です。

 

「かつサンド発祥の店である当店では、代々受け継がれてきた味を今でも大切に守り続けております。初代女将・石坂登喜が口元を汚さずに、気軽に召し上がっていただける様に考案したのが「かつサンド」です」


6切れ1,000円、9切れ1,500円ですねえ。順当価格でしょねえ。


「井泉」のかつサンド、食べたことないです。ぜひ食べに行ってみようと思います。湯島です。


そもそも「井泉」っていう名前は初代の、つまり石坂登喜さんの旦那さん、石坂一雄さんの画号「井泉(せいせん)」からとったんだそうですけど、いつのまにか「井泉(いせん)」ってよばれるようになったっていう経緯があるみたいです。


店構えも風雅な雰囲気ですよ。行ったことないですけどね。


ミコちゃんの好きなヒレかつサンド、その「まい泉」っていうお店は「井泉」から出ているみたいなんですね。


詳細はなんだか難しいことになっていて、「まい泉」って名乗る前は「青山井泉」っていう名前だったそうなんですが、その井泉っていう名乗りは事後承諾ってことなんです。
ま、なんか料理人世界にもいろいろあるんでございましょうね。知らんけど。


1978年から「青山井泉」でやってきて、1983年から「まい泉


で、今回調べてみて初めて知ったんですが「まい泉」って2008年からサントリーグループに入っているんですね。


まい泉」ファンの方々、知ってました?


ひと昔前、原宿表参道に「まい泉」のスタンドが出ていて、行列してましたけどね。
とんかつ弁当じゃなくって、かつサンドがバンバン売れていましたっけ。いくらだったかは忘れました。


本家本元「井泉」のかつサンドは食べたことないですけど、いろいろあるサンドイッチの中で、かつサンドっていうのは、一番満足感の大きいものだって思うんですよね。
充足感、とでも言ってイイような感覚があります。


マッチーとミコちゃんが言い争っていたパンの厚さっていうのは、好みもあるでしょうけど、やっぱり作っている側のこだわりっていうのがありますよね。


食べられるハンカチ!?
あーだこーだ言ってないで、カツをしっかり噛みしめて、じゅわあって来る風味を味わいましょう。


ヒレが「井泉」系なら、ロースで有名なかつサンドに「万かつサンド」がありますね。
肉の万世」のかつサンドです。


「万かつサンド」は東京駅の駅弁。そして羽田空港の空弁として並んでいますよね。
これも旨いですねえ。

 

 

まだ食べたことのない「井泉」のかつサンドと、もう1つ、食べてみたいのが沖縄の「油味噌かつサンド」


那覇空港で食べられるそうなんですけど、「油味噌(アンダンスー)」
ラードで炒めた味噌。
ふっふっふ。医者に相談したら止められるほどの、こってりオイリーなんでしょかねえ。


勝手に想像が膨らみます。

 

 

 


で、かつサンドには、なんと言ってもビールでしょねえ。


まだ熱いうちのかつサンドにかぶりついて、肉とソースの滲みたコロモとパンのハーモニーをむぐむぐと味わって、口の中にまだ余韻が残っているところへ、キーンと冷えたビールでしょ。


生きていることを実感できる、旨さのパワーがあるでしょ。
シアワセの組み合わせ。


でもこれ、なかなか実現できないんですよね。アツアツの状態のかつサンドって、なかなかお目にかかれません。


コンビニかつサンドを家でチンしますと、ま、アツアツ状態は実現できますけど、ちょと悲しいテイストになっちゃうのはなぜでしょう!?


パンが厚かろうが薄かろうが、かつサンド、食べたいですう。ちゃんとしたやつね。

 

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