ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【バリそば】山口県山口市のソウルフード 山口市のみ!ってことでもないんでしょうけど

< 中原中也の故郷に湧き出でる白狐の湯で美肌になって バリバリ食べる麺料理 >

サーカス小屋は高い梁


そこに一つのブランコだ


見えるともないブランコだ

 

 

頭さかさに手を垂れて


汚れ木綿の屋根のもと


ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

 

よく知られた中原中也(1907~1937)の詩集「山羊の歌」の中の一篇「サーカス」の一部分です。
30歳という若さで夭逝した、今でも人気の高い酒呑み詩人の故郷は、山口県山口市湯田温泉
代々の開業医で名家の出身だったそうです。

 

 

 


中也が生まれたころは山口県吉敷郡下宇野令村っていう名前だった湯田温泉は、その名前の通り、古くからの温泉街で、防長二州を代表する「防長四湯」の1つに数えられています。


ちなみに、この山口市の「湯田温泉」、

長門市の「長門湯本温泉」、

同じく長門市の「俵山温泉」、

下関市の「川棚温泉」が防長四湯です。


温泉評論家(!)の評価がかなり高い湯田温泉は、600年前の開湯だそうですが、室町時代ってことになりますね。


今の湯田温泉には「ゆう太」と「ゆう子」っていう2匹の白狐、マスコットキャラクターがいます。
「ゆう太ゆう子ブログ」ってうのをやってますよ。ブログ仲間じゃん!

 

白狐の湯(びゃっこのゆ)っていう伝説が伝わっています。
ゆう太とゆう子の御先祖様ですかね。


その昔、村の近く、権現山のふもとに古いお寺があってな、おしょうさんは村人と良好な関係を続けておってな、村に法事があれば夜遅くまで酒の席に引き留められることも多かったそうな。


ある夜遅くに、おしょうさんが一杯きげんで帰って来ると、境内の奥の池の方からパチャパチャと水音が聞こえてきた。


こんな遅くに誰が、何をしておるんかと不審に思ったおしょうさんが、足音を忍ばせて池の方へ近づいてみるんじゃが、真っ暗でな、なにも見えん。
と、雲の切れ間か、月明かりがすっと指してな、白狐が一匹、池に足を浸しておるのが見えたそうな。


木立に身を隠してな、息をひそめて、おしょうさんがなお見続けておると、白狐はじいっと目をつむって、足を池につけたいたかと思うと、ふっと左の後ろ足をパチャパチャと動かす。
ははあん、この音だったか。


おしょうさんは納得しながらも、霊力を持つっていわれる白狐をじっと見守っておったそうなが、月が雲に隠れて暗闇になると、白狐が走り去る気配があってな、境内は静かになったしもうた。


夜中に、池に足をつけて、あの白狐は何をしておったものか、霊験の現れる前兆だろうか、などと考えながらおしょうさんはそのまま、自分の部屋に戻って眠ったそうな。


次の晩、おしょうさんが池からは見えないように身を隠しながら見守っておると、昨晩の白狐が、やっぱりやって来おった。
昨晩と同じように左の後ろ足をパチャパチャと動かしながら、池につけている。


その晩は月明りで昼のように明るい晩で、白狐の静かな表情も良く見てとれたそうな。


ところがやっぱり、霊力のある白狐のことで、息をひそめているおしょうさんの気配に気が付いたか、ふっと厳しい顔つきになって池から出ると、権現山の中に不自由そうに走りながら消えていった。


左の後ろ足を痛めておるんじゃろうなあ。
それでも、池につけて痛みが治まるんじゃろうかなあ。おしょうさんは首をかしげながら見守ったそうな。


そんな晩が7晩続いた、その7晩めのことじゃ。


いつものようにやって来た白狐は、池に足をつけると、いつもより激しく左の後ろ足を動かしよった。
バチャバチャと水音もいつもよりだいぶ激しいんで、おしょうさんも木立の陰でいぶかっていると、白狐はおしょうさんの方を笑うようにチラッと見たかと思う間もなく、風のように走り去って行った。


前の晩までのように不自由そうな、左の後ろ足が痛そうなそぶりなんぞ微塵もなかったそうな。


はてもさても妙なことを目撃したもんじゃ、と思いながらな、おしょうさんが自分の足を池につけてみると、なんと気持ちの良いお湯になっておった。
温泉のにおいもする。


そうか、あの白狐は、自分の足を治すためにこの池のお湯につかりに来たんじゃなあ。そして拙僧にもこの温泉の在りかを教えてくれたものであろうかなあ。


感じ入ったおしょうさんは、あくる日、村人たちを呼んで、白狐の話を聞かせて池の周りを掘らせてみると、簡単に温泉だ出た。
池の近くの田んぼにも出た。


温泉が出た、出たぞう!


もう総出で、村人たちが温泉掘りに夢中になっていると、クワの先に何かが当たって甲高い音を立てよったそうな。


何事が起きたかと、丁寧に掘り出してみると、それはなんと黄金の薬師如来像。
あの白狐は薬師如来のお使いだったんじゃなあ。


丁寧に磨き上げられた薬師如来さまは池のほとりにお堂を作って大切に祀られてな、お薬師様をおがんで、田んぼの中の温泉につかれば、どんな病でもたちどころに治るって評判になって、この湯を白狐の湯。この村を湯田温泉というようになったんじゃそうな。


田んぼの中の温泉じゃからなあ。
目出度しめでたし。

 

 

 


で、この湯田温泉の名物っていうのが、も1つあってですね、それが山口市ソウルフードになってるっていう「バリそば」なんですねえ。


ほほう、その白狐がもたらしてくれたっていう。
いや、ちゃいます、狐の話は温泉で終わりです。ソバには直接、関係ないと思いますですよ。


山口市に古くからある中華料理店「春来軒」が、戦後に台湾の麺料理を参考にして作ったっていうのが「バリそば」

 

 

中華太麺をバリバリに揚げて、ちぎりキャベツ、タケノコ、シイタケ、キクラゲ、モヤシ、カマボコ、小エビ、イカなんかをどっさりザックリ炒めて、その他豚肉揚げでも、鶏肉揚げでも、乗っけて、その上からねぎをぶっかけて、ちょっととろみのついたガラスープをかけて出来上がり。


ん~。それって、あんかけカタ焼きそばとか、皿うどんみたいなやつ?


とか言っちゃうとですね、山口市民から、いっせいにツッコミが入っちゃいますよ。
「バリそば」にかけるのは、あんじゃないの! ちょっととろみのあるスープなの! そこが違うの!


バリそばって、普通に1人前注文しても、ボリュームはけっこう多いんだそうで、3人前、5人前っていうボリュームが一皿で提供されるっていう、パーティー食べみたいなのが普通だそうで、2人で3人前、3人なら5人前っていうのが常識らしいです。


5人前を盛る皿って、めっちゃデカイ! みたいですよ。


小皿に取り分けて、酢だとかポン酢だとかを好みでかけて、バリバリ食べれば「ぶちうま~!」
っていう山口市ソウルフード


最初はバリバリと音を立てて食べる中華太麺の揚げ具合も、とろみのあるスープにつけておくと、しなっとしてきて、食感が途中から変わる。そういう楽しみ方。


山口県民、とくに山口市民は、県外に出てしまうと、この「バリそば」が食べられなくなるってことが、一番つらいんだそうですね。


中原中也は食べていないでしょうけど、卓球の石川佳純選手、柔道の大野将平選手は食べているでしょうねえ、「バリそば」はソウルフードなんですからねえ。


バリそばの名前の由来はいくつか説があるみたいですけど、「ぶち」とか「ばり」とか、地理的にちょっと離れますけど「ぼっけえ」だとかね、凄いって表現は「濁音」から始まるっていう分かりやすさは信用できる気がしますです。


バリそばは、決して、あんかけカタ焼きそばとは違うんでありますよ。

 

 

 


ここ、山口市湯田温泉、絶対行くです! 新幹線、停まりますもんね。


駅前には、白狐が出迎えてくれているみたいですし、ゆう太とゆう子にも会えるですねえ。
祭りでは「白狐おどり」で活躍しているんだそうです。


温泉入って、ビールで、バリそばでしょ! ん~、まずはおとなしく1人前でお願いいたします。


美肌の湯だそうですよ。
湯あーん 湯よーん 湯や湯よん。