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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【夏の鍋】柳川鍋って福岡県の柳川発祥じゃないらしいね でも柳川市の名物ってどじょうだよ

< 「どぢゃう」っていうのがホントなんだけど 縁起のイイ奇数文字で「どぜう」らしいです >

「暑くなりましたねえ」
「……。うむ、夏は暑いものです」


っていうやりとりがホントだったのかどうかは知りませんが、日本陸軍創始者であり、山口県鋳銭司の町医者だった「大村益次郎」こと「村田蔵六」の好物は豆腐。


冬は湯豆腐。夏はやっぱり冷奴なんでしょうね。晩酌のアテは決まって豆腐だったそうです。


夏に熱いものもイイよねえ、とは言うものの、夏に湯豆腐だとか、鍋だとかは、まあ、いきませんよねえ。


例によって例のごとく、魯山人センセの御言葉でありまする。


「なべものは一般に冬のものと決まっているところへ、こればかりは夏のものであることも、大方の興を呼ぼう」


魯山人センセが言っているのは「どじょうなべ」なんであります。


どうでしょうね。今はそんなにしょっちゅう食べるメニューじゃないような気がします。
看板とかも、そんなに見ません。


個人的な記憶としては、数年前に食べたかな、っていう感じですね。

 


柳川鍋」っていうふうにも言いますよね。
福岡県柳川市発祥なんだよねえ、って思ってました。思ってますよねえ、だって柳川鍋って名前なんですから。


それに柳川市の名物としてしっかり「柳川鍋」って書いてありますもんね。


ところがですね、色々ある「柳川鍋発祥説」のなかで、福岡県柳川市発祥説って旗色良くないみたいなんです。
なんか複層しているんですよね「柳川鍋」発祥説。


そもそも「柳川鍋」と「どじょう鍋」って一緒じゃないみたいですしね。比較対象としてからが間違っているってことみたいなんですよ。


まず、一番大きなカテゴリ的な名前としてあるのが「どじょう鍋」


で、「どじょう鍋」にもいろいろ種類がありまして、っていうことなんです。


その1、「丸鍋


江戸時代、1804年ごろ、浅草駒形の「越後屋」が発祥とされています。


どじょうを活きたまま酒の中に漬けておいて、割り下を敷いた浅い鍋でそのまま煮る。丸のまま煮るから「丸鍋」ってことなんでしょうね。
刻みネギを大量に入れて、さらに煮込んで出来上がり。七味や山椒を振りかけてアツアツをはふはふ食べる。
見た目がナカナカの夏の鍋。


その2、「ぬき鍋」


文政年間とされていますから「丸鍋」から遅れること15年から20年ほどして、同じく江戸、南伝馬町の「万屋」あるいは、本所の「石井」が発祥とされているようです。


どじょうを背開きにして、ささがきゴボウと一緒に煮込んだもの。味付けは「丸鍋」同様、甘辛い割り下ですね。
茶色のコラボレーションの夏の鍋。


その3、「柳川鍋


「ぬき鍋」からさらに5年か10年ほどして天保になった頃、日本橋横山町の「柳川」という店が初めて出した。


浅い土鍋に、ささがきゴボウと背開きのどじょうを並べて、割り下で煮込む。煮立ってきたら溶き玉子でとじる。


これですよね、これが今現在、我々が知っている「柳川」「どじょう鍋」です。


ここで出てきたのが店の名前の「柳川」です。
柳川っていう店で初めて出した鍋だから「柳川鍋


そりゃあもう、ご尤もって感じですが、いやいや、その浅い鍋こそ福岡県柳川特産の土鍋だったから「柳川鍋」なんですよっていう説もあるそうです。


それとはまた別に、どじょう鍋自体が柳川なんですよっていう説もあります。


福岡県にあった柳川藩江戸屋敷の家臣が、どじょうを鍋で煮たものを将軍に献上して、こんなどじょうのようなものまで食べなくてはならないんですと、藩の窮状を訴えたのが柳川鍋という名前の始まり、とするものです。


こういったことを考えますと、どじょう鍋、柳川鍋の発祥については「よく分かりません」っていうところですね。


福岡県柳川市の名物であることも事実ですし、江戸、東京には上記とはまた違った説のある老舗があります。


1801年、享和元年、越後屋助七という男が、浅草駒形にめし屋「駒形どぜう」を創業して「どじょう鍋」「どじょう汁」を売り出したのがそもそもの始まり、という店。


どうも「丸鍋」の「越後屋」と「駒形どぜう」っていうのは、同一店じゃないんだろうか、って気がするんですが、そういう説にはなっていないらしいです。


浅草の「駒形どぜう」はバリバリの現役です。
地下鉄の銀座線 浅草線が入っている「浅草駅」
江戸通りを南へ向かうとすぐに駒形です。A1出口から出ますと100mも行かずに、江戸通りに面して「駒形どぜう 本店」の「江戸文化道場」という看板が目に入ってきます。


ところで、どじょうを出している店には「どぜう」っていうノボリとかノレンが掛かっていますよね。
「どじょう」を「どぜう」って書き著したのが、この「駒形どぜう」の初代、越後屋助七なんだそうです。


旧かなづかいでは「どぢやう」か「どじやう」と書くんですが、四文字は、四っていうんで縁起が悪い。それに3枚ノレンに書きづらい。
ということで三文字の「どぜう」にした。


どの店でもそうですけれど「どぜう」って書いても、発音は「ドジョー」でイイんだそうです。


浅草のすぐ近く、深川の「深川めし」は「【深川めし】 宮内庁選出「日本五大名飯」 400年続く江戸の味」でも触れました通り、「宮内庁選出 日本五大名飯」に数えられていますが、浅草駒形の「柳川鍋」は入っていませんね。


魯山人センセ曰く、


「どじょうなべ。美味くて、安くて、栄養価があって、親しみがあり、家庭でも容易にでき、万事文句なしのもの。ただし、貴族的ではない」


だそうですので、宮内庁には選出してもらえなかったということなのかもしれません。


さらに魯山人センセの言うには、


「どじょうなべの要点はだしで、表側の卵を汚さぬ工夫、だしを笹がきごぼうの下にだぶだぶ残さない工夫、卵を笹がきの中まで沈めない工夫、この三つができたら本格である」


ってことですので、「本格」といいますか、巧い食べ方っていうのがあるんですね。


「表側の卵を汚さぬ工夫」っていうのが、なんだかよく分からず難しそうな感じです。


でも、どうなんでしょう。
バランスよく食べましょうってことなんだろうと思いますが、じゃぶじゃぶしながらはふはふやるのも悪くない気もします。
夏の鍋です。お行儀とか気にせず、箸でも蓮華でも、汗だらだらでガッツイテ食べたってイイんじゃないでしょうか。卵をじゃぶじゃぶ出汁に沈めて、ごぼうと一緒に食べるって、ンまそうですよ。


どじょうには鍋以外の旨さもありますね。


「柳川丼」「舞子丼」がそれです。


でもまあ、これは柳川鍋をどんぶりの頭にしただけのもので、ガシガシひっかき回して食べるのが旨いような、魯山人センセだったら眉をひそめるかもしれないものですね。


酒のアテで柳川鍋っていう場合にはちと違って来ますが、ごはんのおかずに柳川鍋っていう場合は、まあ、ほとんど「柳川丼」「舞子丼」と同じような食べ方になりますよね。


「舞子丼」っていうのは、どじょうが身をくねらせる姿を舞子に見立てたネーミングだそうです。
ちょっとグロ。


柳川を名乗りたくないような事情があったのかもしれませんね。知らんけど。


上述しました「どじょう汁」っていうのもありますね。
ザックリ言って、これはもうそのままのシロモノで、どじょうのみそ汁です。


「どじょうの蒲焼き」っていうのもあります。
石川県の金沢市富山県辺りでは、うなぎではなくどじょうを蒲焼きにして食べる習慣があったそうです。


昔から「うなぎ一匹、どじょう一匹」っていわれるほど、どじょうの栄養評価は高いものがありますからね、大きめのどじょうの獲れる地域なのかもしれません。


またまたご登場願う魯山人センセも、こういうのを紹介しています。


「東京では埼玉の越谷辺の地黒というどじょうが上物で大きく、以前、うなぎの大和田あたりで盛んに蒲焼にして、「どかば」と称して、一時人気を呼んだものである」


「うなぎの大和田」知らんなあ。。。でも「どかば」って良さげな感じがしますです。


でも今じゃ、越谷っていっても、田んぼでどじょうとか、獲れないんでしょうねえ。
そういえば「越谷レイクタウン」ってありますね。あの辺で獲れるんでしょうか。どうでしょ。

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で、最後に、知る人ぞ知るどじょう料理「地獄鍋」


食べたことは無くとも、聞いたことはあるんじゃないでしょうか。


深めの土鍋に出汁水を張って、そこへ活きたどじょうを数匹入れて、うねうね泳いでいるところへ火を入れます。
少し煮立ってきたら、そこへ常温の豆腐を一丁、そのまま投入。
すると、熱さから逃れようと、どうじょうたちが頭から豆腐に突っ込んでいく。


怖いことが起きると砂に頭を突っ込むっていうダチョウじゃあるましし、どじょうって豆腐に頭突っ込むの?
はい。実際には豆腐にめりこんでいくどじょうは居ませんです。


豆腐に頭を突っ込んで熱さを逃れようとするどじょうが、結局は豆腐と一緒に煮られてしまうさまを、同情の立場から「地獄鍋」というネーミングにしたんだろうと思いますが、1回だけ経験していますが、どじょうは豆腐に接することなく煮られてしまいますね。


それって調理を失敗したんじゃないの? というご意見もございましょうが、何回もチャレンジしたいような方法じゃないですよね。食欲をそそる見た目じゃないですよ。


要は、どじょう入り湯豆腐でした。

 


ま、コロナ禍では浅草まで出かけて行くっていうのも、思うに任せませんが、明けたら、また行ってみたい店ではあります。


2021年の夏は、無理でしょうかねえ。いや、「地獄鍋」じゃなくってオーソドックスな「どじょう鍋」ね。


夏の鍋。仲間と一杯やるには、イイんですけれどねえ。今はねえ。。。