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【男と女の修羅場】が繰り広げられて ロシア民謡の「一週間」を思い浮かべた話

< 恋人よこれが私の ランララランで一週間 >

毎度まいどのバカ話でございまして、よろしくお付き合いのほどを、お願い申し上げますです。


昔からですね、珍しいよねっていう状況に出くわす方なんですよ、個人的に、ホントに。


随分前の話ですけど、職場の食堂で数人で休憩中。10数人ぐらいは居ましたかね。
食堂のデッカイテレビで宝くじの当然発表を放送してたんですね。


ぐるぐる回る数字の書かれた円盤に、弓矢を飛ばして1つずつ当選番号を決めていくっていうイベント。
で、その宝くじを買っていた3人が、わあわあ、当の宝くじを手にテレビ前に陣取っていました。


部署の違う、顔は知っているけれども、知り合いって程じゃない3人です。


1000万円だったと覚えていますが、次に「7」がくれば当たり! ってことになって、3人が「な~な、ナ~ナ」って声を合わせて、もう傍若無人の大盛り上がり。


その3人にしても、冷ややかな目で見ている他の人間てたちにしても、誰も当たるなんて思っていないです。
そりゃ、そうです。宝くじなんですから。
ね、そういうもんでしょ、宝くじって。


でもね、来ちゃったんですよ、その時。「7」が。大当たり。
びょ~んって矢が刺さったのは「7」


それまで「な~な、ナ~ナ」って盛り上がっていた3人も、急にピタッと動きをとめて、静かになってしまいました。
3人ばかりじゃなくってですね、食堂の中が凍りつきましたよ。


テレビから流れてくるガヤガヤだけが、食堂の中の唯一の音になっちゃっいました。


そしたらですね、そのころは食堂でタバコが吸える環境だったんですが、1000万円当たった、その当人が、おもむろにアルミの灰皿の上で、その当選くじを燃やしちゃったんですね。


誰も止めませんでしたし、声も出しませんでした。


三々五々、何事も無かったように、全員が食堂から出て行きましたねえ。
これ、ニュースのトピックになったんですよねえ。
ずっと忘れられない光景です。

 


で、今回のは、そういうのとは、ちょっとね、種類の違った、非日常に出会ってしまいました。


街の普通の歩道での出来事です。


片側1車線の市道。両側にまあ、3人ぐらいは並んで歩ける幅の歩道があります。表面に山並みぎざぎざのある灰色レンガのピースが並べてある、ごく普通の歩道。
秋晴れの陽が、ようやく暮れなずみ始めた遅い午後でした。1人でぶらぶらと歩いて、散歩の帰り道。


少し先の方で急に女性の金切り声があがったんでありますよ。はい、急に。


ま、金切り声なんてのはですね、急にあがるもんです。徐々に、なんて金切り声はありませんね。


中年カップルでしたね。どっちからどっちに歩いていたものか、分かりません。
同じ側の歩道を歩いていたのは事実ですが、声が上がるまで、そのカップルに気が付いていませんでしたよ。


「バカヤロー! なに言ってんだーッ!」


女性の怒鳴り声です。マスクを吹き飛ばしそうな大声。


そんなに多くの人が歩いていたわけじゃなかったですけどね、近くを歩いていた5、6人ほどの人が立ち止まりました。反対側の歩道を歩いていた人たちも、立ち止まりこそしませんでしたが、みんな、目をカップルに貼り付けていました。


そりゃそうですよね、妙齢の女性が、天下の公道で突然「バカヤロー!」ですから。


私も含めて、同じ側を歩いていた人たちが立ち止まらざるを得なかったのには、わけがありましてね、はい。


かなり大きめのエコバッグ、みたいな布バッグを歩道の上に投げ出して、その女性は、中身を次々に取り出しては灰色レンガ、そこら中に投げつけているんですよ。髪を振り乱して叩きつけています。


「もお、絶対やだアー! ふざけんなあっ!」


ちょっとね、脇を通って歩けませんよ。修羅場です。


まあまあ、とか言える空気じゃないんですね。「バカヤロー!」を尊重します。


女性はモノを投げつける灰色レンガの表面を見ながら叫んでいます。男性の方を直接見てはいないんですね。


男性の方はというと、投げつけられて、歩道を転がっていく物品、ハムだとか、豆腐だとか、パンだとかを、黙ったままわらわらと這いつくばって拾い集めています。


豆腐のパックが壊れてはいませんでしたけれど、ダメになっちゃってますよね、たぶん。
卵のパックはなかったように思いました。良かったよかった、じゃなくってですね、どしたんでしょか?


完全にブチ切れちゃってますよ。

 


男と女の修羅場っていうのが、世の中的に、決して珍しいものじゃないってことは認識しておりますけれどね、あのね、天下の公道で、突然ブチ切れて、罪のない豆腐を歩道に叩きつけるっていうような修羅場って、まあ、見ることってないんじゃないでしょうかね。


エコバッグはけっこう大きなものではありましたけれど、中身に限りはありますからね、ブチ切れた女性が投げつけられる個数もね、そんなに多くは無かったです。


バッグの中に投げつけるモノが無くなったのか、それとも、ここが家の中じゃなくって一般の歩道だってことに、ふっと気付いたのか、女性はうつむき加減に下を向いたまま動かなくなりました。


立ち止まっていた人たちもカップルを遠巻きにしながら歩き始めました。


「すみません、すみません」


男性が周りの方は見ずに、拾ったものをもう一度バッグの中に戻しながら声を出して、相変わらず這いまわっていました。


いやあ、私も最初はビックリしましたが、また歩き始めて、カップルの脇を通り過ぎたあたりから、なんだか笑いがこみ上げてきました。


ま、声を出して笑うまではいきませんでしたが、この修羅場に出くわしたことで、昔聞いた歌を思い出していたからです。


♪月曜日に愛人と会い


♪火曜日に女房にばれた~


♪しゅら しゅらしゅら しゅらしゅら修羅場~


♪しゅらしゅら 修 羅 場ッ!


当時、不倫がバレて、それを素直に認める会見を行った大阪市長のことを揶揄した、替え歌名人、嘉門達夫の歌ですね。
ま、そういう場合にも修羅場になるでしょうね、そりゃね。


でも、大阪の歩道で修羅場が繰り広げられることは無かったですよ。だったはずですよね。知らんけど。

 


この替え歌のもとになっているのは、ロシア民謡「ニェジェーリカ(週)」

 

19世紀ごろに出来た、ロシア女性の一週間を歌った民謡だそうですから、ロマノフ朝のころです。
20世紀初頭の1917年、二月革命ニコライ2世が退位するわけですけど、ロシアの生活がとても安定していることを歌っているのか、どうしようもなく退屈な日々だっていう批判の歌なのか、ちと判りませんですね。


ロシア女性が、恋人エメリカを迎えて、送り出して、っていうだけの歌詞なんですが、かなり不思議な一週間です。


NHKのみんなの歌では、恋人じゃなくって友達っていうふうに変えられていましたけどね、不思議さは同等ですよね。
NHKさん、そういうアレンジ、要らねっすよ。


ノンアレンジのロシアの歌詞です。


♪日曜日に市場へ行って


♪糸巻きの心棒と麻を買ってきた


日本語の歌詞だと糸と麻ってなってますが、糸巻の心棒と麻だそうです。
にしても、なに? ロシアって日曜日でも市場が開いてるの?
個人の店なら日曜日でも開けているってことはありそうですが、市場がねえ。
市場っていうのがどういう市場なのか分かりませんけれど、織物産業が推奨されてたってことなんでしょうかね。


♪月曜日に蒸し風呂を炊いて


19世紀のロシアって蒸し風呂が普通だったんでしょうか。今だと、空の湯船で身体を洗って、シャワーで流すっていうお風呂が普通みたいですけどね。
それとも、蒸し風呂っていうところに、何か特別な意味があるんでしょうか。


♪火曜日に蒸し風呂に入る


そりゃね、蒸気があがるまでには時間がかかりますでしょうけれどね、1日もかからないでしょねえ。
冷えちゃってるでしょ。ずーっと炊きっぱなしなの?


♪水曜日に愛する貴方を出迎え


♪木曜日に見送った


通い婚、みたいなことなんでしょうか。愛する貴方には、蒸し風呂、振る舞わないんですね。


♪金曜日は糸巻きはせずに


糸巻はしないけど、何をしたんでしょうか。
する予定だったんだけど、しませんでしたってこと?


♪土曜日は皆で故人への良き想いを語り合う


なんなん? これ。皆って誰? どこから出てきたの?
日本版だと、
♪おしゃべりばかり
って歌ってましたよね。これだと楽し気なおしゃべりって感じになりますけれど、故人を偲んで語り合うんですから、わいわいきゃあきゃあじゃなさそうですよ。


♪私の愛しいエメリカよ


♪こんな風に私は一週間働き続けていたのよ


って、これを水曜日に歌って聞かせたってことでしょうか。
それとも、水曜日に迎えた愛する貴方とエメリカは別人?
それに、働き続けたっていうのは、どゆ意味なんでしょ。
ものすごく穿ったイヤミ、の歌?


なんとも不可思議なロシアの一週間です。

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一週間の歌っていえば、日本にはハナ肇クレイジーキャッツウンジャラゲ」っていう優れた歌がありますね。


1969年、昭和44年の歌ですが、いろんな人がカバーしてますよ。志村けんのカバーが知られていますかね。


テレビ用に志村けんが「ウンジャラゲ」を歌っているところを、本家本元の植木等が、めっちゃ真面目な表情で見守っている映像が思い出されます。


月曜日から始まるんですよね。
さああ、いってみよう! ってことで、


♪月曜日は ウンジャラゲ


♪火曜日は ハンジャラゲ


♪水曜日は スイスイスイ


♪木曜日は モーリモリ


♪金曜日は キンキラキン


♪土曜日は ギンギラギンのギンギラギンのギンギラギンのギン


♪日曜日は ランラランラ ラン


ウンジャラゲっていうのとハンジャラゲっていうのが何を指しているのか、っとかね、そんなことにこだわる歌じゃありませんですよ。


大事なことはですね、
♪日曜日は ランラランラ ラン
ってところです。


日曜日に市場へ行ってもイイんですが、行かなくてもイイんです。
大事なのは、
♪ランラランラ ラン
っていう時間を過ごすことでありますよ。


修羅場を過ごしたカップルもね、
♪ランラランラ ラン
の日曜日であってほしいって思いますですよ、ね。


♪ランラランラ ランで、一週間


終わりよければってこともございまして、はい。


なんだか喜んでいるような話になってしまいましたが、別に修羅場に出会いたいって思っているわけじゃあ、ございませんです。。。


おあとがよろしいようで。