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【アニーよ銃をとれ】万延元年生まれのヒロインはコロナ後にもまた復活するでしょねえ

< 「シートン動物記」のアーネスト・シートンが生まれる前日にこの世に生を受けたのがアニー >

記録が遺っているとはいっても、精確性はいろいろと疑問が出ているそうですけどね。
なにせ日本でいえば江戸末期の頃です。


遺っている記録に、後から辻褄が合わない内容が見つかるのは、なんでだか知りませんけど、よくあることではありますよね。洋の東西を問わずにです。


世界的に見ると19世紀末、この時代、最も国内情勢が落ち着かなかったのはアメリカだったかもしれませんね。


1860年頃から西部開拓が始まって、フロンティア精神なんていいながら、ネイティブアメリカンの土地をどんどん侵略していって、さらには1861年から1865年には南北戦争です。
北アメリカ大陸での人間生活、カオスです。


捕鯨船の補給基地にするっていうのが主目的で、日本に開国を迫ったのもこの頃ですね。


アメリカが全方位に動きまわっていた時代だって言えるでしょう。
尤も、動いていたのはアメリカだけじゃなくって、ヨーロッパも変動の時代だったみたいですけどね。

 

 

 


1860年にイギリス、サウスシールズで生まれた「アーネスト・トンプソン・シートン(1860~1946)」は、5才でカナダに移住。ですので、南北戦争が終わってからカナダに来たっていうことですね。


イギリスの絵画彫刻学校に入学。カナダに戻って農場の手伝い。ニューヨークの出版社に勤務。絵の勉強でパリへ。カナダに戻って博物学者になって、ニューメキシコで「狼王ロボ」を捕獲。フランスに渡って、アメリカに戻って来て永住。


アメリカとヨーロッパの区別っていうのは、意識的にかなり希薄だった時代なのかもですね。


シートンは8月14日生まれ。


そして「アニーよ銃をとれ」の「アニー・オークレイ」がオハイオ州で生まれたのが8月13日なんですね。


21世紀の日本。シートン動物記は、どこの図書館にも置いてあるでしょうし、今でも子どもたちに読まれ続けているんだろうと思います。
「灰色熊のワープ」には感動しました。今でも覚えています。


シートンの遺した事績が物語として語り継がれるっていうことは分かりやすいように思いますが、アニーって、何をした人で、なんで未だに人気があるヒロインであり続けているのか。
ちょっと不思議な気がするんですよね。


え? ミュージカルの主人公でしょ、架空のヒロイン。っていう反応もあるかもです。


アニー・オークレイっていう名前は、言ってみれば芸名で、本名は「フィービー・アン・モーゼズ(1860~1926)」


「アニーよ銃をとれ」のアニーは、実在の人物なんですね。


ブロードウェイ・ミュージカルの人気演目として世界に知られている「アニーよ銃をとれ」ですが、日本での人気も凄くって、コロナ前は毎年、いろんなところで上演されているロングランでしたね。


アニー役出身の有名女優さんも相当な数、いらっしゃるみたいですもんね。
芸能界デビューの登竜門の1つ。なのかもですよねえ。


ミュージカルの出来が、つまり台本の出来が、実在したアニーの半生を離れて絶対の人気を獲得した結果なんでしょうか。
そのあたりの結論っていうのは出せそうにないのかもしれないです。


実在のフィービー・アン・モーゼズっていう人は、相当エネルギッシュで、快活で、魅力的な女性だったようです。別嬪さんなんですよね。


ミュージカルは、実際のアニーの半生に、ほんの少し恋愛事情を加味しただけのようにも思えるんですよね。


神がかり的な射撃の腕前だったっていうアニー。


伝説をそのまま信じるとすれば、射撃の天才なんですよね。
リアルなアニーの半生そのものが衰えない人気の秘密なんでしょうか。

 

 

 


アニーが生きていた、南北戦争後のアメリカは「ガンマンの時代」です。


バッファロー・ビル(1846~1917)」


「ワイアット・アープ(1848~1929)」


「ドク・ホリディ(1851~1887)」


ビリー・ザ・キッド(1859~ 1881)」


ブッチ・キャシディ(1866~1908)」


サンダンス・キッド(1867~1908)」


「キッド・カーリー(1867~1904)」


銃で生計を立てるっていうことで、みんな「ならず者」として歴史に名前を遺しています。


ワイアット・アープは保安官ですけど、その土地から追放されたりなんかしている、暴れん坊保安官だったみたいですね。


バッファロー・ビルはバッファローハンターで、なかなかのやり手。


南北戦争でも活躍して、戦後は国家警備隊の大佐を務めたり、西部開拓開発を推し進めたりしている人です。


このバッファロー・ビルが興行していた「ワイルド・ウェスト・ショー」は、南北戦争や西部開拓をテーマにした舞台公演で、アメリカ中、さらにヨーロッパ各国を巡ってかなり人気を博していたんだそうです。


出演者に、スー族の戦士「シッティング・ブル(1831~1890)」がいたり、射撃手が大勢いて、興業の評価は高かったらしいんですね。


この中の射撃ショーで、プロの射撃手「フランク・バトラー」と対戦して勝利した、若干15歳の少女。


「飛ぶ鳥を落とす無双の女性射撃手」っていう売り文句で登場するようになったのがアニー・オークレイです。
これ、実際の話ですよ。


15歳で、すでに射撃の天才だったんです。生まれながらの天賦の才。


射撃の腕前は8歳の頃から生活のために地元で、鳥だとか、獣を撃って高めていったそうなんですけど、9メートル離れた場所から横向きのトランプ1枚、コイントスを撃ち抜いて、投げられたトランプは地面に落ちる前にハチの巣になった、って言われています。


アニーは決闘なんかしませんし、悪事に加担するわけでもなかったガンマンです。

 

 

アメリカ広しといえども、アニー・オークレイこそが、ナンバーワンのガンマンだったのかもしれませんね。


ショーで仲良くなったっていうシッティング・ブルも証言しています。


「オークレイは楽しげに舞台へスキップして、ライフルを掲げ、樽の上のろうそくを狙い、1発で火を消した。ボトルのコルクやバトラーがくわえた葉巻を撃ち飛ばすのも目撃した」


実弾で演っている射撃ショーですよ。とんでもないことを演っていたんですねえ。


この葉巻をくわえて立っていたっていうバトラーっていうのが、射撃競技で負けたフランク・バトラー。実際のアニーの旦那さんです。


ミュージカル「アニーよ銃をとれ」のキャストはほとんど実際にいた人物たちなんですね。


ミュージカルでは、「ワイルド・ウェスト・ショー」のライバル劇団が登場して来て、アニーの恋の相手が2つの劇団を行ったり来たりするっていうストーリーになっていますよね。


それでアニーがやきもきするところが、ミュージカルとしての面白さ、なんでしょうかね。


実際には、すんなり結婚しているみたいですけど、舞台としては対立がないと面白くなりませんからね。


アニーとバトラーは、何度も射撃対決をさせられることになります。
ミュージカルの方の話ですよ。


アニーは無邪気に勝っちゃうんですけど、バトラーは面白くなくって、結婚の約束を反故にしようとするんですね。


劇団の経済的危機を救う目的もあって、アニーはバトラーとの射撃勝負に向かいますね。


アニーに負けてもらわないと、劇団の経営も、バトラーとの結婚もうまくいかないことになっちゃいます。


で、「ワイルド・ウェスト・ショー」の人間が、アニーの銃に細工して負けさせようとします。
その場面に居合わせるのが、アニーの理解者、シッティング・ブル。


細工を仕掛けていた劇団員は焦りますが、シッティング・ブルはこう言います。


「アニーは競技で勝つより、負けることによってバトラーと結婚する方が、しあわせ」


そして、アニーの銃の照準をしシッティング・ブル自身が曲げてしまうんですね。


実際の競技が始まるとアニーの射撃はことごとく外れてしまいます。


アニーの銃に細工がしてあることはバトラーも知りません。
なにかがおかしいと思ったバトラーは、自分の銃をアニーに渡します。


すると、100発100中。


でもこれは、自分の銃じゃない。アニーは憤懣やるかたない思いで、再度自分の銃をかまえます。


そこへ現れたシッティング・ブル。


「アニーよ。ここは、負けるが、勝ちだ。鉄砲で、オトコは、つかまえられない」


ヤマバですね。


アニーはシッティング・ブルの言葉の意味を理解して、敗北を宣言。


アニーとバトラーはめでたく結婚して、劇団の興行も盛り上がっていきました、とさ。
って話ですよね。大雑把にはね。

 

 

 


少女が大人の男に負けてあげる、っていうところが受けるんでしょうか。


だとすると「アニーよ銃をとれ」っていうのは、圧倒的に若い女性に支持されているミュージカルなのかもですね。
実際そうだったような気もします。


「Annie get your gun」っていうのが原題なんですけど、yourっていうところが、負けるが勝ち。なんでしょかねえ。


「ショーほど素敵な商売はない」っていう挿入歌も、ロングランヒットですよね。


アフターコロナ、ウィズコロナの生活になって、また「新しい」「アニーよ銃をとれ」に人気が集まるのかもしれません。


ネタバレ、にはなってませんよね。と、思います。たぶん。


「フィービー・アン・モーゼズ」は、女性の権利主張だとか、しっかりした社会活動にも貢献した人だそうです。