ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【自分がホントにやりたいこと】 それが見つかる人と 考えちゃうと不安になる人

< たとえ失敗したとしてもチャレンジした自分に満足は出来るんじゃないでしょかねえ >

マリッジブルーってホンマにあんねんなあっていう話からなんですけどね。


いつもの焼酎バーで、ちょこちょこ一緒になることがあったウワバミ女子、チカチューなんですが、会社都合の転勤で千葉県に引っ越して行ったんですよね。


「もともとね、お気楽極楽な独り暮らしだから、千葉だろうが沖縄だろうが、どこでもイイのよ」


とかね、そんなことを言っていたんでした。
沖縄県? それは希望的観測ってやつでしょうけどねえ。


で、なんかそういうセリフとはウラハラな心境があったものなのか、時々、都心の会社から千葉県とは反対方向へ行く電車に乗って、常連だった焼酎バーにふらっと現れて、


「いつもながらの久しぶり~」


とかいう常套句を発しながら呑んで、ま、早めに帰っていく、なんてことをやっていたチカチュー。
そんなんで、1年以上前になりますけど、


「今度、結婚するんだ、あたし。年貢のおさめどきかなあ」


なんて、最近の男子でも口にしないようなことを言っていましたんで、もうこっちには来られない感じかなあって、他の常連さん連中で噂していたんでした。


それが、ついこの前、3ヵ月ぶりぐらいに顔を見せて、カウンター席の隣りにやってきたですよ。


グレーのカーディガンに、例のごとく例によっての黄色いスカート姿。
坐るなり、


「ダイヤメ、炭酸割り。お願いしまあす」


すると女将さんが、すかさず、


「ダイヤメと同じ酒屋さんから新しいのが出たんだけど、チカちゃん、好きだと思うよ」


「へええ。芋?」


「麦なんだけどね、ダイヤメと同じような系統で、ふんわり感がイイのよ。グリーンチルっていうの」


「麦かあ。グリーンはイイとして、チルってなあに? ダイヤメって名前、焼酎呑んでその日の疲れを癒すっていう意味だったでしょ、鹿児島県の方言。チルっていうのもどこかの方言?」


「なんでしたっけ、ぱうすさん」


は!? そんなとこで振られるですかあ。。。

 

 

 


鹿児島県で1日の疲れを晩酌してとりましょう的な意味だっていうダイヤメでしたけど、チルはチルアウトっていう英語で、やすらぐとか、落ち着くとかいう意味らしいっす。


っていうか、酒の名前の意味とか、どうでもイイっしょ。とにかく呑んでみればイイんでないの!?


「そだよねえ。そうしまあす。呑んでみまあす」


女将さんがニコニコと、


「じゃあ、お勧めのソーダ割りでね」


「はあい、お願いしまあす。ふ~っ。なんかさあ、ここに来るとこういう話から何から、妙にすんなり入ってくるんだよねえ。あのさあ、ぱうすさんさあ、あたし、結婚やめようかなって思うんですよねえ」


どっひゃあああ!
いきなりですねえ。なにがあったんでございましょうか?


「別になにもないの。なんとなく、そっちに行っちゃいけないような気がしてきたんですよねえ」


マジな話みたいなんでした。


相談している会社の人たちには、マリッジブルーの重いヤツだろうって言われているらしんですが、チカチュー本人に、そう考えるようになった原因に思いあたることがあるんだそうでした。


チカチューと同期の男子社員。わりと将来を嘱望されていたらしいんですけど、2ヶ月ぐらい前に会社を辞めたんだそうです。


とくに仲が良かったとかそういうんじゃなかったみたいなんですけど、同期5人で送別会をやったときに、その彼はニコニコとどうして辞めるのか、辞めてどうするのかを淡々と語ったそうです。


それがズシ~ンとインパクト。モロに影響を受けたんだそうです。


「自分ってなんなのかなあって、そんなこと考えたの30年以上も生きて来て、生まれて初めて」


同期くんは社内の働き方改革に違和感を募らせていたんだそうです。


リモートワーク日の割り当て。有休休暇の完全消化。育休取得。
独身男子社員に育休取得の予定を聞いてどうすんだ!


ひとり暮らしの休日。休みが増えたのはイイことのような気もしていたけど、何をして過ごしたらいいのか分からず、結局は休みの日の方が疲れる。


働き方改革って、なんなんだ!? 誰のためのものなんだ!?


じゃあ休まずに仕事に出て行く方がイイかっていうと、仕事がそんなに好きなわけでもない、って考え始めて、自分の好きなことってなんだったか、そんなことを真剣に1年以上考え続けた。


子どもの頃から動物が好きで、動物園で働こうと思っていた中学生時代。
そういえば、その頃はもっと毎日笑って暮らしていたような。


そんなタイミングで北海道の遠縁が乳牛牧場を拡張して会社組織にするっていうメールがスマホに飛び込んで来た。


これまでは全くの家族経営で大きくはない牧場をやっていた遠縁の家族。


両親と兄妹、アルバイトの学生数人で、休みもなく牛の世話をして頑張って来たんだけれど、母親が腰を痛めてしまった。


家族経営では、もう無理の効かない状態になってしまった。
牧場をやめるか、拡張して生産性をあげて会社組織にする。


これまではアルバイトを募集するにもホントに忙しい時だけ、たまにだったけれども、しっかり給料を払える体制にもって行って社員を雇う形にしていくんだという。


両親も年をとって身体が思うように動かなくなってきているんで、自分が社長になって、とにかくチャレンジしてみる。


まとまった休みがとれるようだったら、学生時代みたいに手伝いに来てくれ。


広い空の下で、これ以上ない旨い牛乳がたっぷり飲めるぞ。
なんといっても牛が好きだし、やれると思っている。


そんな内容のメールを受け取った同期くん。

 

 

 


その同期くんは、3つ年上のその遠縁のお兄さんから、ずっと前から言われていたそうです。


都会の会社は休みが多くてイイな。
うちの家族には休みなんて1日もない。


言われてみればその通り。生き物相手の仕事ですからね。休みを取るにしてもローテーションで回していくしかないんですね。家族4人では回しようもないってことでしょうね。


思い切ってやってみる。なにか自分なりの精一杯を実行するって凄いことだな。


1週間、真剣に、自分の生活、生き方っていうのを考えたんだそうです。


そして、オレも牛、好きだよ。兄ちゃんに負けないぐらい牛が好きだ。社員応募はまだ間に合うか。牛と一緒に暮らしていけるなら休みなんて要らないっていう心意気の男がここにいるよ。


って、メールで返信して、牧場の社員になることを決めた。


あとはトントン拍子の強い気持ちで退職手続きを進めることができて、こういうことになった。


牛のことは勉強しないといけないことがかなりあると思うんだけど、無理なくやれる自信がある。


チカチューは同期くんのこんなセリフに撃ち抜かれたんだそうです。


「知ってる? 牛の目。大きくて、どこまでも純粋で、ウソがないんだよね。こっちを見て会話もできるんだよ。言葉なんて要らないんだ。

牛と暮らしていけるって、素晴らしいと思うんだ。自分がホントにやりたいことって、これだったんだって。牛だけじゃないけど動物ってただ生きているんだと思う。

ホントに理屈とか主義とかじゃなくって、ただ自然のままに生きてる。人間もそういう生き方の方が、ね。そう思ったんだよ。働き方改革とかじゃなくって生き方改革、言ってみればそういうこと」

 

 ん?

別に説教として聞いたわけじゃないけど、チカチューは自分がホントにやりたいことっていうのを改めてズドーンと考えさせられた。


ふうむ。


焼酎バーのカウンターでしみじみとする話かどうかは置いておくとして、分かる気はしますね。


自分がホントにやりたいって思うことがあって、それをやり続けている人、やり続けることが出来ている人って、どれだけいるでしょうかね。


あるがままの自分っていう存在。


アイデンティティとかいう言葉が当たり前に浸透している世の中です。
自己同一性とかいうんですよね。


でもむしろ、正直な自分じゃない、思い込みの自分っていうのをアイデンティティにして、まったく自然じゃない自分、っていう人たちばっかりになってしまっているのが21世紀なのかもですねえ。


いつの間にか、やりたくもないことに専念している自分に気付いちゃう。
現代人の慢性的疲労感って、この辺に原因があるのかもって気もします。


正しい人間像みたいなものがあるとして、それを自分にあてはめようとする。悲しいことには、その正しいと思い込んでいる価値観が教育とかで与えられるものなんで、誰にでも共通していて、多様性なんてありゃしない。


アイデンティティがどうの、っていう以前に自分になにかしたいことがあるのかどうか分からないっていう人の数の方が多い21世紀の日本なのかもですもんねえ。


チカチューはまだ言います。


ゴールデンウィークね」


はあ?


「有給休暇使って、だいたい10連休ぐらいにするのが常識的になってきちゃっててね、女子社員なんて、カレンダー通りに会社に出て来るなんてカッコ悪くって、っていう状態になってたんですよねえ。それが当たり前に思ってたんだけど、そういう当り前って違うよね」


う~ん。


「休みたいっていう気持ちが強くあるっていうことは、今やってる仕事、好きじゃないってことでしょ。ホントはやりたくない」


でもまあ、仕事が好きな人なんてそんないないっしょ。


「そんなこと考えてたら、結婚するっていうのも、なんか違うかなあって」


いや、それは理論の飛躍っていうかですね、ロジックが破綻してまっせ。


結婚をやめたからって、それで自分のやりたいことが見つかったりするもんじゃないでしょうし、満足できる生き方が急にひらめくってこともないんじゃないでしょうかね。

 

 

 


チカチューは元気女子ですからね。なんとなく不安な気持ちのマリッジブルーを前からの仲間にぶっちゃけてみたかっただけだったんだと思うですね。


そこにたまたま同期くんの退職騒ぎで、自分のホントにやりたいことに対する心構えとかが気持ちを揺らしてナイーブになった「木の芽どき」ってことで、

 

「早く帰んなきゃ。めんどくさ~い」

 

って、ま、元気は残っている状態で帰っていきましたです。


チカチューがチルして、結婚がうまくいって、同期くんの牧場生活も順調にいくように、祈念しております。


人間、生きていると、いろいろあるでございますよねえ。ふうう~っ。。。

 

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