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【のらぼう】のらぼうおひたし のらぼうベーコン炒め のらぼう豆腐ピリ辛和え

<49種の野菜と 野菜以外の7品を合わせた 56品が江戸東京野菜 のらぼうはその1つ>

菜っ葉、なっぱっていうけど、その種類とか正式な名前とか全然知らないです。というか食べるときに聞いてもすぐ忘れます。ま、覚える気がない。菜っ葉は葉っぱで、葉っぱに名前は要らない、とまでは言いませんが、いろいろ食べてはいるくせに、名前はホントに知りませんね。


食べる葉っぱに限らず、樹や花の名前もほぼ知らない人生です。


そういう人も少なくないんじゃないか、とも思うんですが、あれです、レタスとキャベツ。これは区別が出来て名前も知っています。あと、白菜ぐらいでしょうかね。


ほうれん草もなんとなく分かっている気でいるんですが、似たような葉っぱ、けっこうありますよね。カタカナ名前の葉っぱとか、名前を教えてもらっても、ふううん、で終わっちゃいます。


ルッコラっていう名前は記憶していますが、どれ? って言われると、? です。

 


そんな中で一発で覚えた名前の菜っ葉、葉っぱ。それが「のらぼう」なのでした。


かなりインパクトのある名前の野菜です。
音声として「のらぼう」であることは間違いないらしいのですが、漢字表記に正規というのは無いらしく、一般的に、習慣的に「野良坊」と書かれている野菜なんだそうです。


ウェブで見つけたある記述によりますと「野良にボーッと生えている菜っ葉という意味」「かつて農民が年貢を払うのを避けるために名付けられたのではないか」という推測になるんだそうです。


どうでしょうかね、これ。


おそらく「野良坊」の「野良」については「のらねこ」の「のら」と同じでしょうから、野っ原、あるいは所属のないっていうニュアンスだろうと思いますが、「ボーッと生えている」っていうのがちっとも分かりませんですね。


「ボーッと生えている」と言われれば、たいていの草は「ボーッと生えている」わけで、そもそも、植物がボーッとしているのかキリっとしているのかなんて、生産農家の人にだって分からないんじゃないでしょうかね。
「野良坊」にしてみれば、大きなお世話じゃ、ってもんでしょ。


別にボーッとしていて悪いことは何も無いわけです。ボーッとしている方が健康だったりするかもしれませんしね。


「農民が年貢を払うのを避けるために」というのは、何かそういう文書があるわけではないんでしょうけれど、誰か産地の人から話を聞いたとした場合、なぜそうした結論に至ったのか。という部分もちゃんと書いていないと、さっぱり理解できません。


年貢の支払いとボーッとしているネーミングって、どういう繋がりがあって、どういう効果を期待できるんでしょうかね。


「かつて農民が年貢を払うのを避けるために名付けられたのではないか」というのを言葉通りに受け取ると、「野良坊」を年貢として納めていたってことになりそうですが、そういう年貢っていうのもあったんですかね。


で、その年貢の葉っぱを納めるのを避けるために、名前を「のらぼう」にした?
そんなことで、役人側が「じゃ、要らない」って言いますかね? へんなの。。。


でもまあ、葉っぱのネーミングについて、こうしたヘンテコな話が出てくるっていうのは、やっぱり面白い「野良坊」という名前がもたらすアソビってことなんだろうと思います。


「野良坊」って名前だけからまったく根拠なく推測すると、町なかできちんと育っている子供ではなく、放っておいても野良で勝手にスクスク育つ子供、育ってしまう坊主ってことで、その生命力、繁殖力から「野良坊」って呼ぶんだよっていう方がピッタリくるように思いますが、どうでしょか。


「野良坊」の名前の由来は「判然としない」というのが定説なようであります。はい。


「のらぼう」は「のらぼう菜」「なばな」とも呼ばれているそうです。
「なばな」の方がオサレな感じもしますが、あくまでも「野良坊」です。


江戸東京野菜に数えられている昔からよく食べられた野菜で、東京西多摩地区、そこに隣接した埼玉県飯能市辺りで盛んに栽培されてきたそうですが、最近では近畿地方、九州地方にも栽培が広がって来ているということです。

 


話は少しそれますが、徳川家康の天下普請に大活躍をした関東郡代に「伊奈忠次(いなただつぐ)」という人が居ます。


利根川、荒川の付け替え工事、新田開発などに多大な功績を残し、住民にも慕われた巨人ですが、小説や映画に取り上げられる機会も少なくて、人気、知名度はイマイチな感じです。ですが、とんでもなく凄い人です。
能力の高い実務官僚。この人なくして徳川幕府の基盤なしです。と思います。


経済産業省のキャリア、例の2人に爪の垢でも。。。っていう「理念と実行の人」


伊奈忠次は1550年生まれ、1610年に亡くなっていますが、その6代後の「伊奈忠宥(いなただおき)」


この人もまた関東郡代勘定奉行を兼任した才人なんですが、この伊奈忠宥が江戸幕府の直轄地、いわゆる「天領」とされていた農地に「のらぼう」の種を配って、栽培を奨励したんだそうです。


「のらぼう」って意外に歴史、長いです。


伊奈忠宥が種を配った時には「のらぼう」という名前じゃなくって、ジャワの国から来たということで「闍婆菜(じゃばな)」という名前だったそうです。外国産の「のらぼう」だったんですね。


天領というのは日本国中各地にあるわけですが、栽培に成功したのが東京西多摩地区、埼玉県飯能市辺りの地域だったという結果になったんでしょう。


「のらぼう」が根付いた地域では、1782年から1788年まで続いた「天明の大飢饉」そして1833年から1839年まで続いた「天保の大飢饉」のときに住人たちを「のらぼう」が飢餓から救ったんだそうです。
お役立ち「のらぼう」です。


現在でも「のらぼう」の産地である東京都あきる野市には、子生神社(こやすじんじゃ)に「野良坊菜之碑」があって、毎年3月の最終日曜日は「のらぼう祭り」が開催されているそうです。


こうした歴史的背景のある「のらぼう」です。知ってみると「野良の坊主」とか言っているどころじゃなくって、かなりゴリッパな江戸東京野菜


ちなみに「あきる野市」は日本全国に31ある「ひらがなの入った名前の市」のうちの1つで、東京都では「あきる野市」だけです。


1995年に秋川市五日市町が合弁してできた、東京の西地域にある市です。


地域的に古代から「秋留」あるいは「阿伎留」という地名で呼ばれていた土地なんだそうですが、合弁するにあたって市の名前を決める時、秋川市が「秋留野市」五日市町が「阿伎留野市」を主張して譲らず、それならばと、ひらがなの「あきる野市」という表記に決まったんだそうです。


「のらぼう」の古里なんですからね、ひとつ仲良く願いたいところです。


2回だけ行ったことがありますが、東京郊外とはいえ、空気の澄んだ清々しい空気の「のらぼうの里」です。


ところで、食べたことあります? 「のらぼう」

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「のらぼう」は足の速い野菜だそうで、収穫してから時間と共に葉がしおれて、栄養価も薄れていってしまう。なので、離れた土地ではなかなかイイ状態で出回らない野菜だってことですね。ちと残念。


野良にあってこその「のらぼう」なんでしょうね。

 


「のらぼう」の成分は身体に入るとビタミンAとなって、皮膚、粘膜、視力を良好に保ってくれる効果が期待できます。


カルシウム、鉄、そしてもちろん食物繊維が豊富で、身体にイイ奴なんですね。苦味やアクが無いので、子供にも人気の「のらぼう」です。


のらぼうを茎の方から茹でて、切って、出汁しょう油かつお節をパラッとやれば「のらぼうおひたし」の出来上がり。


マヨネーズ、辛子、すりごま、味噌、醤油を混ぜ合わせて、茹でたのらぼうを冷やして切って和えれば「のらぼうマヨネーズ和え」の完成です。
簡単にできますし、食卓のもう一品。そしてなにより酒のアテとしてイイです。


木綿豆腐を水切りしておきます。
おろししょうが、すりごま、豆板醤、ゴマ油、砂糖を好みの味付けに混ぜ合わせておきます。
ボールに豆腐を入れて、混ぜ合わせたタレをかけながら適度につぶし混ぜます。
茹でたのらぼうを切って、ボールに追加して混ぜたら「のらぼう豆腐ピリ辛和え」の出来上がりです。


のらぼうは炒め物にも合います。


のらぼうとベーコンの相性は、ほうれん草やキャベツよりもイイと思います。ベーコンの塩っ気。味付けのしょう油。のらぼうの甘さがサイコーです。コショウに凝ってみるのも一興です。


茹でたのらぼうを切って炒めながら瓶詰のなめたけを加えて、味付けはそれだけっていう「のらぼうなめたけ炒め」っていうのもイイですよ。これもまた皿に盛った後のコショウがポイントだったりします。


そんでもってパスタにも合うんですよね、のらぼう。


くせがなくって、野菜の甘さの強いのらぼうは、工夫次第、腕次第。いろんなおかず、アテとして一度は試していただきたい江戸東京野菜です。


初めて食べても、なぜだか懐かしいと思ってしまう、不思議な旨さをお試しあれ!


近くのスーパーで探してみてください。