< サラダっていう言葉は 可算名詞 不可算名詞 どっちでもオッケーらしいです >
いや、あれです。文法的な話をしようっていうんじゃないんですけど、「サラダ」って普段から当たり前に口にしている言葉ですよね。
1つ、2つって数えるのが可算名詞で、そうやって数えないっていうのが不可算名詞なんですけど、サラダは「雨」だとか「お金」と同じように、言葉のカテゴリー的に上位にあって不可算なんですけど、「サラダ」っていう言葉が意味する内容は多岐に渡っていて、たくさんの種類のサラダが存在しているわけですし、同じ種類のサラダであっても1つ、2つって数えることも全然不自然じゃないですもんね。
例えば馴染みの居酒屋さんに行って、
「なんかサラダ出来る?」
ってリクエストして、
「ああ、レタスとキャベツがあるから、あと豆腐入れる? 豆腐サラダ」
「うん、じゃあそれ2つ」
って会話は、普通ってことはないですけど、ま、不自然じゃないですよね。
よく行く焼酎バーで、似たようなことをするヤツがいるんです。
ニイちゃんって呼ばれている4代半ばのオッサンなんですけどね。ニイヤマっていう名前なんでニイちゃん。
初めて店に来た人なんかは、40がらみの丸っこいオッサンが「ニイちゃん」って呼ばれているのを聞いて、目をパチクリさせていたりとかしますよ。
いや、誰もそれについてワザワザ説明とかしませんけどね。
アクセントも「兄ちゃん」のニイちゃん、なんであります。
その顔も身体も丸っこいニイちゃんは、たいていの場合、ほろ酔いでカウンターから注文するんです。
「あ、忘れてた。マスター、野菜ありますか、葉っぱ」
「きょうはマカロニサラダあるよ」
「マカロニじゃダメなんですよ、葉っぱがイイです」
「ん~、レタスがあるから、あとはきゅうりか、シーチキンも入れるか」
「はい、それお願いします」
ニイちゃんを知っているその店の呑み仲間は、こうしたやり取りを何度もなんども聞き飽きているんで、別にチョッカイは出しません。
無表情に聞き流すだけです。
ニイちゃんが常連になっていて今は閉店しちゃった店で、まあるくなってきた体形を気にする話をしたら、そこの女将さんに野菜を食べなさい、メニューになくたって、いつでも作ってあげるから、って言われてから、実直にそれを守って呑んでいるんだそうですけど、いつも会社の帰りがけにどこかに寄ってから焼酎バーに顔を出すんですね。
けっこうほろろ~んってなってます。
営業職だそうで、まあまあ明るい酒呑みです。
「よ、ぱうすさん、お久しぶりです。やってますねえ」
バーロー、一昨日ここで会ったばっかじゃねえか、久しぶりじゃねえよ!
とかは言いません。そういう応対をしちゃうと、ホンキでへこんじゃうヤツなんです。
イヤな男じゃないんですけど、ジョークのセンスがいつもイマイチだし、ちょっとめんどうなタイプの酔っ払い。みんな知ってます。
そのニイちゃんがシラフの状態でその焼酎バーに現れるときは、最初に「野菜サラダできます?」から始まるんですけど、いつも半分ぐらい出来上がった状態で来ますんで、忘れちゃってるんですね、サラダ。
「まず、最初に、何も食べていない状態で、葉っぱ系の野菜を腹に入れるのが身体にイイらしいんですよ」
っていうのがお決まりのセリフ。
「なんで葉っぱなの? ダイコンとかニンジンでもイイじゃん」
「いや、根菜じゃダメらしいんですよ」
ってことで、その店のマスターはニイちゃんのために葉っぱ系のサラダを出してくれるんです。
メニューとして、ポテサラとマカロニサラダはあるんですけど、それじゃダメらしいニイちゃんなんですね。
ま、その日はシーチキンサラダですか、それを満足そうにアテにしてました。
その前にどこかで何かを食べてきているとは思うんですけど、そこではサラダ、ないのかもですね。
「いいえ、何も食べてないんですよ」
って本人は言ってますけど、電車に揺られているうちに忘れちゃっているんだろうっていうのが、呑み仲間たちの見解です。
と、そこへ、こちらも半分以上出来上がっているマコおばちゃん登場。
マコおばちゃんとニイちゃんは大の仲良し、気の合う呑み友だちなんです。年を聞いたことはありませんけど、50代後半ぐらいに見えるマコおばちゃん。
おばちゃんっていうのは、自分からそう呼んでって言ってるんで、みんなそれに従っている感じです。
ニイちゃんが今出されたばかりシーチキンサラダを食べてるのを見て、
「ニイちゃん、エライわね。ちゃんとサラダ最初に食べてるんだ」
最初っていっても、この店ではね、ってことなわけで、まず野菜っていう食べ方にはなっていないと思われるんですが、はい、誰も突っ込みません。
マコおばちゃんは当然のこととしてニイちゃんのサラダ依存を知っていて、それを応援しているんです。
「きょうね、あたしね、イイもの持ってんのよ。サラダ」
は?
マコおばちゃんがバッグから取り出したのは、せんべいの大袋「ソフトサラダ」
はああん、知ってますよそれ。亀田製菓。
でもそれ、サラダっていってもですね、って思ってたら、マコおばちゃん、もう口の開いていた大袋から小袋の1枚を取り出して素早く封を切ると、ニイちゃんのサラダ小皿の中に、ポンッ!
「う、ええ~!」
って、軽くパニクッテいるニイちゃんは放ったらかしで、
「はい、マスター。サラダの定番。ぱうすさんも、はい」
ってことで、有無を言わせぬ素早さで手渡されてしまいました。
「マコおばちゃん、サラダにせんべいって、違うでしょ!」
って、さすがにニイちゃんもムッとしてましたけど、
「このソフトサラダはね、身体にイイんだから、イイのよ。軽いでしょ。亀田製菓なんだから」
ん~。よく分かりませんでしたが、ま、いつもこんな感じのコミュニケーションですからね、特に揉めることもなく仲良く笑いながら呑んで、ほろほろと帰ってまいりました。
で、ふっと気になったのがですね、亀田製菓の「ソフトサラダ」っていうせんべいです。
知ってますよね、食べたことありますよね、「ソフトサラダ」
あれって、どの辺がサラダなんでしょうか。
亀田製菓っていえば、押しも押されもせぬ一流メーカー。
せんべいなのに、なしてサラダ?
亀田製菓の「ソフトサラダ」っていうページを確認してみますと「こんがりさくさくの食感と、コクのある塩味で食べ飽きないおいしさ」ってありますね。
異論を唱える人はいないでしょうね。マコおばちゃんも、その軽さを絶賛しておりましたし。
同じ亀田製菓の「ハッピーターン」より軽い感じの噛み応え。ナイスです!
でも、サラダ?
亀田製菓には、ほかにもサラダがあるんでした。
「サラダうす焼」「サラダホープ」
サラダうす焼っていうのは食べたことありますけど、サラダホープは知らないですね。
でもサラダです。
ページに記されている「よくあるご質問」にこんなのがありました。
「ソフトサラダ」や「サラダうす焼き」のサラダはどんな味を言うのですか?
そうそう、それそれ。で、亀田製菓の答え。
「サラダ」は「サラダ油」のことです。
「サラダ油」がまだ高価だった1960年代、サラダ油をからめて塩をまぶしたせんべいが作られました。その頃の時代の背景として、純日本風の「塩味」とするよりは洋風の「サラダ味」とした方がおしゃれではないかということで名付けられました。
へええ、こりゃ驚いた、です。
「ソフトサラダ」のサラダって、サラダ油だったんですねえ。そっかあああ。知らんかったですう。
ま、せんべいでサラダですからね、なるほど納得です。
名前がなんだろうと旨けりゃイイじゃん、っていう「ソフトサラダ」への評価って、もう60年以上も続いているってことなんですね。
サラダっていいますか、野菜って健康志向として「野菜不足」っていうキーワードを、けっこう強迫観念っぽく気にとめている人は少なくないと思います。
実際、現代人の食卓を考えた場合、野菜を積極的に摂るようにするのが健康につながるっていうのは、科学的根拠がしっかりあるそうですからね、野菜不足は避けたいところです。
それは分かっているし、家族にも野菜をもっと食べさせたいんだけど、サラダを作るっていうのも意外に手間で、仕事に追われる親御さんたちは、いつも気になっているらしいんですよね。「野菜不足」
2022年9月28日から、あのキユーピー(キューピーじゃないんですよね。ユは大文字)が、D2Cサイトの「Qummy(キユーミー)」っていう新鮮サラダの宅配サービスを始めています。
「D2C」っていうのはこれまでよく言われてきた「B2C」「C2C」っていうのと似ていますけれど、わりと最近使われ始めた言葉ですね。
「Direct to Consumer」の略。
お客さんと直接的に、ってことで、中間業者を通さずに、メーカー、製造者が直接、客と取引するっていうビジネスモデルです。
インターネットの本来的な使い方だって言えると思いますね。
配達っていう仕事の部分は宅配業者が請け負うみたいですが、キユーピーの工場で、客の指定した内容のサラダを作って、それをそのまま配達するっていうシステム。
客としては、買い物の手間がないですし、ゴミも出ません。さらには野菜の使い残しっていう心配もないサラダを食卓に用意できるっていうのは、けっこう魅力的だと思います。
会員登録をしたうえで、専用サイトに並んでいるサラダの種類をポチっと選択。
トッピング、ドレッシングもポチっと。
配達時間を指定、ってだけみたいです。
これだと会社の中からでもオーダー出来ますよね。
提供商品について客の声を直接聞けるっていうのが「D2C」の最大の強みですし、メーカーとしてのキユーピーも、そこが最大の狙いなんだろうと思います。
アンケート調査っていう形式で客の声を集めるっていうのはこれまでも、どこのメーカーでもやっていると思いますが、日々、ダイレクトに声を聞けるっていうのは、商品企画、サービス企画っていうシビアな問題について、競合他社との違いを打ち出す最高の武器になるでしょうからね。
日本で消費されるタマゴの年間消費量の1割を消費しているっていう、マヨネーズメーカーのキユーピーです。
野菜っていうこれまで扱っていなかったんじゃないかって思われるジャンル。
サラダっていう食卓のサブディッシュに目を付けたっていうのは、サスガア! って思います。
数年もしないうちに、なにか新しいアイテムがキユーピーから出てくることも期待できそうです。
しかしまあ、日本全体消費量の1割のタマゴを使っているんですねえ。凄いですねえ。
マヨネーズは、ノーマルのキユーピーマヨネーズが好きです。
トッピングには亀田製菓のソフトサラダ、意外にいけるかもですよ。どかな?
サラダホープ、新潟では人気らしいですけど、ん~、見たことないです。