<その昔 早口の人っていえば 黒柳徹子 久米宏 でしたが 今は 誰?>
コロナ禍の今はみんなマスクですし、マシンガントークやっている人もいないんでしょうけれど、しゃべるスピードはともかく、しっかりしゃべる、きっちり発話するってことは身体のためにも頭のためにもイイんだそうです。
コンビニでお弁当買って「温めますか?」って聞かれて「はい。お願いします」
1日のうちでしゃべるのはこの一言だけ。っていう日があったりします。
もっとね、しゃべらないといけませんです。脳ミソがやられちゃいます。
コロナ前、しゃべることによって脳を活性化させていたようなタイプのオバサマたち。元気でやっているんでしょうか。
HIROKO朗読サロンを主催されている辻ひろ子さんという方が、滑舌についてのインタビューに応えてこんなことを教えてくれています。
「言葉の意味を考えると発音しやすくなります。できれば、五十音のア行からワ行まで、それぞれの行の音を多く含む10種類の早口言葉をまんべんなく練習するのがよいと思います。特に、ナ行、サ行、ラ行は苦手な人も多いですね」
「20、30年前のテレビでは、1分間にニュースで280字、スポーツで360字を読み上げていました。今は1分間に300~360字。時代とともに話し方も早くなっていますから、普段の会話でも、滑舌を大切にしてほしい」
とっても興味深いことを言っていますよね。
最初のア行からワ行までの10種類の早口言葉っていうのがなんのかは、インタビューには載っていませんでしたが、どういう意味なのかもよく分かりません。
ア行の音を多く含むっていうのは、要するに母音が多いってことになるのかもしれませんが、母音はどの字にもありますからねえ。
思い浮かぶのは、
「赤パジャマ黄パジャマ茶パジャマ」
アから始まる早口言葉ではありますが、キーになっているのはパジャマでしょうから、これはハ行ってことになるんでしょうか。どう判断すればいいのか難しいところです。サ行? マ行?
「隣りの客はよく柿食う客だ」
これはたぶんカ行ですよね。柿と客、両方ともカ行ですもんね。
こういう表現がイイのかどうか分かりませんが、良くできた早口言葉ですね。言いにくいです。
「生麦生米生卵」
これが一番よく知られた早口言葉でしょうか。で、これってナ行? ってことでしょうかね。
三回続けて言うのが早口言葉です。チャンと発音して、なるべく早く言い終えられるように競争するわけですよね。出来てます? 「生麦生米生卵生麦生米生卵生麦生米生卵」
これってナ行の早口言葉っていうより、難しいのは「タマゴ」じゃないででょうか。
言葉を覚えたての、しゃべりたての子供が言いにくい単語の1つですよね。
「タマゴ」を「タガモ」と発音する子供が多いように思います。
母音で並べてみると「タマゴ」は「アアオ」となります。「タガモ」も「アアオ」ですから、子どもたちはちゃんと聞き取れてはいるし、ちゃんと「アアオ」の発音をしてはいるんだけれども、「タマゴ」の発音になっていない。
うまく言えない小さな子供たちはゆっくり発声しても、やっぱり「タ・ガ・モ」だったりします。
「マ」という音を、唇をくっつけてから「ア」と発生するのが難しいんでしょうかね。最後の「モ」は直前の「ガ」に引きずられた結果なんでしょう。
子音のコントロールが早口言葉の面白さにつながっているのかもしれません。
「山登り」も子どもたちがうまく発音できない単語の1つですね。
「ヤマモモリ」になってしまいます。
これは「アアオオイ」ですね。
でもまあ、何も心配する必要なないんですね。いつのまにか「たまご」「やまのぼり」っと可愛く発音するようになっています。
「東京特許許可局」
これなんて、ホントにこういう部署があるわけでは無いですから、早口言葉のために考え出された言葉なんですよね。こういうのを考える人って、いったいどんな人なんでしょう。特殊な才能を感じます。
誰が言い始めたか、なんて記録に残っていないんでしょうね。大人が1回言うのも難しいという傑作です。
「バスガス爆発」
これもまた傑作。3回続けて、なるべく早く「バスガスバクハツバスガスバクハツバスガスバクハツ」
もう2回目あたりからかなり怪しくなってくると思います。
うっはっはあ~! 全然言えんわ! で終わってイイですよね。
辻ひろ子さんのリポートのもう1つ。「時代とともに話し方も早くなっていますから」
こっちの方はなかなか実感できない感じがします。
ここ30年ほどでニュースの発語で、1分間に280字から300字、360字あまりに増えたということなんですが、これはアナウンサーという職業から見た「早くなっている話し方」ってことになるんじゃないでしょうかね。
つまり、30年ほど前までのニュースは、ほぼバラエティ色などなかったですからね。視聴者に確実に伝わるスピードというのを、アナウンサー個人個人が意識していたんじゃないでしょうか。
今のニュースはバラエティ色に染められている感じで、アナウンサーのしゃべり方も普通の会話スピード、しゃべり方も随分ぞんざいになって来ているかもしれませんね。
アナウンサーのしゃべるスピードが早くなったというのではなく、近しさを感じて欲しいという狙いからなのか、一般の会話スピードになったという結果なのかもしれません。
ま、そういうメディアの傾向じみたこととは関係なく、滑舌というものは大事なものだと思います。
このところの日本の代表が、ことごとく滑舌が悪いのは、リーダーとしての求心力に悪い方向に働いているように感じます。スーさんなんて「やまももり」レベルですよ。
ひと頃は滑舌よく耳障り良く、早口でのマシンガントークという「芸当」というのがありました。
古舘伊知郎さんが有名ですね。
かつての黒柳徹子さんは、きちんとした打ち合わせに基づいたうえでのアドリブで、まくしたてはしますが、相手にしゃべるポイントを渡すのが巧い人です。今はちと薄らいできていますけれどね。
久米宏という人も耳障りの良い早口の人ですね。アドリブになっても主語述語の分かりやすいしゃべり方をするワザがあります。
お2人とも健在ですが、全盛期の2人が一緒に続けていた番組がありました。
「TBS ザ・ベスト10」
2人のやりとり、曲の紹介、歌手のエピソード。あのスピードと言葉の選び方は見事なものだったと思います。
しゃべるのが仕事の人は、自分なりのしゃべりのポリシーを持っているんでしょうけれど、新人アナウンサーが覚える、覚えさせられるという有名な話に「外郎売(ういろううり)」というのがありますよね。
「武具馬具ぶぐばぐみぶぐばぐ、合わせて武具馬具むぶぐばぐ。菊栗きくくりみ菊栗、合わせて菊栗む菊栗」ってやつですね。けっこうな長さのひとセリフで、元々歌舞伎の演目なんですね。
この外郎を食べれば、こんなに舌が廻って、上手にしゃべれますよっていう売り口上。っていうのが「外郎売」
全部を覚えて、ちゃんと噛まずに滞りなくしゃべれるか、というのがアナウンサーの練習なんでしょうけれど、特に早口ってことが大事にされている感じじゃないかもですね。
しっかり聞き取れるようにしゃべる、っていうのがポイント。
興味のある人は「外郎売」でググって、やってみるのもイイかもですよ。脳の働きに好い影響があるんだそうです。
長セリフを覚えることもそうですし、滞りなくしゃべろ終えること。何も見ないで、5、6分で言い終えられれば上等だそうです。ぜひチャレンジを。
人間の脳は10代後半から20代前半で成長のピークになるんだそうです。
そこから先は1日に数十万個というレベルで脳細胞は壊れていく。その壊れていってしまう脳細胞は、実は使われていないのだ、という説もありますが、壊れた脳細胞が元に戻ることはなく、脳は委縮していく一方。
なんか悲しい現実です。
脳細胞は使われれば使われるほど個々の結びつきが強くなって、壊れにくくなる。年齢を重ねて壊れる脳細胞が多くなって脳が委縮してくると認知症の危険も大きくなってくるんだそうです。
結局、使われていない脳細胞なんて無くって、働きの分かっていない脳細胞があるってことなんじゃないでしょうか。いずれにしてもある年齢から脳細胞はどんどん減っていく。
なので、なるべく脳を働かせるということは重要なんですね。
では、どうやって脳を働かせるのか。
誰にでも無理なく出来る方法の中で、効果絶大とされているのが早口言葉なんです。
例えばさっきの「外郎売」を覚えて、なるべく早くしゃべれるように練習する。つまり脳を働かせる。
するとですね、年齢に関係なく、なくなってしまった細胞を補うために、違う細胞が「発芽」して働くことが分かっているんだそうです。
「外郎売」はかなり長いセリフですが、もう少し短いものもありますね。
落語で有名な「寿限無」があります。言えますか?
覚えて早くに言えるようになれば、脳細胞が活性化してくるかもしれません。「寿限無」は早く言い終えることがキーポイント。
古来からの、お目出度い言葉を並べた、有り難い子供の名前なんです。
落語一席をまるまる全部覚える必要までは無いと思います。ま、一席覚えちゃって、人を呼んで聞かせるレベルぐらいになっちゃうと、それはそれで新たな境地ってことで、脳細胞は元気いっぱいになるかもです。
いきますよ。
「寿限無寿限無五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末雲来末風来末 食う寝る処に住む処 藪ら柑子の藪柑子 パイポパイポパイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」
これがなんともアリガタ~イ名前の連続です。
もう1つ。あのピカソのフルネームです。これも有名ですよね。寿限無のリアル・スペイン版。
「パブロ・ディエーゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ」
ま、普通には、最初と最後だけで失礼させていただいて、パブロ・ピカソってことですけれどねえ。ピカソさんは長生きしました。
最後に、つい最近の「NHKみんなの歌」
最近と言っても2019年10月なんですけれどね。「かむかもしかもにどもかも!」っていう歌。
「噛むかも しかも 二度もかも」って書いちゃうと、全然早口言葉じゃないんですけれど、面白い歌だと思います。
早口言葉じゃないんだけれど、早口言葉っぽく聞こえる優れものの歌詞がこれです。覚えて、人前でやると、ん~。どう評価されるかは普段の行いによるだろうと思われますが、ま、自分の脳細胞は元気になるってことで。
「ラバかロバかロバかラバか分からないのでラバとロバを比べたらロバかラバかわからなかった」
メロディーがあるような無いような、面白ソングです。