ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【日本酒好き女子】女子会の酒って 時間が経つと いつのまにか日本酒になってません?

< 2023年の夏前になって ようやく呑み屋さんにも本格的に活気が戻ってきたのかも >

呑み屋さんが賑やかになってくるのはイイことでしょねえ。


個人店の居酒屋さん。金曜日の夜。
カウンターには先客のミッコちゃんが1人だけで、他にお客さんの姿はありませんでした。


カウンターの中のチカちゃんがおしぼりを持って来てくれます。
ここは夏でも熱々の、自家製おしぼり。


「いらっしゃあい。なんだかきょうはぜんぜんなんだけど」


ミッコちゃんが生ビールのお代わりをしながら言います。


「でもまだ8時でしょ。これからよ、これから」


と、珍しく店の電話が鳴りました。
家電ね。今はどんどん契約世帯が減って来ているらしいですけど、お店はね、ホームページだとか、インスタだとか、電話番号を載せているっていうこともあって、どこでもたいてい、まだ家電を置いてますね。


「はい、うん、大丈夫。はあい、お待ちしてまあす」


電話を切ると、チカちゃんはカウンター脇の厨房へ声をかけます。


「17人。これから来るって」


当日、直前予約?


「うん。女子会なんだって。よく来てくれるお客さんなんだけど、3年半ぶりで会社の歓迎会を急にやることになって、今決まったって。17人。お店は空いてるからね、どんどん来てちょうだい、って感じ」

 

 

 


カウンターを含めてぎゅうぎゅうに入れば40人はいけるでしょうっていうお店です。


チカちゃんとマスターがテーブルをずらして並べて、ガタガタと17人席を作りますねえ。
チカちゃんがカウンターの中に戻って来ると、また電話が。


「はいはい、了解で~す。大丈夫。うん。お待ちしてまあす」


ん? また?
チカちゃんがまた厨房へ声をかけますよ。


「15人、入りまあす」


「追加で?」


「ん~ん。別のグループ」


チカちゃんは慌てるでもなく、今度は内線電話で、


「32人さん。うん、大至急ヘルプ。うん」


個人ビルの1階がお店で、上の階に家族が住んでいるっていう作りになっていて、大人数の時には大女将も手伝いに下りてきて3人態勢になるんですねえ。


なぜだかミッコちゃんがはしゃぎだします。


「なんなの~。5分ぐらいで満員になっちゃったじゃないのよ。すごいね。魔法だよ。15人の方も女子会なの?」


チカちゃんは、15人用のテーブル席を整えながら、冷静です。


「15人は普通の呑み会みたいだけど、やっぱり3年ぶりの歓迎会なんだって。夏の時期だから3年分っていうか2年分なのかもしれないけど、早めの暑気払いなんだって。電話してきたのは若そうな男の声だった」


「おお、若い男が15人も来ちゃうの? サイコーじゃない?」


ミッコちゃんはなんでだかテンション高い晩だったんであります。


「15人全員が男だかどうか分かんないし、みんなが若いとも限らないでしょ」


冷たいわけじゃないんですけど、チカちゃんはあくまでも冷静。
と、


「こんばんわあ。ごめんね急で。ぼつぼつ集まって来るんで、よろしくお願いしまあす」


4人の女子が入って来ました。
同時に厨房に大女将が顔を出します。
さあ、いよいよ始まりますねえ。


と、


「すいませ~ん。さっき電話した……」


「はいはい、15人さんですか。お待ちしてましたあ。こちらへどうぞ」


20代から40代と思しき15人さんは全員そろって一気にご来店。
若い男性は1人。40代ぐらいに見える男性が2人。

ミッコちゃん、ちょとガッカリ。


つまりですね、女子会じゃないんですけど、女子が12人です。


ミッコちゃんも入れると、女子だけで30人ですよ。


ふううん、女子会ねえって感じになりましたです。個人的にね。


17人のグループの方もバラバラと次々にご来店。


カウンターのビールサーバーはフル回転です。大女将が冷蔵庫へ次々にジョッキを入れて冷やします。
生ビールの他にも、なんとかサワーとか、なんとかハイとか、足早に次々にサーブされていきます。


チカちゃんと大女将、運動会みたいです。


「暑い、なんだか急に暑いよ」


チカちゃんがエアコンの設定温度を下げます。


厨房の中からも、何かをジャージャー炒めている音が盛んに聞こえてきます。

 

 

 


そうこうしているうちに、きゃあきゃあ言う矯正があっちからこっちから。
32人も集まりますと、かしましいってどころじゃなくって、騒音です。
最近では珍しいですけど、昔は、こうだったかなあっていう気もします。


元気なことはイイことでしょねえ。ウルサイですけどねえ。


カウンターで隣り合って、肩身の狭い空気感の中でミッコちゃんとの会話も聞き取りづらい感じ。


マスターは次から次へ料理を作って、どんどんカウンターに並べます。
飛び交う嬌声の中を、チカちゃんと大女将は、あっちへ料理を、こっちへ酒を、運んで戻って、また運んで、オーダーをとって、サワーを作って、運んで。


動きも騒々しくなって来ました。


2つのグループからバラバラの、追加オーダーの声が発せられているようないないような。まともに聞こえやしませんね。


で、自然な流れで、新たなオーダー方法が決まってきます。


グループ全員の追加オーダーをまとめるなんて出来る状態じゃなくなってますからね、隣りに座っている3、4人分の追加オーダーを伝えに、誰かが代表して、カウンターまでやって来ます。


カウンターの中で、酒を造っていたり、伝票を書いているチカちゃんに直接オーダーするんですね。


最初のうちは生ビールと、なんとかサワーのオーダーが多い感じでした。
と、女子会グループの1人がカウンターにやって来ました。


「あのう、日本酒ってありましたよね」


「ありますよお。そこ、ホワイトボードに書いてある。それはみんな冷酒。お燗するんだったら専用のがあるけど、それは銘柄選べませんけどね」


その女性がカウンター脇のホワイトボードの正面に立って眺めていると、ミッコちゃん登場。


「日本酒、詳しいの?」


「いやあ、全然分かりません。どれがおいしいんですか?」


「そんなの人によるんだから、チャレンジちゃれんじ。ここの冷酒はみんなスッキリ系」


「じゃあ、南にしまあす。南くださあい」


高知県純米吟醸だそうです。ホワイトボードにそう書いてあります。


「2合?」


「はい」


と、大女将がザルを重そうにカウンターに置いて、


「おちょこ、ここに置きますからね。好きなの使ってちょうだいね」


「わあ、いっぱいありますね。……。ねえねえ」


仲間を呼んで、おちょこ選びです。


楽しそうでイイですねえ。いや、ホント、イヤミじゃなくってね。楽しく呑むのは知らない人たちだって、イイもんでありますよ。


笑顔と笑い声。


1時間ぐらい経ったでしょうかね。だんだん女子会の嬌声のトーンも落ち着いて来た感じがし出したころ、南をオーダーしたのとは別の女性がカウンターにやってきて、


「南を1合で3つくださあい」


へええ、南って人気なんだね、とか話していたら、チカちゃんが耳ざとく拾って、


「あのコたち、たぶん、銘柄で選んでるんじゃないと思うよ」


ん~。そかもですねえ。
と、また、


「あのう、南を2合、2つ」


「あ、ごめん。南ね、今、冷えてるヤツ切れちゃったんだ。特急で冷やしてるとこなんだけど、辛口がイイの?」


「ああ、よく分からないんですけど」


「だったら真澄いってみる? 長野の諏訪の純米吟醸、辛口だけど」


「はい、じゃあ真澄で、2合、2つ、お願いしまあす。おちょこは、ここから選んでイイんですよね」


と、また別の女性がやって来て、


「ホワイトボードの一番下のヤツ、なんて読むんですか?」


「え? ああ、フキイ(噴井)四日市大吟醸


大吟醸。。。フキイをください。2合っていうのが一番大きいサイズなんですか?」


「そうですねえ、徳利は1合と2合しか用意してませんねえ。だけど、お代わりすればいくらでも」


「きゃははは、そうですねえ。じゃあ2合を3つ、お願いしまあす」


ミッコちゃんに聞いてみました。女子の間で、日本酒ブーム、来てる?


「ブームとかじゃないと思うけど、女子はね日本酒が好きな人、ホントは多いと思うんだよね」


ホントは?


「でも日本酒って本気で酔っぱらっちゃうからさ、意識的に控えてんのよ。だけどある程度、ほわあんってなってくると、いったれえ! ってなって日本酒、いっちゃうわけよ」


へええ、そんなもんですかねえ。


「今のコたちだって、最初はサワーとかビールだったでしょ。それで調子が出てきたから、日本酒なのよ。吞み口がイイでしょ、日本酒って。ホントは甘口なんかがイイのかもね」


と、カウンターの中で、大女将とチカちゃん。


「2合徳利、もうないよ」


「1合徳利2本出しなさいよ」


「1合徳利も、そんなにないよ」


「回収してくる」


なるほど、徳利、数に制限ありますもんね。
と、ひと際大きな声で、


「ぬか漬け、3つくださあい」


「はあい、からあげ3つねえ、了解ですう」

 

 

 

「違いますう、からあげじゃなくって、ぬか漬けですう」


「あ、あっはっは。ぬか漬けですねえ、はあい、了解しましたあ」


チカちゃんの聞き間違いもですね、なんとなく分かる気がしますね。

 

 

ぬか漬けよりは、からあげが似合いそうな顔ぶれの女子会メンバーですもんね。


だけどまあ、南もイイ塩梅に冷えて、また、南のオーダーをしにくる女子が、カウンター詣でですよ。
純米吟醸の冷酒に、ぬか漬け。
普通に酒呑みじゃんねえ。


でも最初からはイカナイんですねえ。ふううん。そなんですねえ。

 

 

 


で、いろいろ思い返してみますとですね、女子会、2人だけとかでも、日本酒率、高いかもですね。


いやまあ、誰が何を呑もうと、大きなお世話なんですけど、酒呑み女子は、ワインじゃなくって日本酒ってことなのかもですねえ。本音では。


女子会なんて、今では珍しくもなんともないですけど、女性同士で、女性だけで酒を楽しむことを、女子会って言い始めたのって、2008年ぐらいからなんだそうですね。
言葉として2010年にはすっかり定着したらしい女子会。


そういえばオヤジギャルとかね、そういう言い方もありました。


今はほぼ聞きませんけれども、女子会からスピンオフして、焼き鳥屋さんで1人2次会、とかになるとオヤジギャル、ってことになるんでしょうか。


ま、なんにいたしましても、どっかのタイミングで、コロナ禍で押し込められていたアルコール封印気分。楽しく笑うことは悪! っていうような空気感をぶっ飛ばして、みんなで楽しく、ワイワイ呑む世界を取り戻したいところではあります。


女子会、大いに盛り上がって下さいませえ!