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【くるくる定規】くるくるクルクル いつまでたっても クルクルくるくる やるですねえ

< 魔女っ子ミコちゃんがくるくるやって描き出す魔法の絵柄で 春の夜の夢だった話 >

2023年の桜は日本全体で早く咲きましたね。


例年はゴールデンウィークごろに見ごろになるっていう北海道も、4月中には咲いて散ってしまうんじゃないかっていうお天気オネエサンの話でした。


桜前線を追いかけて日本中を南から北へ。
秋は秋で、紅葉前線を求めて北から南へ旅をするっていうのが、唯一の趣味だっていうご家族がいらっしゃいましたが、10年も前に北海道へ引っ越してしまいました。


お元気でしょうか。
今でも桜前線を追いかけて、っていうツアーを慣行していらっしゃるとすれば、2023年はかなり忙しいことになっていたかもです。

 

 

 


かなり早めに咲いた東京の桜ですが、朝晩は寒いぐらいの日もあったせいなのか、一気に散ってしまうってことはなくて、意外に長持ちしてくれて、ちょっとずつひらひらして、長く春を感じさせてくれました。


街灯に照らされてちらちらと舞い落ちていく花びらの中を、春の宵も出かけてまいりますですね。


焼酎バーです。はい。


5人がけL字カウンターにはまだ誰も座っていませんねえ。
テーブル席には2組のカップルがいらっしゃいましたけれど、カウンター組一番乗り!
もうすぐ8時っていう時間帯でしたから、珍しいことです。


って思ったらですね座った隣りの席にスケッチブックが置いてありまして、実になんとも春っぽいっていいますか、カラフルな色のボールペンが5、6本ほど乗っけてあります。


なにこれ? なんか新しいメニューでも描くの?


「ああ、それ、ミコちゃん」
女将さんが応対してくれます。


へええ。で、今、トイレ?
「なんかね、忘れ物したって。今取りに行ってるのよ」


ふむ。まだ何も呑んでいないように見受けられますが、スケッチブックとカラフルボールペンで、何を始めようっていうんでしょかねえ。


絵を描いているところなんて、ま、ここは焼酎バーですからね。当たり前ながらいままで一度も見たことはないです。


「定規忘れたって、走って戻っていったんだけど、なんだか見せたいものがあるんだって」


はあ、そですか。走ってねえ。家が近いんでしょうけど、そんなにしてまで女将さんに見せたい絵って、なんでしょねえ。


でも不思議なのは、定規を使って絵を描くの?


「なんとかって言ってたけど、あたし、わかんなかった。初めて聞く言葉だったわね」


って、言ったところで、1人来ました。カウンター族。


日本酒派のヨッさんが入って来て、隣りに座ろうとしてスケッチブックとカラフルボールペンに気付きます。


「え? なにこれ?」
女将さんは笑いながらおしぼりを渡して、


「今、説明したばっかりなんだけどね」
同じことを説明していました。


ミコちゃんって、絵とか描く人だっけ? っていうような話をしていると、


「あ、分かった。違いますよ。絵じゃないですよ。だって、定規を取りに行ってるんでしょ? ってことは製図なんじゃないですか?」
って、ヨッさんは鼻の穴をおっぴろげます。

 

 

 


焼酎バーのカウンターで製図?


「だって、定規ってあれでしょ、たぶん、透明で長くって。いや、三角かな?」


どういう根拠で、そう決めつける?
と、


「あらあら、そろってきたわね。ちょうど好かったわ」


息を切らすでもなくミコちゃんが戻って来ました。


手に持っているのは、なんかね、100均で買ってきたような感じのビニールに入った、そんなに大きくないモノですよ。


定規なの? それ?


と、ヨッさんが、
「え? なに? その駄菓子屋で売ってるような感じのが定規なの?」


「なに言ってんの、失礼ね」


って言いながらミコちゃんがスケッチブックの上に取り出したのは、なな、なんと、昔懐かし「ぐるぐる定規」!!!

 

 

懐かしいですねえ。


女将さんも、あら、これね、懐かしいわねってニコニコ。


「ぐるぐる定規って言うんだっけ?」


「違いますよ。ローリングルーラーって言うんですよ」


「なんでそんなしゃれた言い方してんですか。くるくる定規でイイでしょ。駄菓子屋で買ったんでしょ?」
ってヨッさんも絡んできます。


「違~うの。くるくるでもぐるぐるでもな~いの。ローリングルーラーなのっ」


あとで調べてみたらですね「スピログラフ定規」っていう名前があるみたいでした。


ま、名前についてはいろんな呼びかたがあるってことなんでしょうけど、なんだってまた、焼酎バーのカウンターで、スケッチブックまで用意して、ぐるぐるするわけ?


「渋谷の文房具屋さんで見つけて、懐かしくなって、つい買っちゃったんですけど、家でやってみたらスッゴイきれいなんですよ。で、ボールペンも買って。これはぜひみんなに見せないと、ってなるじゃないの」


はあ、そですか。ま、とくに反論はいたしませんが。


「いい? 見ててよ。これはね、100均のとは全然違うんだから。高級品なんだから」


ふむ、ミコちゃん、凝り性ですからねえ。
でも、そですか、100均でも買えるんですね。ふううん。


こまめにボールペンを換えながらぐるぐるくるくる。
一周させたら円盤を換えてくるくるぐるぐる。


いや、もちろん、描かれる図形はだれがやっても同じになるでしょうけれど、色の使い方がオジョーズ


「ほうら、これ、桜みたいでしょ」


「ああら、そうねえ」
って女将さんはさすがにオトナの対応でしたけどねえ。


カラフルでキレイで、見事な図形ではありましたけれどね、それ、どのへんが桜? なんでございましょか?


「次はねえ」


ミコちゃんは、もう夢中なんですね。
スケッチブックをめくって、定規も円盤も、ボールペンもどんどん換えて、ぐるぐるグルグル。

 

そういえば最近「くるくるぱあ」って聞かなくなりましたですね。


「ほうら、こんなに素敵な柄が出来るんだよ。凄いじゃんね」


「ミコちゃん」


「ん?」


「ナニ呑む?」


「あ!」


ぶわっはっはっは!
そですよミコちゃん。ここは焼酎バーのカウンターなんですよ。


「ワインにしま~す」


ってことだったんですけど、改めて振り返ってみますとですね、「スピログラフ定規」
なんであんなに夢中になっちゃうんでしょうね。


昔、みんなやったことありますよね。
仕組みとか、単純なのに、描き出される宇宙の不思議。


ぐるぐるやって描き出される幾何学模様を、モノクロじゃなくってカラーバリエーションで完成させるミコちゃんは、なかなかな才能だなあって思った次第でありました。


不思議な幾何学模様。あれって「トロコイド曲線」っていうんだそうですね。


オモチャとして扱われている国が多いみたいなんですけど、「スピログラフ(Spirograph)」っていうのが、やっぱり正式名称みたいで、1965年にイギリスの発明家「デニス・フィッシャー(1918~2002)」っていう人が考案して、翌年の1966年に商品化されたんだそうです。


日本に入ってきたのも1966年だそうですよ。
けっこう昔からあるんでございました。


子どものころにも面白いなって思ってはいましたけれど、むしろオトナになってからハマると、かなりホンキで夢中になっちゃう感じですね。


四角い方の定規のギザギザ穴に沿わせて歯車を回して描き出すのが「内トロコイド曲線」


1つの歯車を固定させて、別の歯車をその固定させた歯車の周りを回して描き出すのが「外トロコイド曲線」


それでですね、トロコイド曲線っていうのにはいくつか種類があってですね、その中の1つ「ペリトロコイド曲線」っていうのを利用したのが「ロータリーエンジン」なんだそうです。
へええ、でっす。

 

 

 


ん~。オモチャとしてしか認識していなかったんですが、なんだか難しそうな数学があるんですねえ。


トロコイドとは、


X = rmθ ー rd sinθ
Y = rm ー rd cosθ


で表される曲線。ってことだそうですけど。なんやねん! さっぱり分からんわ!


今度ミコちゃんにちゃんと聞いてみましょうかね。
くるくる定規、ローリングルーラー、スピログラフ定規。