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【月光のテクスチャ】月の影 月影と書いて 月の灯りと解釈する日本の伝統感覚

<埼玉県比企郡小川町発 日本人の心を安心させる和紙と月の灯り>

夜になっても暑いので、外に出て、ボーッと独り、突っ立って月を見上げました。


2021年の夏。なんだかね、日本は全国的にバタバタしちゃってます。特に東京ね。


コロナ変異株だとか、ワクチン接種予約の中断だとか、どうしてもやっちゃうらしいオリンピックの準備だとか。パラリンピックの方が心配な感じですけれどね。
オリンピアンの声がちょこっと聞こえてくるぐらいで、パラリンピアンの声がちっとも聞こえてきませんね。ものを言い難い環境、っていうふうに考えてしまいます。


どうしちゃったのかな、この国はって思って、どんよりしてしまうんですが、世間的にはどうしようもなくバタバタな感じです。感染者の三割以上が東京から出ている日が続いていますしね。都議選の結果として無観客、開催中止論も再燃してきそうです。

 


知り合いにオリンピック・ボランティアに応募した人が居て、1回目のワクチンを6月末に打ったそうなんですが、20日間の間隔を空けて2回目の接種を受けたとして、すぐに抗体が出来るってもんでもないでしょうに、大丈夫なのかなって心配になります。


なんもかんも、なんだかなあ、です。


夜になってね、ビルの隙間から見上げる夜空に月を見つけると、じーっと見上げて、ふーっとマスク越しにタメ息をつきます。
店の灯りが少なくなっている分、例年よりは月の灯りが明るく感じられるのかもしれません。金色の月です。


月っていうのは、ホント不思議なやつです。


いっつも同じ面をこっちに向けてますよね。地球も回ってる、月も回ってる。なのにいっつも同じ顔を見せています。なんで?


それは、月の自転周期と公転周期が同じだからあ~!(例の、チコちゃん風に)


月が地球の周りをまわるのにかかる日数は27.3日。そしてその27.3日かけて、月自身も1回転しているってことなんです。


地球の、地域によって見える月の景色は違っているんでしょうけれど、そこから見えている景色はいっつも同じってことですよね。


日本からは「うさぎ」が見えているんですよね。子供の頃からそう言われて見てきていると「うさぎ」以外には見えませんね。一匹の「うさぎ」が両手に棒型の杵を持って、餅をついています。


あれはですね、帝釈天に食べてもらおうと、月で餅をついている姿なんですよ。知ってました?

 


今昔物語です。舞台はインド。


今は昔。うさぎ、きつね、さるの三匹がそれぞれ自分たちの前世を悔いて暮らしていました。
前世では他の生類を憐れまず、財産を他人に施すこともせずに暮らしたため、地獄に落ちて畜生道の卑しい生き方をしている。獣として生まれてきた今生では、我が身を捨てる覚悟で善行を積もうと修行に励んでいます。


それを天から観察していた帝釈天が、その覚悟がホンモノかどうか確かめようと地上に降りてきて、みすぼらしい老人の姿となって三匹の前に表れました。


「こんなに老いぼれてしまって、子どももおりません。家も貧しく食事もままならない身の上です。慈悲の心があるのならばこの老いぼれを養ってもらえませんでしょうか」


三匹は喜んで老人の申し出を受け入れました。


さるは木に登って木の実を収穫してきて老人にたくさん食べさせました。


きつねはお墓の供え物を遠くまで出向いて集めて廻り、老人の目の前に並べました。
老人はすっかり喜んで言いました。


「お前さんたちきつねとさるは、本当に憐れみ深い。すでに菩薩の域に達していますね」


その一方、うさぎも懸命に食べものを探して歩き回りましたが、野山の中では他の獣に狙われますし、人家の周りをうろつけば鉄砲で狙われます。何も食べものを持って帰ることが出来ません。


「うさぎさん。あんたは慈悲の心が無いんだね」


みんなから責められて、うさぎは言いました。


「明日にはきっとおいしいものを持って来ますから、火を起こして待っていてください」


次の日。さるは軽々と枯れ木を拾い集めてきて、きつねが器用に火を起こしてうさぎの帰りを待ちました。
なかなか帰って来なかったうさぎは、やっと姿を現しましたが、いつも通りに手ぶらでした。


「なんだうさぎさん。あんたが食べものを持って来るというから、こうして大いに火を起こして待っていたというのに、手ぶらとはどういうことだ。騙したのか。非道いやつだ」


うさぎは下を向いたまま首を横にふりました。


「確かに、わたしにはご老人のために食べ物を持って帰る力はありませんでした。ですので、わたしを焼いて食べてください」


さっと燃え盛る炎の中に、うさぎは飛び込んでしまいました。


帝釈天はすぐに元の姿に戻ると、
「お前こそは」
と言うなり、うさぎを宙に抱え上げ、月の中に移しました。


すべての人間は、夜ごとにこの月のうさぎを見上げて、その行動をこそ思い出すべきなのです。

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というお話です。


今昔物語は平安時代末期に編まれた日本の仏教説話集です。
月の灯りはうさぎの悲しさなんですね。


まるで、影のような、そんな明るさ。月に照らされた影こそが月の明るさなんですよってことで、日本語では月の灯りを「月影」という言葉で表したりします。日本って本来はこういう微妙さを大事にする国民性なんです。単純に納得します。

 


かぐや姫が泣きながら帰って行ったのも、同じ、月でした。


月の光は「0.2ルクス」の明るさなんだそうです。


20ワットの蛍光灯1本から1メートル離れた場所の明るさが150ルクス。


2メートル離れると40ルクスになります。


一般的なオフィスの明るさで200から400ルクスほどだそうです。


月は、遠く太陽の光を反射して、384,400キロメートル離れた地球を「0.2ルクス」で照らしているんですね。
壮大なる「間接照明」ってわけです。


部屋の証明に凝る人は、この「間接照明」っていうのに、けっこうこだわっている人が多いですね。
月のうさぎの癒しを感じるからなのかもしれません。


灯りに直接向き合うのではなく、間接、何かを通して明るさを受け止める。


流し灯篭なんかでも、ろうそくの火を和紙で包み込んだ灯りが、見つめる人を懐かしい気持ちにしてくれます。


急に現実の話になりますが、照明器具のカバーに和紙を使って工夫している照明を見つけました。


ま、そういうメーカーは色々あるんだと思いますが、「【忠七めし】の旨さ 宮内庁選出「日本五大名飯」 埼玉県小川町 割烹二葉」の記事で足を運んだ埼玉県比企郡の小川町です。


実は埼玉県の小川町には「小川和紙」っていう手漉き和紙があったんですね。


和紙。


1,300年の歴史を持つ、高野山の和紙「細川紙」というのがあって、江戸時代の中期ごろに埼玉県小川町にその技術が入って来たということですが、小川町にはそのずっと前から漉き和紙の技術はあったということらしいです。埼玉県の小川町って、ナカナカ、なんですよ。


その小川町の照明メーカーY.S.M PRODUCTSの照明「and-on」

 

iF デザインアワード2021受賞作。
「丸でも四角でもない、表も裏もない、縦置きも横置きもない」
イイ感じですねえ。デザインの中にうさぎは、いなさそうですけれどね。


ちなみに月を神格化した神様が月読尊(ツクヨミノミコト)なわけですが、月読神社って案外少ないですよね。なんででしょ。


現在の太陽暦に対して昔使われていたのは太陰暦で、月の暦ってことですけれど、これも、もしかするとヘン、なのかもなんですよね。


暦は「コヨミ」でカレンダーのことですが、元々は「日を読む」ってことで「カヨミ」って言っていたという説があるんですね。
「日 ⇒ カ」「日を読む」⇒「カを読む」で「カヨミ」


この説からすると、太陽暦はカヨミで「コヨミ」になったとしても、太陰暦は「ツクヨミ」でなければ「ツキヨミ」なので「コヨミ」にはならない感じですよね。


とかね、こんなことを言ってばかりいると、月影、「0.2ルクス」の明るさに癒される感覚がなくなっちゃうのかもです。


「and-on」実際に見てから購入を考えたいと、狙っております。うさぎが居るデザインもあったりして。。。