< アテ つまみ 肴 なんと呼ぼうが旨いものは旨いでしょねえ 居酒屋定番メニューの今昔 >
何を食べながら酒を呑むか。まあね、個人の好み、嗜好なんですけどね。
特に何も食べませんっていう人もいるでしょうけれど、アルコールばっかりじゃなくって、何かテキトーなものを腹の中に入れながらっていうのがイイんだそうですよね。
さらにはアルコールと同じ分量の水を飲みながらっていうスタイルが肝心だって言います。
酒の呑み方っていうのも世につれて、いろいろ変わって来ているんだなあって思います。
ついこの前ね、久しぶりに個人店じゃなくって大型のチェーン店に入って、つくづくそう感じたんであります。
新規感染者数が減少傾向を見せているとはいえ、1万人を切ったぐらいのころの東京都内です。
けっこうお客さんは入っていて、ほぼ席が埋まっていました。
オーダーするとき、ちょっと声を張らないと店員さんに通らないレベルの賑やかさ。
「すいませ~ん、アヒージョ、まだ来てないんですけど」
「こっちもまだ来てないんですけど~。バーニャカウダ、2つ~」
席に端末が置いてあって、タップしてオーダーするシステムじゃないんですね。今どき懐かしい感じのお店でした。隣りのテーブルに店員さんが来ていて、注文を聞きながら伝票に書いています。
「あざ~す。マヨポテト1つ、クリームチーズ2つ、チキン南蛮1つですね~、あざ~す」
確認している店員さんの声も大きいんでハッキリクッキリ丸聞こえなんです。あざ~す。
いつも行っている個人店とは全然違う熱量の店内だったんですが、飛び交っているアテの名前がほとんどカタカナ。
ふううん、昭和ってホントに遠くなってしまったんですねえ、って感じましたです。
バーニャカウダ。なんですかそりゃ。昭和の頃に、、、あったみたいけどね。
でも呑み屋さんのメニューにはなかったでしょ。
それでですね、メニューにはあるんですけど、刺身、お造りですね。三点盛りとか、5点盛りとか。昭和の居酒屋さんでは定番だったアテのメニューですよね。
店内をザっと見渡してみてもテーブルの上にありませんよ、刺身。人気なし。日本の居酒屋、バーニャカウダ。
みんなカタカナを食べていますねえ。
で、自分たちは枝豆、厚揚げ、と三点盛りを注文して、あざ~すっていう明るい声を聞きながら雑然とした空気の中で、しばし妄想の世界に入ってしまいました。
三点盛りのサカナの種類っていうのも令和流になってきているんでしょうか。
町中華にある三点盛りは「チャーシュー、メンマ、茹で卵」
中華の三点盛りっていうのもイイですねえ。
昭和の頃から、すぐに出せるメニューとして中華居酒屋っぽいお店ではスタンダードだったような記憶です。
まだチェーン店とかが幅を利かせてくる前の個人店の居酒屋。定番のアテっていえば、煮込みだったでしょうかね。
〇〇の煮込みだとか、種類はないんです。お店任せ、ザ、煮込み。今みたいにキレイな見た目じゃなくって、ごった煮、みたいなルックスでしたよ。
アテの種類っていうのもそんなになくって、ハムカツ、ポテトサラダ、目玉焼き。そんなのがメイン。
目玉焼きってホントそれだけでしたね。タマゴ1つだったり2つだったりしましたけど、キャベツとかサラダ系とか、なかったです。シンプルな目玉焼きがアテだったんです。
たこさんウィンナー。今、あの皮の赤いウィンナーソーセージってあんまり見ませんね。
そうそう、すっかり消えてしまったかもしれないメニューが川エビのから揚げ。
いや、メニューに書いてあるお店はあるんですけど、昭和の川エビとは違うエビなんですよね。妙に育っちゃった川エビなんです。デッカイの。どこの川で獲れたんでしょか。
川エビのから揚げっていうのはエビの身を食べるんじゃなくって、口の中に刺さるようなパリパリの細いやつを粗塩と一緒に味わうもんだったですよね。身の方じゃなくって殻をガシガシ噛む。カルシウム摂取!
今のってホントは川エビじゃないのかもですね。っていうか川エビっていう種類のエビ、いるのかどうかも知りませんけどね。
そうして考えてみますと、今の居酒屋定番メニューってカロリー高くなっていますよね。動物性脂肪、多め。
2022年の「居酒屋で定番の人気メニューランキング」っていうのを見てみますと、
第1位:鶏のから揚げ
第2位:軟骨のから揚げ
第3位:焼き鳥
第4位:フライドポテト
第5位:枝豆
第6位:だし巻き卵
第7位:たこわさび
第8位:サラダ
第9位:ホッケ焼き
第10位:刺身盛り合わせ
揚げ物は酒に合いますよねえ。昔ハムカツ、今から揚げ。
鶏、いなくなっちゃうんじゃないのっていうぐらい、みんな食べてますねえ。
へええって思うのは、たこわさびが第7位に入っていますね。ホントにニンキあんの? って思いますけど、第1位の鶏のから揚げがダントツ1位らしいですね。順位だけじゃなくって推しのパーセンテージも知りたいところです。
いつ頃からなんでしょうかね。鶏のから揚げは、定食、弁当のジャンルでもニンキですもんね。
ようやく第9位にホッケが入っていますけど、ホッケってまた獲れるようになったんでしょうかね。安くてボリュームがあって旨いアテですよねえ。一時期、めっちゃちっちゃくなっちゃってましたけどねえ。復活?
また復活しているとすれば、それは嬉しいことです。でもあれですね、個人店のメニューでは見ない感じです。仕入れとしてチェーン店のまとめ買いじゃないと売り単価として難しいってことなんでしょうか。ホッケ。
トップテンのしんがりに一応って感じで刺身の盛り合わせが入っています。
個人的な酒のアテの定番っていうのを、改めて思い起こしてみますと、豆腐ですね。
っていいますか、なにがなんでもっていうようなレベルじゃなくって、さて自分の定番って何だろうって改めて考えてみないと出てこないっていうぐらいのもんなんですけどね。そんなに強くこだわっているわけじゃないって思うんですけど、たいてい豆腐は注文しますね。
夏は冷奴。たいていどこのお店にもあります。
冬は湯豆腐が好きなんですけど、やっていないお店も多いですね。
厚揚げ、揚げだし、その他、そのお店のアレンジ豆腐があれば注文します。
自分の定番のアテってあります?
お店ごとにコレっていうアテがあったりするのかもですけど、自分って何が好きなんだろう? って改めて考えてみると、何か発見があったりするかもですよ。
酒のアテ、定番っていうのは時代、年代によって違っているもんなんでしょうか。そういう傾向っていうのはあるにしても、やっぱり個人の嗜好なんだろうなあって思いますけどね。
当ブログではアテ、アテって言ってますけど、言い方にも種類があって、一説には、アテって言うのは関西方面、近畿地方だけだっていうのがあります。
関東方面では「おつまみ」
ええ~!? そうかなあって思いますです。
ずっと東京で呑んでますけど、普通にアテって言ってます。
もちろん、おつまみって言っている人も多いですけど、今は土地による偏りみたいなものってないんじゃないでしょうかね。
アテでも、おつまみでも、問題なく通じますし、その言葉が指しているものも一緒だと思います。
ちょっと調べてみますと、正式には「肴(さかな)」って言うんだそうですね。
この肴っていうのは、酒に添える食べものっていう意味なんだそうですから、普通に言っている「酒の肴」っていうのは意味がダブった言い方になっている、ってことになります。
「酒の酒に添える食べもの」
日本では平安時代から酒が吞まれ始めたそうですけど、平安時代のごはんのおかずは「菜(な)」って呼んでいたそうで、それで酒の席で食べるのが「酒菜(さかな)」ってことだったそうです。
中国で「肴(こう)」っていうのは、まさに「酒菜」っていう意味で、漢字文化が日本に入ってきたタイミングで「肴」っていう字に「酒菜(さかな)」っていう読みを宛てて「肴(さかな)」って言うようになったんだそうです。
でもまあね、今、肴っていう時には「酒の肴」って言ってますけどね。重複しているとは誰も思っていないですよね。
おつまみっていうのは、手でつまんで食べるかららしいですし、酒にあてがうからアテなんだそうです。
定番のアテ、定番のおつまみ、定番の肴、っていう言葉を並べてみますと、むしろ今は定番のメニューっていう方が通りがイイんでしょうかね。
定番って言っても、お店によって旨いもの、好みのアテが違っていますからね、世の中的に何が定番ですよっていうのがあっても、頓着なく、自分の好きなアテで呑むのがイイですよねえ。
向田邦子さんの「う の引き出し」いろんな種類の旨いものを知るっていうのはシアワセですよねえ。
そうです、うまいものの「う」っていうことだったみたいですよ。
久しぶりにハムカツ、ポテサラで呑みたくなってきました。
バーニャカウダ、別に嫌いなわけじゃないです。でも酒のアテだと、時間が経っちゃうと、ね。
ん~。どこかで昭和の川エビ、から揚げにしてやってくれていないですかねえ。