< ドレスコードがあるような高級店じゃなくって 町中華のメニューで何が食べたいか >
いつもの呑み仲間、その知人が、やっとの思いで、ついこの前3年ぶりにアメリカから帰国したんだそうです。
3ヵ月の予定の出張が3年に延びて、ほとほとイヤになっていたらしくって、見間違えるほどにやせ細って帰って来た。
え? アメリカで3年も暮らしてたら、普通、っていうか、どっちかっていうと、ふとっちょになって帰って来るんじゃないの?
って聞いたらですね、ウィスコンシン州の田舎町にいたらしいんですけど、その土地の料理がどうも苦手で、ステーキもピザも飽きちゃって、日ごろ、あんまりモノを食べない生活が続いていた結果なんだそうです。
牧場が近い環境なんでしょうか、ステーキが主食みたいな町だそうなんですけど、やっぱり飽きるんですね。
で、その呑み仲間が面白がって聞き出してきたのが、アメリカの、っていうか、その町の中華料理事情なんです。
町に2軒あるアメリカの町中華。やっていたのはおそらく中国人らしい東洋系だってことなんですけど、かなり日本の中華メニューとは種類も味付けも違うんだそうです。
日本でも所々に「ガチ中華」っていって、日本にいる中国人向けに、中国本来の中華料理を出しているお店がありますけど、普通にはその国の嗜好に合わせて作っているんでしょうね。
そりゃまあ、そうしないとお客さん来ないし、商売になりませんもんね。
でもステーキから逃れるようにして、その町中華に通うようになって、ほとんどのメニューを制覇して思ったことは、やっぱり自分は日本人で、日本の中華がイイな。
日本の町中華に行って、自分の好きな「エビチリ」が食べたいなあ、と思ってため息ばかりついていたらしいです。
「ガチ中華」が合わなかったのか、「アメリカ中華」がダメだったのか。
コロナパンデミックになったタイミング。
まだ規制が厳しくなる前にアメリカに行って、本人は感染していなかったものの、3ヵ月が経って、アメリカの感染者がかなり多いんで、日本の会社から帰って来るなって言われて、出張期間延期。
アメリカのコロナ感染がどうやら落ち着き始めると、今度は日本の感染状況がピークになって帰国を控えてまた延期。
っていうようなことを繰り返して、3年。
日本の「エビチリ」がどんどん遠くなる。
ステーキとピザとアメリカ中華とコーラ。なんだかなあ、で食欲減退。
そういう目に遭っていた日本人って、少なくないのかもですよねえ。
お気の毒。
3年ぶりに帰ってきた、その「エビチリ」が好きな彼は、帰国後1週間、夜は毎日「エビチリ」を堪能したそうです。
ま、コロナ禍の生活、それはそれとして、中華料理なんですけど、町中華で気軽に食べたいメニューっていったら、何を思い浮かべますか。
中華料理っていったらコレだなあ、っていうメニュー、誰にでもありますよね。
2022年の「中華料理の人気ランキング」っていうデータがあります。
第10位:「肉まん」
んひょひょ。ベスト10にランクインしてくるんですね。たしかに中華料理ですけど、個人的にはすぐアタマに浮かんでくる中華料理メニューじゃないですねえ。コンビニオンリーでいただいております。
第9位:「ラーメン」
でしょねえ。ラーメンの旨くない町中華って、ダメでしょ。
ラーメンっていうか麺類っていうことなんでしょうけどね。
第8位:「油淋鶏(ユーリンチー)」
ネギの香りのアブラ。イっすよねえ。
ちなみに「ゆーりんちー」って入力して変換すると「油淋鶏」って出ますね。へええ、って、ちょとビックリ。
第7位:「ごま団子」
ほほう。たしかにね、ファミリーで来ている人たちの女性陣が注文しているのをけっこう見かけます。
でもやっていない町中華も多いですよね。
〆、なんでしょか。
同率第5位:「春巻き」「小籠包」
小籠包って、町中華メニューとしては、わりと新顔っていうイメージなんですけど、どうなんでしょ。個人的に出会わなかっただけなんでしょうかね。
春巻き。近所の町中華の揚げ春巻きがですね、デッカイんです。で、3つに切って出してくれるんです。
ホッピーのアテでいくんですけど、冬なんかだと、どんどん冷めちゃいます。
なので切らないで、って言って出してもらっています。熱々がね、旨いんですよね。
でも3本も要らんねん。2本でエエねん! デッカイんだから。
その町中華だけのことですけどね。他の店の3倍くらいあります。
第4位:「炒飯」
これ、分かりますねえ。チャーハンの旨い町中華を知っている人はハマりますよね。シアワセ者です。
ラーメン、チャーハン、焼きそばの旨い町中華は、他、どんなメニューでも旨いです。マチガイありません!
でも最近、そういう町中華がどんどん少なくなっている現状が、悲しいです。
第3位:「麻婆豆腐」
これ、単品で注文してアテにしますねえ。店によって全然違う風味っていうところが面白いメニュー。
山椒系、胡椒系、トウガラシ系。どれも旨いです。
辛さを調節してくれる居酒屋さんもあります。
絹だ木綿だ、ワイワイ言い合うのもまた、酒のアテになったりしますね。
第2位:「エビチリ」
おお、けっこう人気メニューなんですね。
個人的には町中華でエビっていったら「エビマヨ」の方なんですけど、「エビチリ」も酒のアテとしてイっすよねえ。
第1位:「餃子」
なんかね、なるほどな第1位ですね。
町中華呑みで、誰もが注文する一品でもあります。
店によって全く違う料理になっている代表格のメニューですよね。
一軒の町中華の中で、いろんな種類の餃子があったりして、しかもミックスで出してくれたりもして、お世話になっておりますです。
2018年のデータなんですが「女子100人が選んだ好きな中華料理ランキング」っていうのもありました。
同率第5位:「炒飯」「小籠包」
第4位:「ラーメン」
第3位:「麻婆豆腐」
第2位:「餃子」
第1位:「エビチリ」
麻婆豆腐、餃子、エビチリのベストスリーは、顔ぶれ一緒です。
ま、そうでしょねえ。町中華の大好きメニューに男女差はないってことで、大変ケッコウなことじゃないでしょうか。
日本の町中華メニューはだいたい旨くってマチガイないです。
アメリカの、その町の中華屋さんの餃子は「水餃子」だったんだそうです。
アメリカ全体がそうなのかどうかは分かりませんが、中国の人に聞いても日本の焼き餃子には違和感があるって言いますもんね。
餃子って、やっぱり水餃子が基本なんでしょう。そうだとするとアメリカの餃子は基本通りだってことですね。
ただですね、その町のその町中華の水餃子は、ん~、っていう代物だったそうです。
ステーキとピザに飽きて、町中華の水餃子はペケで、なにを食べていたんでしょう。
「パンケーキ」
中華屋さんで? パンケーキ?
「ねぎもち」らしいです。
一度、中国人がやっている町中華で、自分たちのおやつに作ったのを、1切れ食べさせてもらったことがあります。
中国人が自分たちのために作っている賄いおやつ。
長ネギの入ったお焼きですね。旨いですけど、これでお腹いっぱいにするのは、なかなかでしょうねえ。
ま、アメリカのその町中華の「パンケーキ」がどういう代物なのか、分かりませんけどね。
「エッグロール」
知らんですねえ。
調べてみますと、アメリカの中華料理としては定番らしいですよ。知ってます?
細かく刻んだ野菜、肉だとか、いろんな種類の具材を厚めの小麦粉の皮で巻いて揚げたもの。
ってことだそうで、前菜だそうです。
ん~。これもまた腹にたまりそうな感じはしませんね。
エッグ。タマゴは使っていないんだけど、エッグロール。なんでエッグなのかはナゾ、らしいです。
「ツォ将軍のチキン(General Tso’s chicken)」
なんなん?
これまた調べてみますと、アメリカの中華料理としては定番中の定番らしいです。
全然聞いたことありません。ツォ将軍? 誰やねん?
「左宗棠鶏(さそうとうどり)」っていう、揚げた鶏肉に甘辛いタレをかけた中華料理。
から揚げとは違うんでしょうか。
甘辛いタレっていうのが、どうもクセモノに思えますねえ。チキンにチョコレートソースとかをかけちゃう国ですからねえ、アメリカは。
「左宗棠(さそうとう)(ツオツォンタン)(1812~1885)」っていうのは清朝末期の役人さんらしいです。
太平天国の乱を鎮圧した有名な人らしいんですが、なんでこの料理に名前が使われているのか、不明。
なんか、そんなんばっかしですね。
しかも、中国のツォ将軍の地元でも、この「中華」料理は、知らんがな! らしいです。
アメリカから帰ってきた彼は、「ツォ将軍のチキン」を一度だけ食べたことがあって、2ピースでギブしたそうです。
ん~。ま、そういう味付けだってことでしょうね。知らんけど。
無事、日本に帰って来られて良かったヨカッタ、ですねえ。
2023年になって日本の町中華にも、大型店の中華料理屋さんにも客足が戻ってきているらしいですね。
大きな中華料理店の特徴っていえば、あの大きな丸いテーブル。中央にもう一段乗っかっている丸いテーブルが回転するやつ。
あの回転テーブルに、8人とか10人で向かい合って、グルグル回して、ワイワイ呑んだり食べたりっていうのも、もうじき復活しますかねえ。
あの回転テーブルって、中華料理でしか見たことないですけど、その発祥には、日本発祥説、イギリス発祥説があって、なんと中国発祥説はないみたいです。
日本発祥説は、1932年、目黒雅叙園の創業者「細川力蔵(1889~1945)」さんが考案、作成したものだっていう説ですね。
イギリス発祥説は、1732年の雑誌に既に回転テーブルの話が載っているっていうものです。
記事の中で回転テーブルは「Dumb-Waiter(口のきけないウェイター)」っていう名前で呼ばれているらしいですから、くるくる回して給仕をしてくれるっていうニュアンスですよね。
18世紀ですけど、機能も仕組みも今の中華料理店にある回転テーブルそのものだと考えて良さそうです。
その後「Dumb-Waiter」は「Lazy Susan(怠け者のスーザン)」って呼ばれるようになっていった。そういう歴史があるみたいです。
意味合いとしては同じですよね。ウェイターがスーザンっていう名前のウェイトレスになったっていう、その経緯になにか面白そうなエピソードがあったりするのかもですけど、そこは「?」みたいです。
細川力蔵さんが考える200年も前に、既にイギリスに存在していたことは間違いなさそうですけど、レイジースーザンがその後、世界に広まったような気配もないですし、イギリス国内でも一般に浸透はしなかったんじゃないでしょうかね。
イギリスの食事スタイルが回転テーブル、レイジースーザンを必要とするようには思えませんもんね。
たとえ細川力蔵さんが当時の世界大戦前のイギリスに馴染みの深い人だったとしても、レイジースーザンと出会っていたとは考えにくいです。
つまり200年の時を隔てて、レイジースーザンは2回発想されたってことになるのかもしれません。
で、結局、21世紀に生き残っているレイジースーザンは中華料理店だけ、っていうのも、改めて考えてみますと、かなり不思議です。
食事のスタイルとして、中華料理とレイジースーザンの相性がイイってことなんでしょうね。
中国に伝わったレイジースーザンは、どういうルートで伝わったんでしょうね。
イギリス、香港経由?
目黒雅叙園、横浜中華街経由?
大型中華料理店で、レイジースーザンをぐるぐる回しながらワイワイっていうのも、また、やってみたいです。
レイジースーザンのお世話にはならないにしても、2023年にはまた、みんなで鍋をつつけるような世間に戻っていくでしょうか。
スーザン、、、だれ?