< ヒラメって高級魚っていうイメージだったんですが 地域によって違うみたい >
洋食中心の定食屋さんなんですが、地下にあって換気が思うに任せないことから昼の営業も自粛していたお店があるんですね。
ランチにちょくちょく行っていたんですが、「設備改善のためしばらく休業いたします」って張り紙をして、もう1年ぐらい営業していませんでした。
自粛する前に「古い建物だから、地下の換気ってうまくできないのよねえ」っておかみさんが力なく言っていたんですが、ん~、って思うばかりで何もお手伝いできることなんてありませんからね、ただ、営業再開を待っておりました。
50人ぐらい入る広めのワンフロアで、そこそこ常連さんも付いていたおいしい洋食屋さん。
つい先日、張り紙が変わっているのに気付きました。
「42年間、ご利用ありがとうございました」
ええ~っ! 閉店のご挨拶になっていました。
夜の営業はワインをメインにして女性陣にも人気のあった店だったんですけどねえ。
換気のことだとか、コロナ禍についての愚痴っぽいことは何も書かれていなくて、ただ、長いあいだありがとうございましたってだけの閉店挨拶でした。
残念無念、悔しいです。
この店でよく食べていたのが「ヒラメのムニエル定食」
高級フレンチの店なんて行ったことはありませんし、ムニエルなんて比較できるほどいろんな店で食べた経験もありませんので、どこがどう旨いですっていう説明は出来ませんが、ま、とにかく旨かったのでした。
ボリュームはありません。量を求める人にとっては物足りないかもしれないんですが、ごはんかバケットを選べて、スープとサラダが付いて、ヒラメのムニエルにはタルタルソースが添えられていました。
スライスレモンも添えられているんですが、タルタルソース自体にもレモン風味が感じられる、手をかけた一品だなあって満足していたんでした。
あのヒラメのムニエル、もう食べられないんだなあ。。。
ところで、ムニエルってフライと何が違うんでしょう。
ムニエルってよく聞くのは「舌平目のムニエル」ってやつですよね。
定食で食べていたムニエルは「ヒラメ」であって「舌平目」じゃなかったんですが、これって魚の種類が違うんでしょうかね。
で、ちと調べてみました。
ムニエルっていうのは、魚の切り身に塩コショウして、小麦粉をまぶしてバターで焼いたもの。
特に魚に限るっていうようなルールみたいなものがあるわけじゃないらしいですけれど、肉料理にムニエルっていうのはないみたいです。
さらに、魚の中でもヒラメ、舌平目がほとんどなんだそうです。
フライとの違いは、ムニエルが焼くのに対してフライは揚げるってことぐらいでしょうかね。
ふううん、です。
ま、確かにムニエルってそんなに油っこくないです。でもまあ、似たような感じ。
小麦粉で衣を付けなければソテーってことみたいですね。
でもソテーっていうと、ほぼポークって感じがしますね。
調理方法と調理素材って、ルールがあるわけじゃないんだけれど、けっこう決まっちゃってるものなのかもなあ、っていうのは「もの知らず」なんでしょうかね。
魚料理のソテーっていうのはないんでしょうけれど、似たような感じなのはポワレってことになるんでしょうか。知らんけど。
で、あとはヒラメと舌平目って違うのかってことなんですけど、違うんでしたあ。
ヒラメっていうのは「カレイ目カレイ亜目ヒラメ科」だそうで、「ダルマガレイ科」の魚も大きくはヒラメっていうそうです。
はあ? カレイ科なのにヒラメっていうのが居るっていうことでしょうか。
そうそう俗に「左ヒラメに右カレイ」って言いますよね。これってちっとも分かっていませんでした。
魚体の左側に両目があるのがヒラメで、右側に寄っているのがカレイ? 平べったくなっちゃってるんだから、目の付いている側が左側なのか右側なのかなんて、区別できるの?
ってずっと思っていたんですね。
で、これ、目じゃなくって、どっち向きになるかってことなんだそうです。知ってました?
え? 魚って右に向けたって左に向けたって一緒じゃん。って、一緒じゃないんですね。
腹、あの白い腹を下にして魚体を置いたときに、当然魚の目は上側にあるわけです。
目が下側にあればサカサマだよねえってすぐ分かります。
で、腹を下にして目が上側にあるように置いたときに、左向きになるのがヒラメ。右向きになるのがカレイってことなんですね。
あの平べったい魚体を頭から尻尾にかけての真ん中に直線を引いたとして、2つの目が直線の上側か下側のどちらかに寄っているんですね。
で、ちゃんと目を上にして魚体を置いてやれば、ヒラメは左向き。カレイは右向きになるって、そゆことだったんでした。
ま、知っている人には、あまりにも当たり前のこと、なんでしょうねえ。失礼いたしました。
ただですね、やっかいなことには、右向きのヒラメや、左向きになるカレイっていう種類も居るそうなんで、「左ヒラメに右カレイ」っていうのは万全ではないってことらしいです。
で、本題の「舌平目」なんですが、「カレイ目ササウシノシタ科およびウシノシタ科」なんだそうです。
ちょっとビビります。牛の舌って名付けられた種類なんですね。
タンですよ、牛タン。
まあね、舌平目って「舌」って付いていますけどねえ、「ウシノシタ科」
生物学のセンセ方、真面目にやってるんでしょうか。ま、いいんだけど。
舌平目って世界中にいるらしいんですが、日本で獲れるのは「赤舌平目」「黒牛の舌」っていうのがほとんどだそうです。
英語で調べてみても「sole」でした。shoe sole靴底のsoleです。
「黄金狂時代(The Gold Rush)」という映画の中で、チャップリンが革靴を茹でて食べるシーンがありましたけれどねえ。靴底ですかあ。
だったら、まだ牛の舌、タンの方がましかなあって思ったらですね、日本でも佐賀県、長崎県、熊本県辺りでは「くつぞこ」って呼んでいる地域があったんでした。
ほえ~! です。
岡山県、香川県あたりでは「ゲタ」新潟県では「ネズリ」っていう地方もあるみたいです。
寝そべってズリズリ這うようにしているから寝擦り、で、ネズリって言うってことだそうです。
肉が薄くって刺身にはむかない魚。
ふううん。なんだかなあって名前で呼ばれているんですねえ。
そっかあ、とすると、これまでに舌平目って食べたことないですね。
ヒラメは定食のムニエル、他の定食屋さんの刺身、フライを食べましたが、刺身はもちろん、切り身は充分厚みがありましたからねえ。
ムニエルも舌平目じゃなくってヒラメの、って言ってましたからねえ。
にしてもですね、「黒牛の舌」って名前の魚。「くつぞこ」とか呼ばれている。
出島のあった長崎辺りでは江戸時代辺りから革靴って知られていたのかもしれませんが、一般的には明治以降ですよね、革靴って存在を知るのは。
だとすると、「くつぞこ」って名前もせいぜいその頃から言われ始めたんじゃないでしょうか。その前はなんて呼んでいたんでしょう。
履物の下駄に似ているから、っていう説明がありますが、ええ~? って思いますね。
ペタッとした魚のどの辺が下駄に似ているんでしょうか。理解不能です。
ん? そっか、鬼太郎が履いていたような二枚歯の高下駄じゃなくって、ペタンとした、ベンジョゲタのこと?
ん~、なんだか有り難くない名前。
舌平目のムニエルって高級料理ってイメージだったんですが、調べてみたら、なんだかなあって結果になってしまいました。高級感、ないです。
ちなみにムニエルって、粉屋っていう意味のフランス語の女性名詞ムニエから来ているらしいです。
粉屋の女の人が最初に作った料理なんでしょうかね。
フレンチとか食べに行ったことないんですが、舌平目のムニエルって、高くないの? ゲタでっせ。。。