< 微笑みの国っていってもさあ 「スマイル 0円」って日本だけの幻現象なんでしょか >
オリエンタリズムっていうのがありますよね。
「洋の東西を問わず」とかいう言い回しもあって、世界を東洋、オリエント、と西洋、オクシデントっていうふうに分けてとらえる考え方に基づいて、主にヨーロッパから見た東方にあたる、中東、アジア地域の文化を指している言葉です。
これまでの時代にブームっていうのもあったらしいですが、どうもね、そのころのブームってヨーロッパ側からの上から目線みたいな感じがあるってことも否定できないです。
第二次世界大戦前のことみたいですけどね。
1929年にベルリンで初演となったオペレッタも、その当時のオリエンタルブームを背景にしたもので、ドタバタ喜劇が多かったオペレッタに、シリアスな悲劇性を取り入れた傑作として人気を博したそうです。
その「ウイーン・オペレッタ」のタイトルは「微笑みの国」
今現在としては「微笑みの国」っていえば「タイ王国」を指すと思うんですが、このオペレッタの舞台はウイーンと北京です。
ウイーンの伯爵家の令嬢が、中国のエリート外交官としてやってきた殿下と恋に落ちるっていうストーリー。
令嬢が殿下に惚れたのは、殿下がいつも微笑みを絶やさない態度だったから。
殿下は、いついかなる時も感情を表に出すことなく「常に微笑むのみ」というのが東洋人のたしなみだと言います。
東洋人、このオペレッタの場合は中国人ですが「微笑み」のイメージ、ありますかね。
まあ、でも、そんな殿下の「微笑み」に惹かれた令嬢は、本国に戻らなければいけなくなった殿下について、結婚するために中国へ行くことになります。
で、北京に着いてみると、北京の習俗に令嬢が驚きモモノキになるっていうストーリーなんですが、このオペレッタに演出される北京はイスラム国家の都になっているんだそうです。
初演された1929年といえば、中国は中華民国18年。辛亥革命から18年っていうタイミングです。
ま、当時のヨーロッパ諸国からすると、東側、オリエントはみんなイスラム教なんだろう、ぐらいの認識だったのかもしれません。
オクシデントはオリエントを知らないっていうことなんですが、これって一方的なことじゃなくって、オリエントの方もオクシデントを知らないですよね。
21世紀の今でもお互いにお互いを知ってるかといえば、どうもね、心もとない感じです。
1929年当時となれば、ほとんどお互いの情報を持っていないでしょうね。
で、いろんな仕来たりの違いを面白おかしく演じるんだと思うんですが、決定的だったのは、殿下は仕来たりに従って4人の妻を迎えるっていうこと。
令嬢としては、冗談じゃない! ってことになって殿下に対する愛情を急速に失っていくんですね。
そこへ、ウイーン時代から令嬢を慕っていた竜騎兵中尉が北京に表れて、連れ戻そうと画策し始めます。
ここで殿下の妹と竜騎兵中尉が恋仲になって、3人で北京脱出を試みますが、失敗して幽閉されてしまいます。
令嬢と殿下が話し合いというか歌い合いを演じて、殿下は令嬢の願いを受け入れて、竜騎兵中尉と令嬢がウイーンへ帰るのを妹と見送ります。
竜騎兵中尉との別れを悲しむ妹に向かって殿下は「悲しみも微笑みの下に隠しなさい」と言って終演です。
中国はイスラム国家じゃないし、たいていは一夫一婦で暮らしていますよ。
ってまあ、大きなテーマとしてあるんだろう「オクシデントとオリエントの出会い」からすれば、そこは触れないでおくべきところなんでしょうね。
「微笑みの国」っていうオペレッタは、今でも上演されることがあるらしいです。
令和現在の日本で、一般的に微笑みの国って言えば「タイ王国」ですよね。
オクシデント、オリエントという分け方からすれば、日本と同じオリエントのタイ王国です。
コロナ禍のなかでは思い通りに観光っていうことも出来ませんでしたが、日本人にとっても人気の国です。
でもどうでしょう。ほとんどの人は詳しくは知らないですよね、タイ王国。
2014年に軍事クーデターが起きて、2021年現在も軍事独裁政権のままです。
ラーマ9世、プミポン国王が2016年になくなった時には、そのニュースが流れましたが、普段、タイ王国のニュースって報道されることも少ない感じですしね。
2018年にタイ王国のこんなニュースが報道されて話題になりました。
タイ王国には「観光警察」っていう組織があるらしいんですが、空港で外国人観光客を出迎える仕事をしていた2人の10代タイ人女性が観光警察に呼び出されて厳重注意を受けて、その2人のタイ人女性はメディアを通じて国民に謝罪させられて、雇用側からは解雇されたっていうニュースです。
その理由は観光客を出迎えるにあたって「微笑まないで不機嫌な顔をしていたから」
タイ王国は微笑みの国なんだから不機嫌な顔をして外国の観光客に対していたら、国のイメージを傷つけるっていうのが観光警察の言い分。
ほええ~っ! って思いましたね。
そりゃまあ、ブスっとしているよりニコニコしている方がイイだろうとは思いますけれど、仕事無くなっちゃうっていうのはツライですよね。
事の発端は、中国人観光客が団体で訪れて、空港からバスに乗り込む際に「おもてなし」として花飾りを受け取ってみんなで記念写真を撮るサービスがあるらしいんですね。
その花飾りを手渡すのが2人の10代女性のオシゴト。
で、彼女たちも一緒に記念写真におさまるわけですが、写真の中の2人はニッコニコ。
なのに花飾りを1人ひとりに手渡すときは仏頂面だったらしいんですね。
そのギャップを面白がった中国人の間では、チップをもらった時だけニコっと微笑むパロディ動画が人気になったりしたってことをタイ王国側が気にしたって結果なんでしょうね。
中国人観光客の落としていく金額って相当なもんなんでしょうからね。
日本でも中国人の爆買いツアーっていうのが一大トピックでしたからね。同じような部分はあるでしょう。
でもまあ、日本の空港でタイ王国のような「おもてなし」をしていたのかどうかは知りませんが、日本の店ではマクドナルドに限らず、たいてい「スマイル 0円」で応対していたんじゃないでしょうかね。
観光警察に叱られて、仕事を失ってしまった2人のティーンがその後どうなったのか、タイ人の評判はどうだったのか、後付けのニュースはみつかりませんでしたが、「微笑みの国」っていうのはもしかすると「政策」なのかもしれないですね。
一方、中国人観光客の傍若無人ぶりはどこの国でも取り上げられているトピックです。
もちろん一部の中国人だけですけれどね。テンション上がり過ぎな観光客もいるってことですよね。
タイ人ティーンの2人は正直すぎたのかもです。でもまあ、仕事ですからね。もうちょっとうまくやれれば良かったんでしょうけれどねえ。
なんでもかんでも、いつでもどこでも、ニッコニコっていう国民性があるとしたら、逆にそっちの方がコワい気もします。
トムヤンクン、ガパオライス、カオマンガイ、グリーンカレー、パッタイだとか、旨い料理も多い印象のタイ王国です。
とか言ってもですね、全部東京でしか食べたことないです。タイ王国、行ったことなし。
やっぱり本場で食べたり飲んだりすると違うんでしょうかね。どうなんでしょ。
ただ、酒の評判はイイ話を聞かないんですよね。
けっこうな数の人がそう言っています。
「メコンウイスキー」っていうのがタイ王国産らしんですが、これがハッキリマズイっていわれていますね。誰が言っているかというと、あの人です。酒ならなんでもオッケーって言いそうな「中島らも」
ん~。どうなんでしょうかね。ボトルを見たことすらありません。
良く言えばマズイラム酒。
って良く言ってないと思うんですけどね。
でもラムはラムで「サンソム」っていうのがあるみたいなんですけれどね。
タイ王国のウイスキーは焼酎だっていう説もあるみたいです。ま、蒸留酒ではあります。
昔の名前で出ている「シャムネコ」も日本に居ますし、タイ料理ってわりとどこにでもありますからね。
タイ王国に行く予定とか予算も無いんですけれど、コロナも下火になってそろそろ社会活動としていろいろ動く機会も増えてくると思います。
日本は微笑みの国を標榜しているわけじゃなりませんけれど、スマイル0円でいきましょう。
出来る範囲でね。